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本日のルート (powered by ルートラボ)
地の果てを獲りにいく。![]() 斜里第一ホテル。自転車は玄関に置かせてもらった。 ちゃんとした布団で一晩寝たのが良かったか、それとも、山を越えたことで天気が回復したのが良かったか、いずれにしても足取りは軽く、7:00斜里第一ホテルを出発。まずは30キロほど走って峠の麓、ウトロへ向かう。
![]() ウトロまで残り30キロほど。 昨日とは打って変わって、思いのほかペダルがよく回る。休息が良かったのか、それとも追い風の所為か。 ![]() 海岸線に出た。 1時間ほど走って、海岸線に出ると、単調だった風景にアクセントが出るようになった。相変わらず、風は味方に付いてくれている。
![]() 今までは通り過ぎるだけだった場所だ。 オートバイではこの道を何度も通ったことはあったが、改めて立ち止まって見ると、なかなかな迫力だ。当然、寄り道の回数は増えるわけで、遅々として進まないが、まあそれはそれで。 やがて、街の気配が強くなってくると、そこがウトロ。知床峠の西の玄関口である。 ![]() 峠の麓。戻るなら今のうちだぜ。
久々に真剣なエルコスさんに促され、麓のセイコマで補給を開始。水1リットル、赤缶、小分けのスニッカーズと、セイコマPBのゼリー飲料を購入したが、まあこれだけあれば羅臼までは持つだろう。
とは言うが、昨日、一昨日と、ほぼハンガーノックが原因で行程の下方修正をしただけに、今回は謙虚にならざるを得ない。まあ、ぶっちゃけた話、スタート時点で水の補給をしていなかったから、ここで必ず補給する必要はあったのだが。 ![]() 準備といえば、熊鈴(昔買ったやつ)。結局、ミク全開だったのであまり効果はなかったが。 さて、登坂の準備をしていると、ご同業の車列が峠方面へ向けて出発するところだった。向こうは10人程度の大所帯で、サポートカー付というお大尽。
こちとら仲良く独立愚連隊。今日もおっさんとチタンロードの二人三脚だ。そんな訳で、峠をシバきにかかったのが、9:03のこと。熊除けにミク全開にして。 ![]() あそこが戦闘開始ポイント。峠までの長いヒルクライムが始まる。 最初は、まあまあな斜度が道道93交点まで続き、その間に160mほどアップする。峠の標高は738mなので、だいたい行程の20%は登ることになる。相手は北海道の国道で唯一、冬季閉鎖をすることで有名な交通の難関、こちらも小細工なしでいきなりインナーギアで攻める。
![]() 先行していたご同業をパス。どうやらこのあと自然センターに立ち寄ったみたいだ。 先行していたご同業の車列をロックオンしてしまった。そして一気にオーバーテイク。
道道93交点を過ぎると、勾配はやや緩くなる。それでも途中下り返すような箇所のない、言わば のため、長期戦覚悟で脚の回転数を落とす。速度は10キロまで落ち込むが、どうせ登坂に2時間かかると見込んでいるので、気にしなければよい。 ![]() 羅臼岳が見えてきた。 7月初めだというのに、行き交う道外ナンバーのオートバイや、「わ」や「れ」ナンバーの車が多い。あと、道外ナンバーのキャンピングカーとか。 てれてれ、とことこ登っていくと、目の前に羅臼岳がドカンと現れる。ここがだいたい400m地点で、ようやく行程の半分を登ったことになる。ここまで来ると、麓の鬱蒼とした森の中ではなく、背の低い木々が連なる高原地帯の様相になる。雰囲気としては……
