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345:ヤマイドウ18



text&photo  by  ymr20xx@y-maru.com。











イントロです。



9:30、新千歳空港に到着。





着いて早々鉄道移動。



その新千歳空港からエルコスさんで脱出するのがどちゃクソ困難であることは把握済みなので、とりあえず千歳駅まで鉄路で移動し、そこでエルコスさんを復元して、旅の始まりd……




「あ、次の列車は特別快速なので、千歳に停まりませんね」
「なんだって!?」






千歳に停まらないエアポートがあるの初めて知った。



なお、9分後のエアポートであれば千歳に停まる。停まるのだが……




「南千歳からスタートしては?  アルカディア側なら問題なさそうです」
「そっち側は降りたことがない」


地図上でも判るが、千歳と南千歳はさほど離れていない。それに、今日はこれから北上して、まずは美唄のほうを目指す予定なので、ぶっちゃけ千歳でも南千歳でも大差ない




「では、南千歳まで往きましょう」
「ちょうど発車するところだな」






南千歳は乗換駅というイメージしかないのだが……






ちょっとでも雰囲気くらいは……




1日目のルート (powered by Ride With GPS)



土日の2日で北海道を楽しもうと飛んできた訳だが、どうも明日は雨予報らしい。そうすると、天気がまあまあ良い今日のうちに、走れるだけ走って北海道の雰囲気を味わっておきたいのだ。





とりあえずエルコスさんは復元した。



……と、地図を片手にあーでもねぇ、こーでもねぇとルートを引いていたら、そっとエルコスさんがアドバイスを。




「長沼のあたりは、一度だけ通ったきりでしたね。どうでしょうか?」
「あの辺って、どんな感じだったっけ?」


定番のR234室蘭本線ルートではなく、やや札幌寄りの農道ルートで岩見沢方面に出れるらしい。このあたり、一見すると何もなさそうに見えるが、辺り一帯が米や大豆をはじめ、野菜などの農作物を栽培する、北海道でも屈指の農業地帯なのだとか。





そういえば、アルカディア側にはでかいショッピングモールがあった。



さて、南千歳でエルコスさんを復元し、10:15に出発。まずは道の駅千歳を目指す。





駅前を離れると御覧の通り。レンタカー屋があちこちにあった。



空港周辺は閑散とした雰囲気で、それでいて自然も豊か。JRの線路を挟んで北と南ではガラリと雰囲気が変わる。





もう少しでサーモンパーク。



線路沿いに北上し、R337との交点を右折。少し進むと道の駅サーモンパーク千歳に着く。




「シャケ遡上するのここ?」
「石狩川の支流なので。あと、水が綺麗ですから」


市街地にありながら、確かに川が透き通っている。秋になるとシャケの遡上で賑わうのだとか。





思い出した。若大将時代にここで野宿したんだっけ。



……で、ここから長沼の市街地を目指す。基本的にはこのままR337北上で良さそうなのだが、




「農道を繋いでいく近道があります。ちょっとわかりにくいのですが」
「ナビは任せた」






市街地を抜けたとたんに、こうだ。



エルコスさんに導かれてみようと思う。千歳川を渡り、さらに北上すると、すぐに原野に放り出される。ただ、原野といっても周囲は農耕地で、それなりに管理が行き届いた風景が広がる。




