2012年版ガイドライン 実地踏査シリーズ スキー百本勝負 ほぼ月刊動画工房 ステキなダムn選 トップページ 用語辞典       


285:杉津ホリディ・西ロング



text&photo  by  ymr20xx@y-maru.com。






本日のルート (powered by Ride with GPS)




歴史的な遺構を通り抜けて


6:58、南今庄駅を出発。





杉津ホリディ公式スタート地点(ウソ)



まずはこのルートの定番、杉津パーキングで朝飯を食べていこう。




「今庄から敦賀までの間で、唯一補給できるポイントだ」
「ですが、また、あそこを通るんですよね……」


エルコスさんが浮かない顔をしているが、そりゃそうだ。これから旧北陸線トンネル群を抜ける。かつて北陸トンネル開通前に本線であった線路跡を道路に転用した道なのだが、





因縁の伊良谷トンネル。









鉄道用のトンネルである。






狭いし暗いし長いし照明なかったり。ただ幸いにして、今回は通行止めにはなっていないようなので、前回のように流木に吹っ飛ばされて落車、みたいなことはなさそうだが……




「ダメダメダメダメ、スピード出し過ぎ禁止!」
「頼まれたってイヤだわあんなとこ」


ところでこの道であるが、あちこちに旧北陸線の遺構と、街道としての北陸道の紹介が随所に盛り込まれている。




「ほれ、大桐駅跡で写真撮ってあげるから」
「ううう……  複雑です……」






大桐駅跡。これの代替が南今庄駅である。



その大桐駅跡を過ぎると、25パーミル勾配区間が本格的に始まる。とはいえ、かつての鉄道の難所も、自転車的な視点で見ればたったの2.5パーセント勾配である。めいっぱいローに落とし込んで、じんわり登っていくと、左手に新幹線トンネルの工事現場が現れる。





新幹線ができれば敦賀まで一本か……



前回はこのあたりで通行止めの状況を知ったのだが、今回は問題なさそう。さらに進み、山中ロックシェッドを通過。





これも歴史的な建造物である。



そして引上線と合流し、すぐ先に第一の刺客、山中トンネルが。





左のトンネルは突込用(ここはスイッチバックの信号場だった)。






「うわぁ……」
「まだ照明があるだけいいでしょ?」


なお、このトンネルのすぐ脇に、中山峠の銘板がある。

地理的にも、ここが峠のサミットであり、ここから杉津まではひたすら下り勾配になる。




「標高389メートルですね。嶺南と嶺北を結んだ由緒ある峠道です」
「それを鉄道に転用して、ふたたび車道に転用したということだな」






余談だが、林道を登っていくと河野のほうに出れるらしい。



こういったおもしろいつくりに魅了されてか、増える観光客に向けた案内板が以前よりも多く建てられたように思う。というか確実に増えている





一昔前は、こんな看板すらなかった。



さて、先入優先の山中トンネルにドロップイン。直線なので特に信号で交互通行規制をしているわけではない。

そして、抜けたところが伊良谷トンネル。ここは467メートルほどの長さしかないが、杉津方面に向けて左にカーブしていることから、信号で交互通行をしている。

信号待ちの時間は数分に及ぶが、右手を向けば、敦賀湾を一望できる最高のロケーション。ときの東宮殿下も、この絶景に嫉妬し、お召し列車の出発を遅らせたという逸話もあるほどだ。





こういう絶景(フラッシュ焚けばよかった)。






「もっと照明を増やしてくれたらいいのに……」
「風情がない」






敦賀方面へ。北陸道上り線を潜ります。



第一観音寺トンネルを抜けると、下りの斜度がきつくなり、軽快に飛ばした先に丁字路が現れる。このあたり一帯が旧杉津駅で、現在では北陸道杉津パーキングエリアに転用されている。南ハーフをやったときと同様に、ここで朝食と補給をしていこうと思う。





