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233:兵越・リローデッド



text&photo  by  ymr20xx@y-maru.com。







綱で雌雄を決する峠の戦の話



本日のルート (powered by ルートラボ)

南信濃和田→兵越峠→南信濃和田(実測27km)


毎年、10月の第4日曜日に、長野と静岡の県境で執り行われる、峠の国盗り綱引き合戦。今年は424ネタの直後ではあったものの、うまいことタイミングが合い、出撃することができた。

思い起こせば16年近く昔に、初めて3ケタツアーをやった際に通った峠道である。日本の土木史の敗北と言われた、青崩峠を迂回する兵越林道は、酷道愛好家によく知られた存在であった。

前回訪れたのが3年前。今年は信州3メートルアドバンテージで迎えた、第30回記念大会とのこと。綱引き楽しみながら、軽く峠狩りを楽しむことにした。






今年はどちらに軍配が上がるか……



……んで、これを書いているのが11月の6日。アップロードが11月末。いくらなんでも遅すぎやしないか、というのには理由があり……






ハテ、ここはどこじゃい?






入院してました。



「ううう……、大先生がぁぁ」
「つかまえてーっ! 大先生がぁ! 画面端ぃっ!」
「人が真面目に心配してるのに何ボケてんですかっ!?」
「ただの虫垂炎だろうがっ!」







いや、ただの虫垂炎じゃなかったわけだが。



仕事中から右脇が痛いなぁ、とか思いつつ、帰宅して寝てたら今度は猛烈な吐き気に襲われた訳ですよ。

そしたら、こうなりました。






一応、画像にモザイクなしver.のリンクは貼ってみた。



ちなみに、二回切ってます。






二回目のオペは、皮下脂肪内に溜まった膿を排出する、ドレンチューブを埋め込むためのものでした。



まさか即、切腹とは予想してなくて、何もできないまま日にちが過ぎてしまったのでした。






ちなみに、安静必死なので、楽しみはほぼメシのみ。



そんな訳なので、少しずつ思い出しながら書きます。あ、あと余談ですが、オペ2回を伴う入院だと、費用は軽く20万を超えます。俺の盲腸の価値=レーシングゼロカーボン






そりゃ、いきなりこの金額出てきたら、ぶったまげるな。



なので、大人しく高額医療の申請を出すことを勧めます。そうすれば、キシリウムエリートくらいまでには収まります。






キシリウムになったぞ。






アプローチは長野側から。

兵越林道へのアプローチは、信州側と遠州側のふたつあり、今回も前回同様、信州側から上がることにした。






道の駅遠山郷。なぜかこのときは本当に団地化してた。



理由として、遠州側(特に水窪周辺) にはベースキャンプを張れるような無料駐車場が見当たらないことにある。その点、信州側であれば和田集落に道の駅がある。

もうひとつの理由だが……



「単にジンギスが食いたかった」
「やはりそこですか……」


集落の中心には、ジンギスを販売するスズキヤさんがあるほか、当地の老舗、星野屋さんで食事ができる。また、星野屋さん系列店の食楽工房元家が道の駅のすぐとなりにオープンしているので、メシ(元家)→フロ(かぐらの湯)→寝る(車団地)という、







3ヒットコンボー(サイバーボッツ風)






が可能という好立地だったりするのです。






前回の反省を生かし、今日はザーサイ茶漬にした。



そんな訳で、軽く朝飯を平らげて、8:00登坂開始。

綱引き大会自体は10:30くらいから始まるので、登坂に80分くらいかかるのを勘案すると、もう一時間遅くスタートしてもよい。しかし、あまり遅すぎると、見学場所が確保できないし、シャトルバスの車列に引っ掛かってしまう。そうでなくとも、綱引き目的以外で峠を通り抜ける車列は多いのだ。






ちょっとしたカオスは、この日ならでは。



かつては閑散とした酷道迂回路は、今や一大観光路線である。

それを象徴するかのように、和田集落のバイパスに直結する位置に、新しいトンネルが掘られていた。






ぽっかりと。



夏に来たときはなかったハズなので、わずか2ヶ月で掘ったということになる。これが完成すれば、スタート地点からの急坂と隘路を回避できる。



「でも、サイクリスト的には旧道のほうがよろしいのでは?」
「悩ましいところだよな」







確かに旧道のほうが趣がある。



2016年現在、トンネルをかわしたところで新道と合流。ここからは緩い登り勾配で標高を稼ぐ。

ただし、この新道、道中の最終補給ポイントである益田屋商店を経由しないので、途中で旧道に戻ることになる。既に補給が済んでいるなら、そのまままっすぐ進む。






このときは、道路の付け替え中で、数か所ほど未舗装状態だった。



2016年の新道開通区間はここまで。ここからは今まで通り、国道規格から外れた設計の道になる。



「なんで規格外の設計が国道に昇格してるんですか!?」
「たぶん、管理費の問題じゃないか?」


かつて、酷道東日本チャンピオンであるR352のときにも述べたが、県道の管理は所属する県が行い、その予算は県の予算から歳出される。対して国道は、国土交通省が管轄になり、税金が充てられる。 すなわち、国道にしてあるほうが、県からしてみると凄く助かるのだ。



