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329:ヤマイドウ17〜コーヒーライド〜



text&photo  by  ymr20xx@y-maru.com。



本日のルート (powered by Ride With GPS)






天まで続く道


6:02、みどり工房しゃりを出発。





天気は上向きなんだけど風が強い。



道の駅しゃりが明らかなキャパ不足+市街地にあって、車中泊とデポが厳しいかな、と思っていたが、ここの駐車場ならデポに適している。駅からもだいたい3キロくらいだし。

さて、今日はどこ行こうか?




「この近くに、天まで続く道というのがあるようですが」
「じゃあ、そこに行ってみよう」






まずはナラシがてらのんびりと。



R334と併走する北側の農道を東に走る。昨晩、降雨があったみたいで、あちこちに水溜りができている。




「水溜りに突っ込まないように走ってくださいよ?」
「そんなにヤンチャじゃないよw」






これも日中には乾いてなくなってしまうのだろう。



で、農道の終点がR334交点なのだが、そこから今度は南へ直進する別の農道に入る。このあたりは、どうやら丘陵地帯になっているようで、インナーが必要になる程度の登り坂が続く。




「無名の農道は勾配がエグい」
「序盤ですから無理は禁物ですよ」


それでもなお、どうにかこうにか登っていき、ふと後方を振り返ると、海が見えた





オホーツクの海原が。






「わーっ!  スゴイですね!」
「こういう景色のご褒美は秀逸なんだよな」


そんなこんなしていると、早朝の無名農道なのに、やたらと人が集まっているポイントが。




「ここが天まで続く道です」
「どんな道なんだろ?」






登ってる登ってる(ように見える)。









あー確かに。









「天まで続いてるように見える」
「これは言い得て妙ですね」


この天まで続く道とは、R334、R244および斜網広域農道、そしてその他町道を含んだ、およそ28キロに及ぶ文字通りの直線道路群で、終端から見れば、どこまでも続くひたすらまっすぐな線が、あたかも空へと登っていくような景色を醸し出していた。




「ここが高台の上というのも要因でしょうね」
「つまり、実際のところ登り勾配という訳でもないのか」


確かにここからの景色は秀逸で、また、写真映えもするだろう。ただいかんせん、人が多すぎる





実はオートバイ集団が撮影待ちしていた。






「少し西に行くと、展望台があるようです」
「そっちにするか」


で、少し下って展望台周辺へ。




「ここからの景色だってまあまあ悪くないぞ?」
「それを狙ったのですよ。さ、大先生、三脚をですね……」






この熊は知床トコさんという、知床のシンボルキャラらしい。



さて、この天まで続く道は、このまま西行するとR344に合流する。そこからさらに西に進むと、先述のとおり斜網広域農道と分岐し、さらにまっすぐな道が続いていくという。




「行かれますよね」
「まあ、東に行くという選択肢はないし」


坂を下りながら、エルコスさんと世間話を始める。東に行くという選択肢がなくなった理由として、道東周辺での獣害が活発化したことに尽きる。2023年9月現在、標茶周辺で猛威を振るっていたOSO18は駆除されたものの、その個体以上の羆が生息している可能性が指摘されている。

