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264:こんちき詣り



text&photo  by  ymr20xx@y-maru.com。






本日のルート (powered by ルートラボ)

関→伊賀→山添→天理→精華→木津川→宇治田原→大津→草津(実測156.8km)




イントロです。


さて、突然で恐縮だが、ワタクシめのPCには、VOICEROID「京町セイカ」がインストールされている(そしてほとんど使ってない)。

盲腸特需で購入し、本業のほうの動画でナレーションにでも使ってみようかぁ、なんて思いつつ時が流れ、そのままほったらかしたのだ。





ごくたまに、本業のほうの動画のナレーションに使ったりしてる程度。






「まあ、よくある話だ」
「いやいやいやいや……」


ところで、この京町セイカであるが、その命名の由来に、ひとつの街が関係していることは、ご存じだろうか。その街の名を、精華町という。




「なんか、中二病っぽい、というか、ゲームに出てきそう、っつーか」
「なんてことを。歴史は古いのですよ?」


エルコスさんによると、自治体としての歴史は1951年に開かれ、精華という名は1896年に用いられ始めたとのこと。ちなみに精華とは、「日本の国の最も美しい美点」という意があるらしい。

京都の南西端にあるこの街だが、立地の関係で奈良との結びつきが強い。一応、大阪や京都からは鉄路が通っているものの、地図を見てもわかる通り、南に10キロ走れば、奈良公園があるという立地だ。




「行ってみますか?」
「うん、そのつもり。それにね……」






こうして今、我々は、関駅で一晩明かした。






汝の名を、非名阪という。


どうせ精華町に行くのなら、どうしても走破しておきたい道があった。そのため、我々はいま、関西本線関駅の駐車場にいる。




「いいぞここ、300円で一日停め放題だ」
「停め放題、ってどういうことで……?」






むしろたったの300円で、安心してデポできると考えたい。



関駅に隣接する形で道の駅があり、また駅から1〜2キロほど走れば名阪国道の関ドライブインがあり、いずれも広大な駐車場が用意されているが、どちらも長時間駐車は歓迎されていないようで、




「なるほど、ここなら安心して停められる、と」
「この安心感は大きい!」


ちなみに、代金は売店で支払うが、売店の営業時間外のときは、備え付けのポストに代金を入れておくという便利システムになっている。




「ところで、なぜ関なんです?  しかも平日に」
「明日だと、天気が悪いんだよね」






翌日の様子。こんな天気じゃ走る気もしないさ……



7:10、関駅発。かつての東海道宿場町の面影を残す街並みを、ウォーミングアップがてら流す。





往年の街並みを残している。マイナーだが趣があっていいではないか。



東海道はこの先、かの鈴鹿峠を越えるため、当時はさぞ賑やかだったのだろう。




「なんか地元の少年にでっかい声で挨拶されたぞ!?」
「土地柄なんでしょうかね?」






まずは景気づけに1枚。



そして、新所町交差点を左折し、R25へ。




「なるほど、名阪国道ですね!」
「まあ、正確には、『非名阪』なんだが」






さあおまいら、ショータイムの始まりだぜ。



実は、これが今回の一番の目玉だったりする。

名古屋と大阪を結ぶ最短ルートとして名高く、数多くの物流関係者が愛用する、R25名阪国道。自動車専用道路なので、125cc未満の車両の通行を禁じている(無論、歩行者も自転車も通れない)。

