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284:NORI-Climb#05



text&photo  by  ymr20xx@y-maru.com。同行者:kaz、nsjさん





本日のルート (powered by Ride with GPS)




基本的にいじめっ子である。


2019年の佐渡でセッションしたnsjさんを始めとする上板橋連合の皆様もまた、サイクリスト比率がお高めである。





上板橋連合の自転車番長・nsjさん。






「というか、アウトドア比率が高い」
「雪山にキャンプに自転車に……  多彩ですよね」


その上板橋連合の一人、kazさんが今回の







生贄






……である。彼は仕事を通じて知り合い、バックカントリースキーを教えてくれた恩人であるのだが、ひょんなことから最近ロードバイクを手に入れたので、それじゃあ、とお誘いした次第である。







畳平に。










カメレオンっぽいカラーがお気に入りのド新車が、いきなり乗鞍ですよ。



んで、当然このテの話を、nsjさんが聞き逃すなんてことはなく、




「……と、ここまでは全て呑みの席で決まった」
「ひ、ひどいわぁ……」


こうして、ロードバイク初心者が乗鞍走ってみた的な催しが、無事執り行われることとなった。




「まあ、基本的に自転車乗りって、こういうもんらしい」
「ろんぐらいだぁす!  の悪い部分がそのまんま出てますよそれ」






余談だが、3台以上を積載する場合はベッドを下さなければいけない。






もうめんどくさいのでアバター扱い


そういったこともあって、今回はちゃんと宿を取った。





さすがに3人で車中泊はムリ。



コロナ禍で客足が遠のいているかと思いきや、4連休の威力はすさまじく、宿は満員御礼であった。

そして、心配されていた天気も無事回復し、絶好の山登り日和となった。





中央よりやや右側の山肌に、水平に伸びる道がお分かりだろうか。






「何なんスか、あの水平な線!?」
「だいたいあそこらへんまで往きます(笑)」
「えっぐ(笑)」


8:45、宿を出発。本当なら鈴蘭の駐車場にデポしたかったのだけれど、既に満車で停められるスキマすらなく、止む無く宿まで下りてきた次第。このあたりは、宿泊のデメリットだろうか。




「三本滝か休暇村に停めr……」
「却下します」


こういうやりとりは間違いなくあった。まあ、やっぱり乗鞍は、バスターミナルから出発してこそだと思うので。





このとき鈴蘭では、シャトルバス待ちの長蛇の列が出来上がっていた。



宿からバスターミナルまでは、いきなり10パーの登りである。




「Uターn……」
「ダメでーす(笑)」






実は宿をとった後に気が付いた。「これ、10パーの下かも」……と。



kazとnsjさんは、無理しないペースでゆっくりと登っていく。イヤだイヤだ言ってる割には、ちゃんと登れている。




「思ったより普通に登れてませんか?」
「何せ、元・短距離選手だからねぇ」


なので、さほど手加減は必要ないかと思う。要所要所で写真撮影を挟んでいけば、時間はかかるが確実に登頂はできるだろう。nsjさんだって十分走り慣れていr……





何かが違う。









誰だいキミは?









「お、お久しぶりです……」
「えっ!?  同じ個体!?」


佐渡の時はR848に乗っていたnsjさんだが、彼は頻繁に乗り換える。本業の店舗には実はもう一台スタンバってある

こうなると、一台ずつに設定を与えなければいけなくなのが定番なのだが、







もうめんどくせぇから同一人物






という扱いに(たった今)決めた。




「言うなればアバターです」
「絶対、手抜きだわ……」






SKピニンファリーナの2019年モデル。今日のためにリヤ30Tに換装済み。



んで、鈴蘭から三本滝までの区間、いわゆるセクション1に突入した訳だが、休暇村で写真を撮ることにした





なんだかんだ言ってて、すっげぇ楽しそうだった。






「うん、ちょっと心臓痛い……」
「だからぁ、言ったでしょうがー」


いつもと違って、今回はのっけから10パーがあった。予想以上にダメージが大きい。




「大丈夫ですか?  だいぶ辛そうですが……」
「なんか今日は特にしんどいや」


こういったこともあり、今回はこれよりだらだら登ることとした。





kazはアスリートなので、ペースに踊らされることがなかったのが救いだった。






それでもマスタングは義務とする。


休暇村から先のセクション1は、きつい勾配とは無縁のゆるやかな登りが続く区間。インナーに入れておけばすいすい登っていく。





この区間が一番走りやすい(言い変えればタイムが稼げる区間)。



それでも、nsjさんは今回が初乗鞍。kazに至っては自転車が初心者なので、できるだけペースを抑え脚を温存してもらう。結果、どうやっても差が生まれるので、




「縛りプレイとします」
「どのような制限を?」


まず、マスタングはいつも通り行うとして、もう一つ、28T縛りをすr……




「えー!?  大先生、だからそr……」
「まあ待て。とりあえず言い分を聞くんだ」


ぶっちゃけた話、ペース配分とか走破時間とか諸々を気にしないのであれば、別に25Tでも充分登れる。おまけに今回は要所要所で休け……  もとい写真撮影をする回数も増えるのは明白なので、28Tを必要とする状況はさほど多くないと思う。




「本気でヤバかったらちゃんと28Tを使うから」
「約束ですよ?」


こうして、23Tと25Tを行ったり来たりしているうちに、本日1回目のマスタングタイム





早速、背後を取りにいく。



割と脚が回っているようなので、安心してnsjさんの後方に取りつく。そしてそれを見ていたkazが言った。







Uターンしてもいいっスか?