「ここを左折です」
「わかんねーwww」






コ↑コ↓。



最初の交点は祝梅川を渡った直後。看板なんて気の利いたものは一切ない。




「これナビないと絶対に迷うヤツ」
「まあ、ロストしたところで致命傷にはならないのですが」


左折した先は、これまた北海道によくあるような、ひたすらまっすぐな直線道路。時折後続の自動車が追い抜いていく以外、目立った往来はない。





ホントに往来がない。



新千歳空港が近いのと、どうやらこの上空が着陸侵入経路になっているらしく、ちょくちょく航空機の姿を見る。とすれば、当然やることは一つ。




「大先生、写真撮りましょう!」
「さぁて、どう撮るかな?」






ちょうど着陸する飛行機があった。



こんな感じで、走っては撮り、走っては撮りで、行程は遅々として進まない。まあ、これも旅だ。





どこまでも続く野菜畑。



さて、道を進んでいくと、県道967にぶつかる。そこまでの道程のなかで、いくつもの小さな川を渡った。





どうもこの道、ガチの農道だったようだ。






「なんか八郎潟に雰囲気似てるな」
「流石です。これらはすべて、農業用水のための河川のようです」


それを表すものが、件の県道967交点付近にあった。





これ。






「なんか碑があるな」
「寄られますか?」


そこには、学生義勇軍流汗の跡、と書かれた碑があった。




「義勇軍とあるけど、戦争と関連があるのだろうか?」
「読んでみますね」


で、エルコスさん曰く、「この地域は水害が多かったので、それを何とかするために全国から学生が集まった」のだそう。その学生たちの手によって、この周辺には多くの水路が完成していったのだという。




「しかも、南北に運河を穿つ計画もあったみたいです」
「完成してたら、日本版のパナマになっていたかもな」


その後、水路は農業用排水路として活用され、そのときの感謝の気持ちを込めて、大学排水という名がつけられた。今まで通ってきた道の左脇に流れる川がそれだ。





水路の完成によって、こんなふうに農業が発展したのだそう。






「このあたりは沼地だったようで、掘削は大変だったようです」
「人海戦術ハンパねぇ」


さて、この碑がある場所は、もう既に長沼町である。このあと県道967を北上し、長沼の市街地を目指すのだけれど、




「やはり途中に、わかりにくい分岐があります」
「もうなにも驚かない」






農道を進んでいくが、ジンギスカンも魅力的だ。



食の一大基地らしく、右を見渡しても左を見渡してもどこまでも広がる田園地帯。そうそう、こういう雰囲気を待っていたんだ。

で、件の分岐だが、





強制左折(工事中のため)。









わかりやすくなってた。









「もうなにも迷わないw」
「ラッキーでしたね」






そして街に出た。






今年の夏を感じ取る。



11:40、長沼市街のセブンイレブンで、ようやく補給を入れた。





世知辛い話だが、セイコーマートの一部の店舗ではゴミ箱が使えない。



この先、県道45をさらに北上、きらら街道を経て、県道30号に出てしまう。こうすることで、交通量の多そうなR234を通らなくて済むし、岩見沢の市街地もバイパスできるそうだ。




「長沼の街も、意外と大きいよな」
「北広島や岩見沢に、バスで連絡できる立地ですから」


広大な農地の中にぽつんと街が栄えた、というような市街地ではあるが、その分、大通り周辺に主要な施設が連なっている。一応、バスターミナルもあり、そこが長沼の玄関口となっている。





