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261:超実踏日記4〜立山黒部アルペンルート24時〜



text&photo  by  ymr20xx@y-maru.com。







イントロです。


11月に入り、そろそろスキーシーズンが近づいてきたなぁ、とワックス掛けながらぼんやり過ごしていたら、とんでもないニュースが飛び込んできた。



トロリー廃止の「立山黒部アルペンルート」…電気バス公開、来春導入

→引用元:https://www.sankei.com/west/news/180723/wst1807230034-n1.html



これによれば、関電トンネルのトロリーバスは、2018年の11月末日を以て廃止。翌2019年には新たに電気バスとなってカムバックするらしい。







((((;゚Д゚)))<何ということだ!?











電源は架線から取るらしい。



メニアックな話をすると、トロリーバスは法律的には鉄道に分類される。それをやめる、ということは、鉄道事業の廃止を届け出るということになる。そして、日本国内で定期運行されるトロリーバスは、大観峰と室堂を結ぶ立山黒部貫光のみとなってしまう。






こちらはまだまだ現役で残るようだ。



「なーんだ、まだ絶滅しないんじゃんw」 なんて角砂糖煮詰めた汁を一気飲みするようなド甘な考えを持ってる者は、冷静に考えてほしい。この区間は、立山連峰のほぼ直下にあるのだ。すなわち、







到達までがエクストリーム






となるのだ。

そんな訳で、なくなる前にもう一度、あのGTOサウンドと、架線の切り替え直前の減速してからのガッコンを味わうべく、ワタクシめはアルペンルートに脚を向けたのだった。……ついでに、上級者向けのアルペンルートの遊び方も説明しておこう。






あと、ついでだからダムカードもいただいておくか。






アルペンルートを周回できるのか?


さて、上級者向けの遊び方というのが、これから説明する日帰り周回というヤツであるが、結論から言うと、マイカー回送なしで、で実施は可能である。

まあぶっちゃけた話、過去に一度やっているので、検証するまでもなく可能である。ただし、コツが要るので、順を追って説明していく。






早朝の糸魚川駅。



まず、スタート地点は糸魚川がベターである。これは、運行本数が極端に少ない、大糸線糸魚川−南小谷間の運行スケジュールに合わせるためだ。

なお、富山駅起点で、かつ長野県側に抜けるケースも可能で、2018年11月現在、信濃大町20:14の南小谷行に間に合えば、乗り継いだ末に糸魚川に22:16着。22:31の金沢行最終のはくたかで、23時前に富山に到着できる。

つながりが悪いが、信濃大町を起点にしても、とりあえず日帰り周回は成立する模様。ただし、絶対にやってはいけないことがある。それは、







扇沢を起点にすること。






信濃大町からのバスは、16:15が最終なので、最悪、クルマを回収するためだけに







6K払ってタクシー






を覚悟しなければならない。






大糸線の始発に乗り込む。



そんな訳で、6:01南小谷行420Dに乗り込む。糸魚川から一緒に乗り込んだご婦人は、南小谷まで一緒だった。






平岩駅で小休止。



徐々に夜が明けてきた。根知、小滝と過ぎていくと、姫川のスノーシェッド区間に差し掛かる。このあたり、線形の悪さと隘路ゆえに、25キロの速度制限を受けながらトコトコ走っていく。

いつもの野宿定点を越えて、トンネルをいくつか抜けると平岩。ここで15分ほど停車し、列車番号を変えてさらに南下。






豪雪地帯で、かつ過疎区間ということで、廃墟もあちこちに。



気が付くとウトウトしてたようで、気が付くと7:22。南小谷に到着。






信濃大町行は電化区間になるので、車両もそれなりに。



ここで信濃大町行5323Mに乗り換えるのだが、来訪日は思いっきり平日で、見渡すとごく普通の通勤通学風景。制服姿の若手に囲まれつつ、8:24信濃大町着。ここからアルペンルートの軌道に乗る。






信濃大町駅。駅前旅館で前泊、というのも悪くないか。






日本語ではない。


軍資金の調達なんかをしつつ、9:05扇沢行のバスに乗り込む。この時点で空からは大粒の雨。もはや天気は期待できそうにない。






扇沢行を待つが、その扇沢方面が見事な鉛色。



そして、乗り込んだバスの中では、







ほぼ日本語ではない言語






が飛び交う。そうか、平日にこんなとこ来るのは、だいたい外国人観光客か。






そういや字幕も英語だけじゃなくなってるな……



そんなこんなで9:45、扇沢に到着すると、







いよいよハングル。











扇沢駅。



それも団体さんでハングルだ。むしろ、日本語で会話している集団を探すほうが難しいくらいだった。

その結果、平日にもかかわらず







トロリーが大混雑。











平日の、まだ出発だいぶ前(列はもっと伸びた)。



インバウンドの勢いがハンパないことをよく理解した。






とりあえず最後尾に乗り込む。



さて、10:00発のトロリーに乗車する前に、今シーズンで営業終了するトロリーをよく観察してみる。トロリーポールで直流600Vを引き込み、東芝製VVVFで誘導機を駆動するスタイルだ。






