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364:朝霧強化合宿8〜実走練#02〜



text&photo  by  ymr20xx@y-maru.com。


【クイックリンク】

イントロです。
朝霧高原→河口湖   
河口湖→山中湖
山中湖→富士吉田

富士吉田→河口湖
河口湖→本栖湖
本栖湖→県境






本日のルート (powered by Ride With GPS)






イントロです。


7:02、朝霧のアジトを出発。





空は快晴。



今年の夏は、ほとんど乗れていない状態が続いたので、せめて最後くらいはリハビリも兼ねて、まあまあ走りでのあるルートを堪能したいと思った。




「実走練にしますか?」
「そうだな。久しぶりにあのうどんが恋しくなった」


朝霧のアジトがある道の駅朝霧高原周辺を起点とし、R139を北上して河口湖へ。さらに山中湖で折り返して河口湖、西湖、精進湖、本栖湖と踏んで朝霧高原フィニッシュ。このルートを実走練と名付けているが、距離がだいたい100キロで、登坂の累積上昇量も900あるかないか、というお手軽ルートだったりする。




「おまけに行程のほぼ全てで富士山が視界に入る」
「完璧ですね」


今回はアジトに運搬車をデポしたが、首都圏から富士山駅あたりまで輪行で訪れることも可能。また、アレンジの余地もあり、たとえば県道71号などを活用すれば完全な周回ルートを作れるし、さらに上級者向けとして、御殿場周りのフジイチをやってもいいし、途中にはスバルラインの入口もあるので5合目に寄り道してもいい。




「5合目に寄り道、とは……」
「えげつないパワーワードだ」






県境付近のR139交点まで来た。



今回は、リハビリのつもりで標準ルートを往く。まずは県境から富士山の御姿を。





もうちょっとクッキリ見えると尚良し。






「ちょっと霞んでるな」
「午後なら日差しの向きが変わるはずなので、くっきり見えると思いますよ?」


果たしてどうなるか。帰りが楽しみだ。





一瞬だけ静岡に入ったが、今回は全域で山梨オンリー。






朝霧高原→河口湖


さて、今回はこの実走練ルートのレビューをしてみたい。




「たまにはちゃんとした解説もしないと」
「そういえば、わたし達、あまりそういったことをしてきませんでしたね」


朝霧高原をスタートして、R139を北上すると、県境まではちょっとした登り勾配になる。その後、県境より北側に進むと、本栖湖リゾートまでは緩い下り勾配。そこから本栖湖の手前までが丘越え区間となる。





最初の登り坂。






「ウォーミングアップには丁度いいんだけど」
「すっごい息切れてますが?」


本栖交点でR300を見送った後は、精進湖のほとりにあたる赤池交点まで、森の中のクネクネ道を往く。





鬱蒼。






「勾配の変化は、あまりないですね」
「そのかわり、往来が激しいんだよな」


このあたりはワインディングが連続するので、往来の平均速度も落ちがちになる。道幅が狭く追い抜かしがしづらい部分なので、あまりにも後方に車両が滞留するようなら、一旦止まって先に行かせてもいいと思う。





甲府南方面への分岐が迫る。



そこを抜けると精進湖の民宿街に至る交点を経て、R358と分岐する赤池交点へ。




「ここから富岳風穴までが、登り勾配でしたね」
「直線的なんだけど距離が長い」






かつてはR139の隘路だったが、現在は橋でひとっとびに。



おおむね1.2キロの距離で45ほど標高を稼ぐことになる。かつては山肌に沿ったワインディングで登っていたが、今では2つの橋でショートカットしている。余談だが、橋の下くらいに、幻の富士六湖など形容されることもある、赤池という湖があるらしい。




「……らしい?」
「数年に一度しか観測されないのです」


大雨で精進湖の水位が上昇したときにだけ出現すると言われている。エルコスさんが『観測』という語句を使ったのは、そういった理由である。





樹海の中心部。



富岳風穴まで来れば、一旦勾配が緩む。ただ、もう少し先にある鳴沢村境までは登りが連続するので、赤池交点から村境までは、基本的に長い登り勾配区間であると認識しておいた方がいい。

