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231:エルコスさん日記7〜淡路島ロングライド150〜



text&photo  by  ymr20xx@y-maru.com。同行者はrenas先生。






本日のルート (powered by ルートラボ)

岩屋→洲本→福良→慶野→岩屋(実測145.2km)




エルコスさんの日記〜9月18日〜


みなさんこんにちは。大先生の愛機、エルリック・コ…… 「あー、ちょっと待った!」 あら、大先生、どうしたのです? 「その自己紹介はマズい。とある筋からのタレコミなんだが、『エルリック・コスモス』でググると、おもいっくそウチのサイトが引っ掛かるようになってきた」 「はあ……」 「その筋ってのが、どうも小学校関係の……」 「うわ、あながち間違ってなさそうなだけに、怖いですねそれ」 という、いつものやりとりで書き始めます。もはやテンプレですね。 さて、今回は9月の3連休に開催された、淡路島ロングライドのお話です。今回は、renas先生と神戸で合流し、運搬車で一泊するというプランで行くようです。なんでも、 「renas先生に宿を手配してもらったんだが、軒並み一泊1万円を超える」 「あらあら」 「ただ、楽天トラベルでしか探していないらしい」 「それ、全然ダメじゃないですか」 思わず苦笑してしまいましたが、この結果、運搬車で一泊という、かつてのTDCスタイルを再現することになったのです。まあ、借り物キャラバンではなく、車団地仕様にしたハイエースですから、多少は寝心地よくなっていることと思いますけれど。 で、このやりとりは、金曜日の夜に行われました。 「renas先生と一緒じゃないんですか?」 「前日に神戸で合流することにした。ちょっと、やりたいことがあってね」 と。その大先生のプランニングの中に、杉津ホリディ、なる文字が。 「なんですかこれ?」 「これを土曜日にやろうと思ってた」 詳細はというと、北陸本線南今庄駅をスタートして、旧北陸本線を南下、木之本を経由して椿坂峠を登り、その後海岸線を経て武生に至る、大きく8の字を描いたコースでした。 「あら、素敵じゃないですか!」 「雨さえ降ってなければな」 「雨の馬鹿野郎」 「こらこら、はしたないですぞ」 わたしの大暴言は、大先生に窘められました。それにしても、カタカナで書くと美しいのに、漢字で書くと大暴言。日本語ってムズカシイネ! 「……エルコスさん、厚切りジェイソンの真似って、どうなのよ(;´Д`)」 「ほわーい、じゃぱにーず、ぴーぽー! とか叫びたい気分ですよ……」 結局、この杉津ホリディはキャンセルとなり、大先生は敦賀でラーメンだけ食べて、神戸へと向かいました。



敦賀に立ち寄る理由の大半がこれ。



翌朝、わたしたちは神戸の街にいました。 ところで、実はこの時、台風が接近していました。台風が直撃すれば、そもそも大会どころではなくなるのですが、実施するかどうかは当日にならないとわからないらしく、結果として神戸入りはマスト、ということになりました。 そして、追い打ちをかけるように、renas先生が、



お食事中の方はあまり見ないほうがよい。



「うわー…… これ、走れるんですかね?」 「……やめといたほうがいいと思うけど」 なんと、赤貝に大当たりしたようです。曰く、下のほうがパーリーピーポー状態だったとか。 まだ20代の頃なら、どこぞの中華料理店の娘よろしく、気合だ、の一喝で済ませてしまうのでしょうけど、既に30代後半に突入しつつある大先生たちに、そんなかつての体力などありません。大先生も慮って、 「無理はするな。10月にはサザンセトもあるんだし」 と、あくまで出場可否を委ねていました。 結局renas先生は、あんちょるタソを置いて単身神戸へと向かうことになりました。そして、灘温泉で一風呂浴び、すっきりした大先生が空港に着くと、



……あれ、なんでいるの?(笑)



「やっほー」 「……アレ?」 そこに、いつもと変わらないあんちょるタソがいました。 「淡路島を観光するために、あんちょるタソを持ってきた」renas先生と合流した我々は、雨風激しい明石海峡大橋を渡って、淡路島に入りました。具合の方はというと、少々良くなったけど完全ではない、という状態で、明日の朝の状況を見て、参加するか否かを決めるとのことでした。ただし、天気予報的には明日も雨模様。病み上がりの人が走るには、あまりにも酷な気がします。 「ま、観光だから」 と、renas先生は仰っていますが、果たしてどうなることやら。



たこせんべいを買っていったら、職場は大ウケだった。



エントリー受付が13時から、ということで、時間を潰すためにたこせんべいの里に行ったり、岩屋港でのんびりしたり、日帰り温泉で汗を流したりしていました。そして13時になって、「タマネギが欲しいから」と一応エントリーを済ませたrenas先生とともに、大先生はジャンケン大会に参加していました。この強風の中で。



