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343:佐渡ロングライド2024



text&photo  by  ymr20xx@y-maru.com。画像素材提供:renas先生



本日のルート (powered by Ride With GPS)






イントロです。



さて、いつもの5月のお約束、佐渡ロングライドの季節がやってきたので、いつもの自転車の相棒、renas先生をいつものルーティーンで回収。




「ご無沙汰ー」
「1年振りか」


で、サクッと関越道を北上し、新潟港12:35発のフェリーを目指す。





幸い、高速は空いていた。






「それにしても、最近は参加者の車列をあまり見ないな」
「コロナの余波が残ってるんだろうな」


これも昨年と同じ会話なのだが、今年は久しぶりにrenas先生と2人でセッションである。まあ楽しもうではないか。




「ま、もう何度も走ってるから、佐渡なんてワンパンっすわ」
「これ何かのフラグパターンでは……?」






ターミナルに着けば、イベントの雰囲気を感じる程度に車両が集まっていた。



さて、12:35両津行きの配船は、お久しぶりのおけさ姐さん




「なんかレトロじゃないか?」
「そりゃあトッキーのほうが新造船だからな」






姐さんに乗るの、何年ぶりだろうか?



参考までに、姐さんは1993年、トッキーは2014年就航である。ただ、どちらの船にしても、とりあえずやることは、





山椒がバチクソ効いてた。









腹ごしらえ。






状況にもよるが、乗船早々酒盛りが始まり、席が空かないという罠が仕込まれていたりする。メシは早いほうが良いし、感覚的にはクルマで乗船し、メシを食べ終わったくらいのタイミングで、出航の銅鑼が鳴るような感じだ。




「さ、今年はどんな佐渡になるのやら」
「ワクワクしてきましたね!」






出航。






そして羽目を外す。



そういえば、あかねが嫁入りしてから、すっかり三姉妹のコンテンツが淘汰されたなぁ、とか思っていたら、





姐さんちゃんと仕事してた(文鎮として)。






「ありましたね」
「ひっそりと愛されてるな」


で、姫埼灯台付近を通過し、





これが見えてくると、両津港は近い。



両津港に着いたのが15:05。車両に戻ると、そこかしこに自転車を積んだ車両が。




「これだよこれ」
「ただ、観光バスは少な目だな」






この日の乗客の大半が大会参加者。



とはいえ、わざわざハイエース借りて大勢での参加といったグループもある。この雰囲気が結構楽しかったりするのだろう。





佐渡に上陸。



さて、下船後はR350を回避して、佐和田のイベント会場へ。





大盛況。



今年はwebでゼッケン引換証をダウンロードするらしい。お陰で混雑は少々減ったような印象だが、




「なんか味気ないな」
「それな。車検証は相変わらず紙だし」


あと、クリートがそろそろ終わりそうだったので、売ってれば替えを買いたかったのだが不発に終わる




「靴を新調すればクリートついてくるぞ?」
「脚の本数には限りがあるんだって」


クリートは帰京したら発注しよう。





イベントが始まった。



ゼッケンを手に入れてしまうと、もうイベント会場ではすることがないので、早々に投宿する。宿はお馴染み敷島荘さん。これまたいつものルーティンで出場の準備を始める。





伝統芸能。






「あんちくしょうも頑丈だな」
「もう何年お召しになっているのです?」


で、夕食。敷島荘さんの食事は特筆すべきクオリティで楽しみの一つでもあるのだけど、このとき、予期しない情報が飛び込んできた。





二人して酒でも飲みながらメシにしていると……






「最近、寝酒に黒糖焼酎を……」
「ほぉう?」


それほど飲酒の癖がなかったはずのrenas先生もだいぶイイ歳になり、最近ではまあまあ酒を嗜んだりするようになったとか。おまけに、イビキまで掻くようになったらしい。