お前たち、やり過ぎんじゃねぇぞ。









自転車をエリアに入れるべからず。









「南ハーフのアレ、バレたのかな?」
「そんなことはないと思いますが。わたしはここで待ってますから」


という訳で、杉津パーキングエリア名物、ソースカツ丼をいただくとするか。





寒かったので温かい蕎麦も添えて。






なんとなく風が強い。こっち向きに。


さて、ここから葉原経由で敦賀に出るつもりである。スタートしてすぐに、照明のない曽路地谷トンネルに飛び込む。





ザ・恐怖。






「2017年の時に『杉津トンネル』と誤植したことを深くおわび申s……」
「お願いだからこんなところで立ち止まらないでぇぇぇぇぇっ!?」


次いで距離の短い鮒ヶ谷トンネル。少しゆるい登り勾配が始まり、葉原トンネルの北坑口で信号待ち。





ここも歴史的に重要なトンネルである(上に見えるのが北陸道下り線)。



トンネル内は南坑口へ向けた登り片勾配。ただし、舗装状態は他のトンネル群と比べて相対的によいほうで、照明も完備していて走りにくさはない。

5分の交互通行なので、なるべく早めに抜けるべく足を回す。4分弱でトンネルを出ると、あとは敦賀までひたすら下るばかりなのだが、トンネルを出て振り向くと、







信号は 現示。









「5分で抜けなくても青になってたなこれ」
「まあ、自転車であれば離合は容易ですけど……」






晴れてきた。紅葉もイイ感じで。



R476交点の手前で、ご同業とすれ違う。どうやらこれから今庄方面へと進むようだが、トンネルは通れるか?  と質問されたので答えておいた。

どうも葉原トンネルは、調査のための通行止めが定期的に行われているようで、今回はたまたま規制解除日だったものの、通行止めの看板が建っていたので念のために聞いてみた、という感じらしい。





敦賀に向けて下っていく。



ご同業との邂逅に気をよくしつつ、R476を下っていると、目の前に現れる不自然なトンネルが。





レトロな街灯がついていた。






「樫曲隧道です。旧北陸線トンネル群のひとつで、敦賀側最初のトンネルですよ」
「路線改良の餌食にならなかったのか。今まで気づかなかった」


その当時のトンネル施工技術、とりわけ煉瓦積みの解説が記載されていた。

確かによく見ると、煉瓦の積み方がトンネル上下で異なっているのが分かる。





下がイギリス積み、上が長手積み。






「あと、このトンネルは遊歩道になっているようですよ」
「レトロな街灯があるのは、そのせいか」


エルコスさんが物欲しそうな表情をしていたので、とりあえず一枚納めておく。うん、まあまあ良い流れだ。





ガス灯っていいよね(これはナトリウム灯だが)。






「やっと旅してる雰囲気出てきましたね!」
「天気も持ちそうだし、このまま行けるところまで行くか!」


こうして、敦賀の市街までやってきた。

2017年の南ハーフでは、ここから新道野越を経て栃ノ木峠を越えるルートであったが、今回は西に進路を採ってみる。今年はコロナ禍で大会参加がすべて吹っ飛んだから、WCRのルートでもなぞってみよう。





駅前からずっと直進する。






「美浜、小浜、高浜……  舞鶴のあたりで100キロになりますね」
「よさそうだね。まずは舞鶴を目指すか」


……と、当面の目標が決まったので出発、といきたいところなのだが、




「気のせいか?  なんか風こっちに吹いてきてない?」
「どうやら、今日は南西の風が続くようです」


つまり向かい風とお友達にならなければならない、ということか。開始いきなりで心が折れそうだ





とりあえず敦賀の街を抜けてしまおう。






「大丈夫ですよ。時速20キロを維持できれば、5時間後に舞鶴ですから!」
「問題は、その20アベレージを維持することなんだよなぁ」


ずっしり脚にクる西風を受けつつ、まずは標高100メートルの関峠へ。かつてのR27だが、現道が高規格バイパス化された今となっては、この道を使わないと基本的に若狭方面への往来ができない。





峠の先は美浜町。






「まあ、水晶浜まで行けば県道33号があるんだけどね」
「あそこは若狭路でも通りましたね」


いつものアイスコーヒーポイントも健在。ところで、なぜかアートトラックの遭遇率が高い。何かイベントでもやってるのだろうか?