なもんで、片方が正極、もう片方が負極。



トロリー界隈のギモンとして、分岐部分の架線の扱いはどうなるのか、というのがある。架線は2本並列で、それぞれ正極と負極になっている。ゆえに、ポイント部分では短絡してしまいそうな構造なのだが、クロス部分は工夫してるっぽい。






わかりにく画像だが、構造的に短絡しないように工夫されていた。



トロリーポールと架線の接触は想像以上にデリケートで、分岐部分では停止寸前まで減速して乗り越えていく。さもないと容易に離線してしまうらしい。

しかし、その一連のルーティンが通っぽくて好きだったりする訳で。






ゆえにこういう場面では極端に減速する。



あと、トロリーバスは、法律上では鉄道の仲間ということで、色々な設備が鉄道のそれである。






車内設備も、どちらかというと鉄道に使われているものがほとんど。



残念なのは、これが2019年には見ることが出来なくなるということだ。本ページアップ日から考えて(2018年11月18日)、乗りに行けるチャンスは限られているが、可能ならば訪れてはどうだろうか。時期的に、黒部ダムの紅葉もギリギリ楽しめるだろう。






忘備だが、ダムカード入手には乗車券が必要になる。入手はどちらでもよい。



さて、10:16黒部ダム駅着。






これもまた一種の「地下駅」だな。



今シーズンがトロリーのラストランということもあってか、メディアの取材が入っていた。

本来であれば、日電歩道方面に進み、ダム堤体を下から見上げるアングルで撮影をしたかったのだけれど、残念ながら悪天候のため、オススメできないとのこと。ちなみに、日電歩道へは、駅ホームをさらに奥に進んだところにある。






直進すれば、超高難度の絶景路へ。



仕方ないので、いつも通り展望台まで階段をテクテク。






割と健脚向きだと思う。



信濃大町では本降りの雨だったが、何とか引いてくれた。観光放水の時期ではなかったのだが、運よく放水中だった。






降雪期対策で、あらかじめ抜いておいてるのだろうか。



黒部ダムの訪問はこれで7回目くらいなので、もうだいたいどこに何があるかはハッキリしている。そして、あれば買おうと思っていた動画のほうの「黒部の太陽」はもうなかった。






天気は良くないが、しかしこれはこれで。



そんな訳で、手ごろなところで撮影を切り上げて、ダムの堤体を渡る。むしろ、本命はこれからなんじゃないか、と。






堤体を往く。上の方に見えるのはダム建設時の遺産。



余談だが、ダム堤体から下流をよく目を凝らしてみると、小さな橋が架かっている。それが日電歩道に通じる登山道で、予定ではあそこから一眼レフで撮りたかった。






そして雨が降ると、あの橋はすげぇ滑るらしい。






乗り物テーマパーク


ダム堤体を渡ったところが黒部湖駅。ここから富山地方鉄道立山駅まで、ひたすら乗り物に乗り換える。






断言するが、アルペンルートはここからが面白い。



多数の乗り物に乗り継ぎ、ゴールを目指す、というルートなのだが、これが実にアトラクション感がハンパない。普通の交通機関であれば不便でしかないが、何せここは日本を代表する秘境。不便であるより前にえれえ楽しい






まずはケーブルカーで。



まずは11:10黒部湖発黒部平行のケーブルカー。こちらは、全線がトンネルの中を往く珍しいタイプのケーブルカーだ。






それでは出発。



交走式のため、途中で行き違いがある。






右を通るか左を通るかは、完全に運。



そしてしばらく登り、速度が落ちたところが黒部平駅である。駅舎から外に出ることが可能ではあるものの、実質ロープウェーとの乗換駅である。

11:30大観峰行ロープウェーに乗る予定だったが、ハングルおばちゃん御一行様が列をなしていて、こりゃぎゅうぎゅう詰めだなと判断。幸い、11:45の臨時便があるらしく、それ狙いで一本外す。






