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354:山陰の旅#02



text&photo  by  ymr20xx@y-maru.com。



本日のルート (powered by Ride With GPS)






砂山しかないと、誰かが言った。



7:25、鳥取駅前を出発。





駅前から案内に従って進む(ただし徒歩圏内ではない)。



とりあえず、鳥取といえば砂丘であると、鳥取に造詣の深い10人中12人が口にする。




「増えてる増えてるwww」
「だが、それは正しいのだろうか?」


いくら島根と鳥取の区別がつかないとはいえ、いくら鳥取なのか取鳥なのかわからなくなるとはいえ、いくら何でもそれだけしかない、なんてことがあるものか。





砂丘は5キロ先か。



鳥取砂丘へと続く県道265を登りながら、他に鳥取の観光名所がないか考えてみる。





砂丘ってくらいなので起伏があり、とりあえず登らされる。



そして、砂丘トンネルを出て砂の匂いを感じるようになった頃、ある結論に達する。




「いやあるだろwww」
「随分時間がかかりましたね」


境港は海鮮の宝庫だし、鬼太郎の生みの親である水木しげる先生の郷里である。漫画家つながりでいえば、北栄町は青山剛昌先生の郷里でもある。地理的な話をすれば伯耆富士がどこからでも見えるのは、いつぞや訪れた鳥海山のそれに似ているし、




「あと、ハワイがある」
「……何を言っているのです?」






展望台に続くリフトを潜ると……



7:55、鳥取砂丘ビジターセンター着。とりあえず、絵にかいたような砂丘を拝むためには、高台に上らなければならない。




「ちょっと見てくる」
「行ってらっしゃいまし。靴がアレですから、深入りはしないように」


そして見た景色がこれである。





あの小高い丘が、「馬の背」というらしい。



圧巻な景色の一言であるが、生憎とこれよりも奥には入り込めない。なぜならSPD-SLだから。




「あと、砂は持って帰ってこないでくださいね」
「あざ、確か採取と落書きは厳禁なんだっけ」






しっかり書いてある。



過去には北海道で天下を取ったバラエティ番組がコレに抵触したことでも有名な話だ。





早朝にもかかわらず、大勢の来訪がある。そしてさらに増えていく。



ところで、鳥取砂丘というと、この圧巻の景色が取り上げられることが多いが、実際のところ、鳥取砂丘と称される区域は、もう少し広いらしい。




「東は福部町のあたり、西は白兎のあたりまでが、鳥取砂丘とされていますね」
「結構広いな」


東西にはおおよそ16キロほど広がっているのだとか。ちなみに、ラクダに乗れたりできる一般的な鳥取砂丘を想起させるこの場所は、浜坂砂丘という名前で呼ばれているそうだ。





そして気付く。






「……大変だエルコスさん。やることがなくなった」
「観光名所って、しばしばこうなるのですよね」


とりあえず、鳥取のランドマークを堪能したので、次の鳥取名所に向かうとしようか。





そしてここでしか見られない注意書き。






ハワイ



今日は晴れ間が広がり、ロングライド日和となった。あちこちで道草を食いながら、ひたすら山陰の海岸線を西に進む。





この辺りは、鳥取うみなみロードにも指定されている。



途中、因幡の白兎伝説でお馴染み、白兎神社にも寄っていく。





縁結びの神様なのだそうだ。






「永琳いねぇかな?」
「大先生、あれのテーマは竹取物語で、違う話ですよ?」






参道から海を見下ろす。



あと、あのときの兎は、本気でこの海を鰐の背に乗って渡ろうとしたのだろうか。




「隠岐の島からここまで渡った、というのにも諸説があるようですね」
「まあ、昔の話だからね」






東映のアレを感じる程度には荒々しい海だぞ。



そういえば今日の目的地を説明していなかったが、これから山陰の海岸線を西に進み、境港まで往くつもりである。今日の米子発のサンライズは押さえてあるのだが、このままだとどう頑張っても米子に早着してしまうし、境港では1つ、どうしても確かめておきたいことがあった。




「結局のところ、イヤだイヤだ言っても、登っちゃうんだよ」
「サマーナイトタウンの歌詞みたいじゃないですか」






R9は山陰の幹線で交通量も多いので、可能な限り旧道に逃げていく。



そんなに言うのなら、という訳でもないのだろうが、穏やかの地形が続く山陰道を西に走っていると、長尾鼻という岬のあたりで、道はバキッと登りだす





当然だが、旧道のほうが勾配がエグいときもある。






「あれかーwww」
「大丈夫、ここで自動車専用道路と分離するので、往来は減るはずです」


東西のつながりが希薄だった山陰地区も、近年、R9のバイパス機能を担うべく、高規格道路が整備されつつある。最終的には、既存の高速道路と接続し、山陰地区の往来がさらに便利になるのだとか。