かつてアイスコーヒーのスペルをAから始めたことでお馴染みの。






「あのトラックの独特な音って……」
「マニ割りだな」






もうデコトラで艦これやればいいんじゃないか、って説。



ばばばばば、ひゅるるる、ばぼぼぼぼ……  エキマニ分割が生み出す豪快なサウンドと海岸線を堪能しつつ、R27現道と合流する直前で脇道に逸れる。ここからは並行する若狭梅街道を南下する。





既視感がハンパない。



このあたりは、WCRの本コースとほぼ同一の区間を走破する。よって、小浜方面へは、海岸線のR162を往くか、R27で峠越えをするかの2択になるのだが、




「そういえば、この道の先ってどうなってんだろ?」
「120キロコースに合流するようです。こちらからも小浜に行けますよ?」


ルートの新規開拓でもしてみよう。今回はこのまま若狭梅街道を南下する。







向かい風の中を。









「ぬぁぁぁぁぁ、しんどいー!?」
「言っている割には、良い感じで乗れていますよ」






時に見知らぬ人を盾にして。



十村駅を過ぎて、若狭舞鶴道の高架下を抜けると、道はやや登り勾配に。地図上では若狭トンネルを潜るようなので、まあ大した登りではないと思うのだが、




「無理は禁物ですよ。まだ先は長いのですから」
「そうでなくとも、向かい風でコテンパンですわ」


おとなしくインナーでクリア。





若狭トンネル。三方周辺から小浜方面へは、どこを通っても丘越えが発生するようだ。



トンネルを抜けてすぐに県道22交点があるので、それを左折する。このあと県道22、24と乗り継いで小浜方面へと向かうのだが、




「これ、脚に余裕があれば、海岸線ルートでもよかったんじゃないか?」
「実は、僅かですけどそちらのほうが近道だったりします」


およそ1.5キロほどだが、海沿いルートのほうが短くなる。ただし、県道ルートの場合、目立った登り勾配がないので、走破時間としてはこちらのほうが早いかもしれない。





どうやらWCRの120キロコースにもなっているようだ。



県道218交点で右折すると、少し風の勢いが収まったように感じた。ここぞとばかりに加速して、だいたい時速30キロ台でライドできるようになる。





ようやく快適に走れるようになった。






「しかも、前走の人が良いペースで走ってくれてるので楽」
「他力本願はよくありませんよ?」


その前走の方は道の駅若狭おばまで離脱。程なくして小浜の市街地に到着した。このとき11:10。





小浜の市街地に着いた。






R27を採用しないわかりやすい理由





「杉田玄白って、ゆかりでもあるのかね?」
「ちょっと調べてみますね」


解体新書で有名な杉田玄白は、小浜藩酒井氏の藩邸で生まれ、幼少期を小浜で過ごしているという。19歳で小浜藩の藩医となり、その後の功績は言うまでもないものである。





玄白先生の名を冠した病院があったので。






「なるほど。これは勉強になった」
「合衆国の元大統領ゆかりの地でないことが分かっていただければ」


さて、そんな小浜市からさらに西を目指すのだが、交通量過多のR27よりも、一本南側を通る若狭西街道を経由したほうが、安全といっちゃあ安全である。




「ただ、まあ、あそこ結構アップダウンあるんだよなぁ」
「出ましたね、弱音が」






若狭のジローラモが殺しにかかるぜ(2019年のWCRより)。



もう一本、北側の海岸線沿いに通る県道235号というのがある。ただしこの道を往くと、途中で2回、R27を横断しなければならない箇所が存在するので、これはこれで手間がかかる。




