2012年版ガイドライン 実地踏査シリーズ スキー百本勝負 ほぼ月刊動画工房 ステキなダムn選 トップページ 用語辞典        リロード時刻:2025年04月07日(月)19時45分


313:ヤマイドウ15~根釧台地ベスト#02・返り討ち~



text&photo  by  ymr20xx@y-maru.com。



本日のルート (powered by Ride With GPS)






イントロです。


2020年に走破した、民宿地平線のご主人が引いたルートについてだが、当時は西春別と虹別の辺りをショートカットしていた。補給物資の欠乏により

よって走破距離も200に届かず、また、未訪箇所を残したまま終わってしまったので、いつかまた完全なルートを走ってみたい、と常々思っていた。

……で、旭川で回収した凸を釧路でパージしたところで、頑張れば別海まで足を延ばせることがわかり、それならば、と2回目の根釧台地にアタックすることとなったのだが、





街の中でこのガスり具合。









天気めっちゃ悪い。









「曇り予想のハズなのですが、どうも霧雨ですねこれ」
「晴れてると最高なんだけどなぁ」


とはいえ、明け方霧まみれというのは珍しいことではなく、天気が好転してくれることを願って、出撃を決めた。





そういやポークチャップも久しく食べてないな。






上風連まで。


6:46別海町町民体育館を出発。

2年前はふれあいキャンプ場に逗留をしていたが、今回は別海到着が遅くなり、キャンプ場のチェックイン時刻を大幅に過ぎていたので、適当なところで時間をつぶして早朝から運搬車をデポした。




「仮にチェックインできても、ちょっと混み過ぎてるんだよ」
「ギュウギュウ詰めでしたね」


昨今のキャンプブームの影響か、道内のキャンプ場は結構な賑わいを見せている。





ここから上風連方面へ。



さて、R243を南下して、新酪農村展望台方面へ潜り込むのは2年前と一緒。この先補給箇所がなくなることも2年前と一緒のはずなので、事前に食料と飲み物をたっぷり仕込んでおく。

早朝、霧の牧草地帯は、これといって見どころはなく、2年前と比べるとちょっと物足りない感じがする。その2年前には立ち寄れなかった展望台には、寄り道をしておこうと思うのだが、





展望台。きっと何も見えないと思うので登るのはやめた。






「なんかすっごく無骨じゃない?」
「スリル満点な展望台ですねこれ」


そこからさらに南下し、道道930と混ざって進路を西に。別海からおおよそ1時間で、上風連の市街に着く。





まだAコープは開店していなかった。



人口約500人程度の小さな集落で、公共交通機関は別海市街からの1日1便のバスのみ、という辺境ではあるが、オリンピック選手を輩出していたりもする。

ただ、そんなことはさておいて、相変わらず霧は晴れないし、路面しっとりしてない?




「一応、ポンチョは持ってきているのだが」
「もしかしたら、使うことになりそうですよ?」






まだこのときは、ポンチョを使わないでいけるだろ、って思ってた。



そうならないことを願いたい。森重商店前の自販機で一息つき、8:00上風連を出発する。




高知小中学校の往復まで






矢臼別演習場の南側へ。



道道123を南下して、すぐに道道813交点にぶつかる。ここを右折して、根釧台地の西端を楽しむという区間になるのだが、ある意味ここが、







ルート2番目の山場






になるかと思われる。ちなみに1番目は根室東部広域農道。

ここは、自衛隊の矢臼別演習場南部を水平移動し、若松集落らへんまで行ってから折り返すというピストンルートになっている。ピストン区間の広大な牧草地帯を楽しみなさいよ、という趣旨なのだろうが、向かい風だったり天気が悪かったりで、







なぜか嫌われる。









「一度くらいは気持ちよく走りたいのだけど」
「良いも悪いも、すべて受け入れましょう。ホラ見てください!」


視線をやると、タンチョウがいた。





この辺だと割とよく見かける。



8:18、道道928交点を直進。このあとピストンしてから通る道である。




「戻ってくるまでにどれくらい時間がかかるのやら」
「慌てずに行きましょう。わたしだって病み上がりなのですから」


天売島でのチェーン断裂から、まだきちんと修復した訳ではなく、いつまた無理やり踏んでチェーンを破断させるかわからない状態にあるので、行程的に”押し”たとしても、絶対に慌てることはできないのだ。

