2012年版ガイドライン 実地踏査シリーズ スキー百本勝負 ほぼ月刊動画工房 ステキなダムn選 トップページ 用語辞典       


346:NORI-Climb#09



text&photo  by  ymr20xx@y-maru.com。



本日のルート (powered by Ride With GPS)






天気が崩れる前に。



5:30、鈴蘭バスターミナルを出発。





見かける人の半分がご同業、もう半分が登山客。



何やかんやで毎年恒例の乗鞍である。今年はどんな感じになるのやら。




「是非ともここは、昨年のリベンジを!」
「全く自信がない。てか、3時間すら切れんかも」


……結論から言うと、ホントに3時間切れなかった





今からあのてっぺんくらいまで往きます。



珍しく早朝から登頂開始だが、どうやら乗鞍周辺の天気予報を見ると、昼前から天気が崩れるらしい。なるたけ早めに登りきって、昼前には全て終わらせてしまおうと考えてのこと。やはり雨のライドはできれば避けたい





なんとか天気は持ちそう。



で、湯楽里の前から始まる登り区間を、いつもどおり1枚残しの25Tで登っていく。序盤ということもあってまだまだ余裕、……と思いきや、




「うーん、なんかしっくりこない」
「踏んじゃってるのですよ。もっと回すことをイメージしてください」


やはりコンスタントに乗っていないと感覚を忘れるのだろう。どうにもこうにもしっくりこないまま、疲労だけが溜まっていき、休暇村の時点で息も絶え絶えに





もうゴールしてもいいよね。……ってここで毎回呟いてたことを思い出す。






「こりゃあかん」
「乗れてませんね今日は」


エルコスさんにすら呆れられる始末。確かに登りには苦手意識しかないが、食わず嫌いせずに定期的に走り込まないといけないなと少しだけ反省する。





颯爽と。



そして、登っている最中に感じたことは、すっげぇブチ抜かれるという事実。これだけ見ても、着実に劣化していると感じるわけだが、




「時期的に、乗鞍ヒルクライムの実走練習じゃないでしょうか?」
「そういや今月末だったな」


どうやらこの人たち、大会参加する程度の乗鞍ガチ勢みたいだ。そういえば鈴蘭の駐車場も、見かける人の半数が登山客で、もう半分はガチのご同業だったなぁ、と思い返す。





まあ、繁忙期だしね。



三本滝への登り区間をコツコツと走りつつ、少しずつ感覚を取り戻していく。自分の経験上、34×28であれば確実にてっぺんまで登りきれるのは判っているので、劣化を憂いても諦めなければ登りきれる

そうこうしていると、視界が開けた。6:10三本滝着。





ここまでは一般車両でも来れる。






「ここまでは昨年と同じくらいのタイムですね」
「もはや2時間30分は夢と化したか」


まあ、人はいつか老いる。とりあえずそう言い訳しておくが、何より大事なのは今年も乗鞍を楽しめるということ。あまり目先のタイムなど気にせずに、てっぺんをシバくことだけに集中しようと思う。