「どちらも一度走破はしてるんだ」
「新鮮味に欠ける、と」


その結果、選択肢からは除外すべき禁じ手に手をかけることとなる。




「ダメですよ!  自転車はおろか、歩行者の往来すら想定していない道ですよ!?」
「だがこれが最短最速のルートだ」


こうして、意気揚々とR27に出て、後瀬山トンネルに突入し、そこからしばらく登り勾配と格闘することに





ほんとマジごめんなさいwww






「だから言ったじゃないですか!」
「逆目だな」


どうしてWCRでこのルートを採用しなかったが如実に理解できた瞬間である。このあとに控える勢浜トンネルまで登り勾配と路側帯の狭い区間が続き、トンネルを出たところで県道235の交点を通過する。




「とりあえず、もう絶対このルートは使わない」
「おわかりになりまして?」


さらにこのあと、加斗トンネルを経て、原発でお馴染みのおおい町に至る。





海と山と原発の街。






「このあたりは、西の原発銀座だからなぁ」
「また、あんなことにならなければよいのですが」


さて、小浜西インターのすぐ近くにローソンがあったので、一旦不時着。補給をしながらルートをチェックする。このままのペースでいけば、舞鶴到着がだいたい13時台になりそうだ。




「そうなると、もう少し先に進めるな」
「ですね。南今庄に戻れるデッドラインが……」


敦賀発22:43の福井行きが最終となる。そこから逆算すると、丹後半島の付け根くらいまでは到達できそうな気がする。距離もだいたい160キロくらいになりそうだし。




「宮津の先、天橋立がありますね。そのあたりでだいたい150キロになりますが」
「寄り道とかして、だいたい160キロか」


目的地は決まった。そうすると、次にそこへ至るルートなのだが、このまま舞鶴に向かうのは、やはり交通の往来が多すぎてちょっとしんどい。どこか迂回できそうな道はないものか。





とはいえ街を外れたR27も雰囲気良い箇所はあるし、何よりあと30キロ走れば舞鶴なのだ。






「青葉山の北側を通る、県道21号というのがあります」
「遠回りだが、交通量は少なそうだな」


難波江、内浦の両集落を結び、舞鶴東港に至る抜け道を、エルコスさんは示した。ただ、地形図を見る限り、だいぶ勾配がエグそうなのだが。





平均が8パー越えてるしwww






「150ほどのアップですね。最初に急な登りで、あとは比較的勾配変化が少ないですよ」
「それだけ聞くと、大したことないように思える」


エルコスさんの言葉を信じてみる。

さて、迂回路といえばもう一つ。大飯にある青戸の大橋を渡り、青戸入江の北側を通る県道266号でR27をバイパスするルートもあるのだが、




「大先生、写真撮りましょう!」
「橋をバックにな!」






青戸の大橋。大島半島の玄関口でもある。



こうして画像にしてみると判るのだが、







結構、登ってる。









「行かれますか?」
「……やめとく。幸い、このあたりは走りやすいし」


そこからさらに進み、高浜町に入ったあたりで県道149号線交点を発見。





この細路地を入る。



ここから海岸線沿いに進み、県道21号と合流したあたりが難波江の集落とのこと。このあたりは良い波がやってくるポイントらしく、11月も下旬だというのに大勢の波乗りが集結していた。




