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255:ヤマイドウ10〜史上最大の茶番〜



text&photo  by  ymr20xx@y-maru.com。







イントロです。


夏の恒例行事、ヤマイドウの季節がやってきました。今年も夏休みは絶賛繁忙期なので、7月アタマに一気に休暇を充ててます。



「ただこれ、夏休じゃなくて振休なんだけどね」
「ブラック撲滅、ブラック撲滅っ!」


とりあえず、ギリギリまで夏休取得しないという上司への嫌がらせでもしましょうかねぇ、ハハハh……






絶望的な表示









バチが当たったか?








「これ、いつ晴れるんだよ……」
「晴れる可能性、あるのでしょうか……」





前線が北上しやがってて。


19:30、新千歳空港着。既に天気は雨模様。出発前からこの状況はハッキリしていたので、正直エルコスさんを置いていくかどうしようか迷っていたのだが……



「大先生、わたしはお留守番でもよいのですよ!?」
「うーん……」


最後は職場の同僚の言葉に救われた。最悪、全行程輪行となれば、それはそれでオイシイじゃないか。



既に北海道上空はこんな状態。





「という訳だ。頼むぜ」
「だいせんせぇ……」


ただ、どのみち輪行は避けられない。そこで、新千歳到着と同時に飛び道具を導入した。



JR北ほぼフリーパス。



26Kもするプラチナチケットであるが、これがあれば道内の在来線は、特急も含めて乗り放題になる。天候が落ち着くまでは、鉄道旅も悪くないだろう。



「すまんがしばらくは袋の中だ」
「致し方ありません。我慢します」


という訳で、雨の札幌で一泊し、明日からヤマイドウである。



足元はしっとり。






DAY1〜いかソーメンと新函館北斗駅〜


初日は早速、キハ261スーパー北斗で函館まで南下。






もう飲み始めている。





「もうこうなったらウマイもん食いまくる」
「楽しみ方を変えてきましたね」


昼前に函館に到着し、朝市でシャケハラスといかソーメン定食でハラを満たす。



函館は本降りの雨。



早朝出発で到着に丸半日を要したわけだが、考えてみれば札幌を起点にすると、釧路とか稚内とかと距離的には変わらない函館。前者との違いを挙げるなら、本州と繋がっている、というだけ。



「そう考えると、何だかズルいような気が」
「本州側の資本が入ってるってだけで、雰囲気も変わってくるさ」


函館到着時に、反対ホームには、ウワサの四季島が停泊していたが、



初四季島。しかし庶民が乗れないんじゃね。





「あれだってせいぜい室蘭までしか行かない」
「確かにそれだと、道東や道北はキツいですよね」


結果的に道南と道央が(鉄道的に)栄え、道東と道北が潰える。そんな未来が見えてきそうで、何ともやるせない。



「世知辛いですね……」
「これも時代なのかもね」




世知辛い道南で唯一安らいだのがこれ。1200円。



函館で必要な物資を買い出し、そのあと、新函館北斗駅へ。2018年現在、北海道新幹線の終着駅である。






ホームからの展望。ホントに新幹線駅。





「しかし、何もないなぁ」
「これは……  できたばかりの新青森駅そっくりですよ」


ホントにド平野に駅舎おっ建てて、接続道路をくっつけただけの駅だった。



ちなみに駅前にあるのはホテルとレンタカー屋。



函館駅方面とは、連絡列車であるはこだてライナーと、函館行の特急北斗で連絡する。新幹線の時刻に合わせてライナーが運行しているようだが、それ以上の特徴はない。駅ナカにあるコンビニで適当に時間を潰し、とりあえず行くあてもないので道東方面に逃げてみる。



