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275:しまなみついでに酒浸り。



text&photo  by  ymr20xx@y-maru.com。







松山から今治へ向かうのさ


本日のルート (powered by ガーミン・コネクト)

松山→今治→大島→伯方島→大三島→生口島(実測112km)


どう考えても自宅からでは間に合わなさそうなので、職場で一泊した。そして、早朝の職場周辺は本降りの雨だった。





なので自走しないで京急蒲田から輪行。



その時点で、今回の出撃は不発かもしれない、とか思いつつ、とりあえず羽田空港から7:15松山行に乗り込む。




「まあ、明日になれば天気も回復するようですし」
「最悪、サンライズ糸山で一泊かな」






ようやく雨は止んだものの……



今回の目的地は、つい最近(2019年11月の話です)ナショナルサイクルルートに選定されたしまなみ海道。2019年度の出撃予定に入っていたので、冬が本格化する前に訪れておこうと思ったのである。




「3年ぶりになりますね」
「あん時は天気が悪かったからなぁ」


冒頭のローテンションは、そういったわけである。ただし、今回はしまなみ海道だけではない。




「尾道からおよそ50キロで、西条に着く」
「なるほど、酒浸るおつもりですね」


西条というと、セノハチ補機の切り離しが印象深いが、街の至る所に酒蔵が連なる”酒都”という一面も持ち合わせている。以前から気にはなっていたのだが、いい機会なので寄り道していこう。幸い、明日からは天気が回復するらしい。





ただし雲は分厚い。



さて、飛行機は定刻通り松山空港に降り立った。




「うーん、曇りかぁ、風も強いし」
「まあ、雨でなかっただけ、良しとしましょう」






さて、どうなるか……



エルコスさんを復元し、エアを充填する。最近の旅客機では、しっかり与圧されているから、タイヤチューブのエア抜きは不要、という意見もあるが、




「バーストしてていきなりDNSじゃあ目も当てられない」
「うぅ、怖いこと言わないでください」


準備できたので、9:30松山空港発。

県道22で三津まで北上し、そこから適当に道を乗り継いでから県道347、そしてR196というルートを引いていたのだが、最初の交差点を直進し、







ミスコースした。










北上するはずが市街に向かってたわ。






「いきなりやらかしたわwww」
「ちょっとルート確認するので、お待ちくださいね」


結局、R196交点まで来てしまった。

ところで、さすがに11月中旬では、四国といえども寒かろう、と冬用ジャケットとグローブを用意してみたのだが、走り出して気づいた。




「寒くないぞ?」
「まあ、飛び抜けて気温が低いという訳ではなさそうですから」


ちょうど10時になったタイミングで、スポーツデポを発見。指貫グローブを調達しに行く。




「ついでだからジャケットも脱いじまおう」
「そのほうが良さそうですね」


容量に勝る火野正平バッグで来ていて正解だった。ここからは、初秋スタイルで走ることにしよう。





なお、今回の戦装束はタコ助野郎さんとこ。デコ助野郎ではない。






「さあさ、行きましょうか、大先生さん」
「違う、そっちじゃない」


さて、ここだけの話だが、松山から今治までの距離が、およそ50キロ近いことを、この時初めて知った。





まずは県道347方面へ。






「何気に遠くないか?」
「まあ、3時間というところでしょうか」


今まで知らない、本当の距離を垣間見た。




「敢えて口にはしませんでしたが、早く気付いてほしかったです」
「ちょっと下調べが足りなかったです」


そんな具合でエルコスさんから叱られつつ、県道347へ。線形を見ても一目瞭然だが、ここはR196の旧道である。




「バイパスは山側を貫いてますね」
「予讃の幹線だからね、バイパス化は必須だろう」


海沿いを往くので風光明媚ではあるものの、こんなとこ大型トラックが往来することを想像すると、なんともゾッとする狭さである。





伊予北条周辺。確かに狭い。



県道の降格は2002年のことだが、おかげで今治と松山間の往来が改善された。そして、先述のとおりナショナルサイクルルート認定されたこともあり、この道もサイクリスト向けに手直しされつつある。