「どうりでウェットスーツ干してる人が多いわけだ」
「気候も安定しているので、サーフィンには丁度良い場所のようです」






メッカなんだろうなぁ。……てぇくらい波乗りに興じてた。



県道149交点より、本格的な登りが始まる。エルコスさんのガイド通り、いきなりインナー必須の登り勾配が始まる。




「まあ、別に死ぬほどキツい訳じゃないですね」
「いやいや、普通の人にはキビシイ勾配だぞ?」


ちなみに先述の通りこの区間の推定平均斜度8.6パーセント。間違いなくインナーロー案件である。





死ぬほどキツい訳ではないという坂。景色は秀逸なんだが。



道はこの先にある内浦の集落を目指しているが、内浦集落そのものが標高150メートル帯にあり、幸いにしてもうすぐその高さに達する。ということは、




「ここから勾配は緩くなるのか」
「ほぼ平らみたいなものですよ」


なるほど。勾配はきついがさほど身構えるものでもなかったか。

途中、峠部分をバイパスするトンネル工事の現場で小休止したが、ふと後ろを振り返ると、




「流れが来てますね!」
「グイグイな」






時折見える内浦湾が、これまた良い感じなのよ。



そして塩汲峠へ。峠部分が県境となっていて、ここから先は京都府舞鶴市。右折すると上瀬集落となるが、





魅力的なのだが、上瀬から先が未通区間。






「限界集落のようです。棚田が有名だとか」
「興味はあるんだけどね」


いつの日か再訪してみたい。今回は行程を急ぐことにする。




「塩汲峠ってくらいだから、塩が有名なの?」
「このあたりで作られた塩は、峠を越えて京に運ばれていたようです」






ここから京都府に入る。



エルコスさん曰く、歴史のある峠なのだとか。標高でいうと150メートル程度だが、海岸線から一気にくらわす系の峠で、なかなか走り応えがあった。

ここからは下り勾配となり、朝来の集落まで降りる。このルートを使えば、R27の県境にある青葉トンネルを迂回できる。交通量も段違いに少なく、のんびり走るにはオススメである。





沿線の風景だってコレもんですよ。






「ただ、圧倒的に登るんだよな」
「ですが、内浦湾の景観が秀逸で、ご同業の往来も多いそうですよ」






右折して舞鶴市街へ。国道の迂回路にもなっている。






ドイツと大河と通行止めを越えて


13:30、舞鶴東港着。





港の東側は工場地帯になっていた(ここを左折してR27に至る)。



昼食がまだだったが、そんなに腹が減っていなかったので、補給食代わりにサンドイッチ食べながら、ルートの確認をする。とりあえず目標としていた舞鶴までは来たものの……




「今のところ予定通りですよ!」
「最初は向かい風だったから、どうなることかと思ったよ……」


ここまでの距離がだいたい115キロ。天橋立まではあと45キロほどか。

エルコスさんに天橋立発の時刻表を照会してもらうと、天橋立発17:11で小浜線経由の便があるという。南今庄には21:09着らしい。




「福知山から京都周りで帰ることもできるのですが……」
「エラい遠回りだな」


ただ、ほとんど特急使用で所要時間はほとんど変わらないらしい。そのかわり倍以上運賃がかかるらしいが。




「却下だ却下!」
「まあ、小浜線回りでもまだ1本余裕がありますから」


とりあえず当面の目標としては、天橋立着17時ジャストである。そうと決まれば先に進もう。





東舞鶴の市街地は、やや道が狭い。自衛隊のほうまで行くと広くなるが。



東舞鶴には海上自衛隊の桟橋があるほか、北海道・小樽とを結ぶフェリー乗り場がある。




「ちょっと寄り道していこう」
「あまり時間をかけないでくださいよ」






軍港のお約束、赤レンガ倉庫群。



このあたり、函館や横須賀と同じく、赤レンガで建てられた倉庫群が並ぶ。いくつかは展示施設として観光資源となっている。




「問題は、レンガ建築って、耐震性に難がですね……」
「急に物騒なこと言うなよぉ」


特に関東大震災のときの被害が甚大であったことから、以降は鉄筋コンクリートに変わり、現存するレンガ建築物には補強が入るようになった。





小樽行フェリーのりば。



さて、フェリーのりばに到着。ここから小樽に向けて船が出る。




「まあ、当然ながら船はない」
「舞鶴発は23:50ですからね」






かつてこの場所で、鉄道vsフェリー、という対決が催された……



見学もそこそこに、我々はフェリーのりばを辞した。いつかここから旅に出るのも面白いかな?





