|
本日のルート (powered by ルートラボ)
偽りのトマム泊早朝、目が覚めたのは んで、寝袋からモソモソ這い出ると、路面はうっすらと濡れて……
結構どんより。 昨晩のうちにエルコスさんは復元しておいた。昨日の反省から、朝食用にと買っておいたパンのうち、クリームパンをサドルバッグへ押し込む。 今日は、日高地方を目指してみる。天気が良ければ、日高周辺の丘陵地帯をのんびり流しても良いだろうか。
5:30、トマム駅発。
ここから占冠までは完全な下り基調。2年ぶりに走る道だが、少し変化があったようだ。 たとえばコレとか。初めて見るタイプのナビマークだ。
占冠は、自然体験の街。駅前ではロードバイクやハードテールMTBをレンタルできるほどになった。 占冠駅にて。まあまあな品ぞろえだ。 占冠からトマム、落合、そして幾寅峠を経由して周回するルートなんかは、MTBではさぞ面白いに違いない。
北の大地のコレは、高確率で本当に入っちゃダメなやつ。 幾寅峠は、未舗装の峠道。路肩にはハエが集る何かが投下されてること多し。まあ、ここじゃなくてもかなやま湖から金山峠を経由しても良いだろう。 2006年に幾寅峠は越えている。その時に見たこのシミ。お察しください。 そんな一大サイクリングスポットとなった占冠。駅を通り過ぎて街の中心までやってくると、道の駅がある。 そりゃ寒いわけだよ……
しばし小休止して、日高峠への登りに差し掛かる。 占冠を脱出。 ここはR237上にある峠。今では高速道路の開通でそれほどでもないが、かつては富良野、旭川周辺から苫小牧の沿岸部へと抜ける最短ルートとして栄え、今でも大型トラックの往来が激しい道。感覚としては、2年前に通った塩狩峠に近い。 よって、勾配はだいぶ緩く、50×28でじんわり回していけば、すぐに峠に差し掛かる、のだが…… 峠のてっぺん。特に碑とかはなかった。
峠からR274交点までは斜度のある下り勾配。適度にヒャッハー! した先に、かつて北海道一の売り上げを誇ったセイコーマートが見えてきた。 交通の要衝に建つセイコーマート 道東道が延伸する前、日高と十勝を最短で結ぶのがR274だった。つまり、東西南北に道が伸びる要衝なのだ。
どうもバックパッカーっぽい人がベンチで寝ていた。どうやってここまで来たのだろうか。 ちょっと小腹が減ったので少し補給をし、もうしばらく南下する。平取方面へと進んでいくのだが、下り基調と追い風に乗って、ぐんぐん加速する。 谷底を往く。かつては鉄道も通ってた道だ。
しかし、北海道特有の、ロールプレイングゲームのフィールドマップに近い、荒野→街→荒野、みたいな繰り返しが延々と続く。さすがに飽きはするのだが……
平取町との境界に近づいた頃、ふと左手に…… 随分と豪快にイッてる。
ちょっと左にずらすと…… それぞれ現れた。特に崖崩れのほうは、件の豪雨の影響なのだろう、だいぶ派手な崩れっぷり。そしてダムのほうはというと……
沙流川は電力開発の適地として注目を浴びている川でもある。 という訳で、ダムのほうに行ってみる、のだが…… 迷った。
そして道に迷うこと5分、 取水施設が見えてきた。
……という雰囲気に包まれていると、お約束のように、
静かなところで突然物音がすると、強烈に怖い。 平取に入る。 さて、ダム巡りをしてふたたび国道を南下すると、振内という地域に着く。旧国鉄富内線が通っていて、駅跡が鉄道記念館になっている。 その鉄道記念館のすぐ横に。 興味深いのは、ここに静態保存している客車が、ライダーハウスを兼ねているという点だ。
しかも、振内の街中にあるので、買い出しも容易だ。今回は時間の都合で立ち寄れないが、チェックをしておくべき案件だろう。 中はこんなかんじ。 このあと、幌毛志から道道131を経て穂別まで向かう。
ところが、その道道131が通行止めに。 通れないらしい。
仕方ないので南下する。どうしても穂別にとなると、平取から北上するか、R274まで戻って道道74を南下する他ない。どちらも現実的な領域を超えている。それに……
馬関連の牧場が見えてくると、日高に来たという感じがしてくる。 さらに10キロほど走って、二風谷ダムに辿り着く。 北海道一ガードの固いダム。 用地交渉の際には、アイヌの先住民の方々との折衝に尽力をしたというこのダム、先の豪雨では流木を多数堰き止めるなどの成果を挙げているという。ただ、第一印象は、
それもそのはずで、堤高が32mしかないのに、堤頂長さが500m近くあるのだ。
水平軸の反動水車を利用しているようだ。なお、この発電設備である地域の電力需要をカバーできるパワーがあるらしい。 世間ではダム式水力発電の風当たりが強いが、ますます頑張ってほしいものである。 なお、管理事務所の中に資料館が併設されている。ダムカードもそこで。 さて、そうこうしているうちに時刻は12時近くなり、当初の目的である新ひだか方面の分岐となる、平取橋のふもとまで来た。 最初、距離を見て目を疑った。 ここから道道80に乗り換える予定であったのだが、肝心の新ひだかまで、およそ70キロもあるではないか。