北広島とのつながりが強い街のようだ。






「北広島までバスで移動し、そこからJRに乗り換えですね」
「直接、札幌には行かないのか」


そんな長沼の街の鎮守を詣でてから、





旅の安全をお祈りしていこう。



県道45を往く。そういえば、途中に気になるラーメン屋があるのだが、




「折角だから、そこで昼食にしよう」
「では、お店の営業時間を調べておきますね」


県道は北長沼の辺りで右に逸れ、栗山の市街方面へと繋がっている。我々はそこを直進し、広域農道方面へ進む。





岩見沢まで22キロか。






「ここからは丘陵地帯が続きます。軽めのギアで走ってください」
「アウターでいけるかな?」






冬季は閉鎖されるような道らしい。



この区間、登ったとしてもたったの100アップで、おまけに勾配だってさほど急じゃない。田園地帯を眺めながらのんびり走っていれば、やがて県道30の交点に着く。





アップダウンもさほど苦ではない。






「あ、あと大先生、残念なお知らせなのですが……」
「え、まさか……」


エルコスさん曰く、「火曜日と水曜日しかやってない」と。しかも、営業時間だって11時から14時くらいなのだとか。はぐれメタル並のエンカウント率じゃねぇか。





県道30。ここを左折。






「いかがしますか?  といっても、岩見沢までは飲食店がなさそうですが」
「セイコーマートくらいあるだろう?」


そんな都合よくありますか?  とエルコスさんは言う。一応調べてもらったら、





北海道といえば。









あった。









「本当にあったwww」
「しかもイートインとホットシェフがあるぞ」


なので、やることは1つ。





言わずもがな。









優勝。









「この組み合わせで夏を感じるねぇ」
「まあ、ホットシェフのカツ丼は人気メニューですから」


さて、俺的定番メニューでハラを満たしつつ、これから先の行程を考えていく。

今日の宿を網走駅前に押さえている関係で、どこか適当な駅まで走って輪行に切り替えなければならない。現在時刻は13:00で、この時間だと大雪3号かオホーツク3号のどちらかしか選択肢がない。




「オホーツクだと網走着が23時近くなるからなぁ」
「そうすると、大雪3号になりますが……」


ただ、大雪3号は旭川始発なので、乗り継ぎができる列車を確認しなければならない。




「ライラック25号が最終になります」
「停車駅と時刻を調べてくれる?」


当初の目的地であった美唄には、16:06に着くらしい。ただ、これだと逆に早すぎる





今日はどこまで走ろうかなぁ……



とりあえず、走りながら考えることにした。三笠でR12に合流し、ここから美唄まではずっとR12を往く。





場所によっては路肩のコンディションが悪くなる。。






「思ってた通り、自転車だと走りにくいなぁ」
「幹線道路ですからね。大型車の往来も多いみたいですよ?」


時間的な余裕があれば、月形か鶴沼まで出て、R275を北上しても良いのかもしれない。そちらはヤマイドウ6のときに走破済みで、少なくともR12よりかは走りやすい。半面、R12は路側帯の荒れっぷりが殺意を感じるレベル





舗装割れてるし、側溝のフタ部分はくぼんでるし。






「もうちょっと車道側に寄りたい」
「後ろから撥ねられますよ?」


やはり、R12は自転車で走るのには向いていないようだ。ただ、この道にはここにしかない史跡が控えている。それが、直線道路日本一のモニュメントである。




「大先生!」
「判ってるさ。三脚立ててくるから待ってな」






かつては日本で2番目に長い直線区間だったらしい。



ここから滝川までは、地理的にまっすぐな道が、およそ30キロ近く続いている。正確な数値は29.2キロなのだが、これは他では見られないもの。




「なぜこうなったのか、由来があります」
「ほう?」


エルコスさん曰く、この道の工事が行われた明治21年の復命書に、「不十分がないように、なるべく直線道路となるように測量して工事しなさい」と書かれていたのが理由なのだとか。





沿革があった。






「まあ、結局のところ、『なるべく』を通り越してしまったのですが」
「完全な『真っ直ぐ』なんだよね」


さて、ここからしばらくは道なりに直進をするだけで、実はあまり見どころがない。





北海道といえば。






「モダがありますよ!」
「オカモトセルフと違って、モダは北海道にしかないからな」


コロナのアレによって、運搬車でヤマイドウやるようになると、燃料が安いモダを重用するようになった。まあ、運搬車、……もとい4輪車ではチャリティーフラッグもらえないし。




「もらえるみたいですよ?」
「マジかい」


……で、これが見せ場の限界。だとこの時は思っていたのだが、最初の目的地である美唄で、こんなの見つけた。





そこはかとなく漂う違和感。






「ルビがなんかおかしい」
「これはですね……」


エルコスさん曰く、「美唄の命名由来からすると、これはこれで理に適っている」のだとか。




「この情報がないと脳がバグるな」
「わかります。『美』に『びば』なんて振り仮名、普通つけませんからね」


こんな小ネタでも拾っていかないと、ホント走るだけになっちゃうので。





美唄まで来た。



ところで、美唄駅前を14:03通過。




「こりゃもう少し先に進めそうだな」
「滝川までは行けそうですね。行ってみましょう」


それではもう少し走ろう。幸い、風は南からの追い風だ。





滝川まで22キロ。あと1時間といったところか?






