2012年版ガイドライン 実地踏査シリーズ スキー百本勝負 ほぼ月刊動画工房 ステキなダムn選 トップページ 用語辞典        リロード時刻:2025年04月06日(日)05時37分


353:ホルモンライド



text&photo  by  ymr20xx@y-maru.com。





ハラワタをくらう。



岡山県北部にある、ロックの殿堂を育んだ町で知られる津山市には、古くからホルモンうどんという名物があるのだとか。




「食べてみたいねぇ」
「ですが、東京からだと遠いですよね」


一応、中国道のインターがあるので運搬車で乗り付けようと思えばイケるのだが、片道で軽く600キロを超える道程だ。……なんて話していたら、ANAのタイムセールで岡山行のチケットが比較的安価で手に入った。




「岡山空港から津山市まで、およそ60キロ弱くらいの距離です」
「ハラワタが我々を呼んでいる」


そういったイントロから、今回の旅は始まった。





羽田空港の混雑よ。






実踏か、それとも手抜きか。(Day1)







本日のルート (powered by Ride With GPS)



羽田空港第2ターミナルサテライトから飛んだ便は、15分ほど遅れて着陸した。





出発時点で少し遅れていた。



早速、エルコスさんを復元にかかるが、今回の旅では、ちょっと装備品に工夫を凝らした。




「ポンチョの代わりに、ガチのカッパ持ってきた」
「やっぱり……」


ゲンナリ気味のエルコスさんだが、それには理由がある。実は今回の行程中、全日程で天気が良くない。それどころか、明日は確実に雨らしい。




「つい数日前に洗車したばかりですよわたし!?」
「帰ったらまた洗車するから」






岡山空港にはサイクルステーションがあった。



前回のTDTで雨ライドに耐性がついてしまったことで、さらなる悟りが開かれた。すなわち、ちゃんとしたカッパなら雨ライドがさらに快適になる、と。




「なんでそれを2週連続で試しちゃうかなぁぁぁっ!?」
「俺は悪くない。天気に言ってくれwww」


そしてもう一つ。今まで飛行機輪行が発生する旅に於いては、ペダルをSPDに変更していた。今回は、SPD-SLのままでいく。





初の試み。






「これは単に面倒くさかったから」
「10月には大会も控えてますからね」


ご存知の通り、クリートが剥き出しのSPD-SLは、歩くことに関しては、控えめに言っても考慮されているとはいえず、まあぶっちゃけ歩きにくい

ただ、SPD-SLで輪行するのはしょっちゅうだし、クリートカバーも持参してきたので、多少はマシになると思う。……いや信じたい。





天気はギリギリ持つかな?