ふたたび道央へ。フリーパス特権で指定席を押さえた。



スーパー北斗17号で南千歳まで北上し、そこから石勝線経由でトマム駅へ。



特急同士の乗り継ぎ。





「今年もトマムで一泊だ」
「ですが、設備的には占冠駅のほうがよろしいのでは?」


エルコスさんの指摘は正しい。しかし、占冠駅は釧路まで行くスーパーおおぞらが1往復しか停まらない。とりあえず明日は勝手丼、さもなければ根室まで足を延ばしてエスカロップの予定なので、ほぼ全列車が停まるトマムのほうが利便性が高い。



買い出しのため、追分駅に立ち寄る。



途中、追分駅で途中下車。この出撃で初めてのセイコマ補給を果たし、最終の特急でトマム着。星野リゾートの送迎車を見送り、それでは今宵のトマム泊……



乾いてないぞ?









床、ウエッティー。








「寝れるんですかこれ?」
「いすの上かなぁ」


ものすごく幸先が悪すぎるのだが……



一気に帯広まで抜けるべきだったか……?






DAY2〜エスカロップと極寒STB〜


8:33トマム発のスーパーおおぞら1号は、星野リゾートの客を拾いつつ順調に釧路へかっ飛んでいく。



ただ、ほとんどの乗客は日本語をしゃべってない。





「さすが283、パワーが半端ねぇ」
「わたしもこれくらいのパワーがあれば……!」




キハ283の利点は、ラゲッジスペースが豊富な点。輪行に最適だ。



いつか経営が安定して、振り子を復活させた真・キハ283に復活することを願いながら、11:00釧路着。






釧路駅。





「さあ勝手丼だ!」
「ちょっと待ってください。12分後に根室行があります」


なんてこったい。ただでさえ本数の少ない花咲線、乗り遅れたら致命傷である。仕方なく、泣く泣く勝手丼は諦めて、11:12発の快速ノサップに乗り込む。



旅行客は少なく、主に地元客の利用。



さて、エスカロップを目指して東に進む一方、北海道の各地は何だかとんでもないことになっていて、



アラート出まくり。





「これ、道東からの脱出も危ういのでは?」
「下手打ったかなぁ」


本当であれば、明日は釧網、石北本線経由で道北に進軍する予定だったのだが、どうも







鉄路が死んでる






っぽい。あと、初夏のはずなのに







激寒。






とりあえず長袖を持ってきていて良かったが、どう考えても本州の11月下旬位の寒さ。久しぶりの道東を正直ナメてた



根室着。



さて、根室には13:22着。ここで一旦エルコスさんを復元し、駅から数分のところにある喫茶どりあんへ。目指すはもちろん、根室のソウルフード、エスカロップである。



ガーリックライスのカツが乗ってる食べ物です。





「かれこれ10年ぶりくらいに食った」
「お懐かしいでしょう」


ガーリック風味の炭水化物と、揚げ物の肉。これでウマくなかったら詐欺だろう。

軽く平らげてから、根室港のほうを周回して、16:09根室発の乗客となる。相変わらず極寒の根室であるが、エルコスさんで軽く流しているうちに、やはりな、とあることに気付く。



