2012年版ガイドライン 実地踏査シリーズ スキー百本勝負 ほぼ月刊動画工房 ステキなダムn選 トップページ 用語辞典       


347:ヤマイドウ19〜トカプチ200〜



text&photo  by  ymr20xx@y-maru.com。



本日のルート (powered by Ride With GPS)






もとはこれの倍の距離ある。



トカプチ400、というサイクルルートがある。

十勝地方の平野部、海岸線、山間部をこれでもか、と盛り込んだ、総延長400キロに迫る贅沢なサイクルルート、なのだけれど、




「これ、どう考えても1日で走破するの、無理ですよね」
「可能なのって、篠さんとかそういうレベルだろwww」






サイクルルート北海道においては、4が付番されている。



何せ、このルートのハイライトは、北側の終端を三国峠に設定している点で、それに飽き足らず幌鹿峠を経て然別湖の脇を通るルートを引いている点。もうこの時点で完全なプロ仕様だし、そうでなくとも1日での周回を前程としていないことが分かる。




「糠平温泉で一泊してのんびりしなさい、という公式からの熱い想いが伝わる」
「にしても、ですよ」


ただ、帯広駅を交点とした8の字の南側、すなわち忠類を経て大樹からナウマン国道に出る海岸沿いのルートであれば、目立った登り区間もないほぼほぼ平坦基調の200キロ。こちらなら1日での周回が可能なのではないか。




「こっちにしよう」
「承知しました。丁度、わたしも新機能を試してみようと思ってましたので」






中札内の道の駅で団地する。






さらなる電脳化。



私事だが、エルコスさんのナビ機能を強化した。





サイコンをRider460にアップデート。



事前にアプリ上でルートを仕込むという手間が生じるが、これでミスコースの頻度が下がると見込まれる。




「ウキウキしてやがる」
「嬉しいですよ。自分自身の機能が強化されるのですから」


まあ、確かに言い得て妙だ。成長の目的の中には「満足」というのがあるくらいだし。





と、いう訳で……



さて、今回はカニの家でお馴染み大正ふれあい広場の駐車場からスタート。





カニの家に集まるライダーで常時何かしら停まってる。



昨今、メディアに車中泊ブームを無責任に煽り散らかされた結果、道の駅に丸一日デポ車を置いておくのは、色々とリスクが大きくなった。結果、なるべく目立たないよう、小さな公園の駐車場にひっそりと停めておくのが最適解、ということに気付いた。




「世知辛い」
「これも時代なのでしょう」


何年か前に、エルコスさんが言っていた。「もう今のような旅はできなくなるかもしれない」それが如実に現れてきている。





天気はまずまずかな?



さて、実走ルートであるが、中札内までの区間は、ちょうど帯広空港の東側を通るようになっている。公式のほうの案内も出ているので、そちらを頼りに走ればいい。





トカプチ400のロゴも力強く。






「事前に入力したルートと微妙にズレが出てきました」
「ここは公式のルートに倣おう」


周辺は十勝を象徴する広大な田園地帯。時折大型の農耕車両とすれ違いながら、微妙にアップダウンを繰り返す農道を往く。





実は農耕車両のほうが遅くて、待ちが発生することも。



……のだけど、いきなりミスコースした。





北海道でこのカントリーサインは珍しいのでは?






「エルコスさぁぁぁん!?」
「大丈夫、想定の範囲内です」


このあたりは、道道の番号が付与されていない道を往くので、調子に乗って駆けているとミスコースしやすい。





どこだここ?



さて、エルコスさん曰く「想定の範囲内」とのことだったので、とりあえず導かれるままに進んでいくと……





なるほどね。






「そういうことか」
「もちろん、ここは外せませんから!」


旧国鉄広尾線の幸福駅に着いた。

かつて広尾線が健在だったころ、この沿線には「愛国」と「幸福」という、どう足掻いてもおめでたいと形容しかできない駅が存在しており、縁結びの聖地として旅人に愛されていた。





