2012年版ガイドライン 実地踏査シリーズ スキー百本勝負 ほぼ月刊動画工房 ステキなダムn選 トップページ 用語辞典       


242:ちょっと下田まで。



text&photo  by  ymr20xx@y-maru.com。






本日のルート (powered by ルートラボ)

蒲田→横浜→茅ケ崎→小田原→熱海→伊東→河津→下田(実測186km)




時期が悪いかな?


毎年恒例の繁忙期を経て、次の繁忙期への谷間となる7月であるが、どうにもこうにも出歩く気がしない。何せ、日中は最高気温34度くらいイッちゃうのだ。



これはまだよい方。



そんな訳で、エルコスさんに乗るのは専ら通勤の時くらい。まだ暑くなる前か、日が暮れた後なので過ごしやすいからだ。

しかし、そうも言ってられない事態が迫っているので、ここは無理にでも乗らなければ。



「とはいえ、どちらに行きましょう?」
「安定の小田原漁港」




手ごろな目的地。



ワタクシめの居住地域から、神奈川県の小田原漁港まで、R15とR1を経由してだいたい100キロ。うまい魚を食べたらビールかっ喰らって帰りはグリーン車さ!



「でも、大先生確か、痛風って……」
「チューハイに変更します」


加齢とのデッドヒートさ(泣)!



じゃあ、行くか。






小田原まで


小田原までの道は、通勤経路にもなっているR15を南下し、横浜からR16に乗り換え、いつもの分岐吉野町三丁目を直進して、藤沢で県道30号、そしてR134からR1に乗り換える







ザ・定番






な100キロルートである。



「茅ケ崎で競泳水着のおねーc……」
「ひっぱたきますよっ!?」


という訳で、6:00スタート。まずは東京タワーの脇を通り、品川駅を通過。平日の通勤時間帯はだいぶカオスなこの道も、休日の早朝ではガラガラだ。



品川を通過。





「さてと、どうしようか……」
「何をですか?」


第一京浜を走りながら、今回の動画のBGMを何にするか考えてみる。まあ、候補はいくつかあるのだが……



「もはや、動画を作りたいがために走る」
「本末転倒じゃないですか」


程なくして、神奈川県に入る。この先、鶴見中継所があるので、そこには立ち寄る。これぞいつものルーティンだ。



余談だが、鶴見中継所の立地は駅伝を見越したかのよう。





「あ、国道駅ですよ」
「ルーティンを外れてみるか」


いつもは通過するだけだが、確かにこの雰囲気は独特で、ひっそり静まり返ったガード下に、ハトの羽ばたく音だけが響く。



この店は、吉田類のアレにも出てた。





「うわっ!?  なんか降ってきた」
「ぎゃぁぁぁっ!?」


早々に退散。このあと、横浜市街を通過し、幾多のご同業と邂逅しつつ、吉野町三丁目交差点へ。



三浦半島との分岐。



直進するとやがて上大岡に至り、さらに進むと大船駅。このあたりは、以前ちょうちんを作りに行ったときに通った道で、ちょっと先には飯田牧場があったりする場所だ。



「どうやら大船駅方面へ逸れると、勾配を回避できそうですよ」
「じゃあそちらへ」




そして鎌倉市に入った。



大船駅のちょっと先で鎌倉市に入り、すぐに藤沢市へ。そして湘南新道こと県道30号へ乗り換える。すると、図ったかのようにご同業が急増し、そしてもう一つ……



「サーフボードキャリア付自転車が増えましたね」
「湘南あるあるだな」




こういうやつね。



茅ケ崎からR134。気温は急激に跳ね上がり、あっという間に干上がる。春秋シーズンだと小田原まで持っていた二つのボトルは、白湯になった上に底をつきはじめた。たまらずコンビニに不時着し、ガリガリ君と大量の水を購入する。