「なるほど、やはり私は、自転車で旅がしたかったんだな」
「え……!?」




サドルの上で、考えたんだ。



まあ、あと、強いて言えばSTBがしたかったのだと。今日は日中の降雨がなかったので、昨晩のトマムのように、待合室がしっとり、ということもなさそうだ。

地図を見ると、上尾幌の駅がSTB適地じゃないかとアタリをつける。国道から離れているし、何より駅舎が立派なのだ。






そうと決まれば。



そうと決まれば、16:09根室発。そして、18:21上尾幌着。今夜はここで一泊する。



駅前には小規模の住宅街があるだけ。商店はない。



とりあえず、ワタクシめ的夏の風物詩といえば、セイコマのカップ冷やしラーメン。



おれの夏。



そいつで一杯やりつつ、終列車を待っているうちに







酒が切れた。








「隣の尾幌駅前にコンビニがあって、しかも往復できますよ?」
「よし、買いに行くか」




酒を買うためだけに乗車。



で、買い出しを済ませ……



ふたたび飲み始める。



21:09に上尾幌に戻ってくると、運行情報が容赦なかった



ちょっと待てや。





「道東に閉じ込められた」
「久しぶりに、マズい状況じゃないですか」




とりあえず酒に逃げるか。






DAY3〜勝手丼と豚丼と〜


結局、イヤなことは飲んで忘れたのだったが、



ルパン列車で釧路へ。



翌日、天気は完全に下り坂。そして、釧路で待っていたのは、







列車名が「運休4号」








むかし、「田中3号」てのはあったが。





「詰んだ」
「どうします?  策を考えなければ」


とまあ、取りうる選択肢は少なくない。レンタカーで札幌乗り捨て、という手もあるし、エルコスさんだけヤマト便で東京に送り返し、バスで道東を脱出しても良い。



「まあ、帯広で考えよう」
「決断のタイミングは誤らないでくださいよ?」


運休なのでこれ以上どうすることもできず、とりあえず釧路に来たからには和商市場で勝手丼である。



駅から徒歩5分もしないところにある。



どうせ今日はエルコスさんで走れないので、ここぞとばかりに豪勢にいってやろう。この時期の釧路では、カレイが旬なので、カレイからの白身狙い



たっぷり乗っけた。



1500円もあればお腹いっぱいになれる。新鮮な魚介を堪能したら、10:11帯広行に乗り込む。



各駅停車は動いてるっぽいが。



特急は全面運休だが、幸いにして帯広あたりまでなら、各駅停車が運行している。どうせ帯広から先に行けないと諦めて、今日は帯広で一泊することにした。



「明日は天気が回復するらしい。それに賭けよう」
「もしこれで明日も運休だったら……」




心配をよそに、とりあえず着いた。



13:21帯広着。宿は15:00チェックインなので、1時間30分は時間を潰さなければいけない。駅ナカの豚丼屋で遅い昼飯を戴き、



ぱんちょうに行きたかったが、雨がひどかったので。



十勝三股経由で三国峠まで93キロかぁ、と下調べしているうちにチェックイン時刻に。明日は晴れてくれるのだろうか……



休めるときに休んでおこう。






DAY4(帯広〜新得 50km)



本日のルート (powered by ルートラボ)

帯広→鹿追→新得(実測50km)

雨は止んでいた。そして、特急も通常運行になり、札幌では晴れ間が出ているとか。



帯広も、晴れとはいかないが「良いほうの曇り」。





「やはり、持ってきて正解だった」
「え、よろしいのですか!?」


エルコスさんも正直驚いていた。今回は出番なし、と半ば覚悟していたからだ。



「私だって、乗れるんなら乗りたいさ」
「だ、だいせんせぇ……!」


ただし、いきなり距離は稼げない。なにしろ、佐渡以来100キロを超えるライドをしていないし、そもそも天気が完全に回復したかどうかが判断できない。

それならば、手軽に遊べるルートにしよう。幸い、道東からの脱出は十勝山地を越える必要があるが、その麓に位置する新得までは、ルートにもよるがだいたい50キロ程度。しかも、新得は







そばが名産。






これは楽しみだろう。そういった訳で、まずは帯広の市街地をR241沿いに北上する。



十勝川を渡る。



そして、道道133を北上し、十勝牧場方面へ。

音更の市街地を抜けると、しばし丘陵地帯を往く。道なりに走っていると、線形的に奇妙な交差点が現れる。道なりに走るとダート道、そこが十勝牧場の白樺並木である。



進んだ先には展望台がある。





「圧巻ですね」
「晴れていればなお結構だったんだけどね」


そこからさらに15キロほど道道を走る区間になるが、長距離輸送のメインルートから外れていることもあり、交通量の少ない道は走っていて快適。時折追い抜かれるトラックが懐かしいと思えるほどに。