広尾からはかつて、東京への航路があった(17:00発で東京着が翌20:40だったらしい)。



それを見越してのエルコスさんチョイスであった。……のだが、ここで三脚を忘れたことに気づく




「大先生ぇぇぇぇっ!?」
「大丈夫だ。いつものことじゃねぇか」


なので、結局いつも通り、地形を駆使してうまいこと撮った。





経験の差をなめんなよ、と。






電脳化してもどうにもならん事実。



幸福駅からはR236を南下。ルートとしては、このまま忠類まで往き、そこから歴舟川沿いに海を目指し、そしてR336に至るようだ。





更別に入ったところ。



実はこのあたりがルート全体の最高地点になっている。なので忠類までは平坦からの下り勾配。





北海道の楽しさは、原野や平原をひたすら走って、唐突に街に辿り着くという地理なのかもしれない。



ここぞとばかりにギアをかけて、30キロオーバーで巡航していく。幸い風の影響もさほど受けず、面白いように速度が乗る。





一部、国道を外れるが、なんか面白いのがあった。






「これで天気が良ければなぁ」
「昼から午後にかけて、天気は回復傾向になるようです」


日本が誇るホルスタイン・荒川弘先生の生誕地が明らかとなった忠類には8:37着。ここには道の駅があるので、休憩するのには丁度良い。ただ、まだ時間的に早すぎて、売店は営業しておらず。





この時期はキャンピングがそこかしこで団地してる。






「トイレ寄って出発かな?」
「あ、ナウマン象のオブジェがありますよ!」


この辺りは、1969年にナウマン象の化石が発掘されたことで知られる。道の駅に併設する位置に、ナウマン象記念館が建てられている。もちろん朝早すぎてやってない




「大先生!  あそこにいい地形が!」
「もはや地形が三脚扱いだ」






自撮りガチ勢は地形を巧みに使うぜ。



忠類を出発する際、同じ方向へ先行するご同業を見つけたのでついていくことに。





大樹町に入ったところ。



近年の傾向だが、4サイドのランドナーはほとんど見かけず、頑丈なクロスバイクにリヤ2サイドか、もしくはキャリアに荷物を括り付けるタイプの固体が多くなった。それに、ドロップハンドル車の殆どは軽装のロードバイクだ。





別日に宗谷岬で撮った画像。確かにフラットバー車が多い印象。



ランドナー自体、入手が著しく困難になっているので仕方ないとは思うし、手軽に自転車旅に出かけられるのであれば、このチョイスは理に適っていると言える。




「結局のところ、半身を預けられる相棒はなんでもいいのですよ」
「なるほど。相思相愛ならばそれでよし、と……」


……だからぁ、自分で言ってて赤くなるなって恥ずかしいwww





大樹のある意味ランドマーク。



国道を跨ぐ特徴的な歩道橋が見えてきたら、そこが大樹の中心街である。行程を確認していたエルコスさん曰く、




「この先、だいぶ長いスパンで、補給箇所がほぼ存在しません」
「ここでしくじったら、本気で詰むヤツだな」


実に80キロに渡り、コンビニが存在しない区間になるようだ。もちろん、小さな商店くらいなら探せばありそうだが、




「得策ではないですよ」
「だろうな」


それに考えたら、まともに朝飯すら食べていない。ここで何か入れておこう。





結果、ガッツリになった。






「今のところ、新機能は好調のようだな」
「今のわたしには死角などありません!」


フンス!  と胸を張るエルコスさん。しかしこういう時に笑いの神は降臨するようで。





蘇るトラウマ。









砂利になった。









「……ひと思いにトドメを刺してください」
「www」


R336を目指しつつ、旭浜トーチカという史跡の名前に目が眩んだ結果がコレさwww





さすがにトーチカまでは無理。



トーチカへはこのダートを乗り越えなければいけないらしく、「まあやめとくか」という話になった。そして幸いなことに、このダート区間もそんなに長くはないらしい。




「とりあえずは脱出しよう」
「こんなところでパンクはイヤですよわたしは」


なお、このあたりの地理的な話をすると、点在する牧場以外はほぼ原野で、時折、道端の叢がカサカサと。




「……クマ?」
ガッ!「………………!?(プルプルプルプル)」






人気がないのでより一層出る雰囲気たっぷり。



2024年のシーズンは、羆害の報告があちこちで目立っている。いつ襲われるかわかったもんじゃないが、今回ばかりは数年前に乗鞍畳平で入手した熊鈴だけが頼りだ。

どれだけ電脳化したところで、不意打ちの羆には敵わないし、突然現れるダート道も避けられない。……あと、




「いってぇ!?」
「虻に囲まれてますよわたし達!?」


ほぼ狂暴レベルの虻の襲来にも、だ。





国道に戻ってきた。






思い出した。ここは退屈な道だ。



R336に入る。道は小さなアップダウンを繰り返しつつ、海岸線をトレースするように北東に進む。





浦幌方面に向かう。



とはいえ、海が見えるかというとそんなことはなく、周囲はほぼ視界の開けない原生林の中。





始終こんな景色が続く。



……で、思い出した。ここ以前、ヤマイドウ7で走ったことのある道だ。




「確かあの時も、さほど印象に残らなかったような気がする」
「今回はどうでしょうか?」






幕別町に入る。



地理でいうと、大樹町と幕別町と豊頃町を行ったり来たりする。とりあえず幕別町までは来たのだが……




「大先生、写真撮りましょう!」
「ヤだよ虻に襲われるんだもん」


そういえば、夏のヤマイドウは常に虻との戦いだったのを思い出す。防衛の手段を真面目に考えないと今後がきっついなぁ。





よく見ると確かにブンブン飛んでた。



ところで、この道は退屈である、と形容をしたのだが、どこまで進んでも似たような景色、時折現れる登り勾配、ほとんど往来のない静寂な雰囲気、と退屈要素のフルハウス状態。