さて、復元が終わり、14:15岡山空港発。





エルコスさんにとっては、45都道府県目になる。



岡山空港は、広島空港と同様に丘の上に建設された空港。つまり、起点にする分には有難いことに下り基調となる。




「事前調査で空港が山間部にあると聞いたから、どうしたものかと……」
「よかったじゃないですか」






谷形状の道を下っていく。



ルンルン気分で県道61を東に進み、まずは御津の街に出る。ここでR53を左折して津山市街を目指すのだが、




「やや遠回りなのですよ。県道71で建部に出たほうが……」
「まあ、分かりやすくていいじゃないの」


それに、エルコスさんのいう県道71ルートは、どうみても山間部に突っ込んでいくように道が続いていて、こりゃ山登りは確定だね、といった感じ。




「いつ雨が降るかわからないし、初日は安牌を取ろう」
「そうですね。沢山走れるのでラッキーと考えましょう」






津山方面へ。



そういった訳で、我々はR53を左折した。岡山と鳥取を直結する陰陽連絡の幹線を。





思った以上に往来があって、ちょっと慌てる。






「前言撤回!  なんですかこの道!?」
「そうなんだよ。メチャクチャ交通量が多いんだよ」





不調の正体。



さて、津山までの道程は、この交通量過多の幹線道路を北上するだけである。





地図上では山間部に違いないが、体感的には平地っぽく感じる。



建部までは旭川と並走。トンネル区間があれば迂回したりして、いつしか久米南町に入る。





時にこんな細っこい道を通りつつ、






「道の駅がありますね」
「ちょっとルートの確認がてら寄っていこう」


地図上では、ここ久米南町に続き、美咲町を経て、津山市に入るようだ。





道の駅くめなん。






「ちょうどこのあたりが、津山までの中間地点になります」
「思いのほか疲れるな」


今年導入した特大サドルバッグの収まりがよくないらしく、妙にリヤが振られる。これが地味に疲労として返ってきているようなのだが。




「アダプターで固定しているわけではないので、どうしても……」
「毎回、って訳でもないから、偶然収まりが悪いってだけなんだろうけどね」


とはいえ一回外して付け直す、なんてのは面倒なのでやりたくない。残り30キロなら、ゆっくり走っても2時間だ。それくらい我慢しよう。





まずは隣町、美咲町へ向かう。






「この先はどうなってる?」
「津山市境のあたりに起伏がありますが、大したことはないと思います」


その言葉どおり、このあと特に何があるわけでもなく、16:20津山市に入った。





岡山第三の都市。



それにしても、先週の出撃の疲れなのか、サドルバッグに翻弄された疲れなのか、どうにも走りがしっくりこない。




「下り基調なのに。向かい風でも吹いてるのかな?」
「今、下り基調と仰いましたね?」


エルコスさんが驚いた口調で確認してきた。曰く、「ずっと登りでした」と。





実はこんな風に見えて若干の登り基調。






「え、下りじゃないの?」
「とんでもない。ここまでの区間、およそ200ほど登っています」


そりゃあ疲れるし速度も出ないわけだ。厳密にいえば、美咲町に入る直前までがうっすら登り勾配で、それを越えると津山市までは下りになるという。




「ですが、それも終わりのようです」
「あれが津山の街か」






栄えてきた。






ハラワタの所以。



16:42、津山駅着。





かつて急行も停まった駅。



岡山では3番目に大きな市であり、岡山北部の交通の要衝となっている。もともとこの地域は美作という小さな国であり、盆地状の地形から、発展が進んだといわれている。




「この川を渡ると城下町だった場所です」
「今も十分栄えてるじゃないか」






橋の向こうが津山の市街地。



津山城は、小高い丘の上に建てられた、いかにもな城である。その当時、吉井川、宮川、藺田川の3つの川を外堀とし、城下町へはこれら3本の川のどれかを渡る必要があったそうだ。




「自然の地形が城を守っていたそうです」
「理に適った設計なんだな」






今津屋橋。吉井川を渡る橋だ。



そして、その城下町を貫くように旧街道の出雲街道が通っており、その東西には往時の街並みが復元されて残っている。





由緒ある構造物の証。



先述の藺田川に掛かる橋もまた、当時の面影を残していた。今では登録有形文化財となっている。




「大先生!」
「言わなくとも分かるわ」






藺田川を渡る西の境界だった橋。



また、史跡とは関係ないが、津山市街には複雑に入り組んだ、大規模なアーケード街が形成されていて、雨の日とか移動が楽そうだなぁ、なんて感じた。




「あのでっかいデパートは?」
「アルネ・津山ですね。津山のランドマークですよ」






百貨店以外にも色々な施設が入居しているという。



津山銀天街と名付けられたこのアーケードの終端には、地方都市としては異例と形容できるサイズの複合型ビルが建てられていた。恐らく、津山の人たちで賑わいを見せる場所なのだろう。




「あ、あれは津山城の影絵ですね」
「隠れミッキーみたいだな」






意識していないと見逃しかねない。



思いがけず観光を楽しんでしまったが、気が付けば時刻は17:20。今宵の宿は隣駅の東津山駅前に取ってあるので、もう投宿してしまおう。





ここがかつての出雲街道筋。



で、チェックインを済ませて人心地ついたところで、いよいよお待ちかねのホルモンタイム。近場でオススメな店はないかとエルコスさんに調べてもらったところ、




「歩いて5分くらいのところにありますね。鉄板焼きやさんですが」
「いいじゃんそれ」






くいしん坊。岡山県津山市川崎138-2



東津山の鉄板焼き屋、くいしん坊。来店時は待ち客がいたが、すぐに店内に通され、ごつい鉄板の前の席についた。当然のようにホルモンうどんを注文するのだが、そういやエルコスさん、「鉄板焼きやさんですが」って言ってたな





おや、右のグラスは……






「結局、ハッスルしちゃいましたかwww」
「我慢しろとか、無理だろ絶対www」


ところで、岡山北部の山間の街にて、どうしてホルモンうどんが名物となったのか。そもそも、ほぼ生のホルモンがこうも容易に手に入るのはなぜか。




「わたしが調べた限り、複合的な要因があるみたいです」
「というと?」


エルコスさん曰く、ひとつめは津山で牛馬の市が立つほどの流通拠点だったこと。ふたつめは肉食を禁じられていた時代から、例外的に食肉文化があったこと。そしてみっつめが……