レオナード制御方式の説明をする際に参考にできそうなのがあった。



なお、ロープウェー改札前に立ち食い蕎麦屋があり、秋口の寒い時期にここで一杯啜るのがオススメである。






白エビの掻き揚げそば900円。



そして、11:45黒部平発の臨時便で、大観峰へ。






ワンスパンの利点の一つは、とにかく展望が良いことだと思う。



ロープウェー越しに黒部湖を拝みつつ、7分の乗車で大観峰に到着。そして、すぐさまトロリーに……






大混雑。









一本待とう。






この混雑っぷりでは、乗れても立席になる可能性が高いので、12:15の定期便に乗ることにした(ちなみに当初乗ろうとしていたのは、12:00発の臨時便だった)。






本日2回目のトロリーバス。



先頭車両の最前席をゲットし、揺られること10分で、ようやく室堂に到着する。






トロリーバス内は破砕帯を積極的にPRしてます(関電のほうはもっと顕著に)。



長野側からだと、折り返し地点としては最深部になる。これより先に進んでしまうと、戻ってくるのがしんどくなる。逆に富山側からだと、ここからが乗り物テーマパークのはじまりとなる。






室堂駅。



そういったこともあってか、関電トロリーと比べると、相対的にすいている印象がある。トロリーを堪能するなら、この区間がよいかもしれない。

室堂は、立山登山の基地的役割を成していて、あちこちで登山客の姿を見る。というか、室堂の観光客のおよそ半分が観光客か登山客(もう半分が外国人)。




大賑わいの室堂。



室堂のターミナルにはホテルが併設されているほか、土産物屋を始めとする商店が営業している。逆を言えばそれしかない。そして来訪日が11月中旬であることも災いし、外は雪






今シーズンの初雪。



こうなるとすることがないので、12:40美女平行の高原バスに乗り込む。






先ほどまでの混雑とは無縁になった。



ややシートピッチの広いバスに揺られること50分で、美女平まで下りてくる。ちなみに道中、ずっと雨模様だったので、特に写真は撮らず。ぶっちゃけた話、ここが仮眠取れるポイント






遊歩道の起点でもある。ここから歩く登山客も。



美女平から立山駅までは、ロープウェーで下っていく。待ち時間は20分で、その間にあちこち回っておく。ちなみに美女平から下流は、一般車両通行禁止規制になり、これは徒歩や自転車も含まれるそうだ。






立山の集落を見下ろして。



時間が来たので、13:50美女平発に乗り込む。なお、11月の時点で、これを逃すと次は14:30まで待たなければいけなくなる。






これに乗って下界へ。



立山まで下りてしまうと、そこには生活の匂いが漂い始める。






そして到着。



14:56特急たてやま4号に乗り込み、山を下っていくと、あれだけ悪かった天気が一転、青空が見えだしたではないか。






いい天気。



本当であれば、あの天気でアルペンルートを通り抜けたかったのだが、それはまた次の機会に取っておくとして。






宇奈月温泉方面との分岐、寺田駅にて。



さて、列車は15:45に電鉄富山駅に到着。あとは糸魚川に戻れば、無事一周したことになる。






あとは新幹線に乗るだけだ。






LRTというジャンル


新幹線が乗り入れた富山駅は、高架化工事の真っ只中であった(一部はまだ地上駅設備が残されている)。その高架部分に、富山地方鉄道の市内軌道線が乗り入れるようになった。






ちなみにこの区間は増設されたもので、高架前は存在しなかった。



思えば、富山港線が廃止になったときもLRTで復活したりと、富山はLRTに力を入れているように思う。そして、新幹線改札口から直結している駅停留場の動線が秀逸だと思った。






コンコースから直結なのだ。



LRTめぐりで小旅行、という新たなジャンルがあってもいいかもしれないな、とか思っていると、16:33はくたか570号の時刻が迫ってきた。






なお、富山から糸魚川まで、だいたい3000円くらい。



すっかり暗くなったが、糸魚川手前、姫川から望む日本海がうっすら見えた。17:00糸魚川駅に到着。アルペンルートで周回するのには、ざっくり11時間かかることがわかった。






ちなみに糸魚川駅では、キハ52が出迎えてくれる。






乗り物好きにはたまらない


という訳で、新旧多種多様な車両に乗り継ぐだけの旅だが、1車両あたりの乗車時間がそれほど長くなく、しかもある程度徒歩移動もある。






富山地方鉄道も(他社の転用とはいえ)多彩な車両が揃っていたりする。



おまけに途中にはダムもあるという好立地なこのルート、乗り物好きな方には是非とも横断してほしい。ただし、







すげぇ混む






……あと、雑踏が日本語ではなかったりするが。






熾烈な環境にあるので、建物も質実剛健。それを楽しむのも一興。





TITLE:ダムを愛でる
UPDATE:2018/11/18
URL:http://y-maru.sakura.ne.jp/261_alpine/works04.html