当然のように、我々は却下した

あと、経験値的にkazよりも経験値豊富なnsjさんに、マスタングを義務付けますと伝えたところ、







kazの守護神となった。










コメッソばりのツキイチ。



そして三本滝手前で2回目のマスタングタイムが発生し、9:55、我々は三本滝に到着した。





初めてにしては十分登れてる。






リアルな写真撮影はお好きですか?






食事もできる。少なくとも水の残量はチェックしておこう。



道は三本滝を境にマイカー規制区間となり、加えて勾配もきつめになる。ここで補給を怠らないようにしたい。また、三本滝には駐車場が完備されているが、




「ここまでクルマで来ればよかったんじゃ……」
「まあ、鈴蘭から登ってこそ、乗鞍だからねぇ」


くどいようだが、鈴蘭から登ってこそ乗鞍である。しかし、三本滝にトランポを乗り付けて登るサイクリストもいるにはいる。少しでも登りの距離を減らしたい場合には、それもありだろう。

かもしかヘアピン区間まで登ってくると、ちょうど三本滝を見下ろすポイントが出てくる。





そして、乗鞍の絶景にもてなされることとなる。






「写真撮りましょうよ!」
「わたしの科白がぁぁぁぁ……」


登り始めてすぐなので、この写真撮影はリアルガチなやつである。乗鞍=ヒルクライム、というイメージが先行しがちだが、得られる景色だって一流品。そこかしこに撮れ高爆上がりスポットがある。

おまけにマイカー規制で交通量も少ないので、余裕をもって撮影に勤しむことができる。





三本滝の絶景。しかし乗鞍はまだ本気出してない。



そんな感じで登っていくこと暫し、摩利支天のバス停を通過。





だんだん調子が上がってきたようだ。






「確かここからがものすごく長かったな……」
「そして斜度もきつくなります」


摩利支天から冷泉小屋までの3.3キロ区間で、標高は一気に240メートル上昇する。そのため、平均7.6、最大で11.4%の勾配が待ち構えている。




「何なんだココは!?」
「乗鞍です」


途中の勾配区間でギブが入り、ひっくり返りながらkazが叫んだ。





全体を見渡して見ても、そりゃあそう叫ぶよな……



そしてnsjさんも追いついてきた。ゆっくりながら淡々と登れるnsjさんを以てしても、




「きっついわー……」
「お、お願いです、ちょっと休ませt……」


こう言って力尽きた。なので我々は写真撮影に勤しむ、ということにしたのだが、







どうみても撮影してない。










ホントに身の危険を感じる斜度だったらしい。



……とはいえ、もうちょっと登れば冷泉小屋。それを過ぎてヘアピン5個抜けたところが位ヶ原山荘である。





なんと、冷泉小屋が営業を再開していた!(詳しくはコチラ






あそこに見える、アレまで行くのです(笑)






セクション2の終わりが近づいてきた。



11:42、位ヶ原山荘着。ここで休息や食事ができるので、乗鞍登山における重要拠点である。





いつかはここで一泊、というネタをやってみたい……



んで、その位ヶ原山荘であるが、案の定おしるこが良く出る。むしろ、おでんは少数派。




「おいしいんだけどなぁ」
「やはり甘いもののほうが人気があるのですよ」






暖が取れて塩分も補給できるのさ。600円。



そして各々一息ついたところで、いよいよセクション3に突入する、のだが……




「何なんスか、あの水平な線!?」
「だいたいあそこらへんがゴールです」
「wwwwwwwwwww」






あの水平な線。



およそ5キロで350アップの区間である。摩利支天−冷泉小屋区間の感覚がそのままもう一度現れる。




「Uターンしていいっスか?」
「却下」
「頂上まで行ったらいいよー」


何はともあれ、登り始める一行。しかしすぐに、位ヶ原山荘と5蓮ヘアピンを望む断崖に差し掛かり、




「ここは撮ろう!  撮ろうよ!」
「ああっ、またわたしの科白がぁぁぁぁ……」
「すごいねー、ここ」


登りそっちのけでガチ撮影タイムが始まった。





あまりのエグさに、kazは笑いが止まらなかった。



このあと森林限界を抜けて、低木が生い茂る区間に差し掛かるが、もうこんな感じなので撮影しながらゆっくりと登る。あれだけイヤだイヤだと言っていたkazも、だんだんテンションがおかしくなっていき、