「イイ歳も何も、同い年だろうよ」
「そうだったな」






ごく普通の部屋呑み風景。



……で、それで色々テンションが上がったのか、気が付いた時には夕食時に入れた焼酎のボトルが空になっていたりして、しかもこのときはそれにすら気が付かず。




「……あぁ、これダメだ。大先生やってしまったwww」
「だぁいじょーぶだよぉぉ!」





エルコスさんは悪くない。悪いのは……



翌3:30。宿全体が賑やかになりだした。





夜明けとともに、一斉に動き出す。






「……あ、なんか残ってる」
「だろうよwww」


とりあえず、なるたけ早く酒精を追い出さなければならない。味噌汁を少し多めに摂って、塩分を補給しておく。あとは、序盤にペースを上げて汗として排出できれば何とかなるかもしれない。




「大先生?」
「えーっと、その……  なんかごめん」


これでリタイヤなんてしようもんなら一生に渡ってフリー素材確定だ。少々、気を引き締めていこう。





今回はA1に割り当てられた。



5:36、佐和田スタート。




「これ和彦さんじゃね?」
「えっ、マジで!?」






手ぇ振ってる人。



完走後に素材のチェックをしていたrenas先生が気付いたのだが、どうやら隣には、声優・井上和彦さん率いるKAZUFUN自転車部の皆さんが。昨年は130キロのBカテゴリーを無事完走。今年はキメにきているようだ。お互い無事に完走できるといいなぁ。





スタート!



さて、例年通りの作戦でいくのであれば、最初のエイドである相川はパスし、入崎に寄るかどうかは流れで決める感じ。いつも通り、大野亀でソフトクリームは食っていこう。





登り区間に入る。



海岸沿いから稲鯨方面に左折、最初の登り区間は、比較的脚が良く回り、ここである程度バシバシ抜いていける。




「登り坂でガクンと減速するの、なんとかならんものか」
「わたしたちが特異なのですよ」


平地や下り坂では勢いの良いライダーは数多くいて、今回も割とよく追い抜かれた。ただ、そのあとの緩い登りでは、むしろこちらのほうが追い抜くことが多く、この後、不条理なデッドヒートが頻繁に繰り広げられることに。

できれば、登り下りに関係なく、イーブンペースで走ってもらえると有り難いし、何より自分自身もそれを肝に銘じたいところである。





最初の景勝地を通過。



ところで、10キロ地点を過ぎ、夫婦岩も通過。6:15には相川の市街に到着した。




「ルート変更があったみたいですね」
「左折が減ったけど、まあ誤差みたいなもんか」






昨年まではここを左折していた。



このルート変更により、相川のローソンを利用することができるようになる。補給物資を手に入れるという意味では、これはこれでアリなのかもしれない。





お約束の相川飛ばし。



……で、相川のエイドは予定通り通過。さて、次は入崎エイドになるのだが、




「大先生、ケイデンスセンサーが動いていないようです」
「……あ、本当だ」


そういえば、一番最後に交換したのは昨年の奥尻島の時だ。悪癖に違いはないが、いい加減電源の管理は真面目に考えなければならない。




「帰ったら電池全部取り替えるよ」
「大先生ぇぇぇ?」


ヤバいエルコスさんの目が笑っていない。ただ、これが誰の所為かというならば、……まあ間違いなく、彼女の所為じゃない。




「佐渡はワンパンだと、そう仰ってましたようですg……」
「ホントごめん許して」






入崎を目指そう。シバかれないうちに。



そして、相川を過ぎたあたりで、これは全く想定していなかった異変が出始めた。いつものトイレ、こと平根崎の公衆トイレに立ち寄ろうとしたときのこと、







脹脛に激痛が。









「あだだだだだだ!?」
「だ、大丈夫ですか!?」


悶絶する程ではなかったが、完全に攣っていた。……ウソだろ、まだ開始30キロとかそんなもんだぞ?