「風に乗れてます。これならアベレージ20キロを超えられそうですよ!」
「毎日がこれならいいんだけどなぁ」


で、奈井江を越えて、滝川に入ると、火力発電設備が見えてきた。





あの奥のほうのでかい煙突。






「残念ながら、2027年に廃止されることが決定しました」
「石炭火力だからな……  環境を重視する時代には厳しいか」


折角だから、ちょっと寄り道していこう。





パッと見、廃墟のようにも見えてしまう。



特徴的な煙突は健在だが、見るとあちこち窓が割れていたりして、設備の劣化が目立っていた。




「お疲れさまでした。……で、いいのですよね?」
「もちろん」






もう少し頑張っておくれ。



で、そこからさらに北上し、滝川の市街方面への分岐を越えたあたりで時刻は15:07。深川まで残り29キロ残して、ここで一旦今後の旅程を確認する。

大雪3号に乗り継げるライラック25号が滝川駅を出るのが16:22。追い風基調でノリノリではあるのだが、少なく見積もって30キロある深川までの距離を、残り時間たったの1時間強で走り切れるかというと正直無理ゲーだろ、と。




「でしたら、新十津川の駅跡を詣でてから、滝川で輪行してはいかがですか?」
「それなら丁度良さそうだな」


2020年に廃止となった札沼線新十津川駅であるが、翌2021年に駅舎が解体されて、跡地は公園になったのだとか。折角だから、ちょっと見に行こう。




「じゃ、そのプランでいくか」
「あ、でしたらまずは直線道路のモニュメントをですね……」






ここが直線道路の北の終端。






まさかの結果。



有名なようで意外と知られていない事実らしいのだが、滝川駅と新十津川駅跡とは、距離にして4キロ強程度しか離れていない。石狩川を渡ってちょっと走った先にある。





石狩川を渡って新十津川町へ。



かつては日本一終列車が早い駅と呼ばれたりもしたが、利用客の低迷などを理由に、さらにはアレの影響をモロに被り、2020年にひっそりと閉鎖された。現在では往時のプラットホームを再現した公園が完成し、新たな風景を映し出していた。





列車は一日一往復。






「大先生!  写真写真!」
「まあまあ慌てなさんな」






昔、ここに駅舎があった。



鉄路はなくなってしまったが、新たな街のランドマークとして栄えていってほしいと思う。





線路跡は遊歩道となり、キレイになった。



それでは、滝川駅へと向かおうか。





もっかい石狩川を渡る。



滝川の市街地は、ロードサイド店舗の発展の影響によって、駅前は閑散としていた。これは、地方都市では割とよく見る風景である。……これは駅に着いて判ったのだが




「輪行前に何か買い込むかな?」
「……ですが、あのデパートは閉店しているようです」


かろうじて「スマイルビル」と読めるこの建物は、令和3年頃に閉鎖されたようだ。それに、駅前通りを見渡すと、シャッターを降ろした店舗が目立つ。





寂しさを感じる。



これは困った。







TFBできない。






急ぎエルコスさんに近隣の店舗を検索してもらったが、いずれも駅からは少し離れているようだ。




「一応、圏内にコンビニとコープさっぽろがありますが、後者は……」
「コンビニで簡単なの買い込もう」


こうして、ひととおりの仕込みをしてから、滝川駅に着いたのが16:02。次に来るライラック25号が大雪3号に乗り継げる最後の列車となるので、何が何でも捕縛しなければならない。その発車まで、あと20分しかn……




「20分もあるじゃねぇか」
「輪行マウントだぁwww」






一応、レコードタイムは4分50秒。



20分もあれば、エルコスさん袋詰めして網走までの切符買って撮影しまくるくらい余裕だった。





とはいえ発車まであと数分。






「何とか間に合いましたね」
「これで一安心だ」


こうして、網走までのルートは確保することができた。余談だが、旭川で特急相互を乗り継ぐ場合は、特急料金が通し計算となる。そして、翌日は荒天となる予報だったので、もう諦めて乗車券は釧路まで買った。