度を超えた島一周。






「ただ、これはやりすぎだと思うわー」
「総距離、どれくらいになるのでしょう……」


試しに、とエルコスさんが調べてみて、5秒後に盛大に吹いた。なんと、1000キロ近くあるらしい。




「一日200キロで、5日ですね!」
「待て待て待て待て!?」


間違いなくボロボロになる。……まあ、長期の休暇が取れれば、面白いのかもしれないが。

さて、伊予北条を過ぎてR196に復帰すると、風向きは微妙に追い風となる。どうも、南西から北東に向けて風が吹いているようで、しばらくは楽ができそうな予感。





海沿いの道。ちょっとは明るくなってきたかな。






「海が見えますよ大先生!」
「ここから今治までは海沿いの道だからな」


そうこうしているうちに、天気も回復してきた。やや湿っていた路面も、みるみるうちに乾いていく。




「大先生!  写真撮りましょう!」
「お、あれは本州かな?」


あとで調べてもらったら、どうも本州ではなく、上蒲刈島ではないか、とのこと。





瀬戸内海は離島が多いことでも有名なのだ。






「あれら島々を結んで、とびしま海道という名前がついているそうですよ」
「ほう……」


しまなみ海道が有名ではあるが、それに枝付けする形で複数のルートが開拓されている。とびしま海道はそのうちのひとつだが、そちらも開拓のし甲斐がありそうだ。

そんなことを考えつつさらに北上を続け、今治の大西から県道15号に乗り換える。来島海峡大橋へは、今治市街を抜けるよりも、こちらを往くほうが近道になる。





来島海峡大橋への近道でもある。



時刻は11:25で、どうやら午後一番でしまなみ入りすることができそうだ。




「あ、大先生!  橋が見えました!」
「そうだった。この橋けっこう登るんだっけ」






来島海峡大橋



過去2回訪れた記憶でいうと、橋の上から市街地まで、かなりの距離を下ってた。今回は逆打ちなので、かなりの距離を登らなくてはいけない




「しかも、なんか急だったんだよなぁ」
「確かに。……でも、待ってください」


と、エルコスさんが何かに気づく。確かに車道側の勾配は相応にエグいのだけれど、よく見ると自歩道のほうは、勾配が緩い。





ちゃんとイージーモード対応してた。






「というか、折り返して勾配緩くしてるのか」
「車椅子のスロープと同じですね」


そんな訳で、さほど労せずにサンライズ糸山に到着した。





今治側のスタート地点、サンライズ糸山。宿泊もできるぞ。






馬島の再訪


サンライズ糸山からは、これから渡る来島海峡大橋を望むことができる。





東京ゲートブリッジが高いところを通ってるのと、理屈は一緒。






「なるほど、大型船が通れるように、高いところを通しているのか」
「すぐ近くに造船所があるのもポイントですね」


そして、この橋の中間部には、馬島へと渡る連絡エレベータがある。自動車などは島民でないと降りれないが、自転車やスクーターなどは、エレベータで降りることができる。




「あのしゃべるスクーターでも大丈夫だ」
「残念ですが、島内にキャンプ場はないようです」


んで、この島自体は観光地でもなければチェックポイント的なものもない。ただただ静かな小島だ。




「降りてみるか?」
「はいっ!」


天気も良いし、3年振りに立ち寄ってみよう。





天気のほうも、良い方向に変わりそうだ。



さて、出発前にこんなの見つけた。





なんかメカメカしい。腕木式の信号に似てるかな……






「なんだこれ?」
「信号機です」


やはりそうだったか。しかし、船舶の信号機とは?  とよく見てみると、なるほど、潮の流れを示すものか。




「しかし、リベットがごついな。溶接にすればいいのに」
「当時の技術だと、リベットが最強の接合だったのですよ」


あと、諸説あるが、外力が加わった際にリベットが吹っ飛ぶことで、接合部材の保護をしていたという。溶接であれば、双方の部材にダメージが出る。




「ただ、施工に時間がかかるし重くなるので、徐々に溶接に移行していったそうです」
「まあ、イボイボだらけのエルコスさんなんて見たくないし」


「うぇ……」とエルコスさん。さて、気を取り直して馬島だ。





由緒あるものらしい。



車道を潜り、エレベータで下まで降りると、改めてこの橋の大きさがよく分かる。





架橋前は、急流を縫って渡船輸送だった島だ。



そして、島はとにかく、静かであった。




「のんびりするには、よろしいのでは?」
「ただ、そういう場所ではないんだよね」






あの灯台を目指そう(あそこが自走で行ける突端でもある)。



ゆっくりエルコスさんを走らせつつ、島の突端にある馬島神社へ。




「ちょっと行ってくるね」
「お気をつけて、行ってらっしゃいまし」


やや急な階段を登ると、3年前と変わらぬお社が。





ひっそりと。



そのお社の奥に、ウヅ鼻灯台がある。





灯台、カード……だと……!?