「県北部域の食肉処理場がこの津山にあることです」
「そうなんだ」






気が付けばツマミが増えてるし。



正確には一般屠畜場と呼ばれる市営の施設が、この東津山にあるのだとか。なるほどこれなら鮮度の良いホルモンが手に入る理由もわかる。

これら様々な要因が絡み合った結果、どちゃクソ酒が進むホルモンうどんが食べられる、という訳である。





もう我慢できずに1枚焼いてもらった。






「岡山は初めてですが、良いところじゃないですか」
「今まで来る機会がなかったけど、こりゃハマりそうだな」


なんて上機嫌な夜を、我々は楽しんでいた。……はずだった。





津山よ今夜はありがとう。






怨恨(Day2)



本日のルート (powered by Ride With GPS)



朝起きて窓の外を見たら、ガチなほうの降雨だった





まじかよ。






「雨の馬鹿野郎。」
「親でも殺されたか、ってくらい重たいんだがwww」


今までの基準でいえば、東津山から輪行しましょうかねぇ、ってレベルの雨である。問題は、中国地方の地方交通線の運行本数と、雨による運転見合わせの報が出ている、ということ。




「雨の馬鹿野郎。」
「……もういいです。帰ったらちゃんと洗車してくださいね」


もう少し降り方が弱いくらいが嬉しいのだが、割と大粒な雨は、容赦なく路面を浸していく。





頑張れば「土砂降り」扱いでいいかもしれない。



諦めが肝心か。折角持ってきた雨具の性能を、今ここで試そう。





今日は鳥取を目指すつもりだが、果たしてどうなることやら。



8:35、宿を出発して、まず最初に向かったのが津山の食肉センター。ここで良質なホルモンが出荷されるのだが、





聖地感はない。






「まあ、普通に工場だよな」
「ですね」


当然のように、見学とかできるわけではない。それに今日は日曜日だ。





鳥取までは70キロか……



それでは気を取り直して出発。今日もR53のお世話になるところだが、途中で県道6号に乗り換え、美作加茂と物見峠を経由し、智頭までは走ろうと思う。




「このルートですと、智頭まではエスケープできませんが」
「まあ、きっと大丈夫でしょう」


根拠のない自信。おまけにこの時点で、美作加茂から智頭までの間が運転見合わせ中で、これで峠区間も通行止めであれば、恐ろしく遠回りを強いられる。





なお、智頭まではR53を通っても結局峠越えを強いられる。



今日の宿は鳥取駅前に取っているのだが、下手すると鳥取到着は深夜になるか、あるいは鳥取にすら辿り着けないかもしれない。





開通はしているようだ(冬季は閉鎖になるらしい)。






「今のところ、大丈夫っぽいな」
「何もなければよいのですが……」


さて、カッパの効果は絶大で、特に路面からの撥ねっ返りで不快な思いをすることが軽減した。これにシューズカバーを組み合わせれば、完璧な布陣ができあがるだろう。




「シューズカバーの導入を考えないといけませんね」
「……ところがだよ」


快適だったのは下半身だけだった。パンツに組み合わせた、もはやどこで買ったか不明の上半身部分は、いつしか雨がカッパを貫通してジャージをぐちょぐちょにし始めていた。




「これ、上はなくてもいいかも知れん」
「全然水を弾いてませんよそのカッパ」






数年前に購入し、今回初めて使い、そして本日がさよなら運転という。



9:15、美作滝尾駅着。いくつかの映画やPVでも使用された戦前からの駅舎が特徴的な駅だ。





「男はつらいよ」のロケで使われたそうだ。



ここで、ぐっちゃぐちゃになったカッパを脱いだ。カッパの上をもう一度きちんと考えなければいけないと思った。





駅舎内は往時の雰囲気をそのままに。



駅の無人放送からは、相変わらず運転見合わせの報が繰り返し流れていて、とりあえず状況がよろしくないことだけは確定している。




「どうなさいます?」
「戻るってもなぁ。……まあ、往けるだけ往ってみるよ」


幸い、カッパを脱いでいるうちに雨脚は収まり、僅かながら青空が見え始めた。





本当だろうねぇ?






