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292:朝霧強化合宿4〜とりあえず青で〜



text&photo  by  ymr20xx@y-maru.com。






本日のルート (powered by Ride With GPS)




イントロです。





「スバルライン……」
「すっごく怖いので空ろな目で呟かないでいただけませんかwww」


さて、上板橋連合の皆様にとっては至高の一品ということでお馴染みのスバルラインであるが、正直なところ今まで一度も走ったことがない。





ここから始まるステキなサムシング。






「近いんでずっとスルーしてたわ」
「灯台下暗し、ですね」


んで、上板橋連合の皆様と「いつか走りに行きましょうね」と言ってるうちに世が乱れ始め、かつ天気も安定しない日々が続いた結果、







とりま、筆おろししとくか。






……みたいな空気になり、気が付けば出撃当日、スバルライン入口に程近い、富士北嶺駐車場に運搬車を運ばせることとなった。今日はソロ活動である。





混雑時は、ここの下にある大駐車場も解放される。



なお、ここの駐車場がオフィシャルとしてもスタート地点になるのだが、開門が8:00からとなっていて、車団地には完全に向かない。




「そもそも、ここは体育館の駐車場ですよ?」
「そうだった」


で、エルコスさんの準備を整え、スタートしたのが8:50。まずは計測開始ポイントとなる交差点を目指す。





実は計測開始ポイントまで、まあまあ登るのよ。






……で、ナメてイタいメにあう。


すっかりヒルクライムの聖地になったスバルラインだが、もともとは1964年の東京オリンピック開催時に合わせて開通した観光道路。自転車のための道、というよりかは、自家用車、バス、タクシーなど、山岳道路のドライブや富士登山を目的とした道路であった。




「2004年にヒルクライムの大会が創立されてから、自転車の人口が増えたみたいです」
「マイカー規制の影響もあるんだろうなぁ」


この辺は乗鞍と似通ったところがあるが、年々増加する交通量が環境に影響を与えだした結果、富士登山が活発になる8月を中心にマイカー規制が行われるようになった。乗鞍と違い通年の規制ではないものの、これによって自転車での登坂がさらに活発になった。





こう見ると、ある意味ニュルブルグリンク。



さて、9:01にスバルラインの料金所を通過する。この路線は有料道路となっていて、自転車も通行料金を支払うこととなる。往復で200円、車両と同じく、ブースに乗りつけて支払いを行う。




「桜島フェリーみたいだ」
「なかなかできない経験ですよ?」


料金所を出てから、いきなり7〜8%程度の勾配があらわれる。富士ヒルクライムの攻略法でよく言われる、序盤に無理をしないという区間である。





まあまあな斜度が付いている。






「無理はダメですよ?」
「得体の知れない道だからね」


とりあえず定石通り、34×25でスタートする。そして







心が折れる。










先が見えるぜどこまでも。






「いくらなんでも真っ直ぐ過ぎないか?」
「1合目まではほぼ真っ直ぐ南下しますね」


周囲は森林限界よりも低く、青木ヶ原の樹海をそのまま伸ばしてきたかのような鬱蒼とした森の中。当然、視界なんてものはなく、どちらかといえば黙々と登るような感じで、そしてあまりカーブしない線形となっている。





あと23キロもあるのか……



さらに、道路脇にはご丁寧にキロポストが建てられているほか、1キロ毎に次の1キロ区間における平均斜度が記載された石製の碑が建てられているのだが、







この平均斜度、多分ガバガバ。









「これ、絶対アベレージ4パーとかじゃない、ってのが結構あるんだが」
「まあ、あくまで目安で、そして平均斜度ですから」


なんとなくモヤモヤしながら、それでも淡々と脚を回すこと暫し。1合目下駐車場着は9:21。





これは帰りに撮ったやつだが、こんなふうに全車ゲートインさせられる。ちょっとした土樽状態。






「検温しているみたいですね」
「こんな状況で検温して大丈夫なのか?」


汗だく状態で37℃超えてるんじゃないのか?  感はあったが、問題はなかった。2021年7月現在、この場所で検温ストップがある。あと、富士ヒルクライムあるあるらしいのだが、ここはまだ1合目ではないという事実。