![]() この辺りなんかが渋峠っぽい感じ。 ぼちぼち脚がしんどくなってきた。ダンシングを織り交ぜながらさらに登るが、ついでに腰も痛くなってきた。ポジションが低くセットされた借り物フォークが災いしているようで、時々、腰を伸ばしながらダンシング。小分けのスニッカーズとゼリー飲料を立て続けに口に放り、水で強引に流し込む。 昨日の天気が嘘のように、日差しがモロに照り付ける。木陰が心地よいレベルで、飲んだ水分が瞬く間に汗となって放出する。あまりにも暑かったので、グローブを脱いで素手になった。手は風を受けて涼しくなったが、今度は汗でヌルヌル滑ることに。
![]() 写真ではなかなか伝わらないほどの迫力が。 道は大きく弧を描き、さらに勾配を上げていく。稜線を見る限り、もうすぐてっぺんの筈なのだが。……とここで、別のご同業一行とすれ違う。比較的軽装で、長期の旅行者ではなさそう。最近、北海道のサイクリストは軽装の人が多いような気がする。
航空機での移動が便利になった2010年代、重装備で長期、しかもテント泊自炊するスタイルから、軽装で短期、宿利用するスタイルに変化しつつあるのかもしれない。どちらにも一長一短はあるが、軽装には軽装なりのメリットがあるので、今後は軽装スタイルが流行るのではないかと思う。 そんなことを考えながら登っていくと、駐車場の案内看板が。 ![]() もしかして、これは……
と、いうことは、あの駐車場は、知床峠の駐車場ということだ。ゆっくりと右にカーブした先に、羅臼町のカントリーサインが見えた。
![]() やっつけたぜ。 10:25、知床峠を獲った。この峠に立つのは3回目なのだが、ここまでド快晴な峠に立ったのは、初めてのことだ。こんなに景色の良い場所だったとは。 ![]() 羅臼岳方面の展望。 峠部分はちょっとした観光スペースになっていて、人の往来が多い。それでも、まずは祝杯とばかりに、余ったスニッカーズと赤缶を所望する。改めて峠を見回してみると、羅臼方面への展望が雄大で、よく見ると、うっすらと濃い色をした、平べったい何かが見えた。
生で島の姿を見たのも、これが初めてのことだった。 ![]() 羅臼側の展望なんて、今回初めてのことだ。 しばらくしていると、観光バスが大挙して押し寄せてきた。峠の駐車スペースには限りがあるし、そもそも人が多すぎて落ち着かない。そもそも、いくら峠のてっぺんを獲ったからって、目的地はここじゃなくて羅臼なのだ。ということで、ぼちぼち腰を上げることに。 羅臼側への下山を開始した直後だが、いきなり道は登り勾配になる。斜里側とは異なり、羅臼側は僅かだがアップダウンが存在する。しかし、それもすぐに終わり、あとはひたすら下り勾配だ。
知床は野生動物の楽園でもある。過去には、レンタカーを襲うヒグマがメディアに公開されたこともある場所だ。そもそも、そのヒグマを恐れて当初のルートから知床峠を外していたのだった。 ![]() 実は結構な勾配の羅臼側。ようやく麓まで下りてきた。 できるだけブレーキで速度を殺し(後ブレーキは極力抑えて)、ゆっくり下っていくと、やがて人の気配がしだす。同時に、硫黄の匂いも。 羅臼にある温泉「熊の湯」だ。ここを通過したということは、市街地まであと少し。 ![]() 羅臼の中心街へ。ここにとってバスは生命線となる。 思いつきで判断した結果羅臼の道の駅で昼食。ウニや昆布が有名かと思ったら、黒ハモというのが名物らしい。
羅臼の名産とあれば、食べないわけにいかない。早速オーダー。黒ハモ丼1100円+大盛150円。出てきたのがこちら。 ![]() 大盛り頼んで正解だった。ナイス俺。
うっとりした声で言わないでほしいなぁ。んで食べてみたのだが、これが本当に 脂が乗った、ふっくらした身が、甘辛タレに絡んで、もうね、ヤヴァイの。