1ケタ台は楽勝、という発想自体がおかしい(しかも「急」って書いてるし)。






「2ケタじゃないから大したことありませんね!」
「それにしたってまあまあ急じゃない?」


現在でもR9の指定を受けた道だがこの周辺は豪雪地帯でもあるので、、山陰道が開通する前は難所だったと想像できる。

ただ、登りきったところにある魚見台という展望台からは、山陰の海岸線を広く見渡すことができて、自転車に乗っている身としては、ちょっとしたボーナスタイム感はある。





今まで通ってきた海岸線が一望できた。






「東のほう、雲が出てきたな」
「少し急ぎますか」


そして、この区間の丘越えを完了したところで、湯梨浜町に入る。2004年に周辺自治体を合併してできた町だ。





温泉と果実と砂浜の街。






「……大先生、あの、なんかハワイって書いてあるのですが?」
「だから言ったべ」






伏線の回収。



湯梨浜町となる前、このあたりには羽合町という自治体があり、その読み方もハワイだった。それを狙ってかは不明だが、ヤシの木を生やしたり、ハワイビーチと名付けるなど、まあまあなハワイ推しだった。……その当時は。





2001年10月に撮影。実は弊サイトの最古のコンテンツにも登場していた。






「これ、23年前の写真なんだが」
「滅茶苦茶ハワイですねwww」






ちなみにハワイのビーチはこんな感じ(これは2024年に撮影)。



とはいえ、日本のハワイはどこか磯の香りがして、あの華やかさとは無縁といえば無縁。ついでに言うと、ここのハワイには温泉が湧いている





スパじゃねぇ、温泉だッ!






「調べてみたら、鳥取の4大温泉のひとつみたいですよ」
「しかも、小さいながらに温泉街もある」


街の所々に無料の足湯もあったりして、意外と温泉街の雰囲気が色濃く出ている。しかも、鉄道駅から微妙に離れている立地もあって、あまり騒々しくないところが穴場感があって良いと思う。