「じょ、冗談ですよね?」
「いや……  自分が一番信じられないんだけどさ」






ここのトイレは本当によくお世話になってる。



これ、完全に詰みパターンだ。ここからはペースを可能な限り維持しつつ、できるだけ負荷をかけない走り方に徹する。入崎エイドには7:14着で、ここで消費した水分を補給しつつ、ストレッチを多めにしておく。




「だいぶ脚にぶっかけたから、消費が激しい」
「スポーツドリンクも飲んでおいてくださいね」






入崎エイド。スイーツを提供している。



この期に及んでもまだ、両津までの100キロで4時間切り、叶わなくとも4時間半以内を目指したかったので、最低限の補給と休憩を済ませてすぐさま出発。





ここから佐渡屈指の秘境区間に突入する。



ルートとしては、ここから鷲崎エイドまで、かの有名なZ坂と大野亀という2大観光スポットを越える。脚が完全に終わっている身としては、かなりの試練になる。




「ま、攣ったら攣ったで写真でも撮りながらストレッチだ」
「まったく……」






Z坂が見えてきた。



案の定、Z坂の手前でちょっとした丘陵を越える区間があるのだけど、そこで右足が暴発




「あー、攣りそう攣りそう」
「坂の手前に休憩できるところがあります」


7:49、Z坂の麓に到着。登り初めの直前にある公衆トイレで、ここからZ坂の全貌をイヤというほど拝んでおく。





ここにはトイレがあるので、山越え前の休憩ポイントには丁度良い。






「脚さえ攣っていなければ……」
「そもそも、なぜこういう事態になったのか、検証する必要がありますね」


……まあ、検証も何も、昨晩飲み過ぎて酒精を体内に残留させ、それを追い出すためにひたすら発汗を促し、その目的で水分も摂らずにハイペースでぶっ飛んだ結果がコレなので、







戦犯はワイ。









「馬鹿」
「そのバカはすっごい重たい」






⑨は「バカ」だった。それを着た愚か者は、「馬鹿」であった。



それでもエルコスさんの魔法と、肝いりのセラミックBBの恩恵で、とりあえずトンネル手前の第2ターンまでは来れた。





またここでの画像が増えた。



トンネルを抜けて、登りきると真更川の集落までは水平移動。そして外海府で海沿いまで一気に高度を下げる。





ここは結構な危険ポイント。



このあたりは結構な斜度の下り勾配となるので、勢いが良すぎるとブレーキが間に合わず、飛び出してしまう恐れがある箇所だ。




「下りで稼ごうなんて、思わないでくださいよ?」
「そんなことしていきなり攣ったら、それこそ致命傷になる」


そして大野亀へ。ここは最大斜度10%とアナウンスされる、序盤の難所である。





あの亀の背の麓が激坂ポイント。



その最大傾斜は、割と最初のほうに、ちょこっとだけ現れる、という感じなので、できるだけサドルの前に乗り、ギアも34×28で負荷をかけずにクルクル回していく。そのおかげもあり、どうにか足を攣らせずに難所をクリア。





その頂上で待っていたのは……






「あ、おじさんがいる」
「ゼッケンがないですね。今年は応援枠ですか」


大野亀ロッジの手前で悪魔おじさんとエンカウント。そしてその先に大野亀ロッジがある。





ベテランほど立ち寄る隠れスポット。



さて、大野亀ロッジではお約束のようにソフトクリームを。





値段は変わらず350円。






「うまい」
「エネルギー源としては全然足りてないですけどね」


観察していると、やはり大多数の参加者がここに立ち寄っているようだ。最早すっかりお馴染みの休憩ポイントになりつつある。





ちょっと走ったところにエイドがあるというのに。



さて、各エイドに立ち寄りながら走る、と言っていたrenas先生はというと、どうやらZ坂を越えたあたりにいるらしい。思ったほど差がついていないが、まあ今日の状態を考えたらこんなもんなのかもしれない。……のだけど、




「……なんだか激しい落車があったみたいだ」
「あ、救急車が来ましたね」


にわかに騒がしくなってきた。renas先生によると、外海府周辺でコースアウトが発生し、このあとドクターヘリが飛んでくるらしい。

事故は我々にとっても他人事ではない。気を引き締めなければ。




「節操も引き締めていただきたいのですけどねー」
「今世紀最大の難題だなそりゃ」


大野亀ロッジから鷲崎のエイドまでは、さほど離れていない。ロッジからしばらくは登り勾配が続くものの、攣った脚でも50×28で対応できる程度の斜度だ。





エイド手前でまくる。この辺りは経験値かな?