旅程が確定しているなら、こうやって買えば多少は安くなるし途中下車も可能。






「明日の宿は釧路に取ってるんだよ」
「雨のバカ……」


で、旭川では対面乗り換えで大雪3号に乗り換え。老朽化によって、車両がキハ283に置き換わった。





北海道の鉄道を代表した、かつてのエース。






「おおぞらのおさがりですねこれ」
「そうはいっても、キハ283だっていい車両だぞ?」


力強いエンジン音に耳を傾けながら、旭川を出発。およそ4時間弱の乗車時間で、網走駅に到着する予定だ。





ゆらりゆられて。



感じたことは、「えれぇ遠いな」と。




「遠軽までが既に遠いwww」
「北海道らしいじゃないですか。ハイ、座席を転換させてください」






遠軽では進行方向が変わる。



遠軽着が18:57。そこからさらに常紋峠やらなんやら越えて、網走に着いたのが20:44。




「乗り疲れた」
「お疲れ様です。あとちょっとで宿ですよ!」






遠くに来た感がハンパない。



……で、駅前の宿に投宿して、明日の作戦を立てる。




「明日は午前中が雨で、午後になると天気が回復するようです」
「釧網本線で南下して、走れそうになったら降りちゃうか」


網走から釧路までの道程に、標高320の野上峠が控えている。弟子屈との境界付近にあり、予報ではこの峠を越えている辺りで降雨のはず。それなら、輪行でこの峠をワープして、摩周かそこら辺りで再開すればいい。我ながら完璧なプランだとこの時は思っていた





翌朝。









降雨とは?









「……やられた」
「全部計画が狂ったwww」


空は微妙に晴れ間が覗く程度の、「走れなくはない」を通り越して普通に走れちゃう天気





走り終わった後の写真ではない。むしろ走り出してすらない。






「これならこんな早くに起きる必要もなかった……」
「宿の朝食だってキャンセルする必要なかったじゃないですかぁ」


ただでさえ本数の少ない釧網本線の列車を捕まえるために、6:39の釧路行を捕縛しなければならない。これを逃せば次は10:24だ。





恐ろしいほど本数が少ない。






「ま、仕方ない。ここまで来て乗らないってのもアレだし」
「仕方ないですね……  摩周からのライドに期待しましょう」


で、オホーツク海をぼんやり眺めながら南下をしていき、





さりげなく幻想的な。



その摩周までやってきたら、ブルーシート+ガムテ輪行というストロングスタイルで乗ってきた外国人女性ライダー。なんかしっとりしてるんだが





さぞ慌てたことだろう、降雨に。






「今チラッと外見たら、路面びっちょびc……」
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ゛」


むしろ内陸部のほうが雨だったという。





釧路行が決定(ナンテコッタイ)。



……で、結局そのまま乗り通し、釧路に着いたのが10:00。




「大先生、これからどうしますか?」
「……とりあえず、勝手丼食べに行こうか」






釧路の台所。



釧路といえば和商市場で勝手丼である。そういえば、前々から勝手丼食べながら酒呑みてぇ、みたいなことをずっと思っていたのだけれど、





呑むべからず。









ですよねー。









「そりゃそうですよ。ここで飲酒を容認したら……」
「治安は一気に悪くなるな」


それに、ここはフードコートではないし、そもそも勝手丼の由来を考えたら、酒盛りしようって考えがどうかしてた。




「初心を忘れてはいけませんよ?」
「正論過ぎて返す言葉がねぇ」






なお、これで全部コミコミ2000円しないくらい。インバウン丼とは……






初心を忘れなければ神は微笑む。




2日目のルート (powered by Ride With GPS)






「で、これからどうなさいますか?」
「エルコスさんの言うとおり、初心に立ち返ってみよう」






釧路から一旦離れてみる。



まだ時刻は11時にすらなっていないのだ。このままチェックインまでボケーっとしているのも勿体ないし、幸い天気は回復傾向にある。




「ちょっと短めになるけど、折角だから走ろうか」
「そのお言葉を待ってました!」


という訳で、釧路市街からR391へ。本来なら走るはずだった網走-釧路ルートをちょこっとだけ味わってみようと思う。





なんか明るい。



典型的なロードサイド店舗が並ぶR44を抜けていると、僅かだが陽の光が差し込んできた。これはもしかしたら、良い方向に転がるかもしれない。





標茶方面へ。



釧路川を渡って左折。ここから釧路湿原の中を貫いていく。

途中、遠矢のセイコマで補給を済ませておく。天気が良くなることを見越して、ボトルの中身を薄エリアスにし、ついでに塩タブレットも仕込む。




「やはりミネラル不足が一番の原因なのかもしれん」
「今までずっと水でしたからね」






ノロッコ通過。



仕込んでいるうちに、ノロッコ号が追い抜いて行った。塘路まで湿原地帯をのんびり走り、そこで折り返して釧路に戻る観光列車だが、それを見て、とりあえず当面の目的地を決めた。