しかし、仮にも国道を名乗った道なので、当然ながら前述の車両が通れる道も並行して存在しなければならない。名阪国道がバイパスならば、現道が必要なわけで。




「それがこの道ですか」
「まあ、かつてはれっきとした街道筋であったんだがね」


んで、この非名阪だが、あまりにも名阪国道が有名になりすぎたのと、そもそも名阪間の移動であれば他にもルートが豊富にあるということから、さほど整備がなされておらず、




「この道、酷道とかって言われてませんか?」
「まあ、そういう説は否定できない」


一部からは、2ケタ国道でこのクオリティかと嘲笑され、しっかり酷道扱いされるような始末。

しかし、こちとらトップ1パーセント、最強の最強である。本当にそのような扱いを受けるような道なのか、ちょっと試したくなった訳である。




「天理まで出たら、精華町まではすぐだ」
「なるほど、良いコースじゃないですか!」






前置きが長くなったが、心配ない。基本的にはこういう道だ。



さて、非名阪のR25であるが、しばらくは加太の峠越えに備えて、徐々に標高を上げていく。確かに、2ケタの国道としては賑やかさはなく、むしろ長閑




「どこに酷評する要素が?  とてもいいじゃないですか!」
「自転車目線だと、評価がガラリと変わるな」


森林地帯を、朝日を浴びながら進んでいく。傍らには関西本線が線路を張っていて、時折2両のキハ120が駆け抜けていく。





道自体は歴史が古く、こんな鉄道史跡的なものも。



そんな構図なもので、しばらく走っていると、その関西本線と何度か交差するわけだが、





デジャヴだなこれ。






「なんかどこかで見たことがあるぞこれ?」
「ここにも三江線が……」


なるほど、こりゃもう良い流れパターンに入ったな。





加太の街は、少々栄えている。自販機くらいはありつけそうだ。



しかし、そのウキウキ気分は、ものの数十分で覆されることに。





うん、これはワクワクの予感だよね!






「だだだだだいせんせぇぇぇぇぇぇっ!?」
「しゃべんな、舌噛むぞー」






明らかにクオリティが落ちた。



加太の中心部より少々西に進み、加太川の支流に沿うように右折、した途端にエルコスさんが悲鳴を上げる。その彼女の脇をかすめて疾る、砕石を乗せたダンプ。




「ダートだなんて聞いてませぇぇぇぇぇn……」
「ダートじゃない、舗装が剥がれてるだk……」
「どっちも同じようなものでしょうがっ!?」


いきなり道が悪くなった。おそらく、巷で言われる酷道部分に突入したのだろう。





きわめつけはコレ。まだギリでダートじゃない。



加太から柘植までの区間は、ちょっとした山越えになるようなレベルで山間部となる。そしてこのあたりでは、良質の石が取れるのだろう、あちこちに採石関係の施設が立ち並び、そしてダンプが行き交う。例えて言うなら、5人組と怪人がバトってそうな景観が続く。





ひとりが自己紹介するたびにセメント爆破するアレ。






「なんかあの山、爆発とかしそう」
「知ってますか?  あのテの爆発にはセメントとナパームって種類があるんですよ」


そして、そんな世間話をするおっさんとチタンフレームの横では、年季の入ったごっついプラントが絶賛稼働中であった。





今日もいい石作ってるぜ。



もはや、2ケタ国道であることを忘れたこの道は、進めば進むほど田舎道になっていく。これでもれっきとした幹線道r……





時間雨量30ミリって……(くどいようだけどここは2ケタ国道)。






「幹線道路の規制値じゃないよなこれ……」
「ものすごく脆いです……」


こうして、ほぼ何もない道を伊賀市まで進むと、この田舎道区間も終わる。名阪国道の伊賀インター脇に民営のドライブインがあるから、そこで補給していこう。




「なんでガスってんですかね……」
「まあ、決して平地ではないからなぁ」






名阪国道の至る所に、こんな民営ドライブインがある(ゆえにSAとかPAが少ない)。






言うほどヒドくはない(一部例外を除き)。






余談だが、これで確か500円くらいだったような気がする。



伊賀市の中心までは、今までの貯金を吐き出すような下り基調。リハビリも兼ねて、50×17で回す。幸い、無風から追い風傾向で、ストレスを抱えるようなことはなかった。





文明が戻ってきた(大袈裟)。



市内では、若干R25のトレースが難しい。ただし、標識が充実しているので、ロストすることはない。





仮にロストしても、ここを左折すれば復帰できる。小田西交差点にて。



ただしこの先、しばらくは商店と無縁のルートを辿るので、R25とR368の交点にあるローソンで買い出しをしておこう。





どうしてもヤツに夢中になる(壊れっぷりに)






「しかし、相変わらず御堂筋くんは、ぶっ飛んでるなぁ」
「彼はそういう種族ですから」


どういう種族だ?