鹿追町に入った。





「のってきた」
「はい!  わたしもです!」


牧草地帯を駆け抜けて、R274交点までやってきたら、ここを右折。

少々路面が濡れているが、こちらのほうは明け方まで降雨があったのかもしれない。鹿追の中心部で県道133方面に左折し、ちょっとした丘越えに入る。



屈足方面へ左折する。



とはいえ、よほどの峠越えならいざ知らず、丘陵地帯程度であればアウターで処理できる。このあたり、北海道を自転車で走る良さでもある。



「本州ならインナーが要る」
「いやいや、それは大げさでは」




この先、もう一度十勝川を渡る。



十勝川を渡ったところが新得町の屈足。ここにはドラム館という有名な旅宿があるが、無料で宿泊可能なライダーハウスもある。ある意味中継基地としては最適なのだが、いかんせん







新得から登り勾配






もうちょっと使い勝手が良いと有難いのだが。付け加えると、新得からはざっと10キロほど距離がある。



ライダーの館くったり。門限は22時。



新得到着は10:55。せっかくなので新得そばでも手繰ろうと、手ごろな店を探した結果がそば処みなとや。今回はこちらにお世話になろう。



北海道上川郡新得町2条北1-1  0156-64-5745  新得駅から徒歩2分。



さて、そばを頼みつつ時刻表を見てみると、11:45発札幌行のスーパーとかち6号を捕まえられそうなのだ。これに乗れば、旭川を経て道北へ、時間さえ気にしなければこの日のうちに音威子府までの各駅にアクセスできる。



大もり700円。かっちりした歯ごたえある蕎麦でした。



ささっとそばを平らげて、新得駅には11:30着。15分もあれば輪行は完了したも同然。昨日は天候不順で道北を諦めていたが、ここにきて道北に到達できるチャンスが出てきた。



今年も新得から輪行となりました。





「大先生、海が見たいですね」
「海か……  悪くないね」


札幌14:30発のライラック21号に乗り込み、今宵の宿を検討し始めるのだが、稚内だと格安宿がない上に到着がド深夜、3年前の懸案だった下沼は接続の関係で到達不能、音威子府はそもそもSTBが可能かどうか不透明、さすれば天塩川温泉でSTBかなぁ、と思っていたら、



「天塩中川の森林公園に、無料宿泊できるログハウスがあるようです」
「むぅ……、そこに賭けてみるか」




久しぶりに789系に乗る。



まあ、不発なら天塩中川でSTBでいいや、と。



旭川のコインロッカーにて。



旭川でザックをパージし、各駅停車に乗り継いで18:27名寄着。



その名寄の手前だが、まだまだ全然明るい。





「18時なのにこんなに明るいや」
「北海道ですから。緯度と経度も影響しているのでしょう」




音威子府行の車内は、ワタクシめ含めて2人だけだった。



19:30の音威子府行に乗り継ぎ、20:40天塩川温泉着。



手頃な待合室がある。周辺に民家はないので、STBには向いているだろう。





「ここも悪くなかったかなぁ」
「大先生、宿題ですよ宿題」


20:50、音威子府着。ここで次発21:48のサロベツ3号を待つことに。



深夜の音威子府駅。駅員はいないがバスの詰所は絶賛稼働中。



ところで、音威子府のSTB事情であるが、



無情な文字が。









普通にアウト。








「ですが、音威子府の市街地に宿泊施設なんて……」
「あるにはあるらしいが、1軒しかないらしい」


ちなみに、さきほどの天塩川温泉では宿泊も受け付けているほか、温泉裏手には無料のキャンプ場がある。また、咲来駅前にはライダーハウスもある。

音威子府での宿泊は、そちらを利用しなさい、ということらしい。これでいよいよ、天塩中川のログハウスに期待を寄せなくてはいけなくなった。



次の列車を待つ(それがこの日の終列車)。



最終で降り立った天塩中川駅は、住宅街の中心にあった。温もりのある駅舎も捨てがたかったが、ここは初志貫徹し、ログハウスを目指そうと思う。



「ま、実踏も兼ねてね」
「ちゃんと泊まれると良いのですが」




いざとなれば、ここで寝るかなぁ。



駅からほど近い、線路沿いの高台にログハウスはあった。先客がいると厄介かな、とも思ったが、それは杞憂で、来訪時は我々だけだった。しかし、



「わかりづらい」
「仕方ありませんよ。暗いんですから」


夜間に訪れるのは、ちょっと難易度が高い。森林公園の駐車場から階段を下り、左手に進んだ位置にあるので、暗いと存在が見つけられない。ようやく見つけ、中に入ってみると、利用者はゼロだった。