所々で自販機と公衆トイレがあるのはありがたい。






「ですが、走りに集中できるのでは?」
「登り坂で減速したところを虻に襲われるんだよ」


どういう訳か、今年の虻の狂暴さは過去イチな気がする。もうこれだけで数え役満なんだが。




「次回はサラテクト持参ですね」
「あれも効いてるんだかイマイチわかんないんだよ」






青空が出てきて、気温が爆上がり。



さて、そんな世間話をしているうちに、道道912交点まで来た。公式ルートでは、ここを右折して大津漁港方面らしい。




「大津漁港といえば……」
「十勝発祥の地の碑がありましたね」


で、ナビにしたがって右折。しばらく走ると、唐突に右手の景色が開けた。長節湖という汽水湖で、シジミが採れるらしい。




「なんだか幻想的だな」
「大先生、せっかくですから!」






湖畔にはキャンプ場なんかもあって。



北海道は広い。観光スポットも多い。しかし、こういった人知れずの景勝地が無数に残されているのも、その広さゆえかもしれない。





ちょっと時化気味。






「大先生、海ですよ!」
「ようやく海に出たか」


そしてそこからさらに進むと、今回の行程で、初めての海原が見えた。





ここが十勝発祥の地。



十勝川河口右岸域に位置する大津漁港は、あまり知られてはいないものの道東沿岸域の拠点港としての役割があり、整備された港湾設備がある。その港湾部を迂回しつつ、ヤマイドウ7での来訪以来となる、十勝発祥の地の碑に着いた。





ひっそりと。






「かつては、函館からの航路もあったそうです」
「今では考えられないか……」


そりゃそうだ。路線バスだって7:29が最終で、土休日は運休になるような場所だ。





公共交通では到達が著しく困難な、わかりやすい例。



……て、ここでエルコスさんが面白い問いかけをしてきた。曰く、「ここがハブ港だったら?」……と。





説明書きを読む限り、時代が時代ならそれも有り得たようだ。



帯広と釧路の中間くらいの位置なので、ここをハブ港にするのは物流の観点としてはアリかもしれない。問題は旅客だ。




「バス輸送になっちゃうんだよな。単車ならともかく」
「アクセスは悪いですよね」


一応、この場所の最寄は根室本線の新吉野駅ということになる。優等列車の停車駅に限るなら、浦幌駅か。ただ、現在ならいざ知らず、1992年までは十勝川を渡る橋すらなかったので、そう考えると、大津の漁港が現在の姿に落ち着くのも、なんとなく腑に落ちる、といったものだ。

まあ、現状は「そうなる可能性は低い」で落ち着くだろうし、それが良いのかもしれない。




「考えてみな。ここが観光客でごった返したら、それはそれで興覚めだろ?」
「うーん、確かに……」


ジャムパンをかじりながら頑張って考えた割には、いい感じにまとまった。





とりあえず休憩しよう。



さて、かつては渡船輸送であった十勝川を渡り、新吉野までやってくると、上空の様子はやや穏やかではなくなる




「なんかポツポツきてない?」
「ポツポツきてますねぇ」






よく交換と退避が行われることで知られる駅。



慌てて新吉野駅に避難する。公式ルートは、ここから国道を逸れて豊頃のあたりまで町道を往くらしい。




「どうやら雨は一時的なようです」
「路面も濡れてないし、たぶん大丈夫だろう」


というか大丈夫であってほしい。ポンチョ入れてきてないんだよ。





なんとか持ちこたえてくれるかな?



