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238:山陰の旅(仮称)



text&photo  by  ymr20xx@y-maru.com。気の利いたタイトルは思いつきませんでした。






本日のルート (powered by ルートラボ)

萩→長門市→仙崎→粟野→角島→特牛(実測86.3km)




イントロです。


半ドンで仕事を切り上げ、そのまま自走して羽田空港へ。いつも通りの流れだ。



時間に余裕があったので、自走パターンでターミナルへ。



羽田空港の第二ターミナル、いつものANA便で萩石見空港まで飛ぶ。マイル貯蓄のために導入したアメックスがあるので、ラウンジで時間でも潰そうかと考えたが、混んでたのでやめにした。喫茶店でビールでも飲みながら待ってよう。



ちなみにラウンジでは酒は出ないようだ。



飛行機輪行を覚えてから、行動範囲が大幅に拡大した。そもそも、寝台列車亡き現代の日本(2017年現在)において、輪行で山陰地方、ということ自体がまず考えられない。ところが、これが飛行機輪行ということになれば話は変わってくる。

かくして、15:15発の萩石見行に乗り込み、あっという間に山陰地方へワープ、である。



行ってきます。



萩石見空港には16:55に到着。地方空港らしく、小ぢんまりとした空港である。比較的ガラガラだった機内から降りて行った他の客は、到着ロビーから三々五々に散らばっていく。



山陰には石見グランフォンドという偉大なイベントがあるな。





「山陰地方は自転車に力を入れているようですね」
「まあ、石見あたりは昔からそうだったみたいだし」


この後、駅まで乗ったタクシーの運ちゃん曰く、「信号のない道が延々と続いていて、自転車だと気持ちいいよ〜」とのこと。明日の出撃を前に、心を躍らせる。何せ、久しぶりの遠征なのだから。



益田から輪行。



17:15、益田駅着。17:46下関行を捕縛して、東萩まで行く。



「益田から自走でも良かったのでは?」
「安牌をとった」


というのも、明日の目的地は本州の果てにある角島大橋。そして、その翌日には廃止が決定してしまった三江線のステーションサインを行う予定で、既に宿を押さえている。



「その関係で、16:16特牛発に間に合わなければならない」
「益田からだと160キロあって……  うわ」


そのため、益田スタートだと、ド早朝スタートで、かつ寄り道なしで走って、間に合うかどうか、というようなプランにしかならないのだ。萩スタートだと走行距離は100キロほどに短縮されるが、その代わり時間的な余裕がかなりとれる。



飲んでばっかりだな……



そんな経緯があり、東萩到着18:58。今宵の宿はゲストハウス萩・暁屋。日本を旅する外国人観光客が増えているというが、この日も数組の外国人観光客が宿泊していた。萩にはこのテのゲストハウスがいくつかあり、また、古くからの住居を改装してゲストハウスを営んでいるところがあるので、探してみるとよいだろう。ちなみに一泊2600円だ。



東萩駅は改装中だった。






神々が恋した山陰路




宿は住吉神社裏手にあった。



翌早朝、萩を出立。



萩の市街地は迷路状。そこかしこに古い街並みが残る。



萩の街並みは一見の価値があるそうで、これでまたひとつ宿題ができた。朝食と補給を求めて彷徨っているうちに、玉江駅へ。ちょうど1562Dが通学生徒を乗せてやって来た。



土曜日とはいえ、ちょうど登校時間帯だった。



ところで、先ほどからサイコンがおかしい。表示が点滅したり、ケイデンスがカウントされなかったり。



「壊れた?」
「電池切れじゃないですか?」


帰ったら電池交換だな。

1562Dを見送った後、県道64号へ。線路沿いの路線は勾配変化が少ない、という定説もあるが、実際のところ、山陰路はサイクリストがうんざりする程度にバイパス化が進んでいて、並走するR191は、長門三隅までの区間で、現道とバイパスが全然違うところを通っているほど。

それに対して県道64は、日本海沿岸を行くルートで、先述の通り山陰本線が並走。きっと走りやすいだろう、なんて思っていたら、



来たぞ来たぞ、グイグイ来たぞ!









路地裏?






みたいなところを通される。しかしすぐに雰囲気は一変し、この展望が広がる。



名前はないが、ちょうど湾状になっていた。





「わー!  すごくいいじゃないですか!」
「勾配も緩いし、走りやすい」


あちこちで立ち寄ってはエルコスさんのグラビア撮影。遅々として進みやしないが、楽しいのでヨシとする。



その都度、停まる。



しかしこのルート、R191が栄えているせいか、利用されている感が少ない。場所によってはしっかりグンマー化されてるし。



それでも2ケタの県道なのだ。



三見駅まで来れば、人の生活感が感じられるものの、その手前はどうみても辺境そのもの。初心者にはあまりオススメできないほどに静寂が溢れている。

道の駅三見周辺のアップダウンを超えると、道は再び狭くなる。このあたり、マニアックな雰囲気漂うが、交通量が皆無に近いので、自転車を走らせるには最適である。



線路との距離が近いのは山陰のアイデンティティーか?