ここからは、シャトルバスの往来に気を付けなければならない。






衰えた事実と絶望的なアレコレ



三本滝から位ヶ原山荘までの区間であるが、9回も走っているとさすがにプロフィールを覚える。まずはかもしかゲレンデを九十九折れで登っていく。





絶景。



ここから見下ろす三本滝レストハウスの景色は絶品であるが、それを口実に足を休めることもできる。




「わたしと大先生が一緒に写り込めないのが難点ですね」
「相当デカい三脚が要る」


そこを越えるとしばらくは木々に囲まれた登り区間を往く。ここでもグループで登坂中の集団に追い抜かれるが、下山してくるご同業もちらほら。





このグループとは、結局同じくらいの行程だった。






「どんだけ早いんだよwww」
「あるいは畳平宿泊勢では?」


ただ、明らかに一人だけ、さっきブチ抜いてった人が下山している上に、







またスイスイ抜いていく






みたいなことがあって。




「マスタングされてますねwww」
「完全に煽られてるなwww」


余談だが、その一人もグループで登頂中らしく、しかもグループ内でのスキルもバラバラ。そういった事情もあったようだ。





一部、道が狭くなってる個所があった。



さて、滝の音が聞こえてきて、何本かの橋を渡ると、摩利支天のバス停に到着。時刻は6:45。




「ここが地獄の一丁目よ」
「毎年言ってますねwww」






この看板からが中盤のハイライト。



とにかくここからの登り区間がエグい。一応、冷泉小屋までは3キロ程度の距離でしかないが、結構な斜度が連続する区間である。




「もう無理しないで資料映像撮りまくる」
「現実逃避ですねwww」






現実逃避。



特に、冷泉小屋手前の26番コーナー付近は、部分的に斜度が19パーセント近くなる。正直、このあたりが正念場で、アウト目一杯使って気合で登る




「対向車とか来ますから、気を付けてくださいね!」
「対向車どころか、後ろからも来るからなぁ」






上板橋連合が悲鳴を上げたコーナー。



そこを抜けると冷泉小屋。到着は7:12で、区間タイム27分。





小屋が見えた。






「撮影タイムを多く入れた割には、プラス4分でクリアです」
「いやもう無理かも……」


ここには水場があり、火照った身体を冷ますことができる。意識が飛ぶレベルの冷たさだが。





その名のとおり、キンッキンに冷えてやがる。






「いざとなれば、ここで飲み物を補充できる」
「これ、宿泊者用なのでは?」


さて、7:18冷泉小屋を出発するが、ここから先もプロフィールは把握している。ヘアピン5個だ。




「ちょっと頑張って脚つきなしでいってみよう」
「本当に大丈夫ですか?」






スパートするところを間違えないように……



まあ、結果的に何とかなった。5個目のヘアピンを抜けると一旦斜度が緩くなり、久しく使ってなかった23Tでスパートをかけ、位ヶ原山荘には7:32着。





ようやく2/3……






「三本滝が6:18発なので……」
「74分。こりゃ2時間半切りは絶対無理だろー」


現にここまで2時間と2分。まあ、鍛錬を怠った44歳児なぞ、こんなもんかもしれない。それに、雲一つない好天の空、ふと見上げると、





あの上のほうの水平っぽい線に見えるアレよ。









まあまあ心が折れる。









「あそこまで登るんだよなぁ」
「あそこらへんまで登りますね」





晴天、そして……



7:41、位ヶ原山荘発。





皆、それぞれのペースで頂上を目指す。



もう2時間半切りは絶対に不可能どころか、3時間切りすらヤヴァイ状況なので、とにかく完走することを目指す。





だいぶ木々が低くなってきた。



位ヶ原山荘より上部は、いよいよ森林限界区間になる。そして、







頑張ることを放棄した。










もったいない病が発動(結果的にこの判断は正しかった)。






「なんかさ、久しぶりじゃない?  こんなに晴れたの」
「そういえば……!」


昨年は霧の中を走った記憶しかなかった。一昨年はスカイライン側で、その前もエコーライン上部は曇りだった。




「上板橋連合とのセッションのとき以来じゃないですか」
「4年ぶりの景色か」


もうタイムなどどうでもよくなった。乗鞍を楽しもうと悟りを開き、あちこちで停まっては写真撮影に勤しむ。





焦ったところで、劣化してるのは事実なんだし。






「にしたって、もう少し鍛えないとなぁ」
「その思いが三日坊主となりませんようにw」


そして、ラストヘアピン、こと4番コーナーに到達。





フィニッシュまで残り2キロ……



道はここから、県境の頂点まで断崖沿いにまっすぐ続く。その距離およそ2キロで、この区間だけで125ほどアップする。実際、ヒルクライムの大会でもこの区間が勝負処らしく、ここをどう攻略するかが勝敗に直結するのだという。





場違いなスキー板(ここでは普通の光景)。



だいぶ雪が少なくなった大雪渓を越えると、残り1.5キロほど。




「そういや、肩ノ小屋ってあるけど……」
「あの雪渓を登った、山の頂上付近にありますね」


道としては大きく迂回しなければならないが、登山道を使えば近道、ということらしい。





もうひと踏ん張り。



そして、ようやく頂上が見えた。今年はくっきりと、県境が見えた。





あの先の左に曲がった先に……!






「お疲れさまでした!  フィニッシュですよ!」
「衰えたなぁ……」






なんとか辿り着いた。






誰かが、とは?