それに天気は悪くとも、エルコスさんと共に走れることを存分に楽しm……





イケメン参戦。あと、妖精花伝説については2MBほどあるこちらを参照。






「ヤチ魔人さま……」
「オォォオォォォイ!?」


さて、厚岸町に入り、程なくして高知小中学校に到着。9:03なので、片道で45分といったところ。





人のいなくなった校舎。



令和に入る際の際で休校となり、すっかり人気がなくなった校舎。玄関前には、近隣の林道工事のための作業事務所が仮設で建てられていた。

そっと窓から中を覗くと、散乱した教育資料に混じり、当時の児童が使っていたであろう1輪車が、ふたたび動き出すのをじっと待っているかのように、スタンドに立てられていた。





あの一輪車が再び大地を踏むことはあるのだろうか。



ぽつり、エルコスさんが言う。




「ここ、なんだか寂しいですね」
「そうだな……」


寂しい、か。……きっと、天気が悪いのがいけないんだ。そう思い込むことにする。





もう誰も遊ばないので、校庭も草だらけだった。。



とりあえず到達照明で写真を一枚残し、もうこれ以上居てもすることがないので、引き返すことにした。

同じ道を戻るだけなので、それほど主だったネタはなく、放牧中の牛をバックに写真撮ったり、





天気など関係なく、草を食み続ける。



北海道らしい注意標識を詣でたり、





北海道の地吹雪をナメてはいけない(経験済み)。



あと、西円のJA取扱所から先で自販機の存在もしばらくお預けになるので、減ったボトルの中身を満タンにしておいた。





ここが営業しているところを見たことがない(偶然だろうが)。






「学習されましたね」
「同じ轍は、3回までなら踏む!」






ちなみにここまでで50キロ。行程の1/4だ。



そして、交点に差し掛かろうか、というところまで来た時、道路上に黒い色した動く何かが。




「……クマ?」
ガッ!「……………………!?(プルプルプルプル)」


ビビりまくるエルコスさんを宥め、とりあえずデジカメのズームを活用して確認をしてみる。それは――――





わふっ!









わんこじゃねぇか。









「ほれ、逃げってったからもう大丈夫。行くぞ?」
「こ、腰抜けるかと思ったぁぁぁぁ!?」


結局、交点に戻ってきたのは、10:00だった。ここから、矢臼別演習場をトレースするように北上していく。





この区間、往復するのに1時間40分ほど必要。






結局、本降りに。


ここからR272交点までの道であるが、えらく入り組んでいるので、前回は地図とにらめっこしながら走っていた。ただ、よくよく見てみると、ある一定の法則性があって、




「左折できそうな通り道は、すべて左折で大丈夫です」
「本当に?」






最初の左折。



ただし、矢臼別演習場に至る丁字路だけは別。下手に迷い込むと最悪、拘束される




「まあ、ここは道なりに進めば、間違えることはないと思いますので」
「大丈夫かなぁ?」


あまり地図を確認せず、ほぼほぼヤマカンで走ってみることに。





そしてヤマカンでもある程度何とかなっちゃう。



余談だが、このルートを自転車で踏んだ先駆である高地さんのwebページ記述によると、この辺は結構アバウトという趣旨のことが書かれていて、どうやら演習場にさえ凸らなければ、プランニングはご自由にどうぞ、というような感じらしい。




「この辺りの景色を楽しむために、思い思いのルートを造ってみなさい、ということなのでは?」
「恐らくね」






この区間のおおよそ中間点。



別海南部広域農道との十字交点まで来た。ここを左折して西春別方面へ向かうことになる。

2年前はこのあたりで物資が底をつき、危うく干からびかけたものだが、今日は気温も低く、物資も多めに積んできたので、まだ余力がある。西春別に不時着しなくて済みそうだ。




「今回は無事に完踏できそうですね」
「ようやく宿題が片付くな」


おっさんとチタンフレームは笑った。そしてそのおよそ10分後、笑ってる場合じゃなくなった





ぐっちゃぐちゃ。






「……雨ですね」
「本降りのヤツなorz」






誰だよ今日の降水確率10%とか言ったヤツ。



その10%がジャストミートした結果がコレである。ポンチョもってきてよかった。

まあ、実際のところブレーキがしこたま効かなくなるだけで、雨が降ってようが普通に走れはする。問題はポンチョのほうで、これを羽織っているとポジションが大きく制約を受ける。特に、タイヤからの跳ね上がりでジャージに縦の汚れがつかないよう、ポンチョをうまいこと尻の下に潜らせる必要があり、そのせいで