ボトルに水を詰め、残った水を飲むのだが、これが止めどもなく入る。そして吹き出る汗。



「大先生、気を付けてください。熱中症になりかけてます」
「こりゃハードだなぁ」




休めるような日影がないのも、ハードにさせる要因かも。



このエルコスさんの忠告はドンピシャとなった。西湘バイパスを逸れてR1に入ったあたりから、空あくびと痙攣が止まらなくなったのだ。



「ストップです!  そこのコンビニに入って…… いや、入りなさい!」
「うぁー……」


休憩のサイクルが短くなっているが、致し方ないのだろう。買った水を頭から被ると、その直後、変な声が出た。



「びゃぁぁぁ!?」
「まったく、無理するんだから……」


これで少しはマシになったものの、走り出すとすぐに蒸発する。そのたびに停まっては水を浴びて、……それをn回繰り返すと、ようやく小田原の文字が。



ゴールはもうすぐか。



この頃になると、暑さにも慣れ始めた。ただし油断すると、かすかに足が痙攣を始める。



「ハイ! もっと水を飲む!」
「はいぃぃぃっ!?」


水というか白湯というかを飲みながら、11:30小田原漁港到着。定石通りにふるはうすへ。到着が早かったのが幸いし、限定10食のミナト定食にありつく。1800円。



そしてアジがうめぇ。





「わーい、ごはんだぁー!」
「あ、そういえば今日ほとんど食べてませんね!」


エルコスさんが怖い顔をしたが、正解。確かに今日は、涼を取るので食べたガリガリ君が唯一の固形物だ。いつもの感覚でやってしまったが、よく倒れなかったものだ。



「反省がなさすぎます!」
「なのでここでガッツリ食べます」


小田原漁港といえばアジフライ。これでご飯一杯軽くイケる。お陰で腹は膨れた。



全力でアジフライ推し。



さて、これでやることは済んだので、あとは早川か小田原から輪行で帰ればミッションは完了。……なのだが、



「あの、大先生……?」
「ん?」


エルコスさんが何やらモジモジ。ちなみに時刻は12:30、まだ終わるにはちょっと早いか……



「もっと先まで行く?」
「あ…… はいっ!」


目をパッと輝かすな、こっちが照れるじゃないか。

とはいえ、行ったとして箱根の山を越えるかくらいしか道が……  と思っていたら、あることに気付いた。



海沿いの道をこのまま南下すると…… という話。



小田原らへんは、丹那山地によって東西が分断された、その東側にある地域。道は、先述のとおり箱根の峠を越えるか、さらに北上して足柄を抜けるか。だが、丹那山地とケンカしない選択肢を選んだら……



「エルコスさん、下田って行ったこと、……ないよね」
「あるわけないじゃないですか」


東伊豆の海岸線をひたすら南下すると、その突端は下田になる。夏の時期、海水浴で賑わう地域だが。



「じゃあ、行ってみようか」
「え、本気ですか!?」





下田まで


エルコスさんが耳を疑ったのも当然だ。伊豆半島の地理は、半島中央の山岳部がそのまま海までせり出すというエグいものとなっていて、道中にあるいくつかの街は、主に海岸に近い僅かな平地か、もしくは谷底にあるという有様なのだ。



エグい例



つまり、どうやっても山登りは避けられないうえ、今日は最高気温34度という猛暑日。不利な条件しかない状況なのだ。



「じゃあ、やめる?」
「ぐぬぬぬ……」


小田原から下田までの距離は、約100キロ。調べてみたら、帰京するタイムリミットは20:30。逆の考え方をすれば、7時間で100キロ走り切ればよいので、体調のマネジメントさえ怠らなければ、たぶん行けるだろう。ダメでも最悪、下田一泊すればよい。



「いいね、行くよ」
「わかりました。死なばもろとも、です」


物騒なこと言うなぁ、なんて思っていたら、小田原から最初の難関、真鶴道路へ。



真鶴道路で湯河原へ。



かつては根府川への旧道を通らなければならなかったが、一部区間が無料開放されたので、海沿いのルートを選ぶ。この区間は休日になると例外なく詰まるのだが、自転車ならそれは無縁だ。



右にそれてもいいが、さらに地獄を見る。



根府川への分岐を過ぎると、少しずつ流れるようになった。この区間、海岸線をトレースする快走路で、インナーに入れるような急勾配はない。強いて言えば交通量が多いくらいか。



「大先生!  気持ちいいですね!」
「景色もいいしな!」


真鶴ブルーラインの料金所手前で側道へ。R135の指定を受けているが、ここもかつては有料道路だった。



さすがに本線は自転車通れない。





「無料開放は2008年頃みたいですね」
「意外と最近だな」


分岐から真鶴トンネルまでが、まあまあ急な登り勾配。左手の景色は秀逸だが、暑さで体力ゲージはゴリゴリ減る。ただしトンネルを抜けてしまえば、あとは湯河原まで快適な下り勾配になる。交通量過多で流れが悪いものの、お陰で前走車を突っつくくらいの速度は出る。

やがて真鶴道路と並走するようになって、平地にさしかかると、そこが湯河原の街。相変わらず渋滞が激しい国道を少し走ると、ビーチラインとの分岐に差し掛かる。



「県境ですね」
「いよいよ静岡だ」




静岡県に入る。



その静岡直後がいきなりの急勾配。ろんぐらいだぁす! ツーリングガイド2巻で三宅センセが、「この道を平坦基調という人の感覚はおかしい」と言っていたが、







どこが平坦だ!?