「なんかあちこちでカード化してるな」
「収集欲を擽るのは、何も今に始まったことではないのですよ」


まあ確かに。でなきゃポケモンGOがここまで流行らなかったし。しかし、人口数十人規模の小島の奥地にまで紹介ポスターが掲げられているのを見ると、きっとここも人の往来があるのだろう。

島の生活を妨害しない程度に、良い方向で栄えてくれることを期待したい。





島の反対側では、小規模ながら農業が営まれていた。






「……という訳で、はいエルコスさんこっち向いてー!」
「え、あ、ちょっ、ちょっと待……」






不意打ち。






宿題を片づけるふりして違うことをしてみる






馬島への入口。バス停もあるのでここから輪行も可能。



来島海峡大橋を降りると、大島である。





順路は左折。ただし右折で峠を一つキャンセルできる。



橋のたもとは下田水港という。急流観潮船の発着場だが、かつて架橋する前は、今治との間でフェリーが運航されていた。今でもその名残がある。





架橋前は、ここから各地へアクセスしていた。






「ところで、これ何て読むの?」
「『しただみこう』ですね」


ここから次の伯方・大島大橋までの区間で、2か所の峠を越える。南行であれば最終盤に登場する、割としんどい部類の峠道だが、今回は北行なので、まだ体力があるなかでの登坂だ。





早速ちょいと登るよ。



で、登っていてあることに気付く。




「3年前って、向かい風だったような記憶あるんだけど」
「正解です。これはあくまで傾向なんですが……」


と、エルコスさん。彼女の調べたところによると、しまなみ海道における風向きは、南風であることが多いとのこと。




「つまり、今治から北上すると、ちょうど追い風になります」
「確かに、今も南西から吹いてるね」


3年前に訪れたときの画像を見比べてみても、それは明らかだった。もしかしたら、尾道スタートって意外と割に合わないのかも。





しまなみ海道で一番高い場所。



なんて言っているうちに、大島の最高標高ポイントである宮窪峠を越えた。ちょうど高速下が休憩スポットになっていて、サイクルラックが用意されていた。




「ちなみに、ここの標高が約80メートルです」
「そういや初めての時は、ここ押してたなぁ」


尾道から走ってきて、ここで参ってしまうサイクリストは、意外と多いらしい。





小さいながらもベンチがあって、サイクルラックもあった。



さて、ここから観光案内所まではずっと下り。その道すがら、石のカフェがあったことを思い出す。そうだ、宿題を片づけていこう。





坂の途中にあるので、通り過ぎないように。






「すいませーん、アイスコーヒー……」
「そこはクレミアソフトじゃないのですか!?」






すっかりアイスコーヒーが定着してしまった我々。



で、すっかり宿題の中身を忘れつつ呆けていると、時刻は13:30に。

とりあえず今回の予定であるが、cafe  viaに表敬訪問しつつ、因島の大山神社で御守をゲットすることの2点。特に前者に至っては、少々思い入れがある。




「この間の台風19号、やはりviaも被災したらしい」
「そうですか……  堤防の内側にあるので、イヤな予感はしていたのですが」


結局、飲料水の安全性が確保できないということで、埼玉店は泣く泣く閉じることとなったそうだ。しかし、しまなみ店は営業を続けるということで、どうしても立ち寄っておきたかった。




「せめてレモネードだけでも所望したい!」
「あっ!?  大変です大先生。営業日、金土日の3日間だけみたいです!」






なぜ下調べをしなかった!?









