幕間〜無人駅にて〜某駅にて。 「ところで、なんでそんなに写真に写りたがるの?」 私が問うと、彼女はこう言った。 「わたしが生きていた、という痕跡を残したいのです」 ……と。確かに、彼女は私よりも、間違いなく短命だ。仮に私が天寿を全うするまで生き長らえていたとしても、その時彼女は、 「……なるほど」 生きとし生ける者には、二度の死があるという。 一度目は、生物学的な、すなわち、一般的な「死」。 二度目は、記憶からの「死」。 写真という、わかりやすい媒体で残しておけば、彼女は永遠に、「死」ぬことはない。そういうことか…… 「まあ、わたしが写真に写るのが好き、ということもあるのですけどね」 「そっちが本心だな?」 そう言って、私は笑った。 貨物列車が行き違いで停まり、対向から特急が到着した。 下車した客はわずかで、それも、近くのリゾートホテルに行くバス乗り場に導かれ、この待合室には誰も来なかった。 やがて、特急と貨物列車はそれぞれの目的地に向けて走り出していき、ふたたび静寂が訪れた。 「……写真、一緒に撮りませんか?」 彼女は言った。そして私の手を取り―――― 「さ、撮りますよ!」 そう言って、タイマー設定されたカメラのシャッターを押した。 あしたは、晴れるかな? 願わくば、明日も沢山、彼女を写真に収めてあげたい。 そう、彼女に「永遠に」生きていてもらうために……
時間が余ると、こんなテキストを書くくらいしか時間を潰すすべがないのである。
Y丸本舗の自転車部門は、こんなおっさんとチタンフレームでお届けしてます。 20180105追記
まあ、いわゆるアナログなログだな。 「すごい! なんか感想が書かれてますよ!」 「まあ正直、ネガティブなこと書かれてるのかと思ってただけに、照れくさいんだが……」 「もういっそ、これで暮らしていけば……」 「バカ言うな。本業があってこその趣味だぞ」 「まあ、確かに……」 「ただまあ、悪い気はしないな」 来訪日は1月2日。ご覧のとおりパウダーデイでした。 リンク元の次の日へ。 |