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1日目(帯広〜新得  105km)



text&photo  by  ymr20xx@y-maru.com。






本日のルート (powered by ルートラボ)

帯広空港→清水→新得(実測109.1km)




宿題と称した捕食


8:45、帯広空港に着陸。






道東の空港にはこういうのが完備されてるのでとても助かる。



羽田では、初めての経験になるバス輸送だったが、帯広ではブリッジで下ろされた。その後、エルコスさんを無事にピックアップ。



「大先生っ!?  タイヤの空気抜き忘れたでしょ!」
「……あ、忘れた」


危うく、出発前にエルコスさんが自走不能になるところだった。幸い、与圧が問題なかったのか、タイヤは無事だった。

空港前でエルコスさんを組み立てて、さあ出発、なのだが……



「なんだこの温度差は!?」
「東京じゃ汗まみれでしたね」


心なしか、寒い。いや、確実に寒い。気温はわずか17℃で、保険のために持ってきた冬用インナーが







保険の役を成してない。






さて、今年度のヤマイドウ、どういうことになるのやら。






ただし、空港アクセスは原則として自走かバスになる。



今年は、いくつかの宿題を片付けるため、帯広スタートとした。とりあえず今日は、昨年食べ損ねた白樺でジンギスカンを食べるというミッションをこなさなければならない。

9:20、帯広空港発。






とりあえず北上するか。



まずは北を目指す。というよりも、道は一直線に帯広の方へ延びている。しばらく走ると道道109にぶつかり、これを右折。北海道らしい、牧草地帯を突っ切る長い直線道路になった。



「風は追い風」
「初っぱなからイイ感じじゃないですか!」


さて、白樺の営業時間は11時から。訪れるにはまだちょっと早い。それに、背負っている大荷物を早くパージしたい。



「ですが、空港周辺にはヤマトのセンターはなさそうです」
「7と11のコンビニならあるだろう?」


そのためには、まずはR236に出る必要がある。しばらく走ると、国道へと至る交差点に出くわすが、






十勝の観光名所がダブルでやってくる。





「あ、大先生!  幸福駅ですよ!」
「久しぶりだなぁ」


オートバイ時代に何度か来たことがある場所だ。今ではすっかり観光地然としてしまったが、まあせっかくなので寄っていこう。






ちなみにその当時からこんな感じだった。





「大先生!  写真撮りましょうよ!」
「早速かーい(笑)」







編集中に気づいたが、これ結構こっぱずかしいぞ!?



という訳で、渡道直後にグラビア撮影なんぞやってる我々。気がつくと、観光バスの団体が多数襲来。



「撮ったな。んじゃ行くぞ」
「忙しな……  あれ、なんだか人が増えましたよ!?」


だから、もはやここは一大観光地なんだって。






北海道らしい道が出てきた。



さて、幸福駅からちょっと走ってR236右折。そこから少し走って、ようやく7と11のコンビニを発見し、荷物を札幌に送り返す。

予定では、3日後には札幌で荷を回収する。無事に旅程を終えられればよいが。



「じゃ、本気を出していくか」
「いよいよですね!」


はしゃぐエルコスさんに跨がり、さらに北上する。とりあえず、幸福駅と対を成す愛国駅を目指す。このふたつの駅は、旧国鉄広尾線の駅跡なのだが、名前が名前なのでソッチの需要がわんさか。



「ロマンチックじゃないですか!」
「現実を見なさい。そんなんで何とかなるなら世の中平和だよ」







大正のあたりまでやってきた。



さて、この両駅のあいだに挟まれるような形で、大正駅という駅があった。そして、この駅のすぐ近くに、大正カニの家というのがある。



「ライダーハウスですよね?」
「そうだよ。ここにあったのか」







カニの家全景



実は訪れるのは初めてだ。というよりも、ライダーハウス自体、あまり訪れることがないので、今までスルーしていたのだ。

バックパッカーの後ろ姿がカニっぽく見えたことからその名がついた無料の旅人宿だが、この日、既に先客があった。






昔の4サイドとは随分変化したものだ。





「日本一周だそうですよ」
「頑張るねぇー」


今日、このあと襟裳方面に行くらしい。いや、もう襟裳から辿り着いたのかも。いずれにしても、無事に旅を続けてほしい。






愛国駅。こちらは比較的おとなしめ。



さて、愛国駅でも撮影タイムをとり、その後、道道240を南下し、清川を目指す。このあたりは、昨年も走ったルートだ。ただし、今回は逆走ということになる。



「そういや思い出した」
「何をです?」







清川まであと14キロ。30分ちょいくらいかな?