確かに平行という概念に何らかの問題あるだろ。



立派な山岳道路であった。たまらずインナーに落としてじっくり処理にかかるが、ジリジリと責め立てる容赦ない日差し。あっという間に身体は悲鳴を上げる。



「あの赤い悪魔に応援を要請する!」
「許可します!」




ガブ飲み。



そして水をかぶる。おーい、変数nはいくつだー!?



お、名称が初めて出てきた。



ところで、距離看板に下田の文字が現れ始めた。あと80キロ先のようだ。



「時速10キロペースで間に合う計算です」
「つまり、時間的には楽勝、という訳か」




「がんばって!」と、美人も応援する。



美人多しの看板を過ぎると下り勾配になり、そのまま熱海の市街地へ。登りはしんどいが、下りは攻め甲斐のあるコースレイアウトなのがいい。もうずっと下りだったらいいのに



「病み上がりに渋峠行っちゃう人の言葉とは思えません」
「あそこは夏でも涼しいからいいんだって!」




下りは面白いんだが……



熱海は鉄道の結節点で、東西に東海道本線と新幹線が走り、南へは伊東線と伊豆急行を経て下田まで鉄路が伸びる。しかし、陸路においてはR135のいち通過点でしかない。



そこかしこで海水浴客、そして駐車場は満杯。



街を出たらいきなり登り勾配。しばらく高台を走ったら下り勾配で街に出る。そしてこれが、下田までループし続ける。熱海で登り、多賀で下る。そして網代で登って宇佐美で下る。伊東で登って……



「なんなんだこりゃーっ!?」
「これが伊豆半島なんだそうです」




至る所で勾配がやべぇ(熱海の街中でこれ)。



こりゃ体力ゲージがいくつあっても足りない。ただ幸いなのは、このルートが京浜と伊豆半島を結ぶ主幹線なので補給できる店が数多くあることと、この時期はそこかしこに海水浴場がオープンしている、ということ。

身体が火照れば、そこらにあるシャワーを浴びればいいのだ。



場違いな客が水浴びだぜ。





「あー、生き返るー……」
「スマホは置いていってくださいよ?」


あと、街の直前まで高台なので、街に差し掛かるときの展望が素晴らしい、というのも幸いな点なのかもしれない。



街に向かって下っていくぜ。



14:30、伊東着。伊東のランドマーク、サンハトヤがお出迎えだ。



画像は多少加工してます(そしてリンク張ってます)。





「昔からやってたネタを実現してみた」
「公式と工具屋さんのほうから怒られないように」


余談だが、予算請求の書類に、宿泊施設のほうの名前を書いた書類は、今のところリテイクがでていない。大丈夫かウチの職場

ここから下田までは60キロないくらい。勝算が見えてきた。



57キロだった。





「これからは陽も落ちて気温が下がるはずです」
「運がこちらに向いてきたか」


手早く水分補給を済ませ、14:50再出発。

景色の良いところで停まっては、エルコスさんの要望に応えてグラビア撮影(笑)。その後、県道109との分岐を前にして、一度地図を確認。

海沿いを城ヶ崎海岸まで行く道だが、R135の迂回路として機能しているようだ。見ると、目の前のR135はいきなり豪快に登っており、かつ交通量も多い感じがする。



右上のやつ。結構な勢いです。





「どちらにしても、いずれは登ることになりそうですが」
「交通量の少ないほうがいい」


という訳で、県道109へ。所々、木々に日差しが遮られ、ひとときの間過ごしやすかった。



日影が何よりありがたい。





「正解。こっちのほうが走りやすい」
「走りごたえがある道ですね!」


ところが、海岸線から川奈の駅へと上がる道がエグかった



「なんじゃこりゃぁぁぁっ!?」
「やっぱり平等に辛かったようです」




交点にて。エグい登りはここまで。



そして、登りきったところが駅前道路との交点。左折して城ヶ崎海岸を目指す、のだが、



「なにが、はぁとふる じゃぁっ!?」
「マダム林原さんもビックリですよ」




看板に罪はない。



そんな、全然ハートフルじゃない勾配区間を走ること暫し。川奈で登り、富戸で下り、城ケ崎で登り……



「ここもかい!?」
「残念ながらそのようです」


やるな伊豆半島、自転車に容赦がねぇ

ただし、このルートは行き交う車両の台数は少なく、後方から追い立てられるようなことは皆無であった。また、あちこちに素泊まり歓迎の宿があった。



自転車ですが泊まれますかぁ?