はじき野のフィールドパーク閉館によって新設された鷲崎エイドには、8:58の到着。ここでも水分をはじめ、少し多めの補給をしておく。





ここではおにぎり、バナナ、手作りパンが供された。



足が攣りそうになったとき、ボトルの水をぶっ掛けてどうにかする、という荒技で凌いできたので、とにかく今回は水が減る。それを見越して色々仕入れていこう。





手に取った時、思わず『うぉっ!?』ってなった。






「イケメンイケメンイケm……」
「やめれwww」


この時、renas先生は大野亀でアイスコーヒー・エイドを敢行していたようで、ソフトクリームとアイスコーヒーの画像と共に、





おじさんとドクターヘリ。









悪魔とドクターヘリ。









「対極の組み合わせですね」
「つーか、ここに着陸するんだヘリ」


この画像を見るに、renas先生の到着はもう少し後になりそう。それならば、両津まで先行してストレッチサービスを受けておこうと思う。





このときのrenas先生。優雅だ……



佐渡島のうち、上半分を「大佐渡」、下半分を「小佐渡」と呼称することがある。鷲崎を通過した、ということは、大佐渡の難関ポイントを全て攻略した、ということになる。





両津を目指そう。



風は無風に近く、残り30キロ弱の距離を、なるべく時速30キロ台を維持するように走る。平地の巡航であれば、よほど変な加速をしない限り脚をやっつけることはないはず。





過去の大会では出てなかったような気がする。






「あ、私設エイドが出てますよ!」
「こういうの見ると、大会に参加している醍醐味を感じるんだよな」


特に、鷲崎-両津の区間距離は20キロ以上あり、補給ミスって干上がっている時に遭遇するとマジで救われる。





残り10キロ……



火力発電所の施設を横目に、どうにかこうにか車列についていくこと暫し。両津エイドまであと5キロかそこら、というところまで来た時、唐突に







筋肉が暴発した。









「アッー!?」
「減速して脚を伸ばしてください。ダンシングできますか?」


そのダンシングですら違う筋肉が暴発する。幸い、立ち止まらないといけないほどの激痛ではなかったので、とりあえずスピードを落として脚をクルクル回しながら、痙攣が落ち着くのを待つ。




「これ、ライド終了後によく起きる状況なんだけど」
「終了どころか、まだあと半分ありますよ?」






それでも何とか両津まで到達できた。



そして、ほうほうの体で両津エイドに到着。時刻は10:15で、大佐渡区間を4時間39分で走り切ったことになる。




「こ れ は ひ ど い w w w」
「ハイ、誰が悪いのですか?」


俺だよ俺www





とりあえずメシか、それともストレッチか……?






まだ慌てるような時間じゃない。



今年から弁当ステーションではなく、通常のエイドとして設定された両津エイド。ここでは、ストレッチサービスを受けることができる。

問題は、ストレッチをした傍からこむら返りの連鎖が発生するということ。結果、







ストレッチを禁止された。






対応してくれた専門学校の講師の先生曰く、「こうなるとストレッチよりも、筋肉を休ませて、栄養とミネラルを補給するほうが先」なのだという。身体にぶっかける目的で、ボトルを2本とも水にしているのは、状況からしてよろしくないのだという。




「1本は水、もう1本はスポーツドリンクにするとよさそうですね」
「じゃあ、メインで使う方を薄エリアスにでもするか」


ただ、普段あまりスポドリに手を出さないので、アクエリアスをそのまま飲むのはちょっと濃い感じがする。そこで、薄エリアスという、言わばアクエリアスの水割りを作ってセットしておく。