ここから針まで、コンビニはないと思っておいた方が良い。補給を忘れずに。



さて、五月橋方面へ至るR25だが、このあたりは標識ではなく、ガードレールとかにシール状のものが貼られている。





こんな具合に。



相変わらず長閑な道だが、徐々に山深くなっていく。





のんびりした雰囲気が加速してくるぜ。



赤いトラス橋を渡ると、道幅がグッと狭くなり、右手に名張川を見ることができる。





思うのだけど、橋マニアにも面白い道かもしれない。



何やら新しい橋でも架けてるのかな、というような工事現場をすり抜けると、ちょっと風情がある橋にさしかかった。




「これが五月橋のようです」
「歴史を感じるな」






奈良県側から。立派なトラスである。



事実、この橋が架けられたのは1928年。非名阪に架かる橋脚のなかでも、1、2を競うほどの古参だ。

そして、この橋を渡ったところが奈良県。




「なんか古めかしいオニギリが……」
「大先生!  写真撮りましょう!」






年季の入ったR25。



そんでもって、この五月橋もパチリ。





かつては、この主塔にランプが灯されていたとか。



トラス橋のお手本のような橋脚で、とても絵になる。なるのだが……




「あ、まさか……  あの工事って」
「たぶん、この橋の架け替えなんだろう」


どうも耐震性に難ありということらしい。この姿を拝めるのも、あと僅かなようだ。





気にはなっていた。認めたくはないのだが。






「複雑ですね……  なくなっちゃうの」
「とはいえ、宿命みたいなもんさ。『お疲れさん』って見送ってやればいいさ」


こういう偶然も旅の醍醐味さ。軽く補給を入れてから、ふたたびスタートする。橋の名前が由来の五月橋インターチェンジを通過したところで、







なんかズドンと来た。










景気のいいヤツが来たぞ!?






「はいっ!  インナーに落とす!」
「無理無理無理無理、急に言うなって!」


ここからがまあまあな山岳地帯、というかアップダウン区間になる。山添村役場を経て、針テラスまでの区間が。





予想以上に長い登りだ。






「キリキリ回してください!」
「ひぃぃぃぃぃぃぃぃっ!?」


ほうほうの体で駆け上がること暫し、山添村でR25は左折する。





しかしどう見ても直進方向のが良い道に見える。



直進すると、しばらく山道を走った末に、奈良公園の脇あたりに出る道らしい。





指示通りに、曲がってみるか。



とりあえず左折して、そしてさらに登る




「あ、大井戸の杉って書いてありますn……」
「よっしゃ写真撮ろうぜ」






合法的な休憩。



こうしてしばらく走ると、名阪国道との並走区間が現れる。神野口インターから針インターまでは、現道と名阪国道が並走するような線形になっているのだ。




「なんか、名阪国道渋滞してねぇか?」
「事故があったようです」






そういえば、なんか詰まってるな。



するとどうなるか、当然ながら、渋滞をかわすために名阪国道を降りる車両が出てくる。名阪国道は物流の要、そして無料。するとどうなるかというと、



こうなるのさ(激アツ)!