「いわゆる、楽天トラベルに載ってない宿ですよ」
「だって、ダイバー歓迎って書いてあるし」


このあたりは海との親和性が高い地域。海を愛する者に優しいのだろう。



R135に入ると、すぐに伊豆高原駅。



国道に復帰して、熱川のコンビニで補給。先ほどから脚が攣りかけていたのと、何やら身体全体が痙攣しかけていて。



「ハンガーノックかな?」
「ハンガーノックですよ」


とりあえず、食べられるものは食べておく。あと残り30キロくらいだが、最後の最後でぶっ倒れては笑えない。



それにしたってアップダウンが収まる気配がない。



伊豆稲取を過ぎて、もうひとつ丘越えをすると、河津町に入った。七滝がある河津は下田市の隣の街で、天城越えしてきた道と合流する場所でもある。下田市を起点とするR135のキロポスト表示も、いつの間にかヒトケタになっていた。



天城方面からの合流。





「あと一息ですよ!」
「バッチリ登ってるじゃねーか」


最後の登り区間は、炎天下の中180キロも走ってきた身に最後の試練を与えてくる。特に、縄地の辺りで入り江を大きく巻く線形になっているが、これから登っていく道筋が見えて、



「美味死い」
「気をしっかり!?」




海岸線を望むが、なんか暗くなってきたな。



てれてれ登っていくと、ようやく下田市の看板が見えた。



「やりましたね!」
「満身創痍だけどね」




静岡最南端の都市へ。



さて、記念撮影を、と思ったものの、今回、三脚を持ってきてない

どこかカメラを置けるポイントはないかと探したが、これも見当たらず。ワタクシめのデジカメは横に長いのでなおさらである。



「それじゃぁエルコスさんだけで……」
「えー……」


イヤそうな声を上げるエルコスさんを見下ろすと、ふとアクションカムが目に入った。



動画撮影用のアクションカムだが……



こいつなら何とかカメラを置いて撮影できそうだ。モニターがないから確認はできないが、後で静止画を切り出せばよいか。とりあえずやってみよう。



こいつならいけそうだ。





「うまくいったら褒めて」
「大丈夫!  きっと大丈夫」


とりあえず撮影をしてみたが、周囲が薄暗いことに気付く。時刻は18時を回っていた。ここから真っ暗になるまでにはさほど時間はかかるまい。明るいうちに伊豆急下田の駅を目指そう。



白浜海岸、若者の雰囲気が濃厚さ。



白浜海岸は若者で溢れ、もう日没だというのに人が絶えなかった。ちょっと立ち寄って写真に収めておく。



夏と海は親和性が高い。



そのあと、外浦海岸脇を通る。地元民しか知らないような裏道を抜けていくと、蝉の声が賑やかしかった。



「夏だなぁ」
「ようやく落ち着く余裕が出てきましたね」




外浦海岸脇の抜け道は、相当なマニアしか知らないだろう。



道の駅開国下田みなとには18:30着。帰りの車中でちょっとイッパイ、とか思ったが、既に売店は営業を終えていた。あとは駅前の土産物屋くらいしかアテを入手できる場所はないが、こんな遅い時間でやっているのだろうか。



日中は賑やかなのだろう。到着が遅かった。





「そもそも、飲む前提なのですね(笑)」
「他に楽しみがない」


なお、この道の駅の隣に、まどか浜海浜公園があって、ここの駐車場に数台のカムロードが停まっていた。車中泊をするならおそらくここがベストだと思う。また、自転車で訪れた場合でも、一泊二食8000円程度で宿が確保できるようだ。



魅惑の看板だが、今日は帰京せねばならぬのだよ。



18:40、伊豆急下田駅着。走行距離は193キロで微妙に200キロに届かず。見ると、19:01に伊東行があり、そこで宇都宮線直通に乗り換えができるようだ。駅前を見渡しても、何か物色できそうな店はなく、ここらが潮時と判断して、輪行することにした。



下田まで来たぞ。



ただ、何もなしではアレなので、駅前のコンビニでチューハイと簡単なアテを買い込み、19:01伊東行に乗り込んだ。



伊豆急は、観光路線と同程度に通勤路線でもあるのさ。





「久々にしんどかった……」
「本当ですよ。これから真夏日の出撃は精査しましょうね」


そんな反省だらけ、満身創痍のエンディングだが、コンビニで買った缶チューハイは、驚くほどよく染み込んだ。








帰宅後、精一杯頑張った結果がこれ。エルコスさんは喜んでいたが。












TITLE:下田まで。
UPDATE:2017/07/16
URL:http://y-maru.sakura.ne.jp/242_shimo/shimo.html