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3日目(昆布〜東室蘭  105km)



text&photo  by  ymr20xx@y-maru.com。






本日のルート (powered by ルートラボ)

昆布→ニセコ→真狩→留寿都→洞爺湖→東室蘭(実測102.8km)




これまでのあらすじ




「バッグを網棚に置き忘れた。豊浦で」
「的確ですがザックリですね(笑)」


んで、営業を終えようとしていた駅員さん捕まえて、とりあえずバッグの行方を探してもらうところからのスタートである。






という訳で長万部で食うものを食う。セイコマの冷やしラーメンカップに北海道を感じるぜ。






輪行袋で何とかなる。


調べてもらった結果、当該列車は豊浦から、室蘭行483Dになっているらしい。そして、基本的に終着駅で折り返す際、いちいち車内の点検はしていない、とのこと。もう一つ付け加えるなら、483Dは運行中のため、







確認する術がない。






とりあえず連絡先を伝え、しばし待っていると、もうひとつ情報が入ってきた。曰く、当該列車は最終的に、長万部着23:33の488Dになるという。






豚丼もいいが、ホッシェフのカツ丼こそ食うべきだ!





「つまり、23:33まで待っていれば、車両の確認はできる、と」
「まあ、そういうことになるな」


幸い、営業が終了した待合室は終夜解放されているみたいで、まあダメでも自走で黒松内まで行けばSTBは可能だろう。

こちらは、明日まで有効の倶知安までの乗車券を持っているので、そのプランでいけば、明日の始発6:00小樽行2929Dに乗って、羊蹄山方面にアクセスできる。






ただし待ち時間はハンパない。駅前はシャッター下ろしてるし。



とりあえず当面の作戦は立ったので、駅から少し走ってセイコマで食料調達。そして、23:33まで籠城するか、と呑み始めた訳なのだが、少し時間が経ったところで、電話がかかってきた。







バッグ、東室蘭にありました〜












計画の練り直し確定。






無論、ゆうパックで自宅に着払い、という選択肢もあったのだけど、困ったことにアクションカムと、そして三脚がバッグの中に。



「えええぇっ!?  じゃあ、写真は……」
「撮れるけど、基本的にソロ活動です」


当然のように、「バカっ!」て言われた。






なんと2959Dにご同業が一名、しかもL-100ユーザーだ。



さて、当初のプランでは羊蹄山から中山峠だったのだが、東室蘭に寄らなくてはならなくなったので、コースを変更する。留寿都経由で洞爺湖、壮瞥を抜けてR37に出て東室蘭へ。これだけで軽く100キロになるのだが……



「さすがに苫小牧の周辺とか、走りたくない」
「まあ、あっさり東室蘭フィニッシュでも良いのでは?」


時間にもよるが、退屈な工業地帯を走るくらいなら、輪行して札幌に向かってしまうのが良いのかもしれない。とりあえず、細かいことは明日決めることにして、20:00小樽行に乗り込んだ。

次に決めることは、今夜の宿である。どこかの駅でSTBしなければならない。

地図を見ると、羊蹄山の周辺を走ろうと思ったとき、北側のR276(もしくは道道478)か、南側の道道66のどちらかをチョイスすることになる。



「どちらにしても、さほど違いはなさそうです」
「となると、あとはどこに泊まるかか」


んで、肝心の駅だが、倶知安は駅員配置があるうえに夜間滞泊があるので、最悪締め出される可能性がある。比羅夫駅は、そもそも駅そのものが民宿になっているから、STBなんぞやろうもんなら民宿に誘導されかねない。そしてニセコは論外。



「昆布、蘭越、目名、熱郛あたりですかね……」
「朝早くから出発するから、昆布にしよう」







昆布駅に着いた。



というわけで、21:04昆布着。目の前がR5で少々賑やかな感じだが、まあ何とか寝られるだろう。

ただし、ひとつだけ問題があり、







寝袋がない








「この気候で寝袋なしなんて、自殺行為です!?」
「心配いらん。こちとらトップ1パーセントだ!」


こうして、トップ1パーセントの最強が、さらに鍛えられた結果、






こうなった。





「……なんですかこれ?」
「見ての通り、輪行袋だ」


過去に、あまりにも寒かったので寝袋にレイヤリングしたということがある。とりあえず暖は取れることを確認している。



「ただし、ちょっと丈が短い」
「そりゃそうですよ」


なお、函館本線の山線は、極めて本数が少なく、21:04を見送り、エルコスさんを復元し、輪行袋に包まろうかとしているところにやってきた21:30長万部行2956Dを見送ると、すぐに消灯した。

やっぱり輪行袋じゃ寒いなぁ、と寝たり起きたりを繰り返しているうちに、ふと眩しくなった。どうやら待合室の照明が点いたようで、時計を見ると、4:10を指していた。外はまだ真っ暗だが、遠く向こうが少しずつ明るくなっているのが分かる。