さて、このあたりは様々な噂で有名な青木ヶ原樹海の真っ只中であるが、





突然こんなん出てきたら。






「この看板も見慣れたものよ」
「それほどまでに多いのですね、このあたり」


あまりにも多いので、近年ではドローンなどを活用して自殺防止対策を行っているのだという。





県道71交点。R139渋滞時はバイパスとして機能する道だ。



道はこの後、河口湖市街地に向けて下り勾配が連続する。言い換えれば、村境を過ぎるとわずかな登り返しはあるものの、完全な下り基調になる。

ルートとしては、適当なところで左折して河口湖畔に降りる、ということになる。大田和から県道714を使うのがわかりやすいのだが、





そこからさらに一本隣。






「我々は、いつもの道でいいか」
「よいと思います」


いつもの感覚で、大田和交点のひとつ先、勝山交点を左折してかえで通りへ。





おなじみのスイートグランピング河口湖。



この道を用いる場合、河口湖畔に至るまでの区間で、住宅街の路地裏みたいなところを通されるが、基本的に坂を下る方向に曲がっていけば、おおむね勝山の無料駐車場の辺りに着く。





ほんとにこういう感じの道を通る。



その勝山駐車場の到着時点で、スタートから1時間が経過していた。




「グロスアベレージ23.9ですね」
「まあまあか」






休憩とか停車込みなので、リハビリの身としてはまずまずの結果だと思う。






河口湖→山中湖





「大先生、写真撮りましょう!」
「そうするか」


写真撮りながら気づいたが、なんか水位が低いような。





明らかに湖面が低い。






「ここ最近の少雨で、干上がってしまったようです」
「陸地が浮かび上がってきてるな」


本来であれば、渡船輸送が必要な各小島も、今なら歩いて渡れてしまうという。





こんなに陸地あったっけ?



勝山駐車場で小休止ののち、今度はしばらく、湖畔沿いの道を往く。途中、淺間神社の脇を通るので、




「もちろんここでも、ですよね!」
「お作法みたいなもんか」






後述するが、富士山を信仰する神社。



運搬車に積みっぱなしにしている、グニグニ稼働する三脚をうまいこと巻きつけt……





確かに、「ボキッ!」と言った。









折れた。









「あぁぁぁぁぁぁっ!?  な、何やってんですかーっ!?」
「バキッていった」


思えば、この三脚は確か、北アルプスに単独参加したときに大町のエディオンで買ったヤツ。もうかれこれ10年になるので、こうなっても不思議ではない。話は変わるが、ツールカンの中に入れておいたボ撮るンですも先日壊れた




「そろそろ装備品の再考が必要だな」
「そうですね……」






とりあえずなんとかした。



さて、河口湖の旅館街を抜け、乳ヶ崎北交点を右折。県道707を南下して、R139に戻る。





このあたりは河口湖の民宿街だが、桜の季節は究極に映えるし富士山もドカーン!






「これ、河口湖畔に降りる必要、ないな」
「前回が桜の季節だったからでは?  すごく綺麗だったじゃないですか」


そうだった。前回のときは春先だったが、桜が綺麗だったって記憶がある。





実走練#01のときの画像がこちら(4月中旬頃に撮影)。



ただし、その代償としてR139までは登り勾配になる。地図で見る限り、残念ながらこれを回避する方法はなさそう。




「道幅は広いですし、勾配もそこまで急では……」
「交通量が多いのよ」






今日も今日とて、青いのだろう。



県道707は、河口湖大橋を経て御坂峠に至る主要道路であり、甲府盆地と河口湖市街を最短で結ぶ道でもある。なので、大型バスをはじめとする車両の往来が多いという注意点がある。ただし、そういう出自のため、沿道には商店が数多く並んでいるため、休憩や補給がしやすいというメリットはある。