「そういえば、ガードレールがみかん色ですね」
「橙と言わないあたり、流石だな」


山口県あたりのガードレールの色は、だいたいみかん色になっているのが特徴。至る所がみかん色だ。



長門市に入った。



さて、長門市に入ると、ちょっとした丘越え。右手に日本海を見ながら、よたよた登っていくと、すぐに下りに転じる。登ってもせいぜい5〜60メートルくらいで、練習コースとしても面白いかもしれない。



そしてそこかしこにいいオブジェが。



8:55、三隅に到着。ここで初のコンビニ補給。



「しっかり補給してくださいよ?」
「仙崎が近いんだけどなぁ」


とはいえハラが減ってたのである程度しっかり食べる。このあとは県道287を4〜5キロほど走って、仙崎に立ち寄ろう。



時刻は9時半。昼食にはちょっと早いか?





「仙崎は漁港もあるから、うまいもの食べられるかも」
「楽しみですね」


三隅から仙崎は、目と鼻の先だった。追い風にも助けられ、9:30には仙崎の市街地に。



「金子みすゞさん、の故郷なんですよね」
「確か、そうだったはず」


童謡詩人、金子みすゞの生誕の地として有名な場所であり、JRも観光列車みすゞ潮彩を走らせている。



「どうした急に?」
「いや、ちょっと気になって」


と、エルコスさんが視線を向けるその先には、



英訳に注目。









仙崎みすゞさん!?






英訳をそのまま解釈すると、そう読めてしまう。大丈夫かこれ?

そのあと、仙崎駅に立ち寄る。山陰本線の支線の駅で、仙崎漁港からの行商人が愛した駅だ。



仙崎駅。



と、偶然にも駅の掃除をしていたボランティアの方から、仙崎漁港で土曜朝市をやっているとの情報が。



耳寄り情報を得たぞ。





「お、タダで何か食べられるぞ!」
「さっきのカップ麺が悔やまれますけどね!」


地元女性グループの魚料理試食会に交じって、本日二度目の補給。大変おいしゅうございやした。



ちなみに豆アジは追加で買った。



それでは角島大橋へ、といく前に、ついでなので金子みすゞ記念館へも立ち寄っておく。ちなみに記念館近くには、金子みすゞの銅像が建てられていたので、エルコスさんを入れてパチリ。



「美女と、……美女?」
「ちょっと待ちなさい」


詩人とチタンフレーム、くらいにしとけばよかった。



どっちがどっちかは各自に任せたい。



R191に復帰してしばらく走り、県道66を右折。直進すると標高80mの椎の木峠で、県道66だと黄波戸温泉の先でまあまあ上等な峠越えが待っている。



ここを右折。



もちろん、交通量の少ないほうを選んだのだが、登り始めてからちょっと後悔した。今回の旅で、初のインナーギア投入だからだ。



「大丈夫ですか?」
「オーバーヒートしそう……」


冬用のジャケットとグローブは、気温が上昇した山陰の気候には合わなかった。一気に蒸し風呂状態になり、イタタマレなくなって峠のてっぺんで冬用ジャケットをパージした。



完全な天日干し。





「あー、きもちえぇー……」
「お召の方は高温に強いハズなんですけどねぇ」


さすがにワタクシめは核融合を司る八咫烏のようにはいかない。

下りきったところが長門古市駅。そこからはR191をひたすら海沿いに走る。そして走っていて気が付いたが、



「桜が咲いてますよ。ほら!」
「これだけ暖かいと、開花も早いのか」


これだと、明日の行程が早くも楽しみになってきた。



ぽつぽつと、花開いた木々を見かけるようになった。



下関市に入り、阿川の集落を抜けた先、右手にローソンがある交差点にさしかかる。角島大橋に至る東側の入口だ。ここを右折し、島戸漁港まで突っ切ってから左折する。



港で小休止。もう橋は見えている。



この辺りまで来ると、遠く向こうに角島大橋の姿を認めることができる。そして、ちょっとした丘を越えると、遂にその姿を現す。



あ、あれはもしや……!