……と、ここでrenas先生が到着したので、ここからは二人で往くことに。





ここで再びKAZUFUN自転車部と遭遇(気付かず)。



11:28、両津エイドを出発。

いよいよ小佐渡区間、アップダウンの激しい地帯に突入する。まず、Bカテゴリとの分岐を通過する。





いつかBカテゴリーも走ってみたいのだが。



そして河崎の集落を抜けたところで、この区間に4箇所ある、最初の登り区間が始まる。




「初めての時は絶望しかけたけど、もう勝手知ったる何とやらで」
「ベテランの余裕ですか?」


ただ、今日の佐渡は違った。よほど「ワンパンですわwww」がお気に召さなかったらしく、登ってる最中にワタクシめの右腿の筋肉を暴発させてきた。





たまらず運転停車(renas先生は待っててくれた)。






「ごめんちょっとタンマ」
「もう?」


こりゃ思いの外深刻な状況だ。実はこのとき、密かに「今回はさすがにリタイヤするかもしれん」と思い始めてもいた。




「まあ安心しな。俺も攣ってる」
「加齢ってやつは怖いねぇ」


renas先生も似たような状況らしかったので、お互い無理をしないペースで走ろうか、ということになった。





アップダウンと海沿いの道が交互に訪れるようなイメージ。



そこからしばらくは、脚の筋肉も大人しくなってくれて、小佐渡のコーストラインを快適にライドしていく。




「次のエイドまで、あと12キロほどですね」
「無理をしないように気を付けないと……」


途中、道幅の狭くなる箇所があり、ここで結構な集団が形成される。





全線で改良工事が進むが、ここは相変わらずの狭さ。






「あまり集団の中にはいたくないんだよなぁ」
「どうしてですか?」


佐渡ロングライドに限らず、大抵のロングライドイベントでは、まず交通規制をかけていない。そのため、一般車両の往来があるのだけれど、集団形成していると、例えば後続の自動車が、その集団を追い抜くことが難しくなる。これは、集団の規模が大きければ大きいほど顕著になる。




「自動車が無理に追い越しを駆けようとして、自転車引っかける事故とかあるんだ」
「なるほど。それで集団を分離するような動きをしているのですね」






ヒストリーパークまで来てしまえば、エイドは近い。



なので、可能な限り集団から離脱して、単騎で走るように心がけてはいる。佐渡のラストでスパートかますのも、そういった意味合いが強い。




「えっ!?  撮れ高のためかと……」
「それもちょびっとある」


で、13:04多田エイド着。





ここは比較的小さめなエイド(今回は違ったが)。



ここのクローズは14:00だったハズなので、1時間の猶予ができた。




「ところで、薄エリアスが薄く感じるんだが」
「……ボケてます?  それとも真面目なほうですか?」


いやいや真面目なほう。これはたぶん、完全に水分とミネラルが足りていない状態なのだろう。





たぶんどころか全然足りてない。






「濃いエリアスにするわ」
「つまり100%アクエリアスですね」


普段は濃さを感じるアクエリアスが、三日ほど天日干しした雑巾なみに体内に吸い込まれていく。今日はそんなに暑い日ではないのだけれど、それでこれなのか。




「飲み過ぎなくらいで丁度良いのかもしれません」
「なら、もうちょっと飲むか……」






ここではわかめドーナツが。



こうしてアクエリアスをガブ飲みするだけして、13:21多田エイド発。ここから小木までは約24キロほどの距離になる。

とりあえず、ほうほうの体に変わりはないが、このままのペースでいけば、最低でも完走はできるだろう。アクエリアスの恩恵が出始めたか、脚のほうもある程度動くようになってきたし、登り坂の途中で攣ったとしても、ストレッチをすれば回復し、再始動できることも判った。