「うまくよけてね」
「無理っ!?」


この狭い道に、大型トラックがガンガン突っ込んでくるのである。




「ダメですって!  無理やりねじこまないで!」
「…………(言うのやめておこ)」






くどいようですが、ここは2ケタ国道です。



たぶんこういうことはしょっちゅうあるらしく、路面の荒れ具合は閉口するほど。特に、えぐれている路肩は、自転車で走るには適していない。無理に離合しようとせず、必要に応じて自転車から降りる勇気も必要だろう。

この区間を抜けると、針インターに併設している道の駅針テラスに着く。コンビニなんかもあり、補給するにはもってこいだ。





ようやくひといきつけるぜ。






「あ……!?」
「俺は何も言ってないし何も言わせてない」


さっき口走った内容をようやく精査したっぽく、エルコスさんが顔を紅潮させてヘコんでいたのはここだけの話だ。





関西屈指と言われる道の駅。






それはまるで異世界のよう。


針テラス、関西圏の道の駅としては最大規模で、休日ともなれば多くのライダーで賑わいを見せる、関西屈指の道の駅だ。そんなオートバイ天国な道の駅を象徴するかのように、ここから数分の位置に、ハーレーダビッドソン奈良が店を構えている。

すると、こういうことが起きる。





ヘイヘイヘイ、カワイイの乗ってんじゃんか、的な(被害妄想)。






「わたし、すっごく浮いてますよね」
「異世界に迷い込んだかのようだ」


まあ、当然といえば当然だが、どこを見てもご同業がいない。何となく落ち着かないので、補給を済ませて早々に出発。




「ちょっと停まってください。左手に何かあります」
「なんだ、廃道……?」






実は手持ちの古い妻(1998年初版)には、現役として載っていた道。



見るからに、名阪国道の設備だろう。これは恐らく、針テラス開業前までに使われていた針インターのランプウェイ。今では誰も通らず、ひっそりとしている。

R25に復帰し、天理方面へと下っていく。ようやく下り勾配が始まり、奈良・天理へと向けて快走路が始まる。





所々、人の営みを感じつつ。






「途中にある天理ダムでは、ダムカードが発行されるようです」
「じゃあ寄っていくか」


その天理ダム、ダム天端を国道が走っている。





現役の国道が通ってるというのは珍しい(あとは奈川渡くらいかな?)。



さて、ダムカードは天端の手前、管理センターで配布しているのだが、そこで、もう一枚カードをもらってしまった。岩井川ダムというカードを。




「これ、寄り道で来訪できる位置にありますね」
「ただ、地図を見る感じだと、どう見ても登りだよな」


奈良公園の手前くらいの位置なので、ちょっと寄り道してみよう。ちょっとしたヒルクライムが付いてくるみたいだが。





唯一の宗教都市を洪水と渇水から守るぜ。



さて、天理ダムから一気に下っていくと、ちょっと造形が独創的な建物が多く目につくようになった。それに合わせて、郡山とか高知とか、全国の地名が掲げられた集合住宅が目につくように。





最初見たときは、なんか琉球っぽいな、と思った。






「なんだこれ?」
「天理教の信者さんが利用する宿泊施設ですね」


そうだった。天理の街は日本唯一といってよい、宗教の街だった。よくみれば、あちこちに地場帰りを歓迎するメッセージがかかっていたりする。





信者の方の地場帰りを、如実に表した例。ゆえに、「おかえり」の文字があちこちにあった。






「これは?」
「天理大学の校舎ですね」


この独創的な建物は、おやさとやかたという名前があるらしい。





正確には、大学付属の天理参考館です。






「いずれは、神殿をぐるりと囲むように建つようです」
「壮大過ぎるなぁ」


まるで異世界にでも放り出されたような新鮮さがあった(そういう経験は今のところない)。





ちなみに、天理駅には臨時ホームがあり、地場帰り専用団体列車(いわゆる天理臨)が使うらしい。



さて、そんな異世界から北上することおよそ10キロで、今度は住民が鹿でおなじみ、奈良公園に着くわけだが、




「途中、県道188号線を右折してください」
「うーん、なんか嫌な予感が……」


そして、北上すること暫し、今度は県道80号線を右折。





ここを右折。ちなみに、非名阪の山添村で、左折せずに直進しても、最終的にここに出てくる。






「ほら嫌な予感来たぜ!」
「まあ、だいたい3キロくらいですから」


まあ、まだ序盤は何とかなる。しかし、奈良奥山ドライブウェイとの交点を過ぎた直後から、登坂車線が現れて。





してやられたぜ(油断して途中までアウターのまま登ってしまった)