これはまだ夜明けとは言えないだろう。



もう少し明るくなってからの出発でも良かったのだけど、とにもかくにも寒かったので、もう大人しく出発してしまうことにする。ただし、暖を取ろうとした自販機が、軒並みつめたいのしかなかったのには閉口した。






オール青。





「久しぶりに、やっばいなぁ〜……」
「とにかく走ってください!  それで身体を温めましょう」


昆布から出発してすぐにニセコ町の境界を越える。ここからしばらくは登り勾配になるが、鬱蒼とした森の中の登り勾配で、交通量はほぼゼロ。草叢がガサリ、となれば、そりゃあ怖いわけで、



「……クマかな?」
「やめてーっ!?」







ニセコに入ったものの、もう何がなんやら。



しかし、暗すぎてサイコンすら見えなかったのは幸いだった。お陰できっちりゾーンに入り込み、割と労せずに宮田の集落まで来た。






少しずつ明るくなってはいるが、まだまだ。



ようやく周囲が明るくなってきて、遠く向こうに神秘的なまでの名峰のシルエットが浮かんだ。



「あれか……」
「まるで富士山ですね」







そりゃあ蝦夷富士と呼ばれるくらいだもの。



ニセコ周辺は風光明媚な高原地帯、以前仕事(本業のほう)でこのあたりを訪れた際、レンタサイクル屋が多かったから、自転車で流すのも気持ちいいのだろう。






ここから羊蹄山の南側に回り込んでいく。



4:50、道の駅ニセコビュープラザ到着。ここでようやく暖かいものにありつけた。



「ここで野宿する方法もあったのでは?」
「人の出入りが多すぎる」


昨今、道の駅で車中泊する車両が増えたようで、ここにもキャンピングが大量に泊まっていた。昨日立寄った鵡川の道の駅では、車中泊車両専用の駐車スペースを設けるなどしていたが、結果的に野宿中の姿を人目に晒す回数が増えてしまう。 なので、できるだけ道の駅は使わず、無人駅の待合室を活用するようにしている。

さて、ここからルートを、道道66に切り替える。羊蹄山の南側を往くルートだ。






徐々に明るくなっていく。羊蹄山のシルエットがヤヴァイことに……!?



しばらく登り勾配をやっつけているうちに、真狩に入った。このあたり、周囲がジャガイモ畑らしく、どこを見回しても明るい農村然としたのどかな風景。やがて、陽が登って明るくなってくると、






全然先に進まない(カメラばっかり構えてるから)。





「お、これはすごい……!?」
「大先生!  写真写真!」


そして、バッグを置き忘れたことを罵られるハメに。






とにもかくにも、惜しいことをした。



かつて、道東が自転車パラダイスだ、と申し上げたが、とんでもない。道南だって悪くないじゃないか。

それもそのはずで、隣村になる京極町は、日本で最も美しい村連合に加盟していて、当然その周辺の自治体だって美しいに決まってるはずだ。言わば







美しさのお裾分け






みたいなものである。






だってこんなんだぜ?





「すごく気持ちいい道ですねここ!」
「本当だ、もうちょっと走っていたいよな」







陽が登ると、すごくいい処を走ってることを実感できる。



ただ、生憎とこちらはバッグの回収のために、最短距離で留寿都まで来てしまった。道道90で京極を経由し、喜茂別を抜けて留寿都でも良かったかな、と、ちょっとだけ後悔した。






頑張ってもこれが限界(手すりの上にカメラ置いてインターバルで撮った)。



留寿都のセイコマで朝食を取る。このあたり、外国人観光客が多いのか、はたまた素泊まり宿が多いのかで、ゴミは持ち帰ってほしいとのこと。キャリアに括り付けて、洞爺湖方面を目指す。ここからは完全に下り基調で洞爺湖まで下っていく。






余談だが、留寿都は規模の広いゲレンデを擁する一大リゾート地。遊園地だってあるんだぜ。



洞爺湖といえば、かつてはサミットが行われたことで有名なカルデラ湖。このままR230を南進しても良いが、湖岸を周回してみたかったので、道道66を左折して、湖の方へ。