昨年、このあたりを走っていて、登り坂と向かい風にヤラれ、気が滅入ったのだった。



「エルコスさんに怒られたの、このあたりだっけ?」
「…………!?」


みるみるうちに、顔が真っ赤になるチタンフレーム。これもまた、珍しい光景だ。



「も、申し訳ありm……」
「なんで謝るのよ?」


おかげで、そのあとの旅は楽しいものとなった。今回もそれに倣って、のんびり走ることにしよう。それに、サドルバッグ搭載状態だと、リヤヘビーになるせいか、どう頑張っても時速30キロが精々で、25キロ程度に抑えると快適になる。

んで、この辺を走っていると、モロにエゾノーネーム地帯にブチ当たるわけで、






豊西神社





「富士先生がいますね」
「こっちは豊西センパイだ」







言っておくがこれは豊西センパイではない。



そんなのを探しながら走るのもまた楽しい。気がつくと清川の市街地に入っていて、11:40ジンギスカン白樺着。






ホントに平原地帯の集落の中にポツンとある。



昨年からの宿題ではあったが、この店は帯広ジンギスカン界隈では超がつくほどの有名店で、国道からだいぶ離れた集落の一店舗が、昼時になると行列ができる。そして、これは終了後に札幌で呑んでいたときの話なのだが、



「帯広でジンギスk……」
「ああ、白樺ですね(ニコッ」


と、女将さんに先手を打たれるほどの店なのだ。



「という訳で、食ってくる」
「行ってらっしゃいまし」







メニュー。地元の人が羨ましい(ビール飲めるから)



留守番のエルコスさんに見送られたものの、平日の昼前ということで、店にはあっさり入れた。

んで、ラムジンギス750円とマトンジンギス500円で迷いはしたが、







どっちも頼むことで解決











ラムのほう。これから焼くよ。



ラムのほうは、柔らかくて味わい豊か。対するマトンは通好みのケモノ感あるワイルドな食べ応え。甲乙つけがたいが、比べてしまうとマトンは分が悪いか。



「次はラムオンリーにしよう」
「そんなに違いがあったのですね」







ホントにうまかったので、もう一枚載せておこう。



ちなみに、一人前でまあまあボリュームがあるが、案外ペロリと入ってしまうので二皿がデフォルトになるだろう。これにライスと味噌汁をつけて2000円しないくらい。常識的な食事量の人なら、定食にしても1000円とちょっとで幸せになれる。

さて、お腹が膨らんだところで、次の行程に進む。



「次はどちらへ?」
「とりあえず、今夜はどこかでSTBだ」







まずは御影方面へ進んでみよう。



地図を見ると、新得から少し東に進んだところにある屈足に無料のライダーハウスがある。そこでなくとも、新得から輪行してトマムか占冠でSTBというのが大筋のプランだ。



「となると…… 昨年の逆走ルートになってしまいますが?」
「リベンジには丁度いいだろう」







とりあえずあっちのほうに行くか……



それと、もう一ヶ所立ち寄っておきたいポイントがある。



「十勝亭っていうんだけどね」
「確か……  昔は清水ドライブインと言ってましたよね」


R274日勝峠の清水側麓にあるドライブインで、牛トロ丼が名物の店である。余談だが、ドライブインを冠していた頃に一度だけ立ち寄ったことがあったりする。






2006年の画像から。この当時はまだ清水ドライブインを名乗っていた。



日勝峠は、北海道屈指の自転車で走ってはいけないデンジャールートで、且つ、2016年8月の豪雨で路盤決壊して通行止めになっている道。ドライブインはそのどん詰まりにある。



「なぜわざわざ?」
「……あそこの主人、なかなかの苦労人みたいだ」







とかいってたら通行止めに差し掛かった。



詳しくはここに譲るが、 豪雨によって客足が遠退き、先代の父も復興志半ばで力尽き、それでも先代が築いたこの店を守らんと奮闘しているのだそう。それならばせめて、こういう所にお金を落としたいと思うのが人情というやつで……



「そして牛トロ丼はウマい」
「そこに回帰しましたか」







これまた2006年の画像から。そばセット頼んでたのね。



という訳で、昨年の逆走ルートで御影駅方面へ。所々で豪雨の爪痕が直しきれずに放置されていたり、特に河川の汚れっぷりが尋常でなく、流木やら土砂やらで、一年前の穏やかな景色ではなくなっている。






こういうのなんかはモロにそうだよな。





「少しずつ、元に戻ってくれるといいのだけど」
「時間はかかるでしょうけれど……」


さて、二度目の走破ともなると、心に余裕が生まれるもので、所々、事あるごとに立ち止まってはカメラを取り出してパチリ。こんなこともあろうかと、コンデジ用のごつい三脚を持ってきてよかった。



「大先生、写真撮りましょう!」
「この神社で?」







三脚があると自撮りの回数が増えるな(背中だけど)。



由来はわからなかったが、この周辺の人たちにとっては大切な土着神様なのだろう。今回の旅も平穏に終わりますように、と拝んでおこう。

今回走ってみてわかったが、清川から御影までは下り基調。風向きの補正があったとしても、そりゃあ昨年あんだけヘバッた訳だ。

御影の手前で左折して、R274方面へ。十勝清水インターの脇らへんに出る道らしい。






左折。





「あー、登ってますねー(笑)」
「こんなん登ったうちにも入らない」


そんな登りに転じた道をグイグイ進んでいると、突然、通行止めの看板が。どうも、、この先道がなくなっているようだ。



「豪雨の影響に捕まりましたね」
「R38に迂回、か……」







今度は右折する。



その途中、羽帯という駅に立ち寄った。






秘境駅のカテゴリーに入るらしい。



根室本線の小駅であるが、駅ノートがあったので、ちょこっと書き込んでおく。やはり夏休みのシーズンだけあって、8月の書き込み量が極めて多い。

みんな、旅してんなぁ、なんて思ってたところで、釧路行きのスーパーおおぞらを見送った。先の豪雨では鉄路の多くも流出したが、道央と道東を結ぶ幹線、すっかり復旧を遂げたようだ。






もっと元気のいい走りを見せてくれ!