「あともうちょっと登ります。100ほど」
「折れるねぇ」


あと、1合目下駐車場にはトイレしかないので、ここで補給とか考えないほうがいい。マジで詰みます。





で、ここがホントの1合目。



……で、正しい1合目は9:38着。特に駐車場とかがあるわけでなく、道路脇にわかりやすい大きな看板が掲げられている。




「5合目の標高は2300メートルですから、あと900ですね」
「0.3mmのシャーペンの芯くらい折れるねぇ」


そしてこのあと、南下していた道は西に進路を変える。樹海台の駐車場までの間に2合目を通過し、樹海台で再び南下するという、極めて直線的なルート取りをする。





それにしてもひたすらまっすぐ。






「ここ、山岳道路だよねぇ?」
「敢えてそうしているのでしょう。九十九折れであれば、もっと距離は短くなるはずです」


エルコスさんの指摘によると、このスバルラインを駐車場からそのまま南下させた場合、1合目から5合目の間で勾配がとんでもないことになるという。広域図を見せてもらったが、確かにスバルラインは、勾配を回避するように大きく迂回しながら5合目を目指している。





よくみると、吉田口登山道は直線的に登っているのが分かる(後述)。






「あざみラインがああいうふうになっている理由に結びつくでしょう」
「まあ、もっと言うなら安房の旧道みたいなもんか」


連続する九十九折れの隘路で名を馳せた、R158安房峠旧道を想起した。ハイシーズンになるとすれ違うだけで四苦八苦、通り抜けるのに丸一日かかるという地獄の道だったが、そんなの観光道路として作ったスバルラインに落とし込んだら、日本一の霊峰が排ガスまみれになる。

そして、それに目を瞑って道を開いたとしたら、平均勾配2ケタの九十九折れが連続する、あざみラインがもう1本出来上がるということか。




「という訳です。決して修行目的でこうなった訳でないということが……」
「とてもよくわかりました」


こうして、2合目到着は10:00。ここまででだいたい1時間経過、といったところ。





コースレコードだと、この時間で5合目にいるらしい。






「正直、ナメてたわ」
「この区間を90分以内で走ると、ブロンズリングが授与されるそうです」


無理無理無理無理。青いのでいいや。青好きだし。





1合目から2合目にかけて、道は西向きに針路を取る。ちょっと晴れてきた。






そりゃあ礼子ちゃんも登りたがるよ


10:16、樹海台駐車場を通過。このあたりまで来ると少しずつ展望がよくなってくる。




「ここから道はふたたび南下します」
「平均勾配は……  さっきよりかは緩んだのかな?」


そして、鬱蒼とした雰囲気に加え、霧で薄暗かった先ほどから一転し、青空が見え始めた。





青空が見えるとテンションが上がる。



やはり青空がないとねぇ。なんて思いながら走っていると、数えるほどしかないヘアピン区間の1つにぶつかる。ここの2個目の折り返しのところに3合目の標識が建っている。時刻は10:31。




「90分経ってしまった。残念だがここで下ざn……」
「ちょ、ちょっと!  何てこと仰るのですか!?」






ヘアピンのてっぺんで時間切れ(ゲームオーバーとは言ってない)。



ということで、初見のおっさんの実力は、3合目でブロンズ、ということが分かった。いずれまたここを登るようなことがあれば、これをベンチマークにしよう。

ところで、先ほどから道路脇を並走したり交差したりする、登山道のような道を見かけるのだが、





この左側にある道。






「5合目まで登る道ですね。麓からの登山道は、いくつかあるそうです」
「スバルラインができる前は、こちらが栄えていたってことか」


今でこそ5合目からの登山で有名になっている富士山だが、本来であれば0合目、すなわち麓からの登頂が基本となる。富士吉田にある北口本宮冨士浅間神社が、富士吉田側の0合目になるのだとか。