また、それを抜きにしても知床周辺での目撃情報が増加し、ついには知床峠自転車通行非推奨なんて事態になってしまった。




「自動車が接近しても、逃げないどころか威嚇してくる個体が増えたそうですよ」
「エルコスさん齧られるのは困るしね」






風が強くて草がおっ倒れる(右が北)。



それなら南へ進んでは?  とも考えたのだが、こういう時に限って南からの強風が。




「予想風速、8メートルくらいd……」
「無理無理無理無理!?」


結果、西に行くという選択肢となった。幸い、石北本線と釧網本線が使えるので、帰りは久しぶりに輪行で帰ってこよう。





とりあえず戻ってきた。さらに直進しよう。






「ただ、石北本線は土砂災害で一部不通になってますよ?」
「そうすると、北見か、もしくは留辺蘂あたりが限界かな?」


なんて話をしていると、なんとなく後輪のレスポンスがグニャりだす。




「俺は認めんぞ!  北海道でパンクしたことなど、過去に一度もn……」
「試される大地、とはよく言ったものです。ハイ大先生、すぐ停める!」






確か北海道での初パンクだったはず。



どうも、小石か何かを踏んだ衝撃がタイヤを貫通してチューブに小さな穴をあけていたようだ。破片は残ってないし、漏れた箇所も相当エアを入れないとわからないくらい。




「それはそうと、アジリスト減り早くないか?」
「帰ったら交換ですね」


10分くらいでチューブを入れ替え、再出発。





国道はここで右にカーブする。



程なくして、斜網広域農道の入口に着く、地名でいうなら、ここから中里の方面に向かう。




「結局、補給なしで来てしまった」
「斜里で補給すべきでした。ここまで商店がないとは……」


一応、R244沿いに浜小清水方面へと進めば、道の駅とセイコーマートはある。ただし天まで続く道の走破を考えるなら、斜里でのストックは必須だろう。

今回は、このまま農道に突入したわけだが、これが後々影響を及ぼすこととなる。





斜網林道を西へ。



北見地区の、絵に描いた牧草地帯を進んでいく。地図上では、R391の交点を過ぎて、まださらに西に向かうあたり。




「結構このあたり、アップダウンが多いな」
「海沿い以外では、思った以上に丘陵地帯ですよ?」


そんな登り降りを経て、ちょっとした登りの先で道は唐突に右方向にカーブする。どうやら、ここが天まで続く道の終端らしい。





起点ほどの観光地感はない。



一応この道は、北海道を旅するライダーやサイクリストが、一度は訪れてみたい道の一つだと言われている。しかし、その終点は実にあっさりしたものだ。





ところで……






「それはそうと、あの釧路街道ってのは何?」
「網走と釧路を結んでいた古の街道ですね。現在のR391に相当します」


1891年に開通したその街道は、当時は陸の孤島と呼ばれていた北見国と、北海道有数の街である釧路を結ぶために整備された。その際、多くの犠牲者が出たと云われており、その大半が、集治監に収容されていた囚人といわれている。

今ではこの名前の街道は現存しないが、北見地域の発展のため、また、隣国からの防衛のために活用された、歴史的価値のあるものとされている。




「大先生、写真t……」
「ここすっげぇ斜めってて三脚立てらないわ。撮ってあげるからそこに立ってな」






三脚立てるとうまいこと入らないんだ、まっすぐな道が。






干上がる


9:05、天まで続く道の終端を出発。





ジャガイモ畑の間を抜けて。



ここからさらに、小清水の丘陵地帯を登ったり下りたりする。

このあたりでは、ジャガイモや小麦の栽培が盛んで、右を見ても左を見てもたいてい畑である。




「いかにも、北海道!  って景色ですね」
「ほんとどこ見渡しても畑しかないな」






ようやく晴れ間がフルオープン。



そんなロケーションなので、ちょっと良さげな場所を見つけては、




「大先生、写真撮りましょう!」
「ここなら……  って、ここ普通の畑じゃん?」






「いいじゃないですか。しっかり画になりますよ!」「……まあ、北海道あるあるだな」



そして、朝は曇りだった空が、気が付くと青空に変わってきた。そして、それに合わせて気温が上昇し、




「やっべぇ、ボトル一本終わった」
「え、もうですか!?」


思いの外、水の消費が早まった。これ、いつものヤヴァイパターンでは?





ジリジリ暑い。自販機なんてものは一切ないし。






「どうしますか?  一旦商店を探しに海沿いに出ますか?」
「うーん、行けるところまで行ってみるか?」


現在の位置は、だいたい濤沸湖の南岸くらい。今から海沿いに出たとしても、どのみち暫くはこのまま丘陵地帯を行かなければならない。

まあ、本音を言うと、イチイチ戻るのが面倒臭いのだ。……また悪い癖が出た。





まあ、最悪、農場でお願いして水を分けてもらおうかな?