飲食は近隣の商店を使うか、併設のキャンプ場で自炊するか。基本的には一泊凌ぐためだけにしておいたほうがよろしいかと。あと、電源があるので、ここぞとばかりに充電をしておこう。



すごくいい寝床だ(今までが今までだけに)。






DAY5(中川〜音威子府 120km)



本日のルート (powered by ルートラボ)

天塩中川→雄信内→天塩→遠別→佐久→音威子府(実測117.1km)

ログハウス自体は完全に密封されていて、雨風は凌げるが外の様子が分からない。ドアを開けてみたら、



自転車日和になってしまった。









イラッとくる晴れ具合








「おい、まじか」
「どうして初日からこうじゃなかったのでしょうか……」


絶望するおっさんとチタンフレームをよそに、ログハウス下にあった食事棟に泊まっていた一団は、今日の行程の準備を粛々と進めていた。

とりあえず、利用客が少なそうで、駅から至近で、セイコマも近くにあるという、良質な条件が揃っていることが分かった。これは要チェックだ。いや、古い旅仲間であるチャーハンの言葉を借りるなら、



「次の学会で発表しましょう!」
「うおっ!?  先を越された!」




トイレを借りるつもりで、一度駅に戻った。



さて、出発前に天塩中川駅に寄っておく。このあたり、自然を利用した遊びスポットが豊富にあるらしく、サイクリングのモデルケースが豊富に用意されている。



ビビっときた。





「な、なんですかこのヒルクライムというのは?」
「ちょっとワクワクするな」


ここは帰りに寄ることにしよう。

6:08、天塩中川をスタートし、道道541を北上する。宗谷本線沿いに続く道で、問寒別まで続くのだが、手前の歌内でR40に復帰する。言うまでもなく、R40は幹線道路なので、大型車の往来がある。道道ルートはそれを回避できるのだ。



北海道を走ってるんだ、という雰囲気は道北が一番だろう。





「ですが、そもそもR40も交通量は少ないですが」
「まあ、あそこは1回走ってるからね」


6:45、歌内駅着。



歌内駅とエルコスさん。この駅も貨車改造の駅舎である。



ちょうど稚内始発のキハ単が到着した。乗降客はひとりもいなかったが、これが現実なのだろう。



「やはり、なくなる運命なのでしょうか」
「このままではね」


なるべくなら乗ってあげたい。しかし乗りたいときに列車は来ず、乗らないうちにさらに削減されるという悪循環。どうにかならないものだろうか。



R40に復帰する。



さて、そんな堅苦しい話は置いておいて、R40に復帰後は、ひたすら北を目指す。日本海に面した天塩町を目指してみるのだけど、R40からアクセスできる道道256号交点を探す。



「天塩といえば、オロロンラインの起点の街ですね!」
「天塩川の河口のあるぞ」




天塩町に入った。



ちなみにエルコスさんの発言には若干の誤りがある。オロロンラインとは、小樽と稚内の区間全体を指す言葉で、そこにR231とR232が含まれる。訂正するとしたら、正しくは、道道106号天塩稚内線の起点であり、あの約70キロに及ぶまっすぐな道の起点ということである、のだが……