なんだと!?(  Д)゚゚









「か、神は死んだ……」
「気を確かに!  とりあえず、塩ラーメンを食べててください!」






もうメンドくさいので道の駅で。



失意の中で食べた塩ラーメン、おいしかったです。くそうなみだでまえがmksdぽk

んで、その間にエルコスさんが宿探しを開始してくれていた。恐らく、大山神社到着が日没になりそうで、それならば途中で宿を取り、あす一番で訪問すればよい。




「取れました。生口島の民宿ですが、よろしいですね?」
「布団で寝られるならば何でもよいさ」


さて、本日のフィニッシュが決まった訳だが、そうするとどこかもう一ヵ所、寄り道してもいいよなぁ……





それじゃあ大三島に渡ろう。






少女革命


大三島橋を渡り、大三島へ。吊り橋が多いしまなみ海道にあって、唯一のアーチ橋である。

で、ここから次の多々羅大橋までは、最短距離を往けばものの7キロほどで到達できるのだが、しまなみ海道屈指のランドマークである大山祇神社をスルーしてしまう。せっかくなので、こちらにも立ち寄っておきたいところなのだが、




「あれ?  そういやここって、ダムカード発行してたよね」
「台ダムですよね。確かに」






台ダム。



大三島環状線を時計回りに宗方方面へ。途中、山越えのショートカットをすれば大山祇神社はすぐなのだが、その途中に、しまなみ海道の沿線で唯一ダムカードを発行している、台ダムが鎮座している。




「3年前の逆走になるのか」
「そうなのですが、とりあえずしばらく、海岸線を西に走ります」


エルコスさんが言った言葉の真の意味に気付くのに、もう少し時間が必要だった。

さて、大三島橋を降りて、県道51号線を目指し、





完全な初見殺し。









ここを右折。









「本当に?」
「近道のようですよ」


言われるがままに右折。どう見ても農道、間違えたら激坂をUターンという、すげぇハイリスクな道。





地元スペシャル感がハンパない。



しかし、無事に県道51号に復帰した。ここから西に向かって走るのだけど、




「……あ!?」
「気が付いてしまいましたね」


そうだった、今日の風は南西の風だった。つまり……




「絶望的なレベルで前に進まねぇwww」
「確か今日は、強風注意報が発令されてましたね!」


うん、大人しく三村峠から回れば良かったかもしれない。





しかも割と登り坂なんだよね、大三島って。



さて、ほうほうの体で野々江の交点まで来た。ここからかなり斜度のある登りをこなさなければいけない。その代わりに、強風から解放される。登り区間はさほど長くなく、せいぜい1キロ程度といったところ。インナーで処理しよう。





いよいよナビマークすらなくなる。



県道51に復帰し、右折。大山祇神社方面へ進むと、台ダムの看板が現れる。





ホントは右折。通学路指定があるので迂回の指示が出ているのだ。






「およそ2キロの登りになります」
「まあ、仕方ないなこれは」


という訳で、ダムの堤体と管理事務所がある場所まで、登り勾配と戯れることに。




「まあ、さっきの山越えに比べたら、楽勝なんだが」
「スイスイ登れますね」






それでも、あと1キロあるのかぁ。



15:27、台ダム管理事務所に到着。





しまなみを潤す命の水(ただしポンジュースではない)。



さて、このダムの利用目的記号であるが、多数派であるFNWである。




「洪水対策、不特定利水、そして上水道だ」
「佐渡にあったダムと、考え方は同じですね!」


水資源の乏しい離島地域の水源確保という大役を、このダムは担っている訳だ。




「黒い薔薇とか咲き乱れるのかなぁ?」
「言っちゃった……」






だけどさぁ、重力ダム多すぎだよなぁ(結果的にここに落ち着くので)。



ダムカードをゲットして、大山祇神社へ。ヘルメット用の御守を入手しておく。




「一体、どれだけの神様をお乗せになるおつもりですか?」
「まあ、賑やかなほうが何かといいだろう」






山の神様。もとは武具の兜に拠る「かんやどり」から。



そして、三村峠を経て、多々羅大橋に向かう。




「陽が暮れてきました。少々お急ぎになられた方が……」
「そうだな。だが……」


せっかくなので、サイクリストの聖地があるしまなみ公園には立寄っておこう。





多々羅大橋を目指す。



しまなみ海道がサイクリングルートとして知名度を上げた頃に建てられたこのオブジェであるが、多々羅大橋をバックに、実に画になる構図でサイクリストを待ち構えている。当然ながら、ここにまんまと策に溺れる遷移金属が1台。