「大先生、がんばって!」
「いやいやいやいやいや!?」


カメのような速さでよたよた登ると、ようやく右手にダムの堤体が。




「何なんだ、この頑張った割に報われない感じは!?」
「そういう日もありますって」






情報があまりにも少ないダムである。



んで、ダムの堤体を写真に収め、来た道を戻り、奈良公園まで来ると、




「鹿が群衆に混じっとる……」
「鹿という種族が共存してますね……」






この画像の中から違和感を探せ。






世の中のマーケティングの大半は、萌え。


奈良公園からは、R369、県754、R163と乗り継いで、精華町を目指す。この途中で京都と奈良の県境を越えるのだが、




「これで3県目です」
「一日に2回県境を跨ぐというのは、なかなかないな」






府県境。ここから下りになる。



余談だが、このあと滋賀県にも入るので、一日で4県回ることになるが。





ついに精華町にやってきたぜ。



さて、その精華町であるが、街の中心部は祝園という地域である。これは精華町ができる前からあった地名である。





ゆえに、代表駅の名は、祝園駅(近鉄は新祝園駅)。






「命名の由来は前に話した通りです」
「まあ、うっかりすると祝園町か」


偶然ではあるが、そのおかげで京町セイカというキャラクターが誕生しt……





セイカさんです。









こんなんだっけ?









「まあ、こっちのほうが元祖ですから」
「なんかマーケティングの匂いを感じるぜ」


まあ、ぶっちゃけ眼の大きさなんだよなぁ、とは声に出さず。日本の萌え文化はハンパねぇレベルにあるってことで。





参考までに、りっか様が声やってるほう。



とりあえず、目標としていた精華町には到達し、その過程で非名阪も走破できた。これで今回の行程はすべて完ry……




「あの……  もう終わっちゃいますか?」
「うーん、もう疲れたしなぁ」


久しぶりの100キロライド、しかも初めて走る道。感覚がつかめず、だいぶ脚にもキている。祝園から輪行すれば、木津、加茂と乗り換えて、関西本線で関まで帰れる。終わりとしてはちょうどよい場所でもある。




「大先生、わたし……」
「まだ走りたいか?」






なんとなく北上し、京田辺市まで来た。



こういう時ってのは、たいていエルコスさんが満足していない時だ。かわいいやつm……




「ここから20キロ先に、天ケ瀬ダムがあってですn……」
「バカ野郎!  行くに決まってんだろが!」


くそぅ、知っててやったな。そのしてやったりな表情やめれ。





それじゃ、宇治田原まで導いておくれ。



京田辺の街を抜け、玉水駅から裏道を経て、R307を目指す。その途中、





どうみても、路地裏じゃねぇか……






「路地裏に、……駅?」
「ちょっと行ってみようか」


果たして、ほとんど路地裏、というかほぼ路地裏を抜けると、確かに駅があった。





確かに駅があった。






「銚子電鉄みてぇだな」
「こんな感じなのですか?」


いや、あっちのほうがもっと路地裏感がパネェ。





銚子電鉄の笠上黒生駅は、これである(2008年12月に撮影)。



さて、R307を宇治田原町方面へ。ここからおよそ150mほど標高を上げるのだが、信楽を経由して彦根に至る幹線道路。それゆえに、交通量が多い割には道幅が狭い。そしてバンバン通る大型トラック。





これはあれだ、自転車で走ってはいけないやつだ。






「走りにくい」
「御辛抱を。街まで出れば、あとは平坦なはずです」


かくして、宇治田原の中心部から県道62号へ、道は渓谷沿いの下り基調となり、やや薄暗い雰囲気。個人的には好きなシチュエイションだが、なんとなく不安な気持ちになる道だ。