ちなみに、この道は吉田口登山道ではないようだ。歴史ある吉田口は、ひとっつもスバルラインを掠めてない。 20220804注:ここは精進口登山道でした。精進湖の脇から続く登山道ですね。




「地図を見る限りでは、さきほど話した直登ルートに近いですね」
「徒歩での登頂だから、多少勾配がきつくてもよい訳か」


そこからさらに進んでいくと、ようやく残り10キロとなった。この頃になるとボトルの水も底も尽き欠けて……





そして付け加えると、今は初夏だ。






「違うんだ聞いてくれ。水は確かに満タンに……」
「ではなんでボトルが1本しかないか、納得いく説明をしてください」


忘れたんだよ。それ以外の理由あるかい。





さすがに今回はラッキーだ、と感じた瞬間。






「あ、売店がありそうな感じですよ!」
「ふぅ、たすかったぜ」


この水を飲まない癖、なんとか是正しないといつか事故るな……





大沢駐車場。沿線で唯一の商店がある。



さて、4合目直下の大沢駐車場に着いたのは11:06。なんとなくバテ気味でもあったので、少し時間をかけて回復に務める。こちとらファンライド勢なので、あんまり慌てたところで。




「まあ、どう足掻いても青だし」
「本音はそこですねwww」






ひとやすみ、ひとやすみ……



で、気合の赤チャージ。





この激甘飲料が秒で消えた。



この大沢駐車場だが、樹海台駐車場から始まる南向きの道が折り返し、東に針路を取りはじめるヘアピンの頂点付近にあり、標高でいうと2020mに位置する。




「樹海台からだと400アップか」
「トータルですとギリギリ1000に届くかどうかですね」


駐車場に設置された展望台は西側を向いており、朝霧高原を望む絶景を楽しめるハズだったが、雲海に遮られ、高原地帯を伺うことはできず。





ホントに雲しか見えないが、だがそれがいい。






「ですが、この景色も悪くありません」
「雲の上に立つことなんて、そうないからな」


余談だが、振り返ると富士山の頂上まで見渡せるほどの快晴となっていて、





礼子ちゃんが愛機を破壊したことで知られる山。






「……富士山、すごいですね」
「アレ登ったんか、カブで」


さすがにエルコスさんでは登れまい。というか、入山規制に引っかかるな。





そして4合目を通過。






あれはご褒美じゃねぇ、ハニートラップだ。






だいぶ上まで登ってきた。






「あと300ほど登ります」
「位ヶ原と同じくらいか」


勾配はまだまだ続く。そしてこの区間に約8%の難所があるそうだが、




「これ、絶対に平均斜度の値、間違ってるよね?」
「ご自身が言ってたじゃないですが。ガバガバである、と」






この区間がスバルラインで最もキツい場所らしいのだが……



スバルラインの後半を通して言えるのだが、勾配の緩急が連続してやってくる。ガバガバと感じる理由はそこにあり、2%台の数字を見た直後にダンシングみたいなシチュエイションがあったとしても、その後が緩斜面であれば平均勾配は2%なのである。

なので、奥庭自然公園駐車場手前の難所区間は、公称で8%といわれているが、少なくともそんな表記は見覚えがない





ここまでが踏ん張りどころとなる。






「罠だらけだな、スバルライン、恐ろしい子――――」
「白目剥いてないでしっかり!  ここを越えたら平坦区間ですから!」


さて、奥庭自然公園より先は、上板橋連合のkaz曰くご褒美。おおむね1%の登りが連続する区間で、一見するとほぼ平坦に感じる区間である。




「川上牧丘林道にもあったな、こういうの」
「ですが気を付けてください。このあたりは駐車場になってます」






ブロンズ以上を狙う勝負師は、この区間を時速30キロ以上で駆け抜けるという。



ヒルクライムの大会では、ここでいかにタイムを削れるかという区間である。しかしこのあたりは、5合目駐車場に停めきれない自動車の駐車場となっていて、路肩を歩く歩行者の数も急増する。すなわち、事故が起きやすい区間という訳で。