「とりあえず、塘路まで行ってみよう」
「わかりました!」


さて、遠矢を過ぎると天気はさらに良くなり、遂には快晴と呼んで無問題レベルになった。





遂に青空まで広がりはじめた。






「考えてみたら、この時期の北海道の天気は、結構アバウトでした」
「我々はヤマイドウ14から何も学んでなかったwww」


苦笑いするおっさんと遷移金属。そんな我々の目の前には、登坂車線の看板が。





とはいえ、国道だし主要幹線だからそこまでエグい坂ではないだろう。






「さあ、最初の登りですよ!」
「サクッとやっつけてしまおう」


このあたりは湿原地帯なので、峠道というよりかは丘陵地帯のアップダウンである。ポジションを前寄りにして脚をクルクル回していれば頂上はすぐだ。





今稼いだ標高は一気に吐き出される。



登り区間はすぐに終わり、一旦下りに転じる。だが、この先に標茶町との境界があり、そのあたりにもう一個登り区間がある。





キャンプ場入口からずっと登り勾配になる。



達古武から始まる登り区間は、地形の関係で大きくS字を描きながら、3キロ強の距離を使って110ほど標高を上げる。




「そういえば、湿原地帯見えないかなぁ?」
「このあたりは視界が開けていませんから……」


なんて世間話をしながら、のんびりペースで登っていく。交通量の多い道だが、大型車両は大きく間隔を取って追い抜いていってくれるのが有り難い。





頂上が見えてきた。



こうして12:00、標茶町との境界に到着。




「釧路の市街からここまで、約1時間かかりました」
「充実感がハンパねぇ」






既に一仕事終えたかのように。



せいぜい30キロ程度しか走っていないのだが、まあまあ歯応えのある登りがあったりして、走っている分には楽しかった。




「こりゃあ絶対に再訪しなけりゃならないな」
「今年の夏、リベンジできるといいですね」






左折で塘路駅、右折すると上尾幌に至るらしい。



さて、町境から下り坂になり、下り切ったところで塘路駅方面へ左折。塘路駅には12:10着で、さきほど追い抜いていったノロッコが停まっていた。





小さな集落の小さな駅。






「ここで折り返しですね」
「すげぇ混んでるな」


この日は4両繋いでいるうち、釧路寄り3両は満席、網走寄りの1両は自由席だがこちらもぎゅうぎゅう詰め。





命名由来にもなったトロッコ風車両。



もっとも、ノロッコが出発した後、13:02には釧路行が来る。輪行で戻るのであれば、そちらを使うのがいいだろう。




「次の汽車まで1時間もないのか」
「そうですね」






大事なことなのでもう一回言うが、釧網本線はとにかく本数が少ない。



で、ここから先であるが、一本東側を南北に貫くR272まで出て、釧路まで自走で戻るという選択肢がひとつ。標茶まで走ってバイク神社を詣でるのもアリだろう。だが……




「ま、今日はこんなもんかなぁ」
「では、せめて塘路湖を見に行きましょう」


エルコスさん曰く、「このあたりは、塘路湖とシラルトロ湖に挟まれている」とのこと。もう少し北上すると、その両方を拝める場所があるという。




「1キロもないくらいですよ?」
「そこを詣でたら輪行だな」


で、行ってみたら、すっげぇいい景色だった。





広大な淡水湖。






「大先生!  写真撮りましょう!」
「とはいえ、どこに三脚立てようか?」


塘路湖を望む場所は、すぐ脇をR391が通っている。交通量もまあまああるので車道に三脚は立てられない。




「歩道に立ててはいかがでしょう。あとはインターバル撮影で」
「その手があったか」






こうして撮ったのがコレ。



なんやかんやで時間は過ぎ、釧路行の汽車の時刻が迫ってきたので塘路駅に戻る。





欲張らないでいこう。



エルコスさんを袋詰めにしていると、遠くのほうに見覚えのあるブルーシートが。




