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ふたつの岬を巡る。本日のルート (powered by ルートラボ) 寒さで目が覚めた。気がつくと、外はうっすら明るくなっていた。 ![]() バッグの装着は毎朝の儀式。 簡単に身支度を整え、一晩お世話になった駅舎を簡単に掃除し、車の通りもほとんどないR40を北上開始する。 今日の目的は、稚内入り。そして、宗谷と野寒布の両岬を詣でる、やや短めのコースだ(……と思っていた)。 ![]() 兜沼方面へ。 例によって、朝飯代わりの赤缶チャージのあと、道道1118→510で兜沼から抜海抜けのコースを辿る。兜沼には入植の碑が立っていて、当時の苦労が記されていた。
便利な世の中にあっては、気がつきたくても無理な話なのかもしれない。とはいえ、彼らのお陰で今こうして旅ができるのだということをよく覚えておきたい。 ![]() 兜沼で一枚。 7:12、抜海駅。海のニオイがするこの駅で、お馴染み定点撮影。よく撮れたらトップページにでも使ってやろうか。
なんでそんな単純なことに気がつかなかったんだろうか。 ![]() こうして撮った一枚。ホームに腰掛けるのはやめましょう(猛省)。 そういった訳で撮影が終わったあとは、ちょっと抜海港へ。小さな港だが、天塩からオロロンラインを北上し、ここで一度交差点を曲がる、という場所だ。 ![]() 抜海港の保食神社。 交差点脇には、もう営業してない小さな商店がある。「もう営業してない」というのが最果て感を演出している。あと10キロも北上すると稚内の市街にたどり着く訳だが、そこにはひとつの決断が待っている。 ![]() 途中、ご同業とすれ違う。 道なりに道道106を進めば、すぐに稚内市街。ただし登坂車線がある程度の丘越え。左折して道道254に折れれば、ぐるりと迂回し、野寒布岬を経由して稚内市街。こちらはほぼ平坦。
ということで、インナーに落とす。 ![]() 登り切ると絶景が…… 残念ながら利尻は見えず。 実はもうひとつ理由があって、南稚内駅近くにあるヤマトの営業所に寄り、荷物を回収したかったのだ。というのも、ハートランドフェリーの乗り場近くにあるポートサービスセンターで洗濯とシャワーを借りたかったのだが、野寒布側からだと荷物を回収したのち、来た道を戻らなければならないのである。 ![]() ポートサービスセンター。島めぐりの拠点としても。 旅の登板率が高いお空さんも、さすがに三日四日と着込むと、いい感じに醸される。そろそろ着替えたいとういう思いもあった。
![]() 北の大地とあんちくしょう。 よぉーっし! たぶん宗谷岬にあんちくしょうで乗り付けた猛者はワタクシめが最初だべ! ホールショットは俺のもんだ!(ここで言うホールショットは、チルノジャージ一番乗り、という意味です) さて、ふたたび荷物をコインロッカーに納め、身軽な格好で宗谷岬を目指す。およそ30キロの距離だが、まあ2時間もあれば着くだろう。
もちろん、向かい風に、である。 海風が強い、ということなのだが、このあたり、面白いように北東から南西に向けてのみ、風が吹くという不思議な力が働いている。 他者の記録を紐解くと、たいてい稚内までは向かい風、宗谷岬までも向かい風というような記述が目につく。それくらい、ここでの強敵は向かい風なのである。例えるなら、稚内の市街から宗谷岬までは、およそ30キロ、前半はひたすら直線状、後半はゴールがまるで見えないという、エグい峠に挑むかのよう。 ![]() ここからが(ある意味)最急勾配区間。
特にエグさを増すのは、後半の宗谷集落に入った辺り。海岸線沿いに右に左にと進んでいくのだけど、行けども行けども岬が見えない。 あのブラインドの右コーナーを抜けたら、そこに宗谷岬が! なんて思っていたら、まだまだ全然違う、みたいなことが一度や二度ではなく、正直、ここで心をガリガリ削られた。 そんなこんなで、無事に宗谷岬に到着。しかし、そこは既に観光地化されていて、どうにもこうにも居心地が悪い。……あんちくしょうだからかも知れないが。 ![]() 一応、日本の最北端。 サラッと写真だけ撮って、野寒布に行こうと決めた。スタンドのないエルコスさんを単独で立たせるにはコツがいるのだが、そこはツールカンをうまいこと活用して事なきを得た。 帰路は、打って変わって追い風に乗り、ヒャッハー! して稚内市街へ。往路で1時間30分近くかかった道は、復路で1時間切りとかどういうことだこれ? ![]() 野寒布岬とあんちくしょう。 野寒布岬は、稚内市街を突き抜けた先にある。こちらも観光地化されてはいるが、宗谷岬よりかはいくぶん穏やか。ここでも何枚かパチリして、ようやく本日のミッション完了、である。本日の走行……
今日もしっかり走ったものだ。明日は一気に道東まで移動するため、ここでしっかり休息をとるべく、宿を稚内海員会館に取る。ここは海の仕事に従事する組合員の保養施設だが、一般の旅行者も利用できる。南稚内駅至近で、一泊素泊まり4200円。 ![]() 海員会館全景。
気がついたことがある。昔ならテントだらけだった北防波堤に、その姿がないことを。よく観察すると、野営禁止の札がそこかしこに。 ![]() 遂に規制が入ったか、という感じ。 稚内駅が新駅舎となり、街全体が変わろうとしているということだろうか。これだと、野営できるのは稚内森林公園という、強烈な激坂を上った先にあるキャンプ場だけになってしまう。自転車にはかなり厳しいだろう。 少しずつ、何かが変わろうとしているのだろう。そんな稚内の街だった。 ![]() 海員会館の4200円の部屋はこんな感じ。 もくじへ。 3日目へ。 幕間へ。 次の日へ。 |