来た道を戻ると、なかなかにいかついのが停泊中。



さて、先述の通り舞鶴東港には、海上自衛隊の桟橋があって、現役の護衛艦が停泊していたりする。




「リアルに艦これだな」
「残念ながら、あれは大部分が帝国海軍時代のものです」






横須賀からの映像、といっても案外バレないんじゃないか?



ひとしきり眺めた後は、五老トンネルへの軽い登りを経て、今度は西舞鶴へ。




「なんか全然雰囲気違うんだが」
「こちらは田辺藩の城下町だった場所です」


どちらも一定に栄えてはいるのだが、雰囲気がまるで違う。ここでエルコスさんがレクチャーしてくれる。




「東舞鶴は軍港を中心に発展しました。対して西舞鶴は戦国時代からの城下町として発展しました」
「てことは、もともとは違う街だったってこと?」


現在の舞鶴市になったのは1943年のこと。といっても、東西それぞれの舞鶴市は、わずか5年とか6年くらいしか歴史がないらしい。




「ドイツみてぇだな」
「壁の代わりに五老岳ですけどね」






東は軍港のイメージがあるが、西は生活感溢れている。



さて、西舞鶴を抜けたのが15時ちょうどくらい。残りだいたい30キロの距離を2時間で走り切らなければいけない計算だ。まあ、過去の経験上、よほどのことが起こらない限り到達できるだろう。しかし、できれば天橋立を詣でもしたい。




「……やりますね?」
「頼んだぞ」






そして、少しずつ雲行きも悪くなってきた。



少しだけペースを上げる。さて、西舞鶴を出てすぐに40アップの念仏峠。ふじつ温泉のあたりで県道568へ右折すると現れる峠だが、




「もはや丘越えと変わらん」
「ですね。ホラ、すぐに下り勾ばi……」






あんましメジャーじゃない警告板。









冠水するってよ!









「ウソでしょ!?」
「まあ、今日は天気がいいから大丈夫だろう」


しかし、天気が良いとも言ってられない。天気予報的にはこのあと降雨の予報だし、気が付くと空には厚い雲が張り巡らされていた。

ちょうどここでアクションカムの電池が切れたので、予備電池に交換しておく。





そして現れるアンカー。






「大先生!  あの橋を左です!」
「あの吊橋だな」


八雲橋は、由良川を渡る車道橋としてはもっとも河口側にある橋である。これより河口側には、丹鉄の由良川橋梁しかなく、うっかり通り過ぎようものなら







空前絶後の「ふりだしに戻る」






を身をもって体験することになる訳で。




「R178に出ました。あと20キロです!」
「1時間半で20キロか。ちょっと余裕なくなってきたかな?」






そのR178に、面白そうなドライブインを発見。



由良川の左岸に沿って走ると、件の由良川橋梁が見えてきた。歴史を感じるシンプルな鉄橋だが、ここを列車が通ればさぞ絵になるのだろう。……とか思っていたら、ちょうど西舞鶴行が川を渡るところだった。




「大先生!  急いで!  急ぎながら写真撮りましょう!」
「どっちだよwww」






ガタゴトと音を響かせて渡るキハ単。



急ぎながら、というか慌てて撮ったので満足な写真にならず。このあたり、もう少し余裕ある行程になるように計画を密にしないといけないなぁ。

色々課題を洗い出しつつ、由良の集落を抜ける。そろそろ陽も落ちて暗くなってきたか。





あと17キロほどか……



由良からは若狭湾、栗田湾を右手に見ながら海岸線を往く。適度なワインディングが楽しめる道なのだが、




「ここ、もう一度走りに来ましょう!  晴れた日に、ゆっくり景色を眺めながら!」
「同感!  ちょっと忙しなさ過ぎだ」






このワインディングは走り応えがある。



エルコスさんが焦っている。ワタクシめも焦っている。結局最後は列車に間に合わせるための全開走行になってしまったが、急いで駆け抜けるのが悔やまれるほど、ここからの景色は秀逸なのだという。