「とりあえず美作加茂まで往こう。そこが引き返すかどうかの最終判断になる」
「峠越えの最終ポイントにもなってますからね」


では改めて出発するが、そもそもこの道は現在のR53が整備される前の、因美連絡の主要道だったという文献が残されている。実はそこそこ交通量が多い街道筋だったりする。





県道を外れて、脇道を往く。



また、この周辺は野菜の農作が盛んな地域で、それにまつわる史跡などが多く残されている。





暗渠、とある。






「……ねえ、この土浦藩って、まさかだけど」
「あの茨城県土浦市ですね」


驚いたことに、幕末の土浦藩は、今の茨城県域だけではなく、近畿や美作地域にも領地を有していた。その領地である堀坂村の農業用水事情を解決すべく、チートスキルを発動して用水路を掘ったらしい。





まあまあな勢いで流れていく。






「あれですかね?」
「なんか流れていってるな」


この用水路は最終的に、県道6号を挟んだ東側の堀坂集落まで伸びていて、周囲の田園を潤しているのだという。





加茂川の水を引き込むための施設だったようだ。



さて、そんな史跡などをいくつか巡りながらさらに北上していくと、美作加茂駅に辿り着く。……と、ここであることに気付く。




「因美線の駅舎って、結構レトロだよな」
「当時モノをそのまま利用しているみたいです」


古き良き時代の鉄道施設を、思う存分堪能できるという意味では、岡山県北地域のローカル線はパラダイスに違いないだろう。……さて、そんな美作加茂駅には10:00着。




「写真撮りましょう!」
「よかったカッパ脱いでて」






ここで折り返す運用もあるようだ。



現駅舎は2003年に建て直されたもの。比較的新しい駅舎だ。




「他の駅がレトロすぎて、2000年代初頭でも新築扱いになってる」
「旧加茂村の中心駅ですから、それなりに立派な駅舎でないと」


かつて、津山線と因美線を経由して陰陽連絡をしていた頃は、急行が停まる駅だった。現在でも、当駅折り返しの列車が設定されているなど、主要な駅としては健在である。





あれも当時モノかな?



ところで、駅放送のスピーカーからは、相変わらず運転見合わせの報が流れ続いている。




「次の智頭方面行きは、12時までありませんね」
「2時間待ちか」


雨も止んだことだし、恐らく2時間待てば運行再開になっている公算は高い。……んだけど、




「2時間あれば、どこまで行けると思う?」
「……まあ、鳥取県には入っていると思います」


ですよねー。





それでは、峠越えに掛かりますか。



さて、加茂のコンビニで仕込みを抜かりなく終わらせ、徐々に寂しくなる雰囲気の田舎道をのんびり登っていき、10:40知和駅着。





そこそこ大きめの駅舎。



ここも昔からの木造駅舎で、周囲には大きな集落がある訳でもなく、ひっそりした雰囲気の中にあった。




「駅務室があるな」
「1970年くらいまでは有人駅だったようです」






時代が時代なら、STBが捗りそうな佇まい。



かつては賑わいを見せていたことだろう。ちなみに隣の美作河井駅も、同様の歴史を辿っている。





隣駅だって負けてはいない。






「こちらのほうが7年ほど早く、貨物の取り扱いを廃止したようです」
「ここまでが岡山県か」


余談だが、この駅の奥のほうに、手動の転車台があるのだとか。ただ、特に案内が出ていたわけでもなく、この時はスルーしてしまった。




「このあたりは屈指の豪雪地帯で、転車台は除雪車のためだそうです」
「なるほどね」


現在でこそ智頭急行によって成されているが、かつてはこの路線が陰陽連絡の主幹線だった。しかもこの先、県境の峠越えを控えていて、除雪の備えは必須だったのだろう。





県境周辺は、険しい地形を往く。






「……で、我々もこれから物見峠越えです」
「雨が小康状態で助かった」


物見峠の標高は約640とのこと。美作河井駅が330なので、残りは310アップ、ということになる。





何度か因美線と交差する。ここが最後の踏切。



ちなみに、スタートの津山は標高95。つまり、峠まではおおよそ30キロで540アップの登りで、計算するとアベレージは2パーセントとかそんなくらい。実は大したことのない峠越えだったりする。




「また適当なことを。峠越えの大半は、サミット周辺がきついのですよ?」
「まあ、テストの平均点も似たような理論だからな」


……で、美作河井駅をもう少し東へ進み、峠の名を冠した物見の集落まで来た。鉄路はここから長いトンネルで鳥取県入りするが、陸路では狭隘な峠越えが始まる。





いよいよインナーに入れる。



田園地帯を横目に登っていくと、やがて展望が遮られ、鬱蒼とした森の中を往く1車線の登り坂となる。




「所々で10パーセントを超えますね」
「勾配のアベレージ表記はアテにならん」






気合と根性の2ケタ。



どうやらヘアピン蛇行で勾配を緩和させているようだが、それでもイン側は時々エグい数値を出す。唯一有り難かったのは、美作加茂から北側では、交通の往来が激減するということ。お陰で登りやすい。