ロードサイド店舗が多め。



R139復帰後は、山中湖に向けてひたすら東に進む。上宿交点までは片側二車線だが、その先は車線が減少し、さらにその先にある冨士浅間神社の本宮前で、しばしば渋滞が起きる。




「横断する歩行者が結構いるんだよ」
「神社の対岸に駐車場があるのも理由でしょうね」






道の対岸にあるので、復路の時に寄ることが多い。



神社から先だが、途中の道の駅富士吉田を挟んで、山中湖村の村境付近までが最初の登り勾配区間。ここは、渋滞多発箇所でもあり、ひどい時はすり抜けも困難なほど。




「なおかつ歩道も狭い」
「詰みましたね」


R139富士見バイパス交点を過ぎると、お馴染みレーダードームが見えてくる。





このあたりでは「絶対に寄り道しときたい」道の駅だろう。



道の駅富士吉田到着は8:41。いつもはここのうどん屋でうどんを食べるのがルーティーンなのだけれど、開店は10時から。まだ1時間以上早い。





わかってはいたが。






「山中湖で折り返してくれば、丁度よいかもしれません」
「ま、そうするか」


余談だが、ここには富士山の湧き水が汲める水場があったはずだが、




「上の駐車場脇に移転したようです」
「水の補給兼ねて行ってみるか」






元々の場所のが枯れてたのを見て(´・ω・`)だったけど、移転したのを知って(`・ω・´) ってなった。



ちなみにこのとき、水を飲めば飲んだ途端に汗となって流れ出るような状態で、明らかに脱水症状を起こしていた。どこかで洗顔でもしたいと考えていたので、こういう水場はとても有り難い。




「あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛……」
「水分摂取だけでは足りなかったかぁ……」


8月末ということもあって、ボトルは2本とも水にしていたが、どちらか片方は薄エリアスでもよかったかもしれない。

あと、身体の冷却についてだが、走っている時は走行風が当たって多少は冷えるものの、それでも元々の気温が高い上にものすごい発熱するようなことをしているので、特にこういう季節だと、熱は簡単に篭る。手っ取り早く水をぶっかけるほうがよく冷える。




「水冷エンジンと空冷エンジンの違いみたいなものですね」
「ま、そんなところだ」


水も無事補給して、リスタートを切る。忍野の辺りまでは緩い上り坂が続くが、山中湖インターの手前くらいから山中湖畔までの間で、少しずつ下りに転じる。





なんか渋滞してるな。



富士吉田辺りを先頭にした渋滞も、このあたりまで来れば落ち着いてくるのだが、今日に限って言えば、その渋滞はこのあと山中湖畔まで行っても解消されることはなく。




「なんじゃこれ?」
「なんでしょうか?  ちょっと調べてみますね……」






結局、渋滞は山中湖まで続いた。



9:09、山中湖畔着。県道729交点となる明神前を起点にして、湖を一周してくる。距離にして約14キロほど。




「サイクリングロードもあるにはあるのですが……」
「歩行者専用道路と区別がつかなくなってる」


山中湖はウォータースポーツが盛んで、そこかしこで水上バイクやカヌー、SUPが水面に浮かんでいる。それに併せて、ロードサイドには休憩するのにうってつけな店舗が多く並んでいる。





南岸域はそういった店が多く、寄り道のしがいがある。






「ただまあ、いかんせん、観光地なんだよなぁ」
「それに、到着が早過ぎて、まだ営業していないようです」


などと言っているうちに、ふたたび渋滞に巻き込まれた。この時点では、「御殿場方面に抜ける篭坂峠が詰まってるんだろうなぁ」くらいに考えていたのだけれど、





むしろ右折のほうがガラガラで。






「おかしい、なんで湖畔側が渋滞してるんだ?」
「……あー、もしかしたらこれかも知れません」






臨時の駐車場が出ているということは、きっと何かのイベントをやってるってことさ(しかもライブって書いてあるし)。



エルコスさん曰く、「この先でフェスが開催されている」とのこと。どうやら、この先の山中湖交流プラザで、SWEET LOVE SHOWER 2025というイベントが行われているらしい。しかも、3daysの最終日。