すると多少だが冷静になれて、余裕も出てきた。




「大丈夫だ、なんとかなる。まだ慌てるような時間じゃない」
「……バスケじゃないんですから」






おまけに仙道さんrenas先生に引いてもらったりもした。



ただ、問題は小木から先である。163キロ地点の小木機関区から、素浜を経由してフィニッシュポイントまで40キロ強。この区間には、沢崎灯台、でんでこ坂、素浜の140アップ、国道坂という、佐渡屈指の難所が4連続でやってくる。今までは平地メインだったが、ラストはガチの丘陵地帯になる。




「本っ当に大丈夫ですか?」
「ごめんなさい無理かもしれん」






小木エイドは、公園の改修工事中で場所が変更になったとのこと。






チップをはずむから……



14:20、小木機関区、こと小木エイド着。2024年大会では、港の公園が改修工事で使えず、近くの公民館がエイド指定されていた。ここではしんこ餅という銘菓が振舞われていたのだが、







しんこ餅しかなかった。










ただし腹持ちがいい。






「食料難民になっちまう」
「イザとなったら、手前にあったAコープにいこう」


運営も色々大変なのだろうが、この補給物資の数量問題は、どうにか良い方向に変わってほしいと思う。





さあ、山に登ろう。



さて、先述のとおり、ここからアップダウンが連続する区間になる。この脚で、どこまでやれるのか――――




「さあエルコスさん、チップをはずむから勇気を分けてくれねぇか?」
「随分とロマンに欠けるお願いじゃないですか」


まずは小木の高台区間。そこから宿根木の港を経て、長者ヶ橋へ。





renas先生はここに立ち寄っていたようだ。






「実は灯台経由じゃなくて、トンネルのほう、ってことは」
「まあ、ないでしょうね」


一周道路が開通する前は、灯台の手前で右折し、海沿いを往くルートだった。残念ながら、開通後は灯台脇の登りをこなすルートとなり、難所が1箇所増えた





心拍は問題ないしメンタル的にも全然余裕が出てきたが、いかんせん脚が……






「やっぱり足が攣る」
「慌てずにいきましょう。まだ慌てるような時間ではないのでしょう?」


そのあと、せっかく稼いだ標高を垂れ流し、江積漁港の交点からでんでこ坂が始まる。





絶望の1丁目。



思えば、初参加した2013年のときも、このでんでこ坂を通るルートだった。当時の愛機・内藤晶の性能を以てしても、この坂は強烈なインパクトを残していた。





皆、無言になる。しゃべってる余裕はない。



何がきついって、序盤の激坂と、終わりの見えないほどの長い距離。何せ序盤はアベレージ10の激坂が500メートル続くうえ、その後もアベレージ7の登りがお出迎え。区間距離は2.4キロに及ぶ。




「あ、ダメだ足が攣る」
「停まりましょう。大丈夫、ストレッチする余裕はありますから」






諦めて試合終了の人も。



中には押して登っている参加者もいた。ここはそういう場所なのだ。だが、どうせなら押さずに登り切りたい。ストレッチのために停まったとしても、最後まで登り切りたいのだ。




「脚さえ無事だったらなぁ……」
「教訓になったでしょう?  やはり飲み過ぎと無理のし過ぎなのですよ」


休み休み登っていると、遠くから聞こえる太鼓の音色。佐渡太鼓体験交流館の有志がたたかいのドラムでお出迎えだ。





これが見えてきた、ということは……



同時に、この光景を見れたということは、素浜までの区間のハイライトをクリアした、ということでもある。あとは高台区間をうろうろしつつ、





いつもの定点も、今日はどんより曇り空。



定点を越え、海岸線までの下りワインディングを経て、





素浜まで残り2キロ。トータルでも20キロ強となった。



15:55、素浜エイド到着。




「お疲れ様です! ここまで来れば、あとはフィニッシュするだけですよ!」
「またエルコスさんに助けられたね」


ここまで引っ張ってくれた労いの言葉を遷移金属に掛けると、こちらの予想通り、急にモジモジしだす。うん、間違いなくエルコスさんだ





わかめ汁の文字はなく……



ただ、提供されるはずのわかめ汁とおにぎりは、残念ながら売り切れとなっていた。制限時間ギリギリの参加者のほうが補給が必要なケースが多いと思うだけに、このエイドの早い者勝ち理論は、ちょっと物申したいと思う。




