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326:NORI-Climb#08



text&photo  by  ymr20xx@y-maru.com。



本日のルート (powered by Ride With GPS)






雨の呪い





「なんで……  どうして!?」
「あー……  これで3回目かぁ」


天気予報を眺めながら、遠い目をするおっさんと涙目の遷移金属

というのも、今回はエルコスさんが未訪だった8県のうち、東北の3県を一気に狩る予定で、盛岡行の新幹線を早々に抑えていた。そしたら、





問答無用の100%。









大雨。









「しかも記録的な大雨ときた」
「うぁぁぁぁぁ……」


正直言うと、多少の雨ならポンチョ着て何とかしちゃおうか、くらいは思っていた。しかし、街が冠水する程度の雨  ……ってもはや災害じゃねぇか





命に係わるレベル。



ちなみに、豪雨に呪われたのはこれだけでなく、今年に入って既に2回、九州方面への出撃が荒天で流され、その都度エルコスさんは半泣きになりながら項垂れていた。かわいい。




「ちょっ……  今なんて言いました!?」
「そこは聞き逃さないんだよな」


そういった訳で、改めて天気予報を見ると、割と本州中央から南側にかけては天気が良かった。




「じゃあ乗鞍行こうか」
「行きたいです!」


割とフランクに乗鞍登頂を決めた。さっきまでと打って変わってエルコスさんの表情が明るくなる。かわいい。




「だから隙ついて何言ってるんですかーっ!?」
「顔を赤らめるでないwww」






なんだかどんよりしてるが、たぶん行けるだろう。






2年ぶりのエコーライン


6:44、鈴蘭バスターミナルを出発。





この時間で鈴蘭の駐車場は満車。






「登山客が多いですね」
「シーズン真っ盛りだしな」


バス待ちの列を横目に、早速エコーラインを登り始める。この道を走るのも2年振りだ。




「昨年はスカイラインでしたね」
「結果的に、昨年スカイラインを踏破していて正解だったよ」


というのも、乗鞍スカイラインは途中箇所での崩落が原因で、今年度は完全に閉鎖されるという。下手すると次年度以降もどうなるかわからない。




「もしかしたら、年単位でしばらく走れなくなる可能性もある」
「運がよかったのですね、わたし達」






いよいよスタート!



スキー場前の左ヘアピンを抜けた先から、いよいよ登頂を開始する。まずは、マイカー規制が行われている三本滝まで。




「区間タイムの目安は38分前後ですよ」
「ま、40分くらいで登ればいいか」


一応、県境まで2時間30分を切る、というマイルールを課してはいるが、加齢による劣化でたぶん無理だろうし、少々天気が悪くとも、乗鞍を走る、ということを盛大に楽しみたいと思う。なのでいきなり休暇村で撮影タイム





ここから登山目的でバスに乗る観光客が大勢いた。






「ちょっと早過ぎませんか?」
「いいのいいの。今日はファンライドだ」


ただ、なんかポツポツ感じる。ポンチョは置いてきてしまっているので、できるだけ早めに出発したほうが良さそうだ。





ちなみに畳平は午後から雨らしい。



休暇村のゲートを抜けると、しばらくは森の中を往く。標高はだいたい1600くらい。




「三本滝は1800くらいですから、あと200アップします」
「ま、これくらいの標高なら大したことないや」


そうなんだ。このセクションは大してしんどさはない。クルクル回していれば、あっという間に三本滝である。





1800m地帯に到達。



という訳で、その三本滝には7:24着。




「40分かかってますが」
「言うなってwww」


ちなみに一番時間かかってる。今まではだいたい30分後半くらいだ。





三本滝ゲート。



ここからエコーラインはマイカー規制となり、許可車両とタクシー、そしてシャトルバスだけが通るようになる。とりあえず、登頂に向けて一息つくのだが……





これは初めて見るやつ。






「MTBのコースができてる」
「ツアーコースとして使われていたものをオープンにしたようです。リンクを出しておきますね」


乗鞍高原トレイルの公式webサイトに詳細が記されている。MTBで林道を走るのも、案外楽しいのかもしれない。




「そういえば、妙さんが整備中でしたね」
「こないだフロントディレイラーが折れたwww」


それに妙ちゃんは現代に於いては化石レベルの26HE規格。走れないことはないんだけど何かとパーツが揃いづらい。





初心者や初見は、まずはガイド同伴で走ることを勧められた。



世間話もそこそこに、7:28三本滝を出発。ところで、ゲートで警備していたおっちゃん曰く、







上は荒れてるから気を付けてね〜









「帰ろっかなーwww」
「ここまで来てなんてこと言うんですか!?」


やっぱり登るのね……  まあ登る気マンマンなんだが。





実際のところ、エルコスさんがよく走るのでウキウキな訳よ。



ここから位ヶ原山荘までの第2セクションは、概ね距離8キロで500ほどアップする。その最初の絶景ポイント、かもしかゲレンデを九十九折れで登っていく。このあたりの景色は一見の価値があるのだが、





