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2日目【幾寅→忠類  150キロ】



インターバル撮影なので、自撮りは意外としんどいんす。






本日のルート (powered by ルートラボ)

東鹿追→幾寅→北落合→御影→芽室→中札内→忠類(実測152.2km)




宿題の提出


物凄い寒さで目が覚める。外はうっすら明るくなっていた。






東鹿越駅。周囲に民家なんてありゃしない。





「7月の北海道って、寒いのね……」
「見込みが甘すぎですよ」


高を括って、今回はお空さん+夏用長袖インナーという出で立ち。こいつがモロに裏目に出た。まだ陽が上るには早いので、輪行袋まで活用して暖を取る。陽射しが出てきたのは、6時くらいか。



「ああ、お陽様が素敵だ……」
「紅魔館の姉妹が聞いたら、ひっくり返りそうですね」







陽が出てくればね……



だいたい身体が暖まったので、ぼちぼち出発することに。まずは昨年の宿題である、北落合へ。






農村地帯を抜けて。



某webサイト(高地netさんとこ)によれば、「どこか広々とした空。あっちを向いてもこっちを向いても絵になるとしか言いようが無い印象的な景色が拡がっています。良い意味で、現在ほどすっきりつるんとした景色ではない、一昔前の美瑛の片田舎を思い出させてくれます(原文ママ、引用)」とのことで、是非とも訪れてみたかった訳なのだが、



「まあ、いきなり登るんですけどね」
「そういやそんなことも書いてあったなぁ」







まずは680m地点まで登るのだから。



アクセスは、幾寅側と落合側の二つだが、今回は行程の都合で幾寅側から。集落を抜けた辺りから登坂開始、50×28でのんびり登っていく。時折、子供を乗せたマイクロバスに追い抜かれるが、考えてみたら、今日は平日だった。



「ただの通学ですね」
「曜日の感覚がおかしくなっとる(笑)」


そうこうしていると、突然視界が開けた。辺り一面の畑、牧草地、そしつ観光地化してない静寂の空間。






いきなりのお出迎え。



ここが、北落合か…… ふつうの農村だけど、それがすごくいい。



「大先生! 写真撮りましょうよ!」
「いいねぇ」







小さな集落を護る神様の社にて。



エルコスさんにせがまれ、風景をバックに、パチリ。ああ、こんなだったら、ミラーレスを持って来ればよかった。

さて、そんなエルコスさんを自立させようと先程から四苦八苦、うまいこと立ってくれない。



「こんなダダっ娘だったっけ君は?」
「やり方が悪いんですよ」


エルコスさん曰く、「ギアを一番重たくして、前輪に輪止めを咬ませば自立します」とのこと。試しにやってみたら、






自立した。





「あ、急に従順に……」
「バカっ、もう少し表現を選んでください!」







のんびり流し中。



そんな感じで何枚か写真に納め、農道の終端である標高680メートル地点に到着。ここから見返す風景も悪くない。






どん詰まりから麓を見下ろして。



しばらく呆けてから、それでは、と下山することにした。

今日は、できれば晩成温泉で一泊し、明日のナウマン国道に備えたい。ここから100キロ以上走ることになるので、早めに進軍しておきたい。

そんな訳で、落合方面に下っていくと、






横断中。





「あ!  牛が横断してます!」
「牧場あるあるだな」


牛の列は我々がたどり着く前に渡りきってしまったが、珍しいものが見れた。






国道に復帰。左折して峠へ。



落合からはR38で狩勝峠越えに取り掛かる。かつてはオートバイで何度も越えた道だけに、さほど大変ではない、と高を括っていたのだが……



「あれ?  結構キツイなあ」
「まあ、落合からだと、200はアップしますし」







登坂車線が現れる程度の登り。あとちょっとの御辛抱。



油断した。ひたすら直線的で長い登りに悪戦苦闘し、登坂車線まで現れた登りの先にある狩勝峠へは、8:55に到着。






峠の売店は閉鎖。高速開通の影響だろうか。



過去、ここを通過したことはあっても、じっくり寄り道したことはなかった。改めて見る峠からの展望は、






雄大な十勝平野を望む。





「おぉぅ」
「わーっ!  すごーい!」


それはそれは、見事なもんでした。






十勝へ入りますか。



それではいよいよ、十勝平野にドロップイン。昨年の清里峠の時もそうだけど、峠の下り始めは、ドロップインという言葉がよく似合う。






ゴキゲンな下り勾配。



狩勝峠の十勝側には、何合目かを表す看板が建っていて、それを目安に下る。サホロリゾートの先で左折して、友夢牧場方面に向かう。確か友夢牧場には面白いイラストが描かれた牧草ロールがあったはずだが……