宝石箱とかってレベルじゃない。黙々と食べ、最後に湧き上がる満足感。 この時期、道東では時鮭が名物なのだそうだが、羅臼に来たら黒ハモ一択だね、という、そんな感想。
![]() 道の駅らうすの知床食堂にて。なお、他にも黒ハモを食べさせてくれる店がある。要確認。 すっかり満足したので、行程を進めることにした。 羅臼からはR335国後国道を南下して、標津まで下りる。冬季は、羅臼へと至る唯一の道となる。 途中、いくつかの集落を通過するが、基本的には人気のないところを往く。また、羅臼への幹線道路だけに、大型バスの往来が多い。途中、アップダウンもあり、単調な道という訳ではなさそうだ。 ![]() 意外にも、民宿やライダーハウスが多いイメージ。 黒ハモで満足したせいか、知床峠の攻略で体力を使い果たしたか、あるいは、向かい風の影響か、
![]() なのでちょこまか休憩を挟みながら。峯浜漁港にて。 国道の終点である伊茶仁までは、およそ40キロ。20キロアベレージで2時間、しかし当然のように時間は狂う。伊茶仁の交差点付近にある廃屋の姿を見つけたときには、出発から2時間以上経過していた。 ![]() ニコライ亭。特徴的な屋根だ。 ちなみにこの廃屋、確か2003年にも存在していた。丸いドーム屋根が特徴的だったのでよく覚えているが、まだ解体もされてなかったとは。 試しに立ち寄ってみた。出迎えたのは、もはや息の根を止められたキュービクルの残骸。背後ではクルマの往来が停まらないが、目の前にある建物は、物言わずに佇んだままだった。時折吹く風によって、割れた窓ガラスがカタカタ揺れる。 ![]() もはや息の根は止まっているようだ。
かつては人々で賑わったであろうこの建物も、もはや今は廃屋でしかない。そして、こういう建物を、北の大地では結構目にする。 ![]() 伊茶仁交差点。羅臼への玄関口でもある。 伊茶仁の交差点で小休止。交通量は多いが、ここが羅臼への分岐点である。地図を見ながらこの先のルートを決める。予定では明日、別海のポークチャップというプランなのだが、天気が乱れるらしい。それならば、中標津で一泊して、明日の天候次第でどうするか決めようと思う。幸い、帰りの飛行機は14:35に飛ぶので、13時頃までに空港に着いていればよいのだ。 地図を見ると、中標津の緑ヶ丘森林公園が210円で利用できるらしい。時間的にも丁度良いくらいだろうか。そう決まってしまえば、あとは中標津を目指すのみである。R244から道道774を通るルートで中標津を目指そう。 ![]() 道中、エルコスさんを被写体にしながら。 このあたりは、碁盤目…… とまではいかなくとも、割と綺麗に縦横に道が伸びている。よって、直線的な線形となるのだが、
という感じでダラダラ走る。道道774交点を左折して、ふたたびまっすぐな道。やはり、飽きる。 ![]() この道道標識の書式は北海道オリジナルのものだ。。 おかしい、憧れの北の大地で、なんでこんなに「飽きる」を連呼しているのだろうか。しばらく走りながら考えて、ふとある結論に達した。 これはアレだ。江戸川のCRが退屈なのと原理が一緒だ。……と。
![]() 時折、こんな牧歌的なところも通ったりするので、殺風景という訳ではない。 あと、これは自業自得なのだが、借り物フォークによるポジション変化に対応しきれていない、というのが原因かもしれない。実際問題、スペーサーが1枚抜けていて、その分ハンドルが低いのだ。結果的に前屈みになり、腰と腕をやられる。 ![]() 川北市街。かつては標津線も通っていた。この街も●ラクエ感が多分に。 痛む身体を騙し騙し動かしながら、川北の街までやって来た。ちょっとした規模の街で、自販機の補給も期待できそうだ。そんな川北の街を流していると、