えらく肩が凝る。










あと、帰ったら洗車な。



まあ仕方ない。レインコンディションの練習をしているという体で、頑張って前に進もう。

R272立体交差を通過し、クランクを抜けた先が道道830。前回はここを右折したが、今回こそは左折である。





ここからが未訪ルート。






「およそ2キロ先を右折しますよ」
「何か目印は?」


エルコスさん曰く、「特にないが、標茶方面に向かう」ということらしい。





ここか。



そして、別海西部第二広域農道、という長い名前の道を右折する。そういえば、ここには面白い表記があって、





もちろん、今となっては左折してもそんなもんはない。






「駅前方面?」
「標津線が現役だった頃の名残でしょうね」


この辺りにはかつて、標津線という鉄路が通っていた。釧網本線の標茶駅から、中標津を経て標津町に至る路線だ。廃線となって久しいが、エルコスさんの情報網によると、だいたいの駅の場所はデータとして残っているという。




「もしかしてさ、今、うっすら気付いたんだけど」
「どうぞ、言ってみてください」


何となく感づいていたことを、言葉にしてみた。




「このルートって、正解なんてないんじゃないかな?」
「いい推論ですね」


そもそも、この根釧台地ベストという名前のルートを引いたのは、開陽台にある民宿地平線のオーナーであり、オーナーが考えたベストルートを、我々は今、走らせてもらっているところだ。

と、いうことは、我々がマイベストを開拓しても、それはそれでアリなのではないのか、と。




「明解はわかりませんが、恐らくそれが一つの結論です」
「宿題が増えたなぁwww」






この道も「モデル」ではあるが「正解」ではないということ。



まだまだ根釧台地は、我々に合格を出してはくれそうにない。その代わりといっては何だが、雨だけは止ませてくれた





路面が乾きだした。






開陽台に登るか否か


泉川の辺りでようやくポンチョが脱げた。そして、みるみるうちに路面は乾き、道道13号交点までやってきた。





ここを右折。



ここまで、雨には降られたが風の影響はほとんど受けなかった。そこだけは救われたのだが、




「やはり脚が回らなくなってる」
「虹別まで出てしまいますか?」


本来であれば、虹別よりも手前で左折し、道道885交点のあたりに出る農道ルートを往くことになるのだが、この先も食事ができるスポットは激坂の上にある開陽台くらいしかない。

雨のせいですっかり体力持ってかれた感じだ。補給物資でも何とかなるかもしれないが、ここは一度、食事を兼ねて補給をしに行こう。





虹別方面へは下り勾配となる。ほとんど平坦みたいだが。



……と思っていたら、R243交点の辺りに、なにやら広い駐車場と一軒家が。




「あ!  食事ができるみたいですよ!」
「マジかい!」






カフェレストラン「カントリー」。北海道川上郡標茶町虹別、015-488-2371。



なんとレストランだった。しかも営業してるようで、昼食にありつけそうだ。




「ありがたやありがたや」
「すごい強運www」






ポークソテー定食+ごはん大盛りで1700円。他にも麺類とかがある。



食事をしながら、ルートを再確認する。ここから道道885交点までの区間も、どうやらアバウトに決めてよさそうで、そのままR243を直進しても良いし、南側にある無名道道を往くのも良い。




「戻るにしても大した距離ではないので、わたしは無名道道を勧めます」
「なるほど」


という訳で、道道13を少し戻り、南側の道道に潜り込む。





無名道道を往く。



左右両サイド、ずっと牧草地帯が続くのと、繰り返される小規模なアップダウン。最後の最後までこのルーティーンが繰り返され、道道885交点には13:55着。





養老牛方面へ至る道。



このあたり、走破距離がだいたい112キロなので、後半戦に片足突っ込んだ、くらいの感覚であるが、




「スタートから約7時間経過しています。ということは」
「ゴールまで、頑張って5時間くらいか」


ちょっと休憩が多すぎたか。あとは雨とか。

さて、養老牛ながかわ商店へと通じるこの道らへんが、道中で最も標高が高い地域になる。一直線に続く道は、スピードを出すには適していて、ここぞとばかりにギアを掛けて加速する。