これのことだな。





「ありましたねぇ」
「まあ、牧草ロールアートはあちこちにあるし」







牧場地帯を南下。



そのあと、蕎麦を食べるために新得駅へ。しかし、こちらは不発。






せきぐちは、どちらも営業時間前。





「あらま残念」
「新得にはもう少し頑張ってもらいたい」


駅前のライダーハウスは閉鎖になるし、待合室も夜間解放しなくなってしまったし。しかしまあ、世の中が変わってきたのだろう。それに……



「チャリd……」
「まだ言ってる……(;´Д`)」


結局、国道のセイコマで昼食を摂った。






気を取り直して、南下開始。



このあと、晩成温泉を目指すのだけど、このままR38を進んで帯広に出るよりかは、途中の御影から十勝西側を縦断する道道55を進んだ方がよさそうな感じがしたので、そちらを目指す。それまでは交通量過多のR38を南下するしかないのだけど、走り心地は極めて悪い。



「ななななんんななんんででですすすすかかかk……」
「割れちゃうんだよね、寒さで」







時に木陰で休憩なんぞ挟みながら。



これはAACRのときも同じことがあったのだが、寒冷地特有のあるあるネタだろう。ただ、その弊害として乗り心地の悪さとともに……



「大先生、非常に申しあげにくいのですが」
「今度は何?」
「アクションカムのバッテリーが抜けてます」
「なんだと!?(  Д)゚゚」


このときは外部バッテリーから給電していたのでカバーオープンの状態だった。路面で跳ねた際にどこかに吹っ飛んだらしい。そういえばAACRのときも同じようなことがあったような……



「ああ、さようなら俺のバッテリーil||li(つω-`。)il||li」
「外部バッテリーがあるでしょ?」


と、そんなことがありながら、12:00御影着。荒川弘センセの名作「銀の匙」のメインヒロイン、御影アキの元ネタである。






御影駅。



昨年は、この駅でSTBするか否かの判断を迫られ、すんでのところで回避したという駅なのだが、実際に来てみると、なかなか広い駅舎で、こっそり一晩くらい明かせそうな感じだ。






ただし、ガラス張りなので外から丸見えなのはマイナスポイントか。



暑さか、それともほかの要因か、思いのほか疲れが溜まっていたのか、ベンチに腰かけて目を閉じると、1時間ほど時空を越える



「張り切り過ぎたんですよ」
「そんなつもり、なかったんだけどなぁ」


13:37の釧路行2427Dを見送ることになってしまった。かつては2429Dの名を馳せた、日本一運行時間の長い列車だ。






ナンバーワンは今でも健在。





「今は違うんですか?」
「というよりも、距離だけなら西日本に最長のがある」


山陽本線の、岡山発新山口行371Mが、日本一運行距離の長い列車となっている(2016年現在)。ちなみにこれは、車両回送の意味合いも兼ねているという。



「あ、確かに書いてあります」
「まあ、こういう小粋なサービスは、さすが北海道と言えるな」







2427Dを見送る。



13:45、御影発。ちなみに出発前に、ハンドルの角度を若干起こし気味にした。どうもハンドルに体重を預けるような感じで、収まりが悪かったのだ。これで少しは楽になると良いが。






ちなみに、アクションカムの電源はこうやって取った。



道道55号、通称十勝西縦貫線を南下する。ちなみにこの名称は、先述の高地さんとこが起源で、このルートを使えば帯広市街をパスして中札内方面に出られる。おまけに交通量がほとんどなく、北海道特有の雄大な風景の中を走れる、サイクリングルートとしては是非もないほどの良質ルートとのこと。