という訳で、作戦タイムを取ることにした。道道80号に入るか、入らないか。そして、入らない場合は、どこに行こうか、と。 地べたに座って、策を練ろう。 今回の旅程で、いくつかの候補地は考えておいた中で、定山渓と中山峠、という候補があった。例えば、倶知安らへんまで輪行して、羊蹄山をバックに峠越えをしても面白いのではないだろうか。 そうなれば、今宵はニセコ周辺の駅でSTB。仮にニセコまで行くなら、長万部に19:30くらいに居ればよく、ちょうどよい感じで列車がつながるのも確認できた。
まあ厳密にはこのときに道南デビューはしている。しかし、本格的に走るのは今回が初。しかも、道南地域屈指の絶景ポイントであるニセコ周辺とくれば、期待値は大きい。 という訳で、プランは決まった。このままR235に出てしまおう。 日高の街に入った。
エルコスさん曰く、旧門別町が2006年に日高町と合体して、こうなったらしい。合体前の日高町とは、平取町が間に入り直接の接続はなかったものの、一度両方とも自治体廃止をしたうえで、新しく日高町と名乗る飛び地の街が誕生したらしい。
さて、エルコスさんの講釈を聞きながら、11:56、富川着。ここから海沿いを走るのだが、近くに日高本線の駅があるのでちょっと寄っていく。 富川駅。 日高本線は、2015年の高波による被災で、鵡川から様似側が全面的に不通となっている。海沿いに位置する路線が、およそ2年近く不通になっているという事は、当然ながら線路への錆害は無視できない領域であり、
夏草の線路。しかしサビだらけに。 このまま朽ち果てるのを待つだけになってしまうのか。 余談だが、今回ルート変更で道南方面に舵を切ったのは、JRに少しでもお金を落とそう、という理由も僅かにある訳で。 いまだにバス輪行の敷居が高い状況で、地元の足を優先することが先決ではあるものの、できれば輪行できる環境としての鉄路は残してもらえると嬉しい。 ……なんてことを願いつつ、しばらくは左手に海を見ながら、苫小牧方面へと向かう。 天気は回復してきた。心なしか暑い。 やがて、武骨な工場群が見えてきて、高速道路の高架が近づいてくると、もう間もなく苫小牧。なのだが…… 何やら様子がおかしいぞ?
やがて、大洗方面のフェリー埠頭を通過……
苫小牧にはふたつの埠頭があり、定番の大洗方面は、もっと西側にある。そして、この東港と西港の間が
せっかくの北海道なのに気が乗らないのは、このあたりが工業地帯で、走っている雰囲気が本州とさほど変わらないから。そして何より、大型トラックの往来がいきなり増えたから。
これは、とっとと苫小牧まで行き、輪行に切り替えてしまったほうがよいだろう。 苫小牧の市街なんぞ、本州のちょっとした街と変わらない雰囲気だし。
もう今日はやめにしておこう。 14:25苫小牧駅着。それでも本日の走行距離153kmは、ほぼ執念みたいなものか。 気持ちが切れてなければ200は全然イケたんだけどなぁ。 久しぶりの大失態エルコスさんを袋詰めにして、次の列車を確認すると、なんと5分後には発車するらしい。慌てて切符を買い、14:49発の440D東室蘭行に乗り込む。
とりあえず倶知安まで行きます。 そして幾許か寝落ちしているうちに、15:56東室蘭着。このあと16:17発の480D長万部行に乗り換える。……のだが、 通学ラッシュにぶつかったかも。
関東圏の人間からすれば、この日(8月31日)はだいたい夏休み最終日なのだが、考えてみればここは北海道、夏休みなんぞとっくのとうに終わっている。二両編成の列車は、帰宅する学生で埋め尽くされていて、エルコスさんを置いておくスペースがない。
カバンは網棚に置き、エルコスさんはとりあえず手で持っていることにする。後方の車両に無理やり乗り込んだところで、発車のベルが鳴った。 車内だってこんな感じになっちゃってるんだよな。 東室蘭を出た列車は、ところどころで学生を吐き出していく。伊達紋別、洞爺と、特急停車駅を通過していく。そして、その次の豊浦に着いたところで、 大慌てでエルコスさんを担いで前方の車両に移った。豊浦はワンマン対応の駅なので、ホームに出ることもできず、狭い車内をヨタヨタと。 停車時間が短いから、分割もテキパキと行われる。 なお、切り離された車両は、折り返して東室蘭方面へ行くらしい。キハ単となって乗客もドカンと減った汽車は、のんびりと長万部を目指す。
内浦湾に沈む夕日に見送られ、かつて仙人が住んでいたことで有名な小幌を通過。 ちなみに、長万部方面はこれが最終になる。 そして長万部には17:56着。このあと、20:00小樽行に乗り継ぐ。 長万部駅。
長万部の駅から自転車で数分も歩けば、温泉街がある。各宿泊施設の日帰り温泉が利用できるので、それで時間を潰そうと思う。そのあと、セイコマで夜のアテを買い込んで、20:00発の2959Dに乗り込めば……
エルコスさんは言った。比較的、真面目な声で。
……………………アレ? 次回、「エルコスさん危機一髪!?」お楽しみに(ウソです)。 もくじへ。 1日目へ。 3日目へ。 |