唐突にターン。曲がった道の先には、見慣れた風景が。 ![]() 旧川北駅跡。狙った通り。
旧標津線川北駅跡だった。静態保存されたキハ22が鎮座し、ここがかつての駅であったことを主張する。標津地区の発展に寄与した鉄路ではあるが、平成元年に廃止されてしまった。現存していれば、根室標津まで輪行して、そこから羅臼、という選択肢もあったのだ。 ![]() 標津線の場合、特に駅跡のモニュメントには力を入れているように思う。 日差しは西にだいぶ傾いている。赤缶チャージと補給用のパンで軽く小腹を満たし、さらに南下する。道道774は、いかにも北海道といった荒涼感の中を進んでいくが、やがて唐突に人工物が現れる。そこが中標津空港で、言わば道東の玄関口である。 ![]() 道道774の終点が、ちょうど中標津空港になる。 明日のフライト前に下調べを済ませておく。土産は空港で買え、とはよく言ったものだが、中標津空港は地方空港故に規模が小さい。もしかしたら土産物屋が閉まっているのではないか、という懸念があったが、何のことはなく、普通に営業していた。北海道土産の定番、マルセイのバタサンも在庫があることを確認。 さあ、それでは今日のキャンプ地へと行くか、と、時計を見ると、まだ16時過ぎくらい。北海道ライダーの聖地として有名な開陽台までは、ここから約10キロ程度の距離でしかない。 ![]() 意外と近いのだ。
そんな訳で、1年前に通ったルートを逆走して、開陽台へ。そして、それは現れた。 ![]() 直登パート2?
自転車乗りの界隈では、開陽台==ラスボス、ということで一致している。中標津側からの直登もそうだが、最強…… いや、最凶のラスボスは、開陽台までの登り区間にあった。 ![]() バカじゃねーの!? レベルの登り。後で調べたら10%勾配で、釜トンと同レベルらしい。
そう、恐ろしいほどの激坂なのだ。あまりの激坂っぷりに、人によっては諦めて押しが入るレベルだとか。ちなみに、勾配が勾配なので、一度足を着いたら再乗車は不可能に近い。ゆえに、おいそれと脚を着くことができない。
結局、登るには登ったが、到着と同時にやったことは、赤缶チャージであった。 ![]() 展望台が見えてきた。 夕日に照らされた開陽台は、とても神秘的だった。特に、養老牛側の放牧地帯をバックに、エルコスさんを一枚写真に収めたのだが、これが思いのほかいい塩梅だった。 ![]() 背景のぼやけ具合が秀逸で。 そういえば、開陽台の裏手はキャンプ場になっていたはず。何年か前まで、クマ出没の為に閉鎖されていたが、今は復活したらしい。 時刻を見ると、17時を少し回ったくらい。レストハウスの閉店は17:30。レストハウスで早めの夕食をとってしまえば、ここで一泊できるではないか、と。 17:30を過ぎると補給ができなくなる。緑ヶ丘森林公園まで下りれば、補給は出来るしコインシャワーもあるし、最悪、宿が近くにあって逃げ場がある。ただし、利用料が210円。開陽台はタダである。 ![]() 結局、決断して晩飯を取ることにした。
決断は早く、そしてあっさりだった。そそくさとザンギカレーを平らげて、 ![]() 開陽台の展望台裏手が無料のキャンプサイトになっている。すぐ近くまでオートバイ乗り入れ可。 展望台の裏手にテントを張った。結露だらけのビビーサックを。
ちなみに中標津の市街地まで行かなくとも、開陽台周辺には格安で利用できる宿はある。普通はそっちを利用すべきだと思う。だが、それがいいのだ。 ![]() 天気は夜半に崩れるということだが、果たして……
シュラフカバーにくるまり、ビビーサックの中に潜り込んだ。明日は帰郷の日だが、天気は持ってくれるだろうか…… もくじへ。 金曜日へ。 幕間へ。 日曜日へ。 |