ちなみに、留寿都と洞爺湖の間は下り基調になる。その道もまた素晴らしいのよ。



森の中の道を抜けると、視界が開け、道の向こう側に、湖面が見えた。






洞爺湖に向けて一直線に降りていく。





「大先生!  写真撮りましょうよ!」
「えーっと、これをこうして……」


せっかくだったので、創意工夫でなんとか一枚収めてみた。






手すりに……(ry



湖岸周回の道は、ほぼ平坦という構成だった。しかし、洞爺こそのものは周囲長が50kmもあり、昭和新山のほとりを通るR453に出るだけで、だいぶ時間を食った。



「およそ1時間ほどかかってますよ」
「遠かったなー」







壮瞥の街に下っていくよ。



国道との交点にあるセイコマで補給。時刻は8:30で、このペースなら東室蘭には昼くらいに着くだろう。



「もう少し寄り道ができましたね」
「まあ、次回の宿題にしよう」







ハンダ不良の象徴、昭和新山の脇を抜けて。



こうして、伊達市に入り、さらに下っていくと、突然現れる、巨大な橋。






橋というか、高架だな。





「あれは?」
「長流川橋、道央自動車道の橋脚ですね」


エルコスさん曰く、「地形の関係で橋が長くなって、約1770mほどあります」とのこと。言われてみれば、橋の両岸は小高い丘になっている。



「餘部橋梁に近い考え方なんだろうな」
「恐らくそうでしょうね」


日本の高速道路において、河川を渡る橋としては一番長いのだとか。

ということは、この橋が見えてきたということは、R37は近いということか。






下界に降りてきた、という感じで。



8:56、R37との交点を左折し、室蘭方面へ。伊達紋別周辺の、都会の息吹がそこかしこに感じられるようになった。



「都会だ……」
「文明が……」


お互いにだいぶヒドイことを言いつつ、アップダウンをこなしていく。このあたりは、昨日夕刻に汽車の中から車窓を楽しんだ区間であるが、そのことにエルコスさんが気づいた。



「あそこに黄金駅があります、寄っていきませんか?」
「ずいぶん縁起のいい名前だなぁ」







黄金駅は、海沿いに面した駅。夕方なんかは文字通り黄金色に輝く。



しかし、金の匂いなど当然するわけなく、その代わりといっては何だが、プラットホームから海が見えた。



「ああ……」
「イイじゃないですかここ!」


人気のない駅、ホームから見える海、静かに過ぎる時の中で、次に出てきたのは……



「なんで三脚ごとバッグ忘れちゃうかなぁぁぁっ!?」
「もう許してくれよ……」


エルコスさんの地団太であった。






どうやら本当に、一緒に映りたかったらしい。ごめんよ。



そこから走り出してすぐに室蘭市へ。ここまで来ると、工業地帯の趣を濃くしていき、東室蘭はすっかり都会の駅であった。






東室蘭ゴール。だいたい105kmになった。



バッグを無事回収し、やはり落ちたテンションは簡単に復活しそうにないので輪行に切り替える。こういう時に限って天気は良くなるが、まあそんなものだろう、と諦めて。随分あっさりしたエンディングであるが、久しぶりにのんびり過ごすことにしよう。






荷物が無事で何より。






余談


旅はこれで終わりなのだが、帰京日でのことを少しだけ。






まずは札幌駅で荷をパージ。帰りに回収する。



2017年3月改正で、スーパー宗谷が1往復減便となり、「スーパー」が外された(そして、サロベツが2往復になり、旭川発着に変更)。気になったのは、







ヘッドマーク











そうそう、こいつのヘッドマークが気になるんだよね。



今のところ、画像が見当たらなかったので、直接見に行った。そうしたら、






……なんか足りなくね?









文字が消えた。






ついでといっちゃあ何だが、2011年の車両火災事故の余波で、新造車がキハ261に統一になったうえ、車体傾斜装置の類が機能停止となった訳だが、






tiltは?









もう許してやれよ。






振り子とか、アクティブアスとかのロゴが取れただけでなく、Advanced表記まで外されてるのを見て、ちょっと気の毒に思ったりした。






こいつが最後の砦か……



最後に、先の改正にて、札幌−旭川間でライラックが復活した。元スーパー白鳥の789系基本番台を使用しているということだが、確かあれにもHEAT789のロゴマークが……






いやいやいやいや、もう少しいい仕事できただろー?









もう痛々しい。






見てらんないので、札幌駅を後にした。

さて、札幌市のR230起点部にある、鎮守北海道神宮の碑。旅の起点としてここを必ず通過していたのだけど、そもそも北海道神宮に行ったことがなかったので、行ってみることにした。






こいつだね。



碑から道なりにまっすぐ進むと、鳥居が見えてくるのでわかりやすい。エルコスさんで15分ものんびり走れば、参道が見えてくる。






つまり、R230は参道を兼ねている、ということだな。



北海道の鎮守として、明治天皇が祭られているということらしい。






由来が記されている。札幌における鎮守の所以が。



お参りを済ませ、環状通りを経由して、お馴染み平岸高台公園へ。






ここは特に変化がなかったな。



この日も道外ナンバーのオートバイが2台停まっていた。ここももはや観光地になった。






打ち仕事がしたくて、中央図書館に行ったら、改修工事中だった。



そのあと、適当に時間を潰してから、札幌駅ナカの根室花まるで一杯やって、8回目のヤマイドウは終了……






なぜ並ぶ?  メシ時でもないのに!?





「……まだ、15:30だよな?」
「だって、根室花まるですよ?」


お陰で、飛行機までの時間を丁度良く潰せましたとさ。






帰りもエアドゥ共同便。羽田の夜景でフィニッシュ。






もくじへ。
2日目へ。









TITLE:3日目(昆布〜東室蘭  105km)
UPDATE:2017/09/11
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