渡る者の絶えない橋




「すげぇ……」
「すごい……」


それは、見事としか言いようがなく。



美しい……



この橋は、かつて渡船輸送しかなかった角島とを陸路で結ぶために建てられたもの。しかし、なぜこれほど







ドラスティックに






橋を架けるのだろう。これじゃあ、いつまで経っても橋を渡れない。







撮影に勤しみ過ぎて。






ちなみに橋の本州側、青い海は海水浴場になっているのだという。そりゃあさぞ気持ちがいいことだろう。



よく見ると、確かに手前(本州)側のほうが蒼く澄んでいる。



橋へと至る交差点、その周囲には駐車場に土産物屋、展望台とあるが、真の穴場は道路脇の高台に通ずる市道。そこからだと、橋を見下ろす形になっていい塩梅で写真が撮れる。当然のように、



「写真だろ!  ちょっと待ちな!」
「早く早く!」


ただし、立派な三脚があるならともかく、手持ちのコンパクト三脚だと、どうやってもワタクシめが入らない。エルコスさんには我慢してもらって、パチリ。



トブチに嫉妬された一枚。



ようやく撮影も終わり、橋を渡って角島へ。せっかくだから、何かおいしい海の幸でも食べたい。



「じゃあ、行くか」
「20分も滞在してしまいましたね」




自転車だとちょっと走りにくいかも。



角島大橋は中間部分がアップダウンになっているのと、風を遮るものがないこと、そして自転車が通れるような路側帯が乏しいので、少々窮屈な感じがある。



尾山港にて。



そして島に渡ったら渡ったで、今度は軽い丘越え。それを経て、尾山港まで来ると、食事ができる店が少しずつ現れる。定番はしおかぜの里角島ということになるが、せっかく来たので、ちょっと雰囲気の良い店に入ってみることに。



斎座わ田さん。山口県下関市豊北町角島1889−4



斎座わ田さんは、和田水産に隣接する洒落た料亭で、薄汚れたお空さんで入ってよいのか躊躇われるようなお店。しかも、水揚げされた魚介を料理する関係で、メニューは日によって異なる。この日はなんと、







雲丹丼(3500円)のみ






……という漢らしさだった。



「あれ、大先生って、ウニ苦手じゃあ?」
「冒険してみたくなった」


そしてやってきた雲丹丼がこれ。



3500円の贅沢。









ザ・上品。






そして、あおさと醤油餡をかけて頂く地物の雲丹は、驚くほど甘くて、驚くほどトロッとして、そして驚くほどご飯にあった。正直なところ、雲丹丼を初めて美味しいと思ったほど。



「いいなぁ」
「帰ったらFZIあげるから」
「チェーンオイルでしょ(笑)」




ちなみに、隣接の和田水産で海産物を土産に買える。



お腹も膨れて、さてこれから先の行程を確認しなければ。

特牛発16:16が、今宵の宿へのデッドラインとなるのだけど、ギリギリのところで15:12の汽車に乗れそうな時間。ただし、やや急がないと乗り遅れるという、いつも通りのロバート先生状態。



「行くつもりですね」
「まあ、できれば早く休みたいし」




美祢方面へ。



ということで、ちょっと急いでみる。角島大橋を渡り、県道275でR191、特牛交差点でR435に左折して約2キロほどで駅に到着する。

駅に至るところに、わかりやすい看板が立っているので、迷うことはあまりないだろう。



ここを目印に曲がる。



難読地名で有名な特牛は、古くからある木造駅舎がポイントで、そこにキハ単がトコトコやってくるという、絵に描いた長閑な駅である。



特牛駅。



さて、到着は14:52。20分もあればかなり丁寧に輪行を済ませることができる。のんびりとエルコスさんを袋詰めにして、一息ついていると、長門市行の2両編成がやってきた。

山陰地区のキハ40系は、運転席後方のスペースに自転車を置いておくことができるので、輪行にとてもやさしいということを記しておく。



こんな具合に。






出雲の曇り空


さて、翌日は三江線35駅ステーションサインの旅をこなして三次泊。

どうせ明日は天気が崩れるんだろうはははh〜







……おや?









晴れとるやん。








「これだと、走れますね」
「そうなんだけど、色々怖い」


気持ちが切れてしまったのが主因ではあるが、実はこれから通るルートのうち、備後落合までが7本/日、そして備後落合からの木次線に至っては、







3本/日






という、全盛期の岩泉線も真っ青の閑散路線なのだ。よって、エスケープはほぼ無いに等しいし、今日は行程の最終日、18:51出雲市発のサンライズ出雲に乗り遅れるわけにはいかないのだ。



6:55の始発に乗るよ。



よって、断腸の思いで、JR西日本が誇るローカル線区用最終兵器のキハ120単行に乗せられることとなった。

6:55発350Dに乗って、備後落合へは8:16着。ここで木次線の始発に乗り換えるが、それが9:20発。備後落合周辺は、ごく普通に雪が降る地域なので、外にいると強烈に寒い。



備後落合駅の全景。



しかし駅舎内は、季節柄鉄道ファンの方々で大賑わいになっていて、とりあえず居場所がない。



「エルコスさん、留守番しててくれ」
「行ってらっしゃいまし。時間に遅れないで下さいよ」


駅前を探索してみたが、本当に交通の結節点かここは?