こういう感じの道がずっと続く。



ただし、向かい風が吹かなければ、の話だが。



「まーじーでーすーかー!?」
「淡々と進んでください」







時々通り過ぎる集落は、まるでドラク●のようだ。



若干の登り勾配も相まって、速度が全然上がらない。せいぜい、25キロほどの巡航だ。焦って無理に踏み込めば、瞬く間に身体に返ってくる。完全に負のスパイラルに陥った。

実は、今日の目的地である晩成温泉へは、中札内を15時には通過しなければならなかった。しかし、どう逆立ちしても15時は不可能で、場合によっては16時着すらも怪しい。






区間の4/5地点、清川まで来た。



15:20、清川着。ここで時間切れが確定し、晩成温泉のプランは下方修正せざるを得なくなった。おまけに、清川に居を構えるジンギスカンの店「白樺」も、既に営業時間が過ぎていて、対岸にあるAコープで菓子パンと赤缶を買って、寂しく補給。



「もーやめたーっ!?」
「ダダっ子ですかあんたは!?」







そう言いながら、菓子パンはスタッフ(筆者)がおいしく戴いた。



呆れるエルコスさん。それくらい、情けないことだが今日は思い通りにいかなかった。



「まったく……  今日は特別ですよ?」
「お、魔法をかけてくれるの?」


見かねたエルコスさんが助け舟を出してくれた。それは……






その魔法、至極当たり前のことだが、強烈に響いた。






偉大なホルスタイン。


16:05、中札内を通過。今夜は下方修正した結果、忠類のキャンプ場を塒とするため、蚊取り線香を仕入れておく。






ようやく中札内。ここからR236。



そのあと、呆れるほどに長いR236を東へ進み、下り勾配の右カーブを抜けたところが忠類の市街地である。






幕別町。忠類は幕別町に属する。



忠類はかつて、ナウマン象が発掘された地として有名であり、あちこちに「ナウマン」の名を冠した施設がある。ナウマン温泉もそのひとつだが、それがある道の駅忠類の裏手に、無料のキャンプ場があった。



「お疲れ様です。……ですが、テントを建てないと」
「そ、そうだった……」







ここをキャンプ地とする(by 藤村忠寿)



キャンプスペースには、オートキャンパーやライダーの姿が多数。できるだけ邪魔にならない位置を選び、こちらもテントを建てる。数年前に購入し、実戦投入の機会がなかったビビーサックが、今夜初めて機能する。

このビビーサックというやつ、日本では馴染みが薄いが、ポール込みで500グラム程度の重さしかないのと、収納サイズがシュラフ1個分くらいにまで小さくできるので、海外のウルトラライト系には比較的重宝されているのだとか。



「ただ、これをテントと呼んでいいかは悩む」
「ほとんど寝るだけじゃないですか」


実際に使ってみると、寝る以外のことができない。一応寝返りは打てるが、それ以上のことができない。本当に、一晩を何とか明かす程度のものなのだ。しかし、ある偉い人はこう言っていた。







不自由を楽しめ。






……と。

すなわち、この超軽量テント(のようなもの)を使うことを、楽しめばよい、と。



「お陰で荷が軽くなって助かってる」
「なるほど」


設営後は、隣接するナウマン温泉へ。ここで疲れを抜くべく、じっくり湯に浸かり、ストレッチを敢行。






そういえば、道中のメシはほぼセイコマなような……



温まったら、帰りにセイコマに寄って今夜の飲代を手配しよう。

……ところで、風呂上りに何気なく張り紙見てたら、






日本一有名な百姓の名が。









弘の実家が晒されとるwww






とはいえ、パッケージの絵柄といい、言い得て妙とはこのことを言うのだろうな、と感心してしまった。






おもいっくそ書かれとるわ。






もくじへ。
水曜日へ。
幕間へ。
金曜日へ。









TITLE:木曜:2日目
UPDATE:2016/07/23
URL:http://y-maru.sakura.ne.jp/228_yama07/day02.html