「今日が自転車の卒業式ッスから(笑)」
「年季の入ったツンデレだなぁオイ」


とても楽しそうにしてらっしゃいましたとさ。





「乗鞍、楽しいッスわー」とは言ってなかったが。



そして、最終ヘアピンを抜けて大雪渓前の公衆便所で小休止。





ラストの1.5キロが最もしんどくて、そして足が攣る。ストレッチしておこう。






「ここから残り1.5キロ。いけそう?」
「ここまで来たのなら……  登り切りたいです!」


断崖に沿った最後の登り区間は、晴天であればまるで天国へと続くかのような極上の登り。しかし今日はちょっと雲が多いか。




「なるほど。だから寒いのか」
「気温は10℃を下回っていますね」


2020年の秋は過去数年と比べて冷え込みが早めと聞くが、それを差し引いても9月の後半では厳しいようだ。寒さで動けなくなる前に、一気にカタをつけてしまおう。





そして、この区間がもっとも絶景を楽しめるスポットでもある。



残りの区間、ちょうど道路が崖に突き出た部分で最後の撮影タイム。ここが鈴蘭、そして位ヶ原山荘から見上げたあの水平線である。そこからの景色を拝みながら、最後にkazがこう呟いた。




「氏ね乗鞍(笑)」
「ツンデレっぽく言ったってさぁ(笑)」
「すっかり気に入ったようだな(笑)」





彼はまた登る。間違いない。






ここまで登った者だけが味わえる最高のもてなし。



13:38、県境着。ここが日本の車道で最も高い場所である。





kaz、乗鞍をシバいたの図。






「なので、バス停の名前が……」
「うはっ!?  なんだこれ」






標高がバス停になってるのはおそらく日本でもここだけだろう。



看板の前で記念撮影をしていると、ご同業が面白いくらい沢山通り抜けていく。かつては自転車通行禁止の時代もあった乗鞍だが、今では自転車の楽園となっていた。




「お疲れさまでした。今年も登れましたね」
「エルコスさんのお陰だよ。いつも、ありがとう」


顔を真っ赤にしてモジモジしているチタンフレームに跨り、畳平のバスターミナルへ。





銀嶺荘の定点にて。峠より若干標高が下がっているのに注目。



既に気温は8℃とか。そりゃ寒いわけである。





麓とは10℃以上も寒暖差があるわけだ。



とりあえず乗鞍登頂の証明として、本宮でお守りステッカーを入手。600円のご奉納。




「まるで撃墜章みたいですね」
「だとすれば、あと2枚貼れるな」


まあ、初めての時はお守りの存在を知らなかったし、2回目に登頂したときのやつは、フレームクラックの修理の際に剥がされてしまった訳だが。

とはいえ、これで5回目の乗鞍登頂である。kazとnsjさんは初めての乗鞍だったが、どんなもんでしょう?




「また来年も来たいねぇ」
「僕はもう、卒業式っスから」
「いいのかい?  その目の前の蕎麦食ったら、絶対また来たくなるよ?」


……ワタクシめの言葉通りの展開になったのは、言うまでもなかった。





瞬獄殺が綺麗にキマった(笑)






そして山の神に感謝の気持ちを。


14:40、下山開始。

過去に下りでフライアウェイしかけたことがあるというnsjさんは、ゆっくり慎重に下っていく。kazとワタクシめは、共にオートバイに乗っていたことがあるので、下りの感覚には長けている。




「このあたりはオートバイに似てますね」
「そうかも。ただ、軽いから吹っ飛ばないでね」






帰りも要所要所で撮影タイム。



既に時刻は14時を回っている。そんな時間でもまだ登頂組がいることには驚いた。畳平か位ヶ原で一泊するのだろうか、しかしそれも面白そうだ。




「あと、バスが連なってるだけですが、絵になりますね」
「圧巻、だよな」






最大で9両編成という長大編成。



登りに約5時間。対して下りは90分である。いくら下りは楽とはいっても、ずっとブレーキ握りしめている訳なので、三本滝で最後の小休止。





ノントラブルで帰って来れた。



その三本滝、マイカー規制区間入口付近には、乗鞍の環境保全のための募金箱が設置されている。




「いつも楽しく遊ばせてもらっているんだ」
「山の神様に感謝。……ですね」






遊ばせていただいたことへの敬意と感謝を。



2020年の乗鞍来訪は、自粛がある程度緩和された9月の4連休だった。そういったこともあって、高速は渋滞しまくり、駐車場は満杯だったし、バスは続行便出しまくりだったが、結果的にみんな笑顔だったことが幸いだった。

願わくば、これからもこういった遊びができる世の中になってほしい。それだけが願いである。




「わたし、登れたんですね……!」
「やったね♪  お疲れ様!」






こんなのんびりとした乗鞍も悪くないな……












TITLE:彼は言った。「Uターン」と。……我々は却下した。
UPDATE:2020/10/10
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