メインストリートがこんな状態。



どちらかというと、当初予定していた通りSTB向きな駅ではないか。……とか思っていたら、あとでエルコスさんから衝撃の事実を聞かされる。

なお、駅前散策は10分もしないうちに終了。寒いのと、何もなさ過ぎて。時折、R183を走り去るクルマの音が聞こえるだけだった。ちなみに徒歩15分くらいのところにドライブインがあるらしいのだが、営業は12時かららしい。



名前も知らないとある旅人の忘備録。



そして、トドメを刺すかのように、



「昨日、ここでSTBしなくて正解かもしれません」
「なんで?  寒いから?」
「ここ、夜間滞泊があるらしくて、下手すると追い出されてましたよ?」








マヂデスカ!?( Д)゚゚






STB適地だと思っていたが、少々敷居が高そうだ。



STBするには最適なんだけどねぇ。



9:20発の1450D、乗客は三次からの鉄道ファンとワタクシめ。ほぼ同じ顔ぶれを乗せて、奥出雲のおろちループ区間に突入する。



25キロ制限中。文字通りトコトコと。



本来であればこの区間は自走するはずだった。予想していた通り、三井野原まで登ってしまえば、あとはひたすら下るばっかりだ。



おろちループ。二重の蜷局。



鉄路はスイッチバックでこの区間をやり過ごす。前線基地である出雲坂根駅で2分停車するが、特に新たな乗客は現れず。



ちなみに1450Dは、そのまま1452Dになるので、荷物は積みっぱなしでよい。



その後、木次で小休止。1452Dに列車番号を変更し、宍道に向けてトコトコ走る。この時点では天気は曇り、雨は降っていないので、うまくすれば出雲大社くらいまでは足を延ばせるかもしれない。



「神は我を見捨ててはいなかった!」
「あ、なんかポツポツ……」




雨粒がハッキリ写る程度に大雨。









神様ぁぁぁぁっ!?Σ(゚д゚lll)








「神は死んだ……」
「はいはい、乗り換えますよ」




まったいら+末期色。



13:06発西出雲行285M(サンパチ顔)に乗ること約30分。宍道では自転車に乗るどころか外に出たくない程度に降っていた雨が、どういう訳か出雲市では止んでいる、……どころか、路面が濡れていない。いやいや、まだ神は死んでないようだ。



ただし風はちょっと強め。





「行く気満々ですね」
「いま行かなくていつ行くのよ?」


出雲市駅から出雲大社までは、県道28、R431を経由して、だいたい10キロ程度。予断を許さない天気だが、どうにか雨の追撃を振り切った。



縁結びと神様の呑み会の象徴。



とりあえず、ノルマとばかりに出雲そばをいただき、



ついつい食べ放題をやっちまったよ……



土産とサンライズで飲む用に、島根ワイナリーでワインを入手。



ここは外せないだろう。



サンライズ乗車まで3時間近く時間が余ってしまったので、駅前にあるらんぷの湯で時間を潰したりしながら、緩慢と旅の終わりを待った。



「贅沢な時間の使い方ですねぇ」
「まったくだ」


サンライズが入線する時刻になった。外を見ると、本降りの雨が降っていた。最後の最後で、旅の神様が気を効かせてくれたようだ。



最後の最後は、涙雨か。



余談だが、このあと無事にサンライズの乗客になって、上機嫌で飲んだ白ワインが激甘だったことを記す。辛口にすればよかった……



つまみはサラダにしてみた。








おまけ〜ミラーレス枚数制限プレイ〜

出発を待つ@益田駅 ローカルな車内
谷の底を望む 春はすぐそこに
小さな集落の小さな駅にて@三見駅 山陰屈指の漁港@仙崎
静かな漁港@島戸 角島大橋
尾山漁港にて 伝統ある小駅@特牛
ひとときの休息を 朝日を浴びて@江津
誰が為に訪れ、誰が為に走る@江津本町 かつての渡船駅にて
此の地の神に呼び止められて このトンネルの先はどこだろうか
春の象徴とチタンフレーム もうじき咲き乱れるさ
浜原駅にて 尾関山公園に至るさくら道
山間の結節点@備後落合 旅人は一両の汽車に集う
こちらは北に、あちらは西に。 三井野大橋を望む
ヤマタノオロチの如 スイッチバックして、出発!
これに乗って帰るぜ@出雲市駅 オシャレにワインでも飲みながら……



全部で28枚撮ってました。










TITLE:海を貫く一筋の橋へ
UPDATE:2017/03/31
URL:http://y-maru.sakura.ne.jp/238_sanin/sanin.html