「そりゃあ、こうなるわな」
「ですね」






歩道の人はみんなライブの客。



ちなみに、会場となっている山中湖交流プラザは、道志みちの分岐点である平野交差点のちょい手前くらいにあるので、しばらく渋滞が確定した。




「お気をつけて大先生。いいですか、子供と動物と……」
「観光客とライブの来場者は、動きが全く読めない」


ノールックで車道に飛び出してくるのはマジで勘弁してほしい。





グラ3のキューブ状態。



とはいえ、9:35平野交差点に到着。ここが山中湖の折り返し地点で、道志みちの分岐点になっている。




「さすがに疲れた。冷たいコーヒー飲みたい」
「あ、ライブの来場者でコンビニが混雑してますね」






反時計回りルートも大渋滞喰らってて、路線バスの到着が遅れに遅れてた。






山中湖→富士吉田





「あそこはいかがですか?  カフェをやっているようですが」
「ホントだ」






一筋の光明。



前回と同じく山中湖 AddElm Chillout Villageは営業時間前。そして交点にあるセブンイレブンはライブ客で大混雑。冷たいコーヒーにすらありつけんのか、と思ってたら、インフォメーションセンターの隣にシャレオツなカフェがあるのをエルコスさんが見つけてくれた。

Patisserie HACONIWAさんは、8時から店を開けてくれているので、朝霧高原を余程のド早朝にでも出発しない限り、食いっ逸れることはなさそうだ。店の名にも冠されているが、スイーツが有名な店らしい。




「考えたら、そもそもスイーツ戴く習慣がないんだよなぁ」
「そういえば、大先生がスイーツ食べているところって……」


せいぜいソフトクリームくらいなのよ。今回は宿願のアイスコーヒーを所望。550円だった。





持参したジャムパンはスイーツ扱いになるのかという審議事項。



暑くて長かった8月ももうすぐ終わり、ゆっくりではあるが秋に向かっていく。コーヒーを飲みながら、ぼんやりと、




「あの自転車、これからどこへ向かうのやら」
「ここだと答えにくいですね」


御殿場か、河口湖か、道志か。いや、県道730で小山という選択肢すらあるな。





外国の方かなぁこのパッキングだと。






「県道730を三国峠まで登ると、パノラマ台という展望スポットがですね……」
「また宿題増やしたなぁー?」


とはいえ、ルートの開拓というのは終わりのない宿題のようなもの。時期を見て訪れてみてもいいかもしれない。





平野は山中湖東岸のターミナルで、新宿方面行の高速バスが発着する。



さて、アイスコーヒーで涼を摂り、山中湖を折り返す。件のフェスの渋滞はこちら側にも波及していて、対向車線はピクリともしない停滞状態。





ここがこうなるのはけっこう深刻な事態。






「これだと後続車をかわすのも面倒だなぁ」
「サイクリングロードに降りましょう。勾配もなくて快適ですよ?」


平野から明神前までの湖北部には、県道729と並走するように県道715が付番されたサイクリングロードが通っている。ペンション街の一部区間でちょっとした起伏がある県道729と違い、湖岸をトレースする道は、レンタサイクル勢も楽しめるような平坦路となっている。