「なんでかみんな、オロロンラインって呼んでるな」
「『ソニーのウォークマン』みたいなものでしょうか」


そして、道道256の交点まで来たのだけれど、



ちょっと想像していた場所との違和感。





「うーん、なんか違う」
「どういうことですか?」


2015年のヤマイドウ6のとき、天塩町民スキー場に至る道道があったのを覚えているのだが、どうもここではないっぽい。



「それはここではなく、この先の道道551ですよ」
「間違えたか」


という訳で、あと8キロほど北上する。途中、それっぽい雰囲気の場所をみつけては、



「さぁさぁ、そこへ直れぇい!(笑)」
「おおせのままにー!(笑)」




エルコスさんと田舎道と。



なんてことをやりつつ、道道551交点を左折、天塩町を目指す。



ここを左折だった。



薄い登り基調の牧草地帯を抜けていく。たまに追い抜かれるはトラクター。そんな感じの道なのだけど、道東の牧草地帯と異なり、標高の高い山がないので丘陵地帯のアップダウンが比較的穏やか。自転車にとってはとても走りやすい道だ。



心地よい道。





「あ、ということはあれは……」
「利尻山だな」




このあたりで高い山というのは、ほぼ利尻山一択なのだ。



遠くに利尻山の雄姿が見えてくると、間もなく天塩の市街地である。



R232を跨ぐ。



R232を突っ切って、鏡沼の海浜公園のあたりまで来ると、海と天塩川の河口が露わになった。



天塩川河口と利尻山を望む。





「海だな」
「海、ですね……」


遠くに利尻山を見据えながら、しみじみと海を眺める我々。ところで、天塩川という北海道有数の大河は、ちょっと面白い構造をしている。



「10キロ近く、海岸線と並走しているんですね」
「しかも橋がないから、右岸に渡るのが大変だぞ」


そのあと、鏡沼海浜公園に立ち寄るが、無料のライダーハウスが併設されていた。






鏡沼海浜公園のライダーハウス、という名のプレハブ小屋。





「日本一周か」
「時間のある若者の特権ですかね」


道北・稚内を目指す旅人は、R40よりも海岸線(オロロンラインだったり、R238だったり)を利用する傾向がある。今日は、このご同業のほかに遠別のセイコマでもご同業の姿を見た。



「いよいよシーズンになりましたか」
「天気が安定すれば、大挙として訪れるんだろうな」




オロロンラインの一角、R232に合流する。



天塩から遠別までは、やや向かい風気味のR232を南下する。札幌から旭川を経ずに道北にアクセスできる路線なので、先ほどのR40と比べると、交通量は多め。



遠別まで15キロ。



そんな中、オートバイのライダーと何度もすれ違う。いかにも北海道らしい風景だ。



道の駅富士見で折り返し。なんとリアルゆるキャンがいた。



遠別からは道道688、256、119と乗り継いで佐久駅まで向かう。2か所の丘陵地帯を越えるルートだ。






コメを作っていた。





「お、稲作か」
「このあたりは、稲作の北限のようです」




人気がない丘陵地帯の登り。なんとなくケモノの匂いが……



ちょっとした丘を越えて、道道119交点にさしかかる。ここを右折すると、ゆるやかな登り勾配が現れる。咲花トンネルに向けて10キロほど登るが、その標高差はせいぜい100メートル程度である。



「とても自転車に優しいぜ」
「いい流れで来てますよ!」




ちょっと立ち寄って写真撮ったり。



クルクル、脚も軽やかに回していくこと暫し。ようやく咲花トンネルに辿り着いた。テールライトを点けて……






灯火類は必要な装備です。



トンネルに突入し、下り勾配に転じた道を少々走ると、道道118の交点に差し掛かる。






R40手前の分岐。



右折すると恩根内に至るらしいが、だいぶ昔から長らく通行止めが続いているという。しかし、途中の志文内峠を越えた先にある茂吉小公園まではサイクリングルートになっていて、ここを往復するのも面白そうだ。



「行かれるのですか?」
「それよりもヒルクライムが気になる」


ということで、道道118はまたの機会に、ということで、そのまま佐久駅へ。






佐久駅。ふるさと伝承館を併設している。



ちょうど、札幌始発の特急宗谷が、稚内に向けて通過するところだった。踏切の警報音が聞こえたので、ホームに出てみると、






な、なんだコイツ……









!!?