確か丹後半島を一周するロングライドイベント(2020年は当然だが中止になった)もあるくらいなので、この情勢が落ち着いたらrenas先生やnsjさんあたりでも誘って、出場してみようか。

なんて考えつつ、栗田までやってくると、





自転車は通っちゃダメなヤーツ。









やべぇ詰んだwww









「あ、大丈夫です!  側道から迂回できますよ」
「あせったぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」


無事に国道復帰。最後の難関栗田トンネルも、ここまで来てしまえばチョロいもんである。





道道604号方面に曲がれば、国道に復帰できる。






「だいぶ暗くなってますから、脚下に気を付けてください!」
「あと、なんかポツポツきてるなぁ」


トンネルを出て、なんとなく雨粒を感じながら下り勾配を駆け降りると、宮津の街に着く。ここから天橋立は目と鼻の先だ。





宮津から天橋立までは、割と近い。



そして16:22、天橋立に到着。




「おお、丁度良い撮影スポッt……」
「大先生!  急いで撮影しましょう!」


乗車予定の列車が発車するまで残り50分残した。気持ちは分かるが落ち着けエルコスさん





後にエルコスさんが文句を言う。「三脚持ってきたのに、どうしてですか!」……と。






日本三景はエラく長かったって話。






GoToの影響か、そこそこ人の往来があった。



せっかくだから天橋立を走っておこう。意外かもしれないが、自転車での通行が許可されている。それどころかレンタサイクルまである




「松並木を散策するのに丁度よいそうです」
「どんだけ長いんだ、って話だが」






南側は割と賑やか。



三連休初日で賑わいを見せる商店街から廻旋橋を渡り、いよいよ松並木へ。固く踏みしめられた砂地だが、慎重にエルコスさんを走らせる。




「なんか急に静かになったな」
「人の姿も少なくなりましたね」






ほとんど人がいなくなった。



人気のない道を走るのは心細い。商店街周辺の賑わいはドコ行った?

あと、股のぞきでお馴染み傘松公園へと登るケーブルカーの軌道照明が遠くに見えるのだが、







全然近づかねぇwww









「まさか、迷いの森に……っ!?」
「これだけゆっくり走っていれば当然です。3.6キロもあるのですよ?」


できれば対岸まで渡りたいが、戻り時間も考慮しなければならない。いつになったら着くのやら、と気を揉んでいると、ようやく舗装路が見えた。ここが天橋立の北側になる。





面白そうな自転車屋を発見、と思ったらアクティビティセンターだった。






「だいたい10分で3.5キロ走りました」
「17時前には駅に着けるか」


小休止の後、もう一度天橋立を渡る。途中、エルコスさんの撮影欲に応えながら。





そしてもう一回怒られた。「なぜですか!?」と。だがしかし、このとき彼女はひどく慌てていた。



天橋立駅は、松並木から至近の位置にある。その天橋立駅に隣接する形で、智恵の湯がある。ここで輪行しつつ温泉で汗を流すなんて、なんて完璧な構成なんだ!







次の列車は20分後。









「旅が下手になったなぁ……」
「また来ればいいじゃないですか!  さあさ、輪行しないと!」






天橋立駅でフィニッシュ。走行距離162.4キロになった。



旅下手といえばもう一つ。丹鉄の番線付与についてであるが、一般的な駅舎側からの付番ではなく、下り線側からの付番となっていることに留意したい。つまりどういうことかというと、







改札出たところが3番線。










危うく乗り遅れるところだった。






「1番線は跨線橋を渡りますね」
「油断してビール飲んじまったじゃないか!?」


丹鉄ではよくあることらしい(隣の宮津駅はもっとカオスなことになってるらしい……)





あと、南今庄は本降りの雨。雨雲からの逃げ切りに成功。












TITLE:杉津ホリディ・西ロング
UPDATE:2020/12/01
URL:http://y-maru.sakura.ne.jp/285_suizu_w/suizu_w.html