「雨の日は登りに限る」
「下りはホントに停まらないですからね」


……で、よちよち登り続け、11:45物見峠着。





因美の「因」。






「麓からだと、おおよそ30分といったところですね」
「まあまあ楽しめた」


ここが岡山と鳥取。言い換えれば因幡と美作の境界である。




「それでは大先生、儀を……」
「いつから撮影タイムが厳かになったのよwww」






境界標。足元には岡山県と鳥取県の石標があった。



とはいえ、エルコスさんにとっては儀なのかもしれない。これで、このチタンフレームは日本の47都道府県のうち、46都道府県を踏んだことになる。




「残すは……」
「長崎県です!」






「いつ撮った!?」「先程コッソリとwww」






美作はうどん、因幡はそば。



智頭の市街に向けて峠を下っていくが、どうやら鳥取県側のほうが勾配が急で、なおかつ危なっかしい道だということが分かった。




「ガードレールがないのはデフォだ」
「落ちないでくださいよ!?」






鳥取側はこんな感じがデフォルトで続く。



俺だってヤだよ。ましてや、今日は雨でブレーキがほとんど効かないのだから。





こっちに降りていくと那岐を経て智頭に至る。だけどブレーキがさぁ……



県道295交点を過ぎると、道はちょっとだけ登り返す。そして登り切れば、あとは智頭の市街まで下り続けるのみ。





ここまで来れば登り勾配とはおさらばできる。



だが、ここに来てふたたび雨が本降りになってきた。




「もうこりゃ智頭から輪行に切り替えよう」
「仕方ないですね」


智頭から鳥取までは30キロ程度しかないっぽいのだが、流石にこれだけ降られると心が折れる。おまけになんか寒いし。




「ちょっとカッパ着たい」
「いいですけど、カッパの上は……」


ああそうだ。ぐっちゃぐちゃだったwww





でも着た。



だが、どうせ濡れるのは確定だし。防寒の意味でいえばないよりかはマシだろう。……だが、カッパの上問題は、今度ちゃんと考えるようにしないと(2回目)。





田舎道をさらに下る。なお、左折するととんでもない山奥に運ばれるそうだ。



さて、何だかんだで県道6号を下り続け、智頭の市街地に着いたのは12:39。美作加茂12:06発の列車の到着が12:47なので、




「やりました!  8分も捲きましたよ!」
「これは捲いたと言えるのだろうかwww」


まあ、楽しかったのでヨシとしよう。





智頭急行との境界線。



さて、 鳥取行の時刻表を見てみると、13:33に各駅停車がある。そして、駅前には食事処が。




「昼食食べて、輪行して、鳥取に向かおう」
「間に合わなくても、ここからなら特急を使えますしね」


で、駅前にあるホルモンそばの店へ。





とっこ処。鳥取県八頭郡智頭町智頭2052-16



どうやら、鳥取でも津山と同様にホルモンを売りにしたB級グルメを展開中らしい。




「鳥取県東部では、歴史のある料理だそうです」
「こっちは中華麺みたいだな」


鳥取のホルモンそばはホルそばと称される。ホルモンの部位、味付け、麺の種類に至るまで、一貫したルールというものが明確になっておらず、ホルモンと麺を絡めた食べ物ということだけが共通しているそうだ。




「……で、定食にしてみたのだけど」
「なんですかこの炭水化物イン炭水化物はwww」






これならホルモンだけでも充分楽しめただろう。……そばはおいしかったですマジで。



うん、米いらんかったかも。そば大盛りのほうがよかったかな?

ただ、畜産が盛んな地域ゆえに、ホルモンは美味しかったし、おかずとして頼んでいたら秒で米が消えてた可能性すらある。そばもモチモチしていて腹に溜まるし、ソースが香ばしくて個人的には好きな味だった。




「ホルモンの聖地だな」
「ハラワタをくらいつくしましたね」






さ、それでは鳥取を目指そう。



天気は悪かったが、内容は満足いくものだった。それでは13:33の鳥取行に乗って、今宵の宿へ向かうとしよう。





もちろん抜かりはない。












TITLE:堪能したもの==内臓と降雨
UPDATE:2024/10/03
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