谷底を往く道。日暮れ前だと余計に。



ただし、それも宵待橋までで、そこからは天ケ瀬ダムが堰き止めた、鳳凰湖のほとりを往く。そしてこの道がまた走っていてえれぇ楽しい





平坦なので踏んで加速できる。そして適度なコーナー。






「あはは、気持ちいぃぃっ!」
「なんかすっげぇ活き活きしてやがるぜ!」


ほぼ勾配変化のないワインディング、といえばわかりやすいだろう。そのためか、天ケ瀬ダムと宵待橋の間は、夏季限定だが二輪車通行禁止になっているほど。





ダムが見えてきた。



程なくして、天ケ瀬ダムの管理センターに到着。ここでダムカードをもらうのだが……





なんかスゲーのが来た!









レアなやつキタコレ!









「やったじゃないですか!」
「しかも2枚ももらったぞ」


平成天皇の在位30年記念カードである。おまけにもう片方は、天ケ瀬ダムの再開発事業に関するもので、こちらは平成33年度(すなわち新元号で3年度)に完成予定なだけに、このタイミングでゲットできたのは大きい。




「ね、来て正解でしたでしょ?」
「うぇーい」






ちょっとオーバーハングしてるのがカッコイイ。



ダム天端からは、天ケ瀬ダムの発電設備(左岸)に加え、旧志津川発電所跡(右岸)が見える。特に志津川発電所跡のレンガ造りの建物は、なかなか目の肥やしになる。

現在では、株式会社ニュージェックの水理実験所として機能をしているようだ。





下流側も見所がたくさん。






「あと、れんれん居ないの?」
「いるわけないでしょう」


天ケ瀬ダムの天端から下流方面を見下ろす風景は、一見の価値がある。来訪の際には是非とも天端からの眺めを堪能したいところだ。





れんれん。というか、歩いてダムに来る女子高生って……!?(井上よしひさ:著  ダムマンガ3巻P72〜73より引用)






そして最後までたかられた。


さて、この天ケ瀬ダムであるが、立地からは信じがたいが、れっきとした都市型ダムであり、下流に3キロほど下ると、世界遺産の平等院でお馴染み宇治の街に至る。

すなわち、あと3キロ、しかも完全な下り坂を駆け下りると、輪行で離脱できる環境が待っているのであr……




「あ、大先生、県道3号を北上すると、瀬田の唐橋に出られますね!」
「……まじで?」






アッチ行くのかぁ……



ちなみに、天ケ瀬ダムを出発したのが16:30。まだ十分に明るく、全然走れる訳で。




「わたし、感じるんです。きっとこの道は楽しいぞ、って」
「目ぇキラキラさせながら言うのやめてよ、エルコスさん……」


まあ、宇治で輪行しても京都経由で草津に行くだけだし、それなら大津に出てしまったほうが乗り換えの手間も省ける。あと、これは後々分かったことだが、この道が使えれば、たとえばR1キャノンボールを実施する際、大津と京都の間をバイパスできそうなのだ。