「でも、北海道鉄道の今後が心配でなりません」
「こっちも、決して優良な客、という訳じゃないからな」


ただ、できるだけ乗ってあげようと思う。というよりも、それしかすることがない。

さて、国道で迂回し、改めてR274へ。十勝清水インターを過ぎると勾配がガツンと増す。






そして通行止めと強く主張。





「走りにくい」
「当然ですよ、だって……」







ずっとこんな感じの路面状況が続く。



復旧工事の真っ最中なのだ。路面なんか、ボロボロのボコボコで、しかも片側交互通行なんぞやっているのだ。







登り勾配で。








「どうしますか!?  状況はかなりマズイですよ!?」
「ここまで来て、退けるかっ!?」


じわじわとプレッシャーをかけられつつ、脚にも相応のダメージを与えてくる。登り勾配よりも片側交互通行、とりわけ、対向車を待たせているプレッシャーから、知らず知らずにオーバーペースに陥る。こうなると身体的にかなりしんどく、ボトルの水に手を伸ばす回数も増え、そして、



「エルコスさん、大変だ。水がなくなった」
「えぇぇぇぇぇぇっ!?」


おまけに、補給食もとっくに食べ尽くし、回復アイテムゼロの緊急事態に。

さすがに、近くで作業中の工事のおっちゃんに水をもらうわけにもいかない。地図を見ながら冷静に判断を下す。






通行止め区間は、十勝亭のちょっと先から。ということは……





「このまま登りきっちゃった方がいいな」
「本当ですか!?」


目の前にある右カーブ。これを抜けたところが、件の十勝亭のようだ。あとちょっとなら、ペースを最低限まで落とし、時間をかけて登っていけばいいだけの話だ。






見えてきた。



そして15:05、十勝亭に到着。まず最初にすべきことは……



「あ、赤缶……」
「すぐに飲んでーっ!?」


水分と糖分をしこたま入れたところで、お待ちかねの牛トロ丼を戴く。せっかくなので大盛にしてみた。






930円+大盛り100円。





「うめぇ!」
「山葵醤油というのが良いアクセントですね」


なお、ここは日勝峠の麓に位置するが、十勝平野のパノラマを楽しめる。エルコスさんを被写体に一枚撮ってみたが、まるで峠の上からの写真みたいだ。






なんちゃって日勝峠。しかし自転車で入れるチャンスは、これっきりかもしれない。



エネルギー補給が済んだところで、再び旅程に戻る。せっかく登った道を今度は下っていく。

そして、R38を左折し、新得方面へ。そして、そろそろ陽が暮れてきたので、今宵の算段を立てなければならない。






だいぶ陽が落ちてきた。



ここから新得まで走り、余力があれば東に進んで屈足のライダーハウス泊。と、ここでエルコスさんから衝撃の一言が。



「あ、この道は昨年走ってますね」
「……ああ、友夢牧場からの道か」
「思いっきり下り坂でしたけど」
「………………!?」


つまり、逆走するという事は、思いっきり登るということだ。屈足泊はあっさり諦め、新得からSTBすることにした。

すると今度は、新得駅で衝撃の事実が判明する。






ただいまの時刻、16:10。





「占冠に停まるの、いつの列車だーっ!?」
「19時56分ですよ?」


つまり、占冠へは3時間以上待つか、トマムから自走する他ないことになる。次の列車は18:16のスーパーおおぞらで、これはトマムには停まるが占冠には停まらない。



「トマムで一泊なされてはいかがですか?」
「なるほど」


これで今日の算段が決まった。とはいえ次の列車まで2時間近い待ちになるので、駅前の温泉で時間を潰す。






駅を出て右に2分歩いたところにある。



新得の駅前にスーパーがあるものの、ちょっと国道まで走ればセイコーマートがある。ここで買い出しをして再び駅に戻り、エルコスさんを袋詰めにしていれば、スーパーおおぞら10号がやってくる。






定刻よりちょっと遅れて到着。



新得と新夕張の間は、特急しか走っていない。よって、乗車券だけで乗れる特例区間である。JR北が誇るキハ283に揺られ、18:38にトマム着。






ここで降りる客の大半は星野リゾートの送迎バスに乗る。



星野リゾートのほうが有名なトマムだが、ちゃんとした駅舎がある。とりあえず今夜はここをねぐらにしてしまおう。



「「俺、トマムに泊まったぜ」って自慢できるかな?」
「すごい詐欺ですよそれ(笑)」


なお、トマムの最終列車は22:46の帯広行。さあどうやって時間を潰そうかな?






それじゃ、お疲れ。






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2日目へ。









TITLE:1日目(帯広〜新得  105km)
UPDATE:2017/09/11
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