「大先生ぇっ、ピンが、チェーンが千切れr……」
「そういうトルクの掛け方してないからたぶん大丈夫!」


中標津町に入ったのが14:15。





カントリーサインはもちろん「開陽台」。



そして、道東の玄関口、養老牛ながかわ商店に着いたのが14:26。





ここの自販機には幾度となくお世話になった。






「相変わらず、散らかってるな」
「ひどいですね」


隣接する養老牛バス停の中は、相変わらずゴミが散乱していた。もう何年も前からこんな状態らしいし、実際に2年前も散らかっていたが、昔はこんなではなかったはず。

年々、確実に旅行者のマナーは低下している。そんなことを感じながら、ながかわ商店を出発。





開陽台まではだいたい15キロ強、といったところか。



このあと、ルートとしては開陽台に登る、という一大イベントが待っているのだが、




「正直、気が乗らない」
「この天気ですからね」


晴れていればモチベーションも上がるのだろうが、どうにもそんな気が起きない。それに、開陽台はオプションみたいな記述もあったので、今回はパスでもいいかな、と。





とりあえず十字路まで来た。まだ決めかねていたが……






「それならば、このまま道道150を直進して、775に乗り換えてみてはいかがでしょうか」
「じゃあそれで」


北19号線をスルーしてしまうが、走破距離の変動はさほど大きくない。結局、開陽台は諦めた





直進してしまおう。ちなみに開陽台はここを左折。



それに、こっちはこっちで、また違った景色を見せてくれる。いかに開陽台が、周辺よりも高い位置にあるのかがよくわかった。





あの丘の上あたりが開陽台。



このショートカットが功を奏したのか、井口商店には15:40着。ここまでの走破距離は151キロになった。




「あと1/4ですね!」
「ルート中1番の山場が待ってるけどな」






ルート上では、ここが最終補給ポイントとなる。






最後の最後でやらかす。


さて、道道994から根室東部広域農道を南下し別海へと戻る最後の区間。距離にしておおよそ40キロ強あるここが、個人的には一番しんどさを感じる。





行けども行けどもひたすらまっすぐ。



開陽スタートにして序盤に抜けてしまえば、また印象は変わるのだろうが。とにかくこの区間、目印となるものに乏しいため、どれくらい走ったのかがわかりにくいのが難点。




「たとえば、途中の道道363で尾岱沼へ抜けるプランもありますが」
「アレンジしてみるのも重要か」


時刻は16時を回り、僅かだが雲の切れ間ができて青空がちらりと顔を覗かせる。そういえばストックしていたジャムパンがあったな。





食べよ。






「うまし」
「こういう時に食べるものって、大抵おいしく感じるのですよ」


ちょっと元気が出たので先を急ごう。

開けた牧草地帯と木々に覆われた森林地帯を交互に繰り返し、いくつかの道道と交差しながら南下。16:47に道道363交点まで来た。





尾岱沼への分岐。






「左折すると尾岱沼に至りますが」
「あと1時間早ければなぁ」


これも次回への宿題としよう。

先述の通り、ぼくのかんがえたさいきょうのこんせんだいちべすとを造るとしたら、この周辺のルートをアレンジしてみたいものだし、旧標津線の駅跡を巡るルートを引いても楽しいかもしれない。いずれにしても、個人的にしんどいと感じるこの区間を、もっと楽しめるようにはなりたい。

次回こそは、そうありたいと思う。





別海は酪農の街。内陸部に潜り込めばゴキゲンなルートがあるかもしれない。



……で、そうこうしているうちに、道道364交点着。時刻は17:30で、これなら別海南部の正規ルートをトレースすることができそうだ。




「大先生!  写真撮りましょう!」
「今日はずっと雨で、あまり撮影してなかったからなぁ」






ちょうどよい牧草地があったので1枚。



こうして、最後の農道区間を抜けて、R243へ……





人の住まう匂いがプンプンするぜ。









街の中に出た。









「思ってたのと違う」
「えぇ!?  そんなハズは……」






致命傷。









曲がるとこ間違えた。









「も、も、も、申s……」
「言ったら罰金な。次は免停www」


顔を真っ赤にして頭を抱えるエルコスさん。どうやら、曲がる道を1本手前にしてしまったらしい。

とはいえ、もうここまで来てしまえば誤差みたいなものだし、このくらいは仕方ないと考えてしまおう。それに。もう戻るだけの気力もない





とりあえず別海町におけるデポ地はここでよさそうだ。



18:00、別海町町民体育館駐車場に戻ってきた。走行距離は192.1キロなので、12時間で200キロ走破のペースは維持できたようだ。ただ、今回も200の壁を越えられなかったので、そこだけはちょっと物足りないわけだが。










TITLE:200にギリギリ届かず
UPDATE:2022/09/05
URL:http://y-maru.sakura.ne.jp/313_yama15_konsen/yama15_konsen.html