「あ、あれ……  本当に宗谷ですか!?」
「キハ183だったぞ!?」


今では決して見ることができない、キハ183が4両編成で駆け抜けていったのだ。思いがけず予期せぬものを見ることができた。



行ってしまった。間違いない、キハ183だった。



どうやらキハ261に代走が発生したらしく、特急宗谷は折り返しサロベツ4号となって旭川に戻るらしい。すなわち、15:01音威子府発のサロベツ4号は、まさかのキハ183で運行することになる。



「しかも、お蕎麦食べてゆっくりしても、まだ時間が余りますねこれ」
「決まりだな」


軽く補給を済ませ、件のヒルクライムポイントへ。






どうもここらしい。





「ここですか?」
「ここみたいだね」


確かに勾配10%越えという前情報はだてではなさそうだ。なので、インナーローでゆっくりと処理していくと、登った先に公園があった。






憩が森公園、というらしい。



さて、佐久から音威子府までは、ざっと人跡未踏の地が25キロほど続く訳だが、その途中には北海道命名の地があったり、砂澤ビッキの工房跡を改装したアトリエ3モアがあったりと、見所は多々ある。

特に、北海道命名の地は、何となく面白そうなので立ち寄ってみることに。



これは3年前にはなかった。



その人跡未踏の地ながら、自転車ナビマークが印字されていたりして、すっかり自転車にやさしい設計に。



「サイクリスト向けというよりかは、レンタサイクル向けなのかもしれません」
「その発想はなかったわ」




看板は小さいし、一見すると林道の入口っぽい。



という訳で、12:38北海道命名の地に到着。600メートルほどダート道が続くが……



「こないだの大雨で、思いっきりぬかるんでるな」
「えーっと……  お留守番させてください……」


入口付近のポールにエルコスさんを括り付け、単身その場所へ向かう。



これがその碑。



北海道命名の地。簡潔にいうと、探検家である松浦武四郎が天塩川を探索した際、このあたりに住むアイヌの長老から、自国の呼称に用いる『加伊』の語を教わり、『北方の海に通ずる』語と併せ、北海道の名が生まれたという記憶があり、そのことからここを北海道命名の地としているのだという。

天塩川を目の前にして、川のほうに碑が向いているというのも、なかなか興味深い。おそらく、その当時は船くらいしか交通がなかったのだろう。現に、このあたりの車道はR40しかないのだから。



「で、どうでしたか?」
「勉強にはなったが、すげーぬかるんでた」


おかげでSPDなのにクリートが嵌め辛かった。



ふたたび音威子府駅へ。



13:00、音威子府駅着。特急まであと2時間で、しかも蕎麦を戴くつもりだったから、今回の行程はここまでと割り切った。



「すまん。今回の旅は不発だったな」
「いえ、むしろ連れてきてくれたことに感謝を」


結局、エルコスさんに乗れたのは全行程の半分以下であった。しかし、たった2日だけでも乗れたことは事実であり、やはり自転車の旅がしたかったんだという事実を改めて再確認できたことが、今回の成果だったのかもしれない。



それでは蕎麦でも手繰ろうか。



という訳で、いつも通り2杯がデフォルトの常盤軒で蕎麦を手繰り、セイコマで最後のつまみを調達して、15:01発のサロベツ4号に乗り込んだ次第。



さっき佐久で見送ったやつだ。






そしてエルコスさんは地団太を踏む。


岩見沢の健康ランドで一泊し、最終日は千歳から高飛びをする。のだが……



雲一つない。





「なんでーっ!?」
「ムカつくほどの快晴だな」


ホント、初日からこれくらい晴れてて欲しかったよ……



千歳空港へ行くのが何だか名残惜しい。












TITLE:史上最大の茶番
UPDATE:2018/07/16
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