見下ろせないんだよ。この位置だと。






「写真に収めづらいんだよな」
「物凄く高い位置にセットできる三脚が要りますね」


そこをクリアすると、次は滝ポイント。ただ、その手前でバスが離合をしくじってた





道が狭いのでこういうことに。






「ひっからまってる」
「距離を取ってください。下がってきますよ」


で、ここで一緒になってつっかえていたご同業とともに、時に追い抜き、時に追い抜かれながら




「恐らく経験者ですね。絶景のカン処をよく心得てます」
「いつかそうなりたいものだ」


で、摩利支天バス停には7:53着。





このバス停を見ると、心がざわつくんだ。



ここが全行程の中間点となり、ここまでの走行距離は10キロジャスト。





どうでもよいことだが、結構バスの本数がある。






「次の冷泉小屋までは、およそ3キロです」
「その3キロに良い思い出が1ミリもねぇwww」


摩利支天から冷泉小屋までは、全区間で最初の難所と呼ぶべきエグい区間で、アベレージで7.5もありやがる。





イン側がみるみるうちにエグくなる。






「最大が19パーセントですが」
「コーナーのイン側だろそれ」


こういうのが幾度となく襲ってくるので、ここをどう攻略したものやら。




「ま、焦ったところで仕方なし。ゆっくり往こう」
「前回は、冷泉小屋まで23分要してます」






上板橋連合が泣きを入れた10パー区間。冷泉小屋の直下にある。



とりあえず、7:55摩利支天を出発。そしてエグい登りをおみまいされまくり、ほうほうの体で冷泉小屋へ。





見えてきた。






「23分ですね。前回と同じくらいのタイムです」
「結構休みを入れたのだが……」


8:18、冷泉小屋着。





キレイになりました。



数年前は廃墟に近かったが、再建プロジェクトによって新たな休憩ポイントになった。改築の最中であったが、宿泊もできるようだ。




「ここか位ヶ原に宿泊しするのも、いつかやってみたい」
「毎回言ってますね」


さて、冷泉小屋からは5つのヘアピンを経て位ヶ原山荘に至る。標高は2350mに達し、これはおおむね渋峠やスバルライン五合目、そして大弛峠に匹敵する。





クライマックスに向けての中継地点。



それにしても、空を見上げると……





まっしろ。









絶望しかない。









「これアレだな、初登頂のときと同じオチじゃね?」
「うっ……  わたし、また雪まみれになるのですか?」


ちなみに、位ヶ原山荘には8:33着。区間タイムはだいたい65分で、2年前より2分捲いた




「誤差だな」
「誤差率を求めてみましたが、およそ3%ですね」


ちなみに、位ヶ原山荘といえばろんぐらいだぁす! 特需でおしるこがよく出るらしいが、今まで食べたことはない。





眼がハートになるほどウマいらしい。






「おしるこそんなに好きじゃないし」
「そういえばコーヒーかおでんでしたね」


ちなみにコーヒーは帰りに戴くとして、残り5キロ、気合を入れていこう。





残り350ほどか……



位ヶ原山荘を8:37発。ちなみに、この時点で1時間53分が経過していることをエルコスさんが口にする。




「最後のセクション、前回が44分ですから……」
「まあ、ちょっとオーバーするね」


一応、最後のセクションを37分で走り切れば2時間30分切り、ということになるが、もうどうやったってそんなに速くは走れない。そもそも、森林限界を迎えつつあるこの辺りの景色は、休憩とか抜きにして詣でたい





あそこから登ってきた。






「持ち運びが容易な三脚、どこかにないかなぁ?」
「つまり、三脚をお忘れになりましたね?」


標高はさらに上がり、心なしか風が強くなったような気がする。そして、時折雲というか霧によって視界がゼロになることも。





雲の流れが恐ろしく早い。






「さ  む  い」
「現在の気温、12℃くらいですね」


そんな中でも、脚を残したご同業はスイスイ登っていく。というかご同業がやたら多い





振り向けばだいたい同業者がいる状態。






「連休ですから」
「なんかちょっとしたイベントみたいだ」


森林限界を完全に超え、荒涼とした地帯に入り、残雪を脇に見ながら、ようやくラストヘアピンに到着。





ここまで来たら、あとは気合いだッ!  ってなるポイント。






「9:05になりました。2時間と21分経過です」
「ま、こんなもんでしょう」


霧はさらに深くなり、しかし時折視界が晴れ、そんなのを繰り返している。最後の区間はおよそ2キロで130ほどアップする。この途中に夏でもスキーが楽しめる大雪渓があるのだが、