スタート地点の旗が、向かい風方向に靡いているのです。



「さーて、どーするかなぁ?」 と、大先生がため息交じりに言いました。 今、わたしたちは、ひと区間だけ高速に乗って淡路サービスエリアの駐車場にいます。淡路島ロングライドに遠征に来られる方々のなかで、このサービスエリアで車団地、というのが密かなトレンドになっているようです。見ると、高速のサービスエリアなのに、自転車が出ているなんてシチュエイションも(笑)。 そんな大先生たちですが、雨脚はさらに激しくなり、「こりゃスタートの時点でこれだとDNSだろ」級の展開になっていました。とりあえず夕飯を済ませ、二人分の寝床を用意し、……たまでは良かったのですが、雨がひどくて外に出れない状態なのです。



なので運転席と助手席でダベる。



わたしとあんちょるタソがセカンドシートを独占してしまったので、寝床へは一度外に出なければいけないのです。大先生のため息交じりは、そういう意味も込められていました。 雨脚が弱まるまでの間、適当に何かして時間を潰していた訳ですが、renas先生から教えて戴いたキンプリネタが殊の外大当たりで、結局、関連動画を見ながら大爆笑しているうちに、そろそろ寝ないとマズい時間になっていました。淡路島ロングライドは集合時間が結構早く、早朝4時台には出走準備をしなければいけないのです。渋々、割と強めの雨の中に飛び出し、大先生とrenas先生は寝床に潜り込みました。 「ねえねえあんちょるタソ、renas先生は、明日走るつもりなのかなぁ?」 「たぶん走ると思う。マスターはああ見えて、ツンデレだから」 そうだったんだぁぁぁぁ。ツンデレだったんだぁぁぁぁ。 意外な事実(個人の感想です)を知って、わたしはテンションが上がってしまいました。 さて、そんなズボラとツンデレのお二方は、きっちり4時に起床し、朝飯を平らげて出走準備に取り掛かりました。今回の戦装束ですが、大先生は新聞屋の文ちゃんです。



おなじみのブン屋さん。



「これ、あまり出番がなかったやつですね」 「ジロ・デ・淡路さんで見せびらかすのさ!」 フンス! と、大先生。さて、対するrenas先生はというと……



prprprprprprprprprprpr……



「あ、ぱる山ぱる子さn……」 「パルスィだ!」 疎ましいでお馴染みの、あの彼女でした。 「チーム地霊殿、ですね」 「ああ、そういえば」 そんな地獄感満載の我々は、まだ真っ暗なスタート地点に向かいます。ぽつぽつとヘッドライトの光が増えていき、駐車場まで来ると、夥しい数の自転車がそこにありました。 「ああ、本当にやるんだ……」 と、大先生は呟きました。雨の中を走るくらいなら、いっそのこと中止にしてくれた方が、なんて邪な考えもあったようです。ですが、既にスタート待ちの列が形成され、あとはスタートを待つばかり、という状態になっていました。 「諦めてください。ここまで来たら、雨でもなんでも走るんです」 「はぁぁ……」 という訳で、わたしとあんちょるタソは、出走準備に取り掛かりm…… 「……大先生」 「え、な、何?」 「……やっちゃいましたね?」 「へ?」 わたしの、ちょっとトゲを含んだ物言いに、最初、何のことかと慌てる大先生。そして、すぐにあることに気が付き、ダウンチューブに目をやり…… 「あ」 情けない声を上げました。もうお分かりですね。大先生は、またもやツールカンを忘れてきてしまいました。 確かに、ご自宅にあったことは確認できてます。しかし、それを積むのを忘れたようです。……というか、わたしも忘れてました。 前回は、まだ天気が良かったのでパンクの可能性は低かったのですが、この日は直前まで雨で路面はウェット。どうみてもゴミを拾いやすい環境です。幸い、インフレーターとタイヤレバーは別口の在庫があったのでそれで対処することにしましたが、肝心の替えチューブがありません。 「俺、持ってるけど?」 「うわぁぁぁぁ! ありがとぉぉぉぉっ!」 renas先生マジ神! とりあえず2本、借りることに成功しました。



スタート前なのに、この暗さ。



出走が近づいてくるにつれ、空はゆっくりと明るくなってきました。 「って、アレ?」 その割に、大先生のテンションはあんまり上がっていません。 「どうしたんですか?」 「いや、路面が濡れてるからなぁ、と」 大先生は仰います。濡れてるとパンクするから、と。 雨に強いハズのレースAですが、この間濡れた路面で小石を踏んでパンクさせてしまい、それ以来、大先生は雨に対して敏感になっています。しかも、天気予報はこれから降雨があることをハッキリと伝えていて、あとはどのタイミングで降り出すか、という問題になってきています。 「ということで、アレで行くか」 「アレ、やっちゃうんですか?」 佐渡でもやった、エイド飛ばしです。幸い、30キロ先の洲本までは、大きなアップダウンはありません、ぶっちゃけた話、ほぼ休憩しなくても問題ないエイドなのです。 「という訳で、最初の休憩は50キロ先の灘で」 「わかりました」 果たして、この作戦がどう出るのでしょうか。