そして、誰が見てもこりゃ「今日は晴れですねー」って天気になった頃、知床連山が美しく見える丘というスポットに着いた。時刻は10:09。





スポットはちょっとだけ農道から外れたところにある(農道の交点から見える位置にある)。






「大先生、写真撮りましょう!」
「言うと思ってたさ」






知床連山は曇ってて姿を見ることができなかった。



このあたりは、斜網の丘陵地帯が広がるので、そりゃあ景色が良いに決まっている。ただ、手持ちの三脚が高さ足りなくて、できればもうちょっと高い位置から自撮りしたかった。





丘陵地帯に広がる農場風景も美しい。



さて、そろそろ本格的に水分が欲しい。そんなことを考えながら登ったり下ったり、この丘陵地帯をこなしていると、道は唐突に下り勾配に。そして眼下に広がるオホーツク海。





オホーツク海だと信じて疑わなかったが実は違う。






「違います。あれは網走湖ですよ」
「ということは、これで丘陵地帯も終わりか」


R39交点近くに自販機があったので、とりあえずガブ飲みしておく。




「あー……  生き返る……」
「この先に道の駅がありますので、程々にしておいてくださいね」





向かい風との戦い


10:35、大空町に入る。





古くからの旅行者だと、女満別のほうが有名かもしれない。






「2006年に女満別と東藻琴が合併してできた自治体ですね」
「女満別空港にちなんだ名前なのかな?」


そして、道の駅の手前には、その名の由来となったメルヘンの丘が。




「大先生、写真撮りm……」
「準備はできてるぜ」






ただ、この構図で撮ろうとすると、車道に三脚立てないといけない。



そして10:53、道の駅メルヘンの丘めまんべつ着。





オホーツクサイクルルートの中継点にもなっている。



ここは、立地的に来訪者が多く、また、車中泊需要をある程度受け入れてくれているので、この周辺だと使い勝手の良い道の駅である。




「まあ何はともあれ、涼を取ろう」
「すっかり暑くなりましたからね」






自転車とソフトクリームの親和性の良さよ。



さて、ここまで来たはいいがこれからどうしようか。とりあえず、北見くらいは行きたいのだが。




「それなら、津別に向かわれては如何ですか?」
「それどこ?」


津別というのは、美幌からR240沿いに15キロほど南下したところにある小さな街だという。




「向かい風やんwww」
「我慢してください。たったの15キロですから」


いや、ここから美幌までだって軽く10キロはあるんやで?





つまりきっつい向かい風を最低でもそんだけ受けなければいけないという。



ただ、エルコスさん曰く、地物を使った絶品バーガーを出す喫茶店があるとかで、どうせノープランですし、コーヒーライドに切り替えましょう!  ということらしい。




「まあ代案もないから、それでいくか」
「わかりました!  それではですね……」






R39を南下していく。



こうして、向かい風がどぎついR39を南下し始める。女満別と美幌の間はせいぜい10キロ程度の直線道路で、時折ライダーとキャンピングカーと大型トラックが追い越していく。




「牧歌的だな」
「忙しくないのですよ。雰囲気が」


11:47、美幌町に入る。このあたりは、メルヘンの丘に引けを取らないほど、北見の牧草風景が広がる良い景色の場所。当然のように、




「わたしたちの最優先事項とは?」
「距離を延ばすのと写真を撮るの。これが1位タイだwww」






1位タイのミッション。



美幌バイパスを潜り、道道でショートカットすると、美幌の市街地に着く。12:12着で、ここまででだいたい85キロほど。

6時間で85キロ。まあ普段は100キロ走破に休憩・撮影込み7時間かかっているので、特段遅いわけではないが北海道的にはあまり稼げてないといったところ。




「丘陵地帯と向かい風にやられましたね」
「ま、楽しいんだけどね」


結局、ネガティブなシチュエイションだとしても、乗って走れば何でも楽しいのだ。





特急が停まる駅。



さて、ここから津別まで15キロ。途中にコンビニが数軒あるので、そこらで補給しながら走ろう。




「ただ、困ったことにセイコーマートにゴミ箱がない」
「ちょっと不便ですね」


これが原因で、今年の夏のヤマイドウ全体でセイコーマート使用率が思いの外低い。まあ、カツ丼と冷やしラーメンカップは戴けているのでヨシとするが。





結局、水とゼリーを補給するに留まり、南下を再開。



さて、迫りくる向かい風と格闘し続けることおよそ30分。道はうっすらと登り勾配気味。




「やべぇ飽きてきた」
「もうちょっとですから頑張ってください」






津別のカントリーサインが現れた。



そして、13:20津別町に入ると、辺りに貯木場や製材所を多く見かけるようになる。





大量の木材。






「津別はもともと林業が盛んで、かつては森林鉄道も通っていました」
「さすがに今はもうないよな」


森林鉄道は1963年に、街まで通っていた国鉄相生線も1985に、それぞれ廃止されている。

実際、人口の減少は続いているというが、それでも立派な庁舎が建てられていたりして、コンパクトながら街の機能を維持している。忙しさとは無縁の、静かな田舎町、という印象だ。