「……エルコスさんちょっと停まっていい?」
「どうなさいました!?」


ちょっと息切れが酷くなった。今まで、こんなことなかったのだが。





肩の小屋口バス停は、登山客とスキー客が混ざりまくり。



考えてみたら、ワタクシめも間もなく44歳だ。標高2600m付近でこんなことやってりゃ、そりゃぁ息も絶え絶えになる。




「ゆっくり、ゆっくり息をしてくださいね!」
「大丈夫。ちょっと落ち着いた」


思えば、高地で酸素が薄くなったのを感じるのは、これが初めての経験かもしれない。あと、





先が全然見えない。









遭難するんじゃね?  てのも。









「バスが降りてきているので大丈夫です。道なりに進みましょう」
「頂上はどの辺だ?」






とりあえずこの先に進めばよいことは分かった。



実際のところ、頂上はすぐそこだった。視界がないというのは色々と恐ろしいものである。




「なんか達成感がない」
「とはいえ、お疲れさまでした。頂上ですよ!」






2時間38分。2017年のタイムと同じくらい。






日本一うまい蕎麦


9:21に県境を通過。意外なことに、この県境には峠の名前が冠されていない。




「峠100選、みたいなヤツから毎回除外されてるんだよ、ここ」
「何とかならないのでしょうか?」


とはいえ、ここが自らの乗り物で到達できる日本最高所には違いない。いつも通り来訪証明の写真をバシバシ撮ったら、畳平のバスターミナルに急ごう。





最も高いところにあるバス停。



県境からスカイライン交点までは若干の下り勾配だが、なんとなくブレーキの利きが悪い。




「霧の水分でリムが濡れてしまいました」
「帰りは気を付けないと」






気を付けるとかそういうレベルを超越した。



そしてスカイライン交点。案の定ゲートで閉鎖されている。実際のところ脇ががら空きなので、検問破りは比較的容易。それに、昨年おみまいされた、あの桔梗ヶ原のハイマツ平原を堪能したi……





通行止めとかそういう問題ではない。









いや無理だろこれ。









「恐らく、真っ白い何かしか見えないかと」
「……法を犯してまで見る価値はないか」


おとなしく畳平バスターミナルへ。





もう何が何やら……



銀嶺荘のお馴染みの看板で撮影を済ませ、撃墜マーク代わりにとお守りを購入し、




「さ  む  い」
「風が出てきました。一旦ターミナルに入りましょう!」


そして暖を求めてターミナルに入ると、





みんな寒いのでターミナルに籠るが、この日は7月16日(都内は38℃くらい)。









大混雑。









「とりあえず、ここまで来たからには……」
「ここに来た者だけが食べられる、日本一おいしい蕎麦を……」






ガムボール的なアレ(毎回言ってる)。



そうこうしているうちに、霧はさらに濃くなり、





ペーパードライバーなら絶対に運転しないレベル。






「もう降りてしまおう。このままここに居てもすることがないし」
「そうですね」





下山


9:54、畳平を出発。





畳平は、乗鞍スカイラインの起点でもある。



ブレーキの利きが甘くなっているので、リムの水分を飛ばしながら慎重に下る。あと、登頂時に撮り切れなかったスポットで写真撮影も済ませていく。




「そういや熊鈴買った」
「ようやくですか」






これでミク全開にしなくてもよくなった。



ところで、今日は三連休の中日。訪れる人の数を表すかのように、シャトルバスは続行便を出しまくる。なんならアルピコじゃないバスもわんさかと。




「ヘルプが入ったようですね」
「そうでもなきゃ、捌ききれないのか」






会社がまちまちなのに注目。



ラストヘアピンまで下ると、天気は回復して晴れ間が見えるほどに。ここで写真撮影をしていると、ご同業が止めどなく登頂してくるのが見える。





ちょっとしたイベント状態。






「こちらも、お盛んだな」
「愛されているのですよ、乗鞍は」


2003年まで、この道は自転車通行禁止だった。あの頃、まさかこんなことになるとは露程も思わなかっただろう。

さて、このあとご同業で溢れかえった位ヶ原山荘でコーヒーをいただき、





あったまるわぁ〜



ご同業の登頂を見送りながら下山し、





これから畳平に向かう皆さん。



三本滝まで戻ってきた。





ここが楽園と現実の境界。






「今年も楽しませてもらった。山の神様に感謝を」
「そういうところは、マメですね」






この募金が乗鞍を持続可能にする。いわゆるSDGsだな。



ところで、ホイールを新調してから初めてのヒルクライムであったが、これが思いの外よく転がり、お陰で今回は、どこか身体を痛める、みたいなことはなく、とても快適に登頂することができた。




「いつもありがとう。エルコスさんに感s……」
「やめてーっ!?  恥ずかしいから言うなぁぁぁっ!?」


鈴蘭到着は11:00。ここまで降りてくるとさすがに暖かい。





今日はずっと天気が悪そうだな……



さ、それじゃ風呂入って帰路に就くとしますか。





ステッカーに青色が追加されたので、今回はそれにした。












TITLE:2023年の乗鞍
UPDATE:2023/07/17
URL:http://y-maru.sakura.ne.jp/326_nori08/nori08.html