「塩タブレットがあるようですが」
「それはもらっておこう」






残り20キロ……



さて、アクエリ補給と洗顔なんぞをこなしているうちに、renas先生到着。




「脚が終わった詐欺だろそれwww」
「いやいやいや、実際今も攣ってるしwww」


ブランクを感じるとはいっても、renas先生も歴戦の強者である。ワタクシめと同じく脚を攣らせながらここまで来た。





そんなrenas先生もラストに向けて補給を開始。ようかんなんて久しく食ってないな。



さて、クローズ寸前の16:21に素浜を出発すると、まず最初にやってくるのが素浜の140アップ区間。海岸線からまっすぐ道沿いに坂を登り、R350交点まで標高を稼ぐ難所だ。




「昔いたらしい。半泣きで「こんなコース考えた奴バカじゃねーの!?」って叫んでた参加者が」
「登って下って登って下って、さらに登ってますからねぇ」






バカジャネーノ!?



脚が終わった身としては、ギリギリ停まらない程度の速度しか出ない訳で。だが、脚を攣らせて試合終了になるよりかは遥かにマシだ。




「慌てるな、慌てるな、まだ慌てるような時間じゃない」
「今、素浜がクローズしました」






あとは回収車とのバトルよ。



この区間では、途中の十字路を左折し、その先の丁字路を右折。そしてR350交点に至るというレイアウトになっている。十字路まで来れば登り勾配は一旦落ち着き、脚を休ませることができる。




「なんとか脚を停めずに登りきれた」
「お疲れ様です。これであと1つですね――――」


R350交点を左折し、西三川に向けて下り勾配を駆け降りる。エルコスさんが言った通り、この先には初参加のライダーを昇天させる最後の難所が控えている。





見えてきた。



Z坂や大野亀のようなメジャーな名前はついていないが、我々の界隈ではここを国道坂と呼んでいる。おおよそ100ほど標高を稼ぐのだが、登り区間が想像以上に長く、かつ緩急が連続するので、よっしゃこれで登りも終わりだ!  なんて油断してアウターに叩き込んだ参加者に







ワンパンくらわす






程度のもてなしをしてくる。個人的にはこの区間が苦手だ。





アップ量は100程度なんだけどね。






「攣るな、攣るなよ……」
「そういってると攣るから、言わないほうがいいですよ?」


結果的に足は攣らなかった。正確には、攣ってるけど悶絶するほどじゃない、か。アクエリアスのガブ飲みがようやく効いてきた。




「いいですか、わたしがあれほど水分と補給をしっかり行ってくださいと……」
「こればっかりは返す言葉がない」


加齢ということもあるのだろうが、もっと真面目に補給のことを考える時期なのだろう。少なくとも、水分補給を水だけで何とかしようとするのは、慎んだほうがよさそうだ。





勾配の緩急が連続する。あとなにげに道幅が狭く、渋滞しがち。






「だが、きっと喉元過ぎた熱さを忘れるんだろうなぁ」
「大丈夫です。大先生が是正するまで、ずっと言い続けて差し上げますから」


……エルコスさんの目が笑ってない。きっとマジだこりゃ。

さて、国道坂で稼いだ標高を吐き出し、下り切ったところが200キロポイント。たいていこの時間になると、その手前の長浜荘前で、既に走り終えた参加者が酒盛りしながら声援を送るのが風物詩である。