昔、誰かが言った。畳平は自転車界の大黒埠頭だ、と。




「言い得て妙だな」
「ですね」


今日も畳平に集まるご同業の方々。中にはeバイクに乗った小学生まで。





大盛況。






「ある意味微笑ましい」
「乗鞍の懐の深さを感じますね」


ただ、頂上付近は適度に混雑するので、サクッと撮影を済ませた後は、早々に畳平のバスターミナルへ。





それにしたって、ここまで晴れた乗鞍は久しぶりだ。






「そういえば、今年スカイラインも復旧するとか」
「8月20日からとアナウンスされていましたが」


ワンチャン開いてないかなー、とか期待してはみたものの、





ダメだこりゃ。









ですよねー









「来年は桔梗ヶ原リベンジだな」
「また道が崩落しなければよいのですが」






あそこに再訪できるのは、いつになることやら。



そしてバスターミナルへ。いつものことだが、ご同業で溢れていた。





愛車自慢。



昔、誰かが言った。一杯のコーヒーのために、鉄馬に乗る、と。




「一杯の蕎麦のために、乗鞍に登る。……とか言い出すおつもりで?」
「ま、まさか……」


銀嶺荘が食堂の営業をやめてしまったので、バスターミナル内の軽食コーナーで戴く。おそらく世界一うまい山菜蕎麦は900円でのご提供。





ガムボール的なアレ(2年連続2回目の発言)



そして銀嶺荘での証拠映像を収め、いつも通りお守りステッカーを購入すると、特にやることはなくなる




「意外とすることがない」
「靴も靴ですからね」






ここが日本の自動車道の最高地。



例えばSPDか、フラットペダル+登山靴が許容できるのであれば、周辺の散策が楽しめただろう。……まあ、そこまではいいかな、と。





……おや?



よく見ると、長野県側がだいぶガスッてきた。天気予報だと、下手すりゃ11時頃から曇り、最悪は雨予報らしい。




「やることやったから帰ろうか」
「そうですね」


帰り際、鶴ヶ池越しの畳平が青空と共に映えていたので、一枚押さえておく。ただ、エルコスさんを保持するのがガードレール替わりのポール1本で、その向こう側はまあまあの崖




「昔、誰かが言った。「ファインダーからセローが消えた」と」
「やめて落とさないでーっ!?」






落とすとマジで回収が困難。



あと、頂上付近は混雑してた。人気スポットだな





お祭り騒ぎ。



さて、復路はずっと下りであるが、下りは下りで登りとは異なる苦労がある。斜度がそこそこあるので速度が乗りすぎ、時にブレーキが間に合わなくなる。




「蛇行している登頂組もいますから、気を付けてくださいね!」
「バスも通るからね」






まだまだ登ってくるご同業が。



おまけにエルコスさんはリムブレーキなので、適度に冷やさないと熱ダレを起こす。このあたりはディスクブレーキに分がある。




「次の更新時はディスク化を検討するかな?」
「あと何年先のことやら」


で、位ヶ原山荘着。すっかり曇り空で、心なしか寒い。





往路の時のあの青空が一転。



その位ヶ原山荘では、こんな記述が。





輪行袋の貸出サービス、とある。






「バス輪行、アリなのか」
「体調不良って書いてありますよ。余程の緊急事態限定じゃないですか」


当然、使わないに越したことはないし、バス側にも迷惑がかかりそうだ。





ちょうど営業を始めたところ。



いつもならコーヒーを戴いていくが、今回はスタートが早いのと、それほど身体が冷えていなかったのでスルーする。そして三本滝まで降りてきたら、いつも通り、





感謝の気持ちを込めて。









課金。









「大先生、課金って……」
「これからも毎年遊ばせてもらうためよ」


厳密には誤用なのだろうが、言葉の意味なぞ時代の変化と共にコロコロ変わるもの。それに、この僅かながらの寄付により、いつまでもここが自転車の楽園となるであるならば。





山の天気は変わりやすい、とよく言うが……






「さ、戻ろうか」
「はい!」






そして飽き足らずにもい一枚蕎麦を食す。












TITLE:加齢と劣化と悟り
UPDATE:2024/08/05
URL:http://y-maru.sakura.ne.jp/346_nori/nori.html