「大先生!  写真撮りましょう!」
「ほう、写真とな」






これぞ、定番の1枚。



そして、ここには人のカタチをしたサイクルラックも完備していて、愛車をマウントすることができるのだが、





大切なことなのでよく聞いてほしい。y-maruの心は汚れている。









うっすらと卑猥。









「エルコスさん、写真撮っt……」
「大先生のバカーっ!?」


心配ない。潔く脱ぎ捨ててないし、裸でもない。そもそもそのオブジェはそういう意味じゃない





清らかな心で、よく見てほしい。



さて、ひととおり遊ぶだけ遊び、多々羅大橋の中央部で県境を跨ぐ。





ここが本州と四国の境界でもある。



あとは、生口島を耕三寺方面へ全力疾走し、ギリギリ明るいうちに今日の宿に到着した。




「松山からでも、意外と走れるな」
「暗くなっても良いのなら、尾道まで行くこともできますよ」


とはいえ、それは少々味気ない。しまなみ海道の途中で一泊するというのも、一度はやってみたかったので、今宵はそれを存分に楽しもうではないか。





なお、生口島の民宿で、一泊二食7400円でした。






しまなみ離脱


翌日は、早朝から絶好の好天で、正に自転車日和であった。




「さあさ、自転車神社に行きますよ!」
「まあ、1時間もかからんだろ」






メチャクチャいい天気。



という訳で、早々に生口橋を渡り、因島に降り立つ。自転車神社とは通称で、正しい名前は大山神社という。





自転車神社。大山祇の派である。



ここに自転車の神様が祀られていることは、3年前に訪れたときから知っていた。ここの一角に、交通の守り神である和多志大神が祀られているのだが、




「これ、大山祇神の別名ですよ」
「そうなんだ」


ただし、オオヤマツミ自体は山の神様として祀られることが多い。因島全体が起伏に富んだルートなのは、このためかな?





境内まで上がるのに、コレである。



ともあれ、エルコスさんと共に鳥居をくぐり、旅の安全を祈願。これでやるべきことは全部終わった。





旅の安全を祈願して。






「それでは、尾道を目指そう」
「わかりました!」


さて、来た道を戻り、県道366を経て因島大橋に向かっている途中、ふと看板を見ると、





なんかオモシロそうなワードが……






「……フェリーかな?」
「フェリーですね」


因島まで4分で結ぶフェリーが、対岸の港をちょうど出航するところだった。生口島の赤崎港だが、生口橋への自転車道分岐のすぐ近くにある港だ。





そういや、今日は火曜日だったよな……






「……20分間隔か」
「しかも、たったの130円ですね」


たぶんだが、橋を渡るのと同じか、やや遅いくらいの時間で生口島に渡れる。しかし、尾道とは逆方向。ゆっくりと近づくフェリー。





フェリー、というか渡船だな。






「……乗ってみたくない?  逆方向だけど」
「痛いところ突きますね。わたしもそう思ってしまいました」


気が付くと、フェリー乗船を待つ車列が出来上がっていた。そして着岸する船。





地元のアシとして、賑わっているようだ。






「あ、大先生!  瀬戸田から三原まで、フェリーが出てますよ!」
「……なんだって!?」


気が付いたら乗っていた。なお、この三光汽船の金山・赤崎航路は、土日祝は運休となるそうで、平日のみのスペシャルルートということになるが、捕まえることができればアクセントになるだろう。





同時に、瀬戸田からフェリー決定。



きっちり4分で生口島に戻ってきた。エルコスさんによると、三原行のフェリーは、瀬戸田より10:15に出航するらしい。




「ところで、瀬戸田の港ってどこにあるの?」
「耕三寺のすぐ近くだそうです」






耕三寺。



高根島と生口島に挟まれた海峡部にあった。9:50着で、発着場には10:00尾道行が着岸していた。




「ここから尾道に戻ることもできます」
「意外とフェリーも使い勝手良いんだな」


しまなみ海道全体を見ると、けっこうアチコチからフェリーが運航されていて、かつ便数も豊富である。橋を渡るだけがしまなみ海道、という訳ではなく、船を使ったルートを採用しても面白いかもしれない。