で、たいてい応援してくれる。






「こういう楽しみ方も佐渡ならではだ」
「確かに、他のイベントではあまり見ませんね」


そして、しばし撮影をしながらrenas先生の到着を待つ。





ここで待つのは我々のマイルール(結構スルーしていく参加者多い)。



程なくして到着したrenas先生は、衝撃的なことをのたまった。




「ワイのボーラちゃんが覚醒したwww」
「ベアリングが馴染んだな」


最後の最後で、突如ホイールが走るようになったらしい。そんなrenas先生、精魂尽き果てた様子で横たわる。




「あと10キロ……  ないくらいか」
「まあ、キリが良くて210にしてるんだと思う」






renas先生も無事に完走できそう。



さて、残りはフィニッシュまでのパレードランなのだけれど、




「撮れ高チャンス、やってもいいけどwww」
「無理無理無理、死んじゃうからwww」


という訳で、各自のペースでフィニッシュを迎えよう、ということになり、再出発。





振切れない、だ…… と……!?









キッチリついてくる人。










ちゃんと「前に出ていいか?」と確認はした。









脚攣った詐欺の人。










この時、エルコスさんはすっげぇ笑顔だった。






「あのやりとりの意味よwww」
「アドレナリンどっぱどぱですから!」


結局、いつものルーティンで今年の佐渡も無事終了。佐和田フィニッシュは17:34だった。





回収車との戦いに勝ったぜ。






そして……



後のエルコスさんの解析により、走破タイムが確定した。グロスタイムが11時間59分、休憩やストレッチに要した時間を省いた、補正ありのネットタイムが8時間33分だった。




「この休憩時間をもっと削減できればなぁ」
「今回は脚の都合もあったので、致し方ないのでは?」






撮り溜めた画像を適当に貼る①。まだまだ残雪が残る山々。



また、平均時速だが、グロスが17.1キロ、ネットが24.4キロと出た。正直、25キロは超えたかったので、やや物足りない結果ではある。




「ただ、来年佐渡に出れるかどうかが、現段階では何とも言えなくなってしまった」
「えっ、やめちゃうのですか!?」






撮り溜めた画像を適当に貼る②。renas先生は相川に寄り、めんつゆで災難を拾った。



こればっかりは歳の瀬と仕事の瀬に依存する。ワタクシめもrenas先生もそれなりにイイお年頃となり、人並み程度には役職を持つようになった。色々役職がつくと自由に動きにくくもなるのである。





撮り溜めた画像を適当に貼る③。もしかしたら、しばらくはこの景色もお預けかもね。



そんなこともあって、まあ一旦佐渡はお預けでもいいかな?  くらいのノリにはなっている。ただ……




「イベント参加しなくなると、セッションする口実がなくなる。それはイヤだなぁ」
「まあ、違うイベントでいいんじゃね?」






撮り溜めた画像を適当に貼る④。小さな漁村を繋いでいく雰囲気。これが味があるのだよ。



実際、この次の週には若狭路センチュリーライドに出場(これはy-maruのソロ)するし、renas先生はグラフォン小諸がお気に入りで、来年はどうしようかと考えているみたいだ。このふたつは時期的に佐渡とバッティングするし、なんだったら隔年で参加、という方法もある。





撮り溜めた画像を適当に貼る⑤。長者ヶ橋が開通する前、このあたりは秘境だったと聞く。






「だけど、それならBカテゴリのルートも走ってみたかったなぁ」
「それな」


結局我々は、ひたすら佐渡を1周し続けた(実際には赤玉アンロックというエグいコースも過去に1度だけ走ったが)訳で。そういや大佐渡と小佐渡の境界、佐渡の丘陵地帯を走ってなかった。これは心残りである。





撮り溜めた画像を適当に貼る⑥。結局、完走後に食う麺類が総合優勝。






「でしたら、これはいかがでしょう?」
「あー……」






撮り溜めた画像を適当に貼る⑦。アル添に寛容になった真野鶴さんの壁時計がイカしてた。



エルコスさんが提示したもの。それは――――














余談だが、これをポチったときも飲酒してた。たぶん一生治らないのだろう。












TITLE:多彩なる体たらく
UPDATE:2024/05/28
URL:http://y-maru.sakura.ne.jp/343_sado/sado.html