温泉街には、4箇所ほどあるらしい。






「この東郷池から温泉が湧き出ているみたいですね」
「そういえば対岸にも東郷温泉ってのがあるみたいだね」


ちなみに、現自治体名である湯梨浜町も、この東郷池から湧き出た温泉の「湯」を取り入れているのだとか。





この東郷池から湧き出でているようだ。






「それにしても、全然ハワイじゃなかったwww」
「みんな想像するんだよ。ホノルルの空を」






余談だが、オバマもいたぞ。






日本一治安の悪い街



湯梨浜からは一旦R9を離れ、県道320で西を目指す。R9は、途中で部分開通している山陰道に変わるので、自転車で走り続けるのはちょっと大変なのだ。





距離表示と線形でわかる通り、この道はR9の旧道である。



……で、天神川を渡った辺りでヤツに追いつかれた





一気に天気変わったし、なんかガスってるし。






「うっわマジか!?」
「一旦、雨宿りしましょう!」


東の空は綺麗な鉛色で、おまけに霧掛かっていた。こりゃ間違いなく降ってるな、と。




「ですが、降ったり止んだりで安定しませんね」
「もう流れで走って、降ったら雨宿りを繰り返すか」






今はもう使われていない事務所の軒先を借りてしまった。



そう決めた。路面は降雨によりしっとりしているが、まあ靴下を再起不能にするほどではないだろう。





しばらくすると雨は止んだ。



で、西へ走ること暫し。我々は、米花町に入った




「気を付けてください大先生、この街は日本一治安の悪い街ですw」
「殺人事件の発生率がベネズエラの10倍らしいなw」






人の命に関わる事案がしばしば起こることで話題の街。



何せ、ここに住む小学生の一人は、







死神w






と喩えられるほど。ゴキゲンルンルンで遊びに行って、泊まるホテルに彼がいるだけで







確定で重犯罪事案発生w






ということが実しやかに囁かれているのだとかw





彼と同宿になったら、それなりに覚悟が必要と言われている。






「ネタバレすると、コナン描いてる青山剛昌先生の郷里なんだよね」
「あちこちコナン推しですよね」






なんならトイレのピクトグラムにだってツノ生えてるし。



もうね、街中がコナン推し。なんなら駅すらコナン駅。





むしろ由良駅のほうがサブ扱い。



なお、この様子をrenas先生に伝えたところ……




「YAIBAはなかったことになっとる」
「まじっく快斗マダー?」


……まあ、まじっく快斗のほうはギリセーフだろう。きっと探せば街のどこかに怪盗キッドはいるはずだし。





いや普通にいたわ。



さきほどの米花町のくだりだが、由良川のすぐ脇くらいに米花商店街を模した観光スポットがあり、休日最終日ということもあって結構賑わっていた。また、もう少し海寄りには青山剛昌ふるさと館があり、それらを繋ぐ県道167号線にはコナン通りの通称が与えられている。





マンガ原作で町興しがうまくいってる好例を垣間見た。






「大先生! 哀ちゃんと写真撮りましょう!」
「どうしても中の人が頭を過るんだよなぁ」






かつて自身の楽曲「meet again」を「肉、再び」とネタにした肉食の先輩と共に。






そして境港へ。



米花町を後にした我々は、その後R9に復帰し、大山町までやって来た。このあたりから、左手に伯耆富士を拝むことができる、……はずなのだが。





一応、方角的にはこっちのほうで間違いないのだが……






「ガスってて見えん」
「あー、残念!」


途中で海沿いの道に逸れてみたりもしながら、13:31御来屋駅着。





山陰最古の駅。






「駅舎は1902年開業当時のものだそうです」
「外観はそんな感じしないけど、中は雰囲気あるね」


そういえば、エルコスさんがあるものに興味を抱いた。同じものが昨日の美作滝尾駅にもあったが。





小荷物の運賃表。






「手荷物と貨物……  ここから発送できたのですか?」
「国鉄時代はそうだったらしい」


また宅配便事業が本格化する以前、荷物は鉄道によって運ばれていた。利用する場合は、貨物を取り扱う駅で必要なきっぷを購入し、それを旅客列車に乗せて目的地へと送る。俗にチッキと呼ばれているのは、運ぶ荷物に発行される符票のことを指している。




「送った荷物はどうするのですか?」
「駅まで取りに行っていたらしい」


一説では、配達するサービスもあったようだが、基本は駅留めだったという。





昨日の美作滝尾駅にあった標識。取扱をする駅は駅員常駐で、それが駅舎の立派さにもリンクする。



現在では、道路網の整備と宅配便事業の充実で、完全に廃れたシステムではあるが、その当時はこれが主流で、市販の時刻表には荷物を専用に運ぶ列車の時刻表が掲載されるほどだった。





各駅停車しか停まらないのに立派な駅舎があるということの理由がこれだ(諸説はある)。



さて、御来屋駅まで来たということは、米子はもうすぐである。二本木の交点を右折し、R431に入る。





いよいよここから境港方面へ。



皆生温泉、弓ヶ浜と通過し、境港に至る国道である。とりあえず、境港や隠岐の島方面へのメインルートではあるものの、




「なんか走りにくい」
「路肩が狭いですね」






直観的に、「あ、これ走りにくいな」って思った。



皆生周辺は、隠岐の島方面への大型車が多く通ることもあって、圧迫感が尋常ではない。併せて、交通量も予想以上に多く、ちょっと自転車では走りたくない感がある。




「西側の県道47のほうが良かったかもしれません」
「これはまた日を改めて調べてみるか」


さらに、空模様は優柔不断に拍車をかけてきており、降ったり止んだりを定期的に繰り返す。しかも降り方がまあまあエグい





これなんかはまだいいほうで、所々路面はぐっちゃぐちゃに。






「山が見えてきました」
「あれは島根県側の山らしい」


15:32、境港着。左折すれば水木しげるロードを経て、境港駅に至るが、





そう、やることがある。






「じゃ、今日のメインイベントだ」
「無事に終わればよいのですが……」


我々は右折した。そしてすぐに左折し、目の前のエグいやつと対峙する。





エグいやつ。






「この橋の周辺ほど、面白い地形をした場所はない」
「境水道を挟んで、雰囲気が全然違いますね」


中海や宍道湖と外海を繋ぐ境水道は、隠岐の島への航路のほかに、海外航路が設定されていたこともあるなど、海運の重要拠点でもある。そのため、大型船舶が通せるよう、この周辺の架橋には、船を通せるだけの高さという条件が付される。俗にベタ踏み坂と呼ばれる江島大橋も、そういった理由であんな形状になっている。