最後の最後でしくじらないよう注意を払いつつ、アウターに叩き入れて最後のスパートを決める。時刻は11:56、どうにかこうにか3時間は切れるかな……





最後の300mほどが登りになってるなんて聞いてない。






「……って、なんか最後に登ってるじゃんかーっ!?」
「ああ、一気に失速しましたねwww」


5合目到着のおよそ300m手前から、道は再び登りだす。3つめのロックシェッドのあたりであるが、まんまと罠に嵌り、がっつり失速する羽目に。

後で調べたら、ここはヒルクライムの大会でも有名な罠スポットらしく、攻略法ですら







気合で登ってください。






というそれなんて金閣寺?  という鬼畜っぷり。




「全然ご褒美じゃねぇよこれ!?」
「例えるなら、ハニートラップでしょうか?」






ほうほうの体。



それでも最後なんとか踏み倒し、5合目駐車場には12:00着。




「やはり初見だと感覚がわかんねぇ」
「まあ、仕方ないですね」






5合目は登山客だらけで、ご同業はいなかった。






アスリートでストイック。


こけももソフトをprprしながら周囲に目配せする。こんなご時世だが人の往来がある程度あり、少しずつ経済が回復基調にあるようにも見える。




「ま、密にならんように気を付けることが大事な訳で」
「そういう見方をすると、皆さん気を付けてらっしゃいますね」






これが本当のご褒美である(ガムボールと発想は似てる)。



早く騒動前の生活に戻ることを切に願いつつ、そろそろ下山することに。





なんやかんやで26キロの登り。乗鞍や渋峠よりも長いのか。



帰りはひたすら下り勾配であるが、往路で撮り損ねた画像を押さえつつ走ることにしよう。

ちなみに、ずっと下り勾配でヒャッハー!  したい気持ちは分らんでもないが、かなりの頻度で縦グルービングがあるので、調子に乗っていると漏れなく吹っ飛ぶ




「しかもたいていヘアピン区間が縦グルなんだよね」
「油断しないでくださいよ」






あと、先述のご褒美ハニトラ区間はこうなっていて、軽く自己の匂いがする。



それぞれの合目看板で写真を取り直しつつ、ちょうど霧が晴れた樹海台では鳴沢村の全景を見下ろすことができた。





予想してなかった絶景。



スバルラインは展望のないツマラナイ登りだと思い込んでいたが、大沢展望台といい、ここといい、




「何だよ、こっちはバッチリ見えてんじゃん……」
「大先生、それはゆるキャン▲の志摩リンちゃんの科白ですね!」


そして検温ストップの1合目下駐車場を通過し、もっとも勾配がきつい序盤区間で、時速は70キロに到達した。




「そ、速度超過、速度超過ですっ!」
「こんなに出たの、久しぶりだなwww」


そして、ブレーキをかけたらかけたでエルコスさんが嬌声を上げる





リムが音を上げ始める。こうなると止まりたくても止まれない。






「間違えた。エルコスさんの下半身が嬌声w……」
「大先生のバカーっ!?」


実際のところ、下り区間は速度が乗る(ほぼまっすぐな道なので予想以上に乗る)ので、リムへの負担は相当なものだろう。このあたり、リムブレーキ車は早め早めの減速を心がけつつ、リムの加熱を感じたら、適宜休息をとりながら下ったほうが良さそうだ。




「うっわ、すげぇ熱い」
「あれだけの速度を受け止めたのですから、当然ですよ」






料金所脇のトイレでエルコスさんを休ませておく。



こうして、北嶺公園駐車場に到着したのが13:25。初めてのスバルラインは、予想以上に手ごわかった。





なかなかなお点前でしたわ。



ところで、帰路の途中でnsjさんのショップに寄り道したのだが、何度もスバルライン登頂を経験したnsjさんに、「展望がない」「勾配詐欺」「最後のはご褒美じゃなくてハニトラだ」と感想を述べたところ、







あそこはアスリートでストイックだから。






……と回答されたことを付け加えておく。





今年もnsjさんはスバルラインを登るのだという。












TITLE:アスリートでストイック
UPDATE:2021/07/15
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