かなりに頻度で三原と尾道に連絡する。



さて、無事に10:15三原行を捕まえて、30分ほど船に揺られていると、三原の港に到着。





本州に戻ってきた。






「なんか、都会だな」
「良い意味で、しまなみ海道がのんびりしているのですよ」






余談だが、三原行フェリーでは、こんな感じでマウントされていた。台数多いと難しいか。






酒都をめざして


本日のルート (powered by ガーミン・コネクト)

三原→河内→福富→西条(実測53km)



さて、今日の宿泊地である西条まで向かう道であるが、どうも地図を見る限り、広島空港周辺の丘陵地帯を越える必要がありそうだ。




「しかも、地味に標高が高い」
「えげつないですね」


このえげつない標高差によって、鉄路である山陽本線は、空港の北側、河内周辺を迂回し、西条へと向かっている。そして、鉄路に並走するように、沼田川も流れていて、





川沿いということは、急勾配はナイかな……?






「こっちのほうが、勾配は緩そうですね」
「まあ、油断はできないが」


少なくとも、空港を経由するよりかはマシ、というレベルである。

とりあえず、R2と並走する川沿いの市道を経て、本郷より県道33号に入る。





しばらく、山陽本線の線路と並走する。






「うん、薄い登りだねこれ」
「まあ、距離は短いですから、焦らずに行きましょう」


川沿いの道は、時に広かったり、時に狭かったり、時に災害復旧工事やってたりしていて。





これは福井県バージョン






「全国の方言で『徐行してください』」
「ちょっとした小ネタですね」


時々思い出したかのように通り過ぎる貨物列車を横目に、さらに進んでいくと、





なんかでかい橋が現れた。






「わっ!  すごく高い橋ですね!」
「あんなところに高速走ってたっけ?」


調べてもらったところ、あれは高速道路ではなく、広島中央フライトロードという自動車専用道路の橋であることが判明。今走ってる県道33号より、およそ190メートル上空を通っている橋だ。





下から見上げると、何だか変な感じに。






「景色、良さそうだなぁ」
「自動車専用道路みたいなので、わたしたちは到達できそうにありません」


さて、そんな建造物以外にも、秋の季節ならではの風景がどんどん押し寄せてくるのが、この路線である。登り基調ではあるが、なかなか走りでのあるルートだ。





いい具合に柿が成ってると、秋を感じるよね。



そんなルートは、河内の街で一旦終わりを告げる。R432交点を左折し、さらに西へと向かう、のだが、




「ちょっと遠回りですが、沼田川沿いに北上すると、福富ダムがありますよ」
「ダムカード発行対象か……」


河内到着がちょうど12:00、まだ時間に余裕はありそうなので、せっかくだから脚を伸ばしてみよう。





典型的な田舎道。



県道33号を引き続き走り、やはり登り基調の道をゆっくり進み、時々撮影タイムなんぞを挟みつつ、およそ1時間でR375交点に辿り着いた。





左折で西条。ダムは右折して2〜3キロほど。






「ここからダムの堤体まで登りますよ」
「まあ、そうなるよね」


R375は、広島県呉市と島根県大田市を結ぶ路線で、途中に三次、東広島と大きめの街を経由する。そのため、思いのほか交通量が多い。特に大型車

その上、堤体に至る道は割と勾配が急。なので、歩道をてれてれ走って、管理事務所に向かう。





まあまあな勾配だった。






「やべぇしんどい……」
「明らかに劣化してますよ?」


13:11、管理事務所に到着。ここでダムカードを戴き、ダム本体の撮影に入るのだが、




「ずいぶん新しいダムだな?」
「完成したのは2008年のことです。なので、年齢でいえばまだ11歳といったところです」


そもそもこの地域自体、あまり雨が降らない地域なのだそうで、旱害対策や水道水確保といった、水源の確保を目的として建設されたのだとか。沼田川の水を湛えたダムによって、流域はもとより、遠く向島や因島の水道水の源となり、現在に至っている。