祈りは通じたのか、その後は雨に祟られることはなかった。そして豊頃では、久しぶりのセイコーマート。




「ようやっと昼食か」
「セイコーマートが食堂扱いって……」






つまり大樹町からここまで一切コンビニがなかったということ。






トカサイ。







痛風持ちだけどホットシェフのすじこにぎりは中毒性がある。



豊頃のセイコーマートで一服したあと、ルートは十勝川沿いを示している。しかしそれは、並走する道道ではなく、川沿いの河川敷道路だった。




「つまり、トカサイだな?」
「そう呼ばれているかは別として、つまりそういうことです」


このトカサイであるが、とても快適であった。





こんな感じの道(すれ違わなかったが一般車両も往来する)。



道幅としては普通の道と同等くらいの幅で、それが延々と続いている。江戸川サイクリングルートの道幅を広げたようなイメージだ。




「これ、国道往くよりも快適なんじゃ?」
「間違いないですね!」


ルートの途中で利別川に名前が変わるが、河川敷の道は川沿いに続いていく。土手下を見下ろすと、広大な農地が広がっている。こういった景色も久しく見ていない。




「大先生、ここで写真撮りましょう!」
「ここで!?」






ここでです!



さて、池田の市街まで来ると、一旦川沿いの道は終わる。公式ルートは、ここから道道73沿いに走り、十勝川温泉を目指すらしい。





牧歌的な風景の先に……



十勝川左岸に伸びる道だが、R38と比べてアップダウンが多そうだなぁ、というイメージがあったが、





ハイ登ってるよぉ?









予想通り。









「頑張って!  ギア軽くして!  あと、えーっと……」
「とりあえず頑張るから魔法かけて!」


ケイデンス60くらいでじんわりと踏み続けられる負荷。俗にエルコスさんの魔法と呼んでいるそのギア比で、なんとかサミットのトンネルを越えると、視界が一気に開けた。ここが十勝川温泉の温泉街のようだ。





十勝川温泉ってどっちですか?  ……でお馴染みの。






「道の駅がありますね」
「ちょっと休んでいこう」


2020年開駅という新しい道の駅で、洒落たつくりをしていた。





ザ・シャレオツ。



こういった雰囲気であれば、renas先生の流儀を示すのが礼儀だろう。アイスコーヒーとジェラートで一息つくことにする。




「あー……  生き返る」
「道東も異常気象でしょうか?」


十勝の平野部でも日中は30℃に迫るような気温。夏の北海道は涼しい、というのは過去の話になりつつあるようだ。





renas先生の流儀。






「道東や道北であれば、もう少し過ごしやすいのでは?」
「試す価値はあるな」


余談だが、ここにはカフェのほかに地物を使ったレストランなんかも併設されているほか、日帰りの温泉施設もあり、長時間滞在を意識したつくりになっている。ドライブがてら立ち寄るのもアリだろう。




「さてエルコスさん、次の行程は?」
「ここからもうしばらく、河川敷の道ですね」






比較的新しい道の駅。






向かい風と気怠さと。



15:55、帯広駅着。





十勝最大の都市。






「公式には、ここがトカプチの起終点になります」
「つまり、帯広に泊まってから楽しんでください、てことだな」


確かに、駅前には宿が豊富にあるし、豚丼で有名なぱんちょも駅前だ。




「ま、それは飛行機輪行で来た時にでも楽しむか」
「実際、そういう感じで楽しまれてるようですよ?」


それでは、残り10キロをやっつけてしまおう。R236を大正まで南下すればよい。……のだが、





R236を南下しつつ。






「巡航速度が上がらない。気のせいか?  疲れているのか?」
「若干の向かい風ですね」


最後の最後でこれか。





カップラチャージ!



途中、公式ルートに則って、国道を外れ札内川の右岸へ。防風林が美しく並ぶ市道をちんたらと走るが、改めて思えばこのちんたら走るくらいの速度が推奨されているのではないか。




「今回は、ほぼ走りっぱなしでしたから」
「往き急ぎ過ぎたか」


後でログを確認したら、グロスアベレージが20キロを超えていた。ちょっと急ぎすぎたかもしれない。





十勝の醍醐味は、この防風林だと思う(異論は認める)。



……ということもあってか、国道に復帰する直前に、愛国駅があったので、




「最後くらいちょっと観光するか」
「もちろんです!」


立ち寄ることにした。





幸福駅と並ぶ十勝の名所。



広尾線の愛国駅と幸福駅については前述の通りだが、存命時はこの両駅間で有効な乗車券が飛ぶように売れたらしい。




「残念ながら時間切れで売ってなかった」
「あぁぁ、惜しいですね」


ま、これもまた宿題、ということで。





飛ぶように売れまくった結果、石碑になった乗車券。



こうして、大正ふれあい広場には17:06着。カニの家の利用者と思しきオートバイは、昨日と入れ替わっていて台数も増えていた。





色々あったけど、今日もカニの家は旅人を受け入れている。












TITLE:比較的穏やかなほうの半分
UPDATE:2024/08/24
URL:http://y-maru.sakura.ne.jp/347_yama19_toka/yama19_toka.html