「そもそも、あそこ自転車で通っていいのかわからん」
「いつか実踏しに行かないといけませんね」






川の上流を目指すので、登り勾配かなと思ってたが、そうでもなかった。



という感じで、宵待橋まで戻り、県道3号……  というか淀川沿いに北上をすることになった。そしてこの道がまた走っていてえれぇ楽しい




「やったぁっ!  読み通り!」
「もう好きなだけ楽しむがいい!」


勾配変化の少ないワインディングに、おっさんとチタンフレームがキャッキャウフフな訳ですよ。そして、そうこうしているうちに滋賀県入りした。





4県目。ずいぶん遠くまで来たもんだ。






「あ、大先生、何かありますよ?」
「お手製の、お地蔵さんか」






うっかりすると、見落としてしまいそうなほどに。



いや、供えてあるのは仏花だ。何かの供養のようだが……




「あ、あれ見てください!」
「なるほどね」






戒めだ。真摯に受け止めよう。



こういうワインディングでは、よくある話である。楽しく旅ができるのも、身体が無事であるからこそ。今一度、気を引き締めなければ。




「いいかい、舞い上がりすぎて、取り返しがつかなくならないように」
「そうですね……  ちょっと落ち着きましょう」


さて、改めてこのルートであるが、正直ママチャリでも走破可能なくらい勾配変化がなく、かつR422交点までの区間は、前述のとおりワインディングが楽しめる。途中、補給できそうな商店は皆無で、コンビニに至っては1軒も見当たらないという状況だが、日中の明るい時期ではさほど問題とはならないだろう。

注意点を挙げるとすれば、その地理的状況から、夜間走行の際には細心の注意を払うということだ。ガードレールは完備されているが、うっかり淀川にダイブ、なんてことになれば、







十中十






……で死に至るだろう。そして、助けを呼ぼうにも人里離れている。





右岸に移る。大津まであと20キロ弱。






「あと、結構ローリング族が出るらしい」
「まあ、この線形ですと、致し方ないような気が……」


という感じで、エルコスさんの読みは当たった。途中、買っておいた補給用の大福を処理するべく、手ごろなベンチに腰かけて休憩を取ってみたが、これまたしっくりくるのである。





飲んで気が付いたが、こいつ、赤缶じゃなくて黒缶だ(糖分が足りない)。



その後、道はR422と姿を変え、瀬田へと北上する。ついさっきまでは渓谷沿いの湖然だった淀川も、いつしか街中を流れる大きめの河川、という体に変わった。京滋バイパスの下をくぐり、石山まで来てしまえば、瀬田の市街地はすぐそこだ。





すっかり街の匂いが。






「あ、これですね」
「これが瀬田の唐橋か」






瀬田の唐橋。



藤原秀郷の大ムカデ退治伝説の舞台となったかつての交通の要衝は、往年の雰囲気を残しながら、すっかり街並みに溶け込んでいた。一説によれば、ビワイチの南端はR1瀬田川大橋ではなく、こちらを通るのが正しい、とのことらしい。




「まあ、確かにこっちの方が雰囲気あっていいよな」
「そうですね」






敬意を払い、押して渡る。



さて、そんな瀬田の唐橋を渡った我々だが、瀬田で輪行するか草津まで走りきるかで、少々モメる。




「ではこうしましょう、R1に出た時点で、草津まで10キロ以上あったら……」
「瀬田で輪行する、ってことで、いいね」


そして、大江3丁目交点からR1に出たところで、





賭けに負けたことを悟った瞬間。






「っしゃぁぁぁっ!」
「マジかい」


冷静になって考えてみたら、瀬田の次が南草津で、その次が草津駅だった(つまり、大した距離ではない、と)。

あれだけ「落ち着きましょう」と言っていたエルコスさんのありえない喜びっぷりを見て、もうちょっとちゃんと乗ってあげなければ、と反省したところで草津駅到着。走行距離は、なんとか160キロ弱まで伸ばすことができた。




予想だにしないオチ


帰りは草津線で柘植まで行き、そこで乗り換えて関駅まで。平日ではあるが、さほど混雑してないだろう、と読んでいたら、





なんかあちこち遅れが出てないか?









なんかスゲー嫌な予感。






そして、この混雑の中、やってきた柘植行は、4両編成だった。




「ああ、こりゃギュウギュウ詰めだな」
「おい、まじか」
「お、それは『ゆるキャン▲』で志摩リンが高ボッチ鉱泉で……」






次のを1本外すと、柘植での乗り継ぎも遅れる。これをジレンマという訳で。












TITLE:こんちき詣り
UPDATE:2019/03/23
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