奥に見えるのは、ダムができたときに開業した道の駅。






「このダムは、広島東部の生命線となっているのです」
「しまなみ海道にとっても、な」


思えば、昨日の台ダムも、島の水源を確保することが使命であった。図らずも、今回訪れたダムは、どちらもそういった役割のものだった。




「発電ばかりがダムではない、ということですね」
「まあね」






旧道はダムの堤体下まで伸びていて、終点は小さな公園になっていた。



このあとは、R375を南下して西条へ向かう。距離にして約12キロだが、西条に向かって下り基調だったのが幸いした。14:30には西条の街に降り立つことができた。





ホントに街の中にあります。酒蔵。






そして酒浸りになる。






酒蔵通りにて。



西条の酒蔵は、街の中心部にある。複数の酒蔵が密集し、かつ街の中心部に連なっているのは、全国的に見ても珍しいのだという。




「仕込みに使う水が、このあたりからしか手に入らなかったそうです」
「日本酒は、水が命だからな」






こんな感じで建っているのだが、ほとんどが現役で稼働している。



つまり、駅から徒歩圏内で、酒蔵を巡ることができるという訳だ。エルコスさんを駐輪場に預け、15時になると同時にチェックイン。




「飲み過ぎにご注意を」
「自信ねぇなぁ」






観光案内所で情報収集。ここはかつて、芝居小屋の入口だった。



という訳で、賀茂鶴酒造の直売所に向かう。実は、酒蔵の見学や直売所は16時閉店であることが多く、チェックインと同時に酒蔵巡りをすることになった一番の理由となっている。




「これを逃すと、明日まで待たなければいけない」
「そうなると試飲もできないじゃないですか」


なので、賀茂鶴酒造では、存分に試飲をさせていただいたのだが、





味わい尽くすぜ。









とても甘口。









「ただ、アル添だけど飲みやすくておいしいな」
「西条のお酒の特徴なんだそうですよ」






ここではお酒の勉強をするぞ。



このあと、亀齢酒造でも試飲をし、感じたことを伝えてみたところ、エルコスさんの指摘通り、甘口な印象は西条酒の個性なのだと分かった。また、アル添についても、添加量を緻密に計算し、あくまで酒の個性を引き出すという用い方をしているという。つまりは、




「ガタガタ言ってないで、まずは呑みなさい」
「勉強になるわー」


そんな社会科見学をしたところで時間切れ。今晩のアテを入手しながら、宿に戻った次第。





マンホールだって酒の都。






だから広島エンドにするなとあれだk……


いよいよ最終日。西条から広島空港まで、およそ20キロの移動、なのだが……




「およそ250ほど登りますね」
「あー、そういえば……」


考えたら3年前、広島空港に降り立った我々は、ただひたすら下った記憶しかない。大人しくバス輪行にすればよかったかなぁ。





白市まではそれほど大変じゃないんだけどさ……



さて、西条から県道59号を経由して白市駅へ。一応ここが、広島空港の最寄駅ということになるが、





住民のアシ感が甚だしい。









最寄り感、皆無。






そして、R432交点から本格的な登りが始まるのだが、





これがまあ、いつ終わるのかわかりにくい登りで……






「ヤバイ、脚にキてる」
「焦らずにゆっくり行きましょうよ」


どうにかこうにか坂を登りきると、遠くに謎の鉄橋





餘部鉄橋ではない。






「なに?  あの餘部鉄橋」
「あれはですね……」


どうやら滑走路の誘導灯らしい。これは、滑走路の長さと同じぶんだけ必要らしいのだが、丘陵地に建設された広島空港にそんな土地はなく、誘導灯だけ延長したのだという。そのため、この鉄橋は





ファンキーなつくりをしてやがる。









途中で切れてる。









「なに?  あのチキンレース場」
「そういう使い方はしないですから」


丘陵部で霧が多く、過去は欠航が多かった広島の空の玄関を、さりげなく守護している重要な設備であった。





今回の旅も、これまでよ……



さて、どうにかこうにか広島空港に着いたわけだが、




「二度と広島エンドはしない」
「renas先生も仰ってたじゃないですか」


……あ、あと余談だが、こんな広島空港だけど、自転車の受け入れが充実していて、バイシクルハブという名前で組み立てスペースと更衣室が無料で利用できる。





飛んで、着替えて、組み立てて。



インフレーターをはじめ、ちょっとした工具も完備している。さらには、箱輪行をした場合でも、空箱をデポすることができる。つまり、どういうことかというと……




「広島エンドはしてはいけない」
「おわかりになりまして?」






メンテナンススタンドにエルコスさん引掛けて遊んでみた。












TITLE:しまなみ(途中まで)縦走。ただし逆打ちで。
UPDATE:2019/10/13
URL:http://y-maru.sakura.ne.jp/275_shima19/shima19.html