「列車に乗り合わせてたライダーの方ですね」
「彼女もここまで来てたのか」


木陰で休んでいたので声掛けはしなかったが、彼女もこれからどこかへ走っていくのだろう。





釧路行のDECMO単行は、まあまあの乗車率。



さて、13:02釧路行に乗り込み、途中買い物とかしたかったので東釧路で下車。





根室本線(花咲線)との分岐駅。



このあたりは釧路市や釧路町の生活圏内になっていて、駅舎は趣あるが雰囲気は完全に街の中。その後、いろいろ所用を済ませて、釧路駅に着いたのが15:00。今日の走行距離は30キロ足らずではあったが、北海道らしい景色の中を走れたのでヨシとしよう。




「ただ、勿体なかったですね」
「雨予報に一喜一憂するの、何とかしないとな……」






釧路の繁華街は、ささやかに賑わいを見せる。それにしても降雨とは……?






釧路の空港事情




3日目のルート (powered by Ride With GPS)



翌日は、9:55の羽田行を押さえている。朝食を食べたら空港まで自走だ。





残念ながら、この時間まだ和商市場は営業していない(8時~17時なので)。



釧路空港の場合、市街地からおよそ20キロ近く離れているため、たいていは連絡バスを使うことになる。ただ、自転車の場合はバス輪行が成功するかどうかが未知数なので、自走したほうが確実、ということになる。





港のほうでも回っていくか。






「よろしいじゃないですか。今回はそれほど走れていませんし」
「まあ、1時間ちょいくらいで着くしな」


片側二車線のR38を西に走ることおよそ40分、大楽毛駅に着く。





釧路の西のほうの街。



このあたりまでが釧路の市街地になっていて、この駅で釧路方面に折り返す列車も設定されている。




「あと、一応ここが空港の最寄り駅らしい」
「その需要あるのですか?」


まあ、特急が停まるわけでもないので需要はそんなにないだろうか。ただ、空港発着の連絡バスは停まるらしい。





R38を外れ、外環道路まで来た。



大楽毛でR240方面に右折。そして外環道路の高架を潜ると、まりも国道という愛称が付く。




「阿寒湖のまりもは、容姿が美しいとのことで、天然記念物になっているようです」
「一時期は、列車の名前にも使われてたからな」






道は阿寒湖を経て、津別、美幌に至る。



ところで、まりも国道に入ってから、というか釧路を出発してからずっとなのだが、加速が鈍い




「向い風が吹いているからでしょう」
「やっぱりかぁぁ」


思えば一昨日は見事なまでの追い風、昨日も微かに背中を押してくれたのだが、最終日は風に嫌われてしまった。





ようやく空港の文字が。






「大丈夫です。あと10キロないくらいですから」
「いやいやちょっと待て。釧路空港は確か……」






奥のほうがさ、こう、クイッと。









ちょっと登るんだ。









「広島空港ほどのエグさはないんだけどさ……」
「大丈夫。いけますって」


そんな感じで緩い登り坂を3キロほど登ると、ようやく空港が見えた。到着は8:10で、釧路の駅前からだとざっくり見積もって1時間20分くらいで着いたことになる。





愛称は「たんちょう釧路空港」。



しかもANA便の場合、羽田行の始発が9:55なので、朝食を食べてからでも充分に間に合ってしまう。最後の最後、もうちょっと走りたいなー、みたいな時にはちょうどいい距離感だ。




「しかも立派なサイクルステーションがある」
「工具も貸し出してくれるみたいですね」


案外、釧路をベースに周辺を走り回るプランは面白いかもしれないな、と感じた。





また宿題が増えたな……












TITLE:降雨という言葉に翻弄される者
UPDATE:2024/07/11
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