「特に、年がら年中崩落しちゃうようなルートは」
「うわぁぁ」







けっこうエグい登りである。



話を戻す。規格外、というだけあって、勾配は軽く10パーオーバー。ルートラボで見る限り、15パー越えのところも。



「あ、建設中の道路が見えます」
「見てる余裕はあんまりない!」


そこからさらに登っていくと、R152と兵越林道の分岐点に着く。登りの全行程12キロのうち、ここがだいたい5キロ地点になる。

現在、通行止めになっている右方向が、正規のR152である。道なりに続いているのが兵越林道だ。






ちなみに本日の戦装束は、いつものJK。





「今では長野県道369号線と呼ばれてますよ」
「まあ、馴染みがいいのは兵越林道だ」


ということで、再び兵越林道を登っていく。

今回の登り区間だが、ワタクシめは不均等に3分割している。第一の区間が、和田集落から国道分岐までの5キロで、これは近い将来、序盤は緩くて終盤はきつい、というレイアウトになるだろう。






そりゃどっちかってぇと、こういう人たちが好む道さ。



続く第二の区間だが、分岐から登っていき、視界の開けたS字カーブになっている、通称「見晴らしポイント」までの5キロ。途中、此田の集落があったり、98代長慶天皇の御在所として建てられた大野田神社などがある。

しかし、この区間の標高の跳ね上がりが半端でなく、ルートラボで見る限り、一部に18パーとか、もはや







意味がわからない






激坂が現れ出す。全行程で、一番きっついポイントが、この5キロである。






上ハン+34×28でも、かなりしんどい。



季節は秋真っ盛りで、美味しそうな柿が実ってたり、差し込む木洩れ日が神々しかったり、






神々しさに騙されてはいけない。



だけどほとんど緩まない勾配と格闘すること40分、ようやく、視界が開けた。ここが見晴らしポイントで、赤石山脈の雄大な景観と見事な紅葉が――――






ガスっとるわ。





「なんでだー!?」
「そういえば今日、天気悪いですね」


晴れていれば、かなり見ごたえのある景観を拝めるのだが、今回は曇り空。まあこれも旅の偶然と割り切りたい。

ここから県境までは約2キロ。勾配はこのあたりから緩み始める。1キロほど進むと、右手にフェンスのあるカーブが現れ、その先に警備員。






勾配が緩み始める個所でもある。



ここまで来ればゴールはすぐで、このあたりから、綱引き合戦の看板があちこち目立つようになる。






静かな山奥に突如現れる、人の気配。



合戦の開催中は、峠の通り抜けは可能なものの、駐車は一切できない。あるのはシャトルバスかタクシー、もしくは徒歩、ということになるが、自転車は例外のようで、適当なところに停めておくことができる。

それをダシにして、今回も山登りしている訳だが、結果として登坂に要した時間は75分。424の直後とはいえ、もちっと短縮したかった。



「さー、きのこ汁飲むぞー!」
「やはりそっち行きましたか(笑)」







余談だが、そのあと食べた蕎麦もまた、ウマかった。この状況下での塩分は麻薬だ(笑)。



ちなみに、結果はもう出ている通り、信州軍の勝利。国境は1メートル遠州寄りに動いた。……のだが、



「こ、これは……」
「屈辱だなぁ」







追加を打たれてた。



もともと、国境を中心にして、それぞれの国に3メートルずつの目盛が刻まれていたのだが、今回、二回目の4メートルということで、新しく目盛が追加されたのだ。

そして今回、30回大会を記念して、石碑が建てられた。






記念碑が建ったのだ



過去には信州軍を3タテにした実力もある遠州軍、来年こそは、と祈らずにはられない(妹家族がいるので)。






これにて終了。






ジンギスを喰らう

帰路はひたすら12キロの下り勾配。ただし、べらぼうに寒いのと、勾配が急過ぎるので、ブレーキのかけ方と握力の低下に気を配りたい。

できればドロップポジション推奨。ただし後ろ荷重は抜け気味なので、ロックさせないように注意。

もっとも、こちらはエルコスさんがうまいことフォローしてくれるし、余計なことをしようもんなら……



「何か言いましたか?」
「いや、何でも」







建設中の青崩道路。完成すれば、遠山郷は秘境ではなくなるだろう。



という訳で、労せずして和田集落に戻ってきた。
いつものように、遠山ジンギスを入手するのだが、調べてみたら、ジンギスを食べさせてくれる店があるというので、そちらへ行ってみる。






飯田市南信濃和田1080、tel:0260-34-2012



星野屋さんは、大正10年創業の老舗で、著名な方がわざわざ通うという山肉専門店。もちろん戴くのはジンギス定食1620円。料理が来る間、女将との会話で、「綱引きは信州軍が勝利した。だけど妹は浜松に嫁いでいるので複雑だ」と話すと、女将いわく、

遠山郷に、







水窪から来ている小学校の先生






……がいるわよ! と。
まあ、そっちのほうが複雑だよなあ、とか思いながら食べたジンギスは、いつもどおり美味しかった。






美味しかったのだよ。












TITLE:兵越再装填
UPDATE:2016/11/25
URL:http://y-maru.sakura.ne.jp/233_tsuna/tsuna.html