快適な道程。



ただし、歩行者も通るので、飛ばし過ぎには気を付けなければならない。丘越えを過ぎてスワンボート地帯になったあたりで車道に出てしまえば多少はスピードを出せるが、




「そちらはそちらで、駐車場から出てくるうっかりレンタカーが……」
「要するに、この区間は気を付けて走れ、ってことだな」






街が見えてきたあたりから、少し注意して走ったほうが良い。



結構の頻度で、サイクリングロードには人が溢れている。言い換えれば、このあたりが撮影適地であるともいえるので、




「大先生、写真t……」
「三脚壊れてるんだが」






でも撮っちゃう。



なお、この道は2020東京オリンピックの自転車ロードレースで採用されたルートの一部で、それを記念してあちこちにオブジェがあったりする。




「フォー・オブ・ア・k……」
「もはや必履修科目だな」






やっちゃう。



ここから来た道を戻り、道の駅富士吉田を目指す。山中湖西交点までがちょっとした登り坂で、サイコン上ではこのあたりがちょうど標高1000くらい。





そもそも河口湖畔で1000近い。






「考えたら、この辺ってまあまあ高原地帯だな」
「合宿には最適ですね」


その高原地帯だが、往路と違って脚が軽い。どうやら、追い風に乗れているらしい。





往来が流れていると気持ちがいい区間のひとつ。






「さっきは向い風だったのか……  全然気づかなかった」
「完組ホイールの利点、おわかりになりまして?」


追い風だけではなく、河口湖方面に向かって下り勾配の連続なのも理由なのだろう。お陰で楽できて、道の駅富士吉田には10:20着。




「うどん、うどん、うどん!」
「連呼すればするほど恐怖を感じるのはわたしだけかしら?」






小麦粉練っただけの食べ物だって信じられるか?









神々しい。









「神様ありがとう!」
「落ち着いてください。目の前にあるのはうどんですwww」






吉田のうどんよ、今日もありがとう!



話は変わるが、ここ道の駅富士吉田では、湧水が汲めたり吉田のうどんが食べられたりするほか、ふじやまビールが飲めたりするので、車中泊をするには聊か楽しすぎる感がある。





そして忘れちゃいけないのが、






「モンベルもありますしね」
「結局ここをベースにしがちという」


昨今、道の駅での車中泊問題が騒がれているが、うまい活用法を考えてみるのも面白いかもしれない。




「うどんありがとう!」
「ですからうどんは神様ではありませんから」






どうか日本一の座を賭けて讃岐とバチバチやってほしい。






富士吉田→河口湖


道の駅富士吉田を出発して10分くらい走ると、冨士浅間神社の北口本宮がある。しばしば渋滞スポットと呼ばれがちではあるが、富士登山の起点という重要な役割を持っていたりもする。





定点から1枚。






「そういえば、ちゃんと参拝したことがなかったわ」
「留守番しています。いってらっしゃいまし」


大鳥居を潜って参道を往く。玉砂利の道だったが、クリートカバー持ってきていてよかった。





いざ中へ。






「北口とありますが、東口もありますし、浅間神社の名が冠した神社はですね……」
「そういや河口湖畔にあったのも……」


そもそも浅間神社とは、富士山を御神体として、主に噴火を鎮める信仰から生まれたという歴史がある。全国におよそ1300以上の同名の神社があるが、いずれも富士山と、それを神格化した木花之佐久夜毘売命を祀っている。よって、富士山周辺はもとより、駿河・甲斐の両国に比較的多いのは、必然なのである。





富士山の歴史について至る所に解説があり、ひとつひとつ目を通してみるのも面白い。






「これ、なんて読むの?」
「『このはなのさくやびめのみこと』です」


2013年に世界遺産登録されてから、より一層神秘性が増したようで、多くの観光客はもちろん、富士山を0合目から登るというガチ勢まで、多くの人が訪れるようになった。もっとも、江戸時代には富士講という信仰が成立しており、江戸はもとより全国からの参詣者がここに集っていたのだとか。





この鳥居は社殿が建つ前からあったと言われているらしい。



ところで、鳥居を潜ってから気付いてしまった。そういや、今、喪中だったと。




「忌中は慎むべきですが、仏になってからは大丈夫なようです」
「四十九日は終わってるから、大丈夫なのか」


おっさん世代では耳にしたことがあるかもしれないが、よく、喪が明けるまでは神社への参詣や鳥居を潜るのは禁忌であると言われていた。これは神の住処に、「死」という穢れを持ち込んではいけない、という神道に基づいている。