玄関付近は絶賛工事中。もう少しで完成するようだ。



そして、お目当ての喫茶店CHANOMAは、R240沿いにあって、すぐに見つかった。





北海道網走郡津別町大通5、Tel:090-5071-9444






「んじゃちょっと昼飯食べてくる」
「はーい、行ってらっしゃいまし」


残念ながらランチは売り切れだったものの、ハンバーガーセットは大丈夫、とのこと。津別産の小麦で焼いたバンズで、手作りのハンバーグを挟んだボリューミーなハンバーガーだった。照り焼きエッグチーズバーガは単品で500円、ポテトとドリンクのセットで+300円のアップチャージとなる。




「……うめぇ」
「沁みてますねぇ」






これで800円なんだぜ?(ちなみにマックのビッグマックセットが750円)



ただし、この店を来訪する際は1点だけ注意すべきことがある。この店は、土日と祝日が休みである。




「なんなんだそのハードモード!?」
「ほぼ地元の方に特化した営業形態ですね」


なので、土日の弾丸旅行では完全アウト。長期休暇で訪れて、平日のタイミングで到達するというウルトラCが必要になるので、そこだけは絶対に留意したい。





落ち着いた雰囲気のカフェでした。






割と近かった北見の街


地図を見ると、津別と北見は直線距離で割と近い位置にあることが分かる。道道27で開成峠を越えるか、あるいは道道217の活汲峠を越えるか。距離としては後者が短めで標高も低い。




「タマネギ畑の間を往く道です」
「面白そうだからそっちにするか」


という訳で、R240を少し戻り、岩富の集落へ。





タマネギの香が徐々に強まっていく。



エルコスさんのいう通り、この辺りはどこを見回してもタマネギしか見えない。




「あ、何か碑があるな」
「読んでみますか?」






どうやら、タマネギ栽培の始祖がこの辺りらしい。



北見でタマネギが栽培されたのは昭和40年頃のこと。ちょうどこのあたりの地で始まったのだそう。

おかげで現在、タマネギの産地として北見の名は知れ渡っている訳だ。





おかげで記念碑が建てられた。






「という訳で大先生、ちょっと写真撮りませんか?」
「タマネギと関係はないよなそれ」






一応、タマネギ畑は映ってるのでセーフということで。



さて、道道217の、のんびり勾配を上げていく脚に優しい登りをこなすこと25分ほど。木々に囲まれたぽっかりと開いたトンネルが、活汲峠である。地図上では標高170とあるが、メーター読みで軽く200を超えている。




「誤差でしょうね」
「にしては随分ズレてない?」






トンネル手前は駐車場になっている。



そしてトンネルを抜けると、北見市街まで延々と下る。感触としては、北見側の勾配区間が長いような感じで、北見から津別へはちょっと登りがきつそうなイメージだ。

もっとも、勾配区間を回避するには美幌へ迂回するしかないが、それだととんでもない大回りを強いられる。結局、最短距離を狙うなら峠越えしかなさそうである。





とはいえ、頑張れば何とかなる程度の勾配なので、そんなに心配する必要もない。



十勝オホーツク道の高架を跨ぐと、建物がぽつぽつと増えてくる。常呂川を渡れば完全に北見の街だ。




「それでは、北見駅で終了、ということでよろしいですね?」
「ま、こんなもんでしょう」






あと3キロか……



頑張れば、置戸や留辺蘂まで到達できたと思う。しかし、このとき石北本線は土砂流出による災害発生で列車の運転本数が削減。通常ダイヤ通りに運転が成されていなかった。

斜里までの列車に乗り継げない、なんてことはないかと思うが、大事を取って北見エンドとした。本日の走行距離130.9キロ。





カーリングの街、とあるが、有名な常呂町はずっと北のほう(現在は北見市と合併した)。



北見から旭川方面へと向かう特急の代行バスを待つ列で、コンコースは賑わいを見せていた。我々が乗るのは16:16網走行の各駅停車なので、少々ゆっくりできるだろう。





それでは斜里に戻ろう。












TITLE:なんとなく向かった先に
UPDATE:2023/09/08
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