とりあえず、通っちゃダメとは書いてない。



境水道の南側はギリギリまで境港の市街が広がり、街が栄えている印象を持つが、北側は水道ぎりぎりまで山肌が迫り、小さな人家がぽつぽつと、山肌に張り付くようにして建つという秘境っぷりを見せる。南北でここまで両極端なのも、そうそうないだろう。




「調べたら、2007年まで渡船が運行されていたみたいです」
「それが廃止された結果、このメインイベントよ」


目の前のエグいやつ、こと境水道大橋は、歩行者と軽車両の通行が認められている。ただ、橋の傾斜がエグいのと、予算の関係で取ってつけたレベルの幅しかない歩道ということもあって、徒歩利用の場合はほとんどがコミュニティバスを利用しているらしい。問題は自転車だ





ご同業とすれ違った。つまり、通ってもいい、と。






「隠岐の島への航路は、境港の他に、美保関からも出てるんだ」
「つまり美保関航路を利用する場合は、この橋を渡るのが必須なのですね」


なので、実際に渡れるものなのか。また渡っても大丈夫なのかを確かめておきたかった。





当然、インナースタート。とにかく滞りなく登りきることを優先に。



結論から言うと渡って大丈夫だし渡れないこともない。ただ、留意点が多々ある。




「まず、勾配がエグい」
「アベレージ7.25というデータがありました」






形状を見てもわかるが、序盤が急勾配で、てっぺんに近づくにつれて和らぐ。



まあこれは、インナーに入れての持久戦でどうにかなる。先述の歩道は自転車で走るのには向いてないどころか危険なので車道を走ることになるが、幸いさほど交通量は多くなく、今回に限っていえば後続車両を詰まらせるほどの渋滞は起きなかった。だが……





境水道。






「おー、いい景色」
ガッ!「……………………!?(プルプルプルプル)」


県境付近が最も高い地点になるが、ここで水面から40メートルほどの高さになる。思ってた以上に高い。高所恐怖症の人は間違いなく腰砕けになるレベルだ。





そして、今エルコスさんがいる部分が、「歩道」である。






「こんなとこ、歩道走ってバランス崩して欄干かr……」
「やめてやめてやめてやめて!?」


一番の留意点はコレで、特に風の強い日なんかは細心の注意を払わないと大事故になりかねない。なので、万人には勧められないルートなのは疑う余地はないだろう。




「エルコスさん写真撮る?」
「早く撮って!  で、すぐ降りましょう!」






わずか数メートルの越境。



とりあえず、こちらが望む情報は得られたので、島根県にちょびっと足を踏み入れてからすぐにUターン。すっかり腰が抜けたエルコスさんを宥めすかしながら、境港の市街に向かおうか。





この日、エルコスさんのパラメータ「苦手なもの」に、「極端な高所」が追加された(「暗所」はデフォルト)。






今回はここまで。



15:55、境港駅着。駅舎の裏手が隠岐の島行きフェリーの発着場になっていて、駅としては小振りだがちょっとしたターミナルとして機能している。





境港駅ターミナル。






「うぁぁ……  こわかったよぉぉぉ……」
「写真撮ってあげるから機嫌直せって」






渡船さえあればなぁ。



小さいながらもみどりの窓口が併設されていたので、ここで乗車券の乗変手続きを済ませる。サンライズ出雲の米子発が19:53なので、逆算すると境港発17:41か、もしくは18:44発の列車に乗ればよさそうだ。





ちなみに値段は変わらなかった。






「水木しげるロード寄って、輪行しているうちに17:41を捕まえられそうだ」
「丁度良いくらいですね」


予定通り、ここで今回の旅は終わらせることにする。走行データによれば、3日間の走行距離は、合わせて233キロという結果だった。




「ま、距離は稼げなかったが、実りある旅だった」
「これだけ観光が主だった旅、久しぶりでしたね」






鬼太郎と仲間たちに出会える道。



……あと、これは余談と忘備だが、境港のフェリーターミナル内には回転寿司屋がある。存在自体は前から知っていて、ここで一杯引っかけてから帰路に就く、というのをいつかやってみたいと思っていた。








とんだドリームズ・カム・トゥルー。









当然、やる。









「ささやかな贅沢だ」
「最後の最後で、やりましたね」






そういや米子駅で新型やくもを見た。












TITLE:ほぼ観光
UPDATE:2024/10/04
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