忌中は宗派によって49日であったり50日であったりとマチマチではあるが、ウチの宗派で喩えると、7日ごとに裁きを受け、7回目の裁きによってその後の行先が決まるとされている。すなわち、四十九日は霊から仏になることを意味していて、そのときに穢れも離れると考えられているそうだ。




「あと、鳥居を潜る潜らないは誤解です。そもそも参詣自体を控えるべきです」
「確かに。潜ろうが潜るまいが、神社に来ちゃってるんだもんな」


そんな訳で、参詣に問題がないとわかったので、きっちりお参りを果たし、





祭神は女性なのだそう。噴火を鎮めた火の神様で、桜の女神とも言われているのだとか。



その後、富士山頂の真の起点ともいうべき、金鳥居にも足を運ぶ。こちらは、R139上にあり、吉田口登山道でいうと最初に潜る鳥居とされている。




「予定していたルート上だったな」
「そうですね。今日は天気が良いから、鳥居越しの富士山もご覧いただけるのでは?」






やべぇ写ってないな……



インスタ360を過信しすぎた。2026年4月から始まる改正道路交通法対策で、動画撮影した素材から静止画を切り抜く方法を模索しているのだけれど、やはりまだまだ静止画用カメラも手放せなさそう。

おまけに、このあとインスタ360に災難が降ってきた





いやさこれダメだろ……






「大先生、どうも液晶の様子がおかしいのですが……」
「ぶっ壊れた?」






まだ購入後1年経ってない。









【悲報】インスタ360、ドック入り。









「えーっと、あのですね、ツイてない時は仕方ないですよ。ホラ、泣かないd……」
「泣いてねぇわwww」


ただ、帰宅後、撮影データを抜き出してみたところ、動画素材自体は壊れていなかったので、たぶん液晶周りのトラブルだと思う。そして、このときは撮影済みのデータを確認する術もなかったので、たぶんそうであろうとアタリをつけて、撮影自体はそのまま継続した。





丁度、富士回遊が出ていくところ。



さて、金鳥居の交点を左折し、R137へ。ちょうど交点付近に富士山駅があり、富士回遊が大月方面に向けて出発していった。





後述するが、河口湖駅の混雑を避けてここからバスに乗る観光客も。



ここから河口湖駅まで、やや薄い登りが続く。沿線には富士急ハイランドの第2入園口がある関係で、まあまあ大型バスの往来がある。





その結果、よく詰まる。






「その割には道が狭いんだよなぁ」
「このあたりを東西移動できる道、意外と限られてますから」


その先、上の段交点をナナメ左に進むと、河口湖駅である。到着は11:36。





富士急の終点駅。






「今日も今日とて、インバウンドで混雑してるな」
「バスに乗り切れるのでしょうか?」


多くの観光客は、この駅まで来た後、各観光地までは路線バスに頼らざるを得ない。ちょっと歩いて移動するには、距離があり過ぎるのだ。





長蛇の列。






「そういえば、この近くではありませんか?」
「例の幕か」


一時期、観光客のマナー問題に振り回されたローソン河口湖店。駅から歩いて数分の位置だが、よくよく考えりゃあバス待ちの時間でサクッと観光できる距離だなここ。





台風とかの影響で、今はこんなサイズになっている。






「当時はあれよりも高い幕が張られていましたが」
「こんな交通量の多い隘路でワチャワチャされたら、そりゃブチギレるわ」


道は、駅前を通って道の駅かつやまに至る県道714。さきほどまでのR137と同じくらいの狭さで、そして駅前発着のバスが頻繁に往来する。そんな道をベトナムの街中よろしく無秩序に横断しまくれば、どうなるかは明白だ。




「今日はそんなに多くないな」
「一過性のものだったのかもしれません。それに、警備の方が立ってますし」


当然のように、我々は撮影せずにスルー。ここでなくても富士山を収められる場所は沢山知っているつもりだ。





インスタ360から切り出してみたが、こういうことらしい(雲でガン隠れしてるけど)。



駅前からの混雑は、河口湖大橋に至る乳ヶ崎南交点で落ち着き、そこから先はのんびり走れる田舎道。





この先で渋滞は解消される。



程なくして、道の駅かつやまに至る小海交点へ。ここを右折すると、道の駅はすぐである。




「イエスタデイにはお寄りになりますか?」
「うどんが消化しきれてないんだよなぁ」






考えてみたら、このルートのハイライトが「イエスタディに寄る」だった。



せっかくだからハンバーグランチを、とか思ったものの、先程食べたうどんでどうにもハラが重い。今回はパスすることに。





代わりに風景を愛でておく。



ただ、せっかく開拓した店であるから、粗末にはしたくない。そういえば、道の駅富士吉田の軽食コーナーの開店は10:00だったので、たとえばスタートを8時過ぎくらいにして往路の富士吉田を10時頃通過するように調整すると、




「往路でうどんを食べて、山中湖を一周して、イエスタディでランチですね」
「完璧な計画だなそれ」


おまけに、約100キロの距離を休憩込みで7時間で走ったとすれば、8時スタートでも明るいうちにフィニッシュできる。ファンライド層には充分なスコアだし、これでもグロスアベレージは20キロを楽々超える




「次回はそれを試してみましょう」
「いいねぇ」






余談だが、身体の冷却が全然追いついていなくて、ここでも飲んだものが即汗になって出てきた。






河口湖→本栖湖






西湖を目指そう。



道の駅かつやまを出て、湖岸沿いを往く県道710を時計回りに進み、長浜の交点で左折すると、西湖までの激坂ヘアピン区間に入る。




「ここも定番だな」
「ちゃんとインナー使ってくださいね?」






絶望の坂、と思いきやちゃんと指定されたサイクルルートでもある。



ここは、西浜小学校のあたりから勾配がバキンと跳ね上がり、それが河口湖霊園のあたりまで続く。初見では勾配のエグさに心を折られがちではあるが、ヘアピンを2つ越えれば勾配は緩む。




「きついのには変わりない」
「その割には脚が回っているので良いかと思いますよ」


ちなみにここの区間だけでおよそ60アップ。アベレージ5.6の登坂がおよそ1.1キロ続く。R139ほど交通量も多くなく、プラクティスには丁度良い。




「トンネルが見えてきました」
「あそこで登りも終わるはず」


トンネルを抜けた先が西湖。そして、この湖周辺はほとんど標高が変わらない。湖西岸にあるペンション街までは平坦といってよいほど。





最初のお出迎えがこの看板。






「せっかくなので、いつもの場所で写真でも……」
「いつもの場所で毎回撮ってるよな」






事情を知らない別の観光客がログインしました(この後写真も撮ってあげた)。



西湖からは県道21号を西に進み、R139を右折し、赤池大橋を潜って精進湖に至る。





R139に復帰。



R139から見る精進湖は小さな沼みたいな印象であるが、実際にはこれは湖の南端の一部をちょこっと見ているだけで、奥まで入り込めば、雄大な景色を拝むことができる。ゆえに、




「赤池交点を右折です」
「それで県道701でいいんだよな」






ここを左。直進すると峠を2つ越えて甲府盆地に至る。



当然のようにルートに組み入れるようにした。このあたりは過去に何度も通ってはいるが、精進湖の真の姿に気づいたのは、意外にも最近のことだ。




「前回の実走練のときでしたね」
「度肝を抜かされた」


……で、当然のように写真撮影に勤しむ。三脚が使えないのでなんとか苦労して撮ったのだが、





ちょっと見えないかー。






「富士山は雲の中か」
「夏ですからね。致し方ないです」


日中の熱気が上昇気流に乗って上空に運ばれ、それが冷やされて雲になったり雹になったりして、やがて雷が生まれる。自然の摂理ではあるが、代償として霊峰は雲の中にかくれんぼしてしまった。




「残念ですが、この様子だと……」
「仕方がない。自然が相手じゃ我々はどうにもできない」


たぶん、県境からの富士山の眺めも不発に終わりそうだ。それを確認すべく、ふたたびR139に戻る。





ここに出てくる。この交点は右折。



民宿街の交点からR300分岐の本栖交点までは、先程の樹海ワインディングの逆走になる。幹線道路なので仕方ないことではあるが、もう少し交通量が少ないと、この区間は走っていて楽しいのだが。





冬季は降雪があり、その結果、路肩の舗装が割れがちでどうしても右に寄らざるを得ない。






「並走する県道71ではダメですか?」
「あっちは小さなアップダウンが沢山あるからねぇ」


R139渋滞時のバイパスとしても使える県道71は、比較的起伏が多いのと、本栖湖展望台付近に距離の長い勾配区間があるので、特に登り勾配となる北行では使いづらい。また、富士五湖の近くを通らないので、風景はほとんどが樹海という有様。




「やっぱりこっちのほうがいい」
「そうですか」






で、本栖湖に着いた。






本栖湖→県境


で、13:31本栖湖に到着。




「今日は人が多いですね」
「夏休み最後の日だからね」






こんなにいい景色でいい天気ならチルアウトも悪くないか。



あと、エルコスさんによれば、今回も微妙に100キロに届かないらしい。




「98.8キロになりそうですが、ズルしますか?」
「ズルって言うなしwww」


もう少し寄り道メニューを開発してもよさそうだ。





おや?



さて、どうも富士山方面の雲の形がちょっとおかしい。




「今日はもう、早めに切り上げますか?」
「珍しい。エルコスさんがそんなこと言うなんて」


本栖湖を出発すると、本栖湖リゾートまでの区間で丘越えがある。往路でも越えた山ではあるが、朝霧高原に至る南行のほうが、登りの区間距離がやや長い。





だいたい1.7キロくらいの距離。



途中には、本栖湖を見渡せると言われている本栖橋を渡るのだが、





見渡す限りの森。






「……どこ?」
「木々が邪魔してますね。葉が落ちる冬頃だと見えるようですが」


こんな具合なので、この区間は森とにらめっこしながら登っていくことになる。ただし、樹海の中にありがちな鬱蒼としたイメージはなく、背丈の低い木々のおかげで全体的に明るい。





まあまあ陽の光が入ってくる。



そのこともあって一見走りやすそうに見えるが、この区間は山梨県の各域から静岡県域に抜ける幹線道路で、特にR300やR358からの往来がこの道に集中すること。そして道の駅朝霧高原などを利用する車両が集中することから、時に後方を詰まらせることがある。登りで速度が出ないときなどはなおさらだ。




「一応、この区間には歩道があるから、いざとなればそちらに逃げればいい」
「……この状態だとしても、ですか?」






むしろ歩行者ですら無理なんじゃないのかね?









草ボーボー。






頼みの綱の歩道もこんな感じなので、後続車が詰まっているようならおとなしく停まって道を譲ったほうがいい。





ここまで来ればこのルートの山場はほぼ全て終わったようなもの。



丘を越えて本栖湖リゾートへ。そこから県境までが軽い登り返しで、ちょうど県境付近がサミットになる。




「このバス停、県境とあります!」
「あるあるだな」






よく人の家の前にバス停があると、〇〇さん家前、みたいな名前になりがちのアレ。



この県境付近には、富士ヶ嶺方面に至る富士河口湖町の町道が接続されていて、県道71号と連絡することができる。朝霧のアジトはその富士ヶ嶺方面にあるので今回はここを左折するが、直進して道の駅朝霧高原を目指しても良い。しばらく下りに転じ、高原地帯をまっすぐ走れば道の駅だ。





そして案の定。






「あー、やっぱり雲の中か」
「残念……」


まあ、富士山は照れ屋さんだった、ということにしよう。最終的に、朝霧のアジトには14:00着。走行距離は98.8キロとなった。










TITLE:リハビリの進捗。
UPDATE:2025/09/09
URL:http://y-maru.sakura.ne.jp/364_asa2025/asa2025.html