では、行きますか。



5:51、スタートしました。 しばらくは国道28号線を南下していきます。大先生曰く、「脚慣らしの楽ちんルート」とのことです。ただし、路面はしっとりと濡れていて、なるべく路肩を走らないようにコース取りをします。 最初のエイドがある洲本までは、比較的事故が起きやすいポイントだとアナウンスがありました。スタート直後でそれほどばらつきが出ず、一列棒状での走行を強いられるからです。実際、大先生はかつて、一列棒状で先行者に追突したことがあったり、renas先生に至っては豪快に落車したこともありました。 平和観音寺の仏像を通過したあたりでも、まだ一列棒状の形態が続きます。大先生はタイミングを見て前に出たりしますが、序盤から脚を使いたくないようで、普段と比べて大人しめです。 「うーん、テンション上がらんなぁ」 「しっかりしてくださいよ」 ちなみに、そんな一列棒状の状態でも、大先生は可能な限り真後ろに付きません。斜め後ろに付きます。これは、衝突を避けるのと、ドラフティングを避けるためです。大先生曰く、「ドラフトしなくても、先行してる人に合わせられる」からドラフティングを避けるのだそうです。普段から単騎で走っている、大先生らしいお言葉です。 そんな感じで走ること1時間、洲本のエイドに到着しました。



洲本エイド。駐車場へ誘導される。



6:56、洲本エイドを通過しました。 淡路島ロングライドのエイドは、佐渡と異なり強制停車型で、必ず減速してエイドに入れられます。ただし、そこでの滞在時間は任意なので、大先生はわたしから降りることなく再スタートします。 「あ、renas先生ですよ!」 「今のところ、無事なようだな」 ちょうど出発時に、renas先生とすれ違いました。体調がよくない先生は、恐らく洲本で少々滞在するでしょう。大先生はその間に差を広げようと、少しだけ急ぎ目に走り出します。



さほど差はつかなかったか。



「この先はずっと登りが続きます。あまり無理しないように」 自衛隊の跡地あたりから、道はしばらく登り勾配になります。立川峠という別名が付いたこの区間は、大会期間中、車両通行止めの対応を取ってくれるようで、道幅一杯に蛇行しながら登っていけます。……けど、 「大先生、ペダルを踏みすぎです。もっと回すようにしないと」 「うーん、悪い癖がついたか?」 大先生はわたしのフレーム特性を活用するように比較的踏み込む乗り方をします。その結果、脚が売り切れる傾向があります。少なくとも、峯方峠のときと乗鞍の時は、そういった理由で脚を攣らせています。 最初の登りをクリアして、登り返しの坂も、やはり踏むような乗り方でこなします。下り勾配に転じ、海沿いの道へと至る下りに差し掛かったところで、 「……脚が攣った」 「ほらー……」 思わず呆れてしまいましたが、まだ被害が小さいうちに足を延ばしておきましょう。 海沿いの道に出て、ストレッチして痛みを散らす大先生ですが、ちょうどその頃、なんと晴れ間が出てきました。雨模様だと聞いていたのに、これはうれしい誤算です。 「大先生! 写真撮りましょう!」 わたしがお願いすると、大先生はイイ感じで写真を撮ってくれました。……ストレッチしながらですが。



グラビア撮影さ!



8:10、灘エイドに到着しました。 ここでは水分の補給と、脚攣り対策でバナナを所望し、15分でリスタートです。 「このエイド、足場が砂なんだよなぁ」 大先生はぶつぶつ言いながら、クリートに詰まった砂を叩き出しています。SPD−SLクリートならではの泣き所です。 「ここだけは改善を要求したい」 「次の慶野松原も、確か砂でしたね」 「えー……」 頑張ってトントンしてもらいましょう。 さて、灘を出てからは、ふたたびアップダウンが続きます。このあたり、平均斜度で9パーセント前後、最大斜度15パーセントに迫る、パンチのある登り坂が続きます。2年前に出場したときは、このあたりで自転車を押す参加者が多かったように記憶していますが、今回はそれほどでもなさそうです。参加者のレベルが向上したのでしょうか? 「たぶんスタートが早いからだと思う」 「あ、なるほど、今走ってるのは、エキスパート組ということですか」 スタートの時点で、わたしたちは最初のほうの列に並んでいました。そして、その後からどんどん列が増えていき、みたいなことになっていました。大先生は「推測だけど」と前置きしたうえで、 「押してるグループは、もっとスタートが遅いんじゃないか」 とも言っていました。



目の前に現れる激坂。



この大先生の推測は、あながち間違っていないような気がします。事実、2年前は、制限時間に余裕がないなー、と感じていましたが、今回はかなり時間に余裕があります。スタートが早かったから、という理由の辻褄も合います。 「このままのペースだと、どれくらいで走りきれるだろうか……?」 ざっくり計算すると、14時前にはゴールできそうです。 「あとは、どこで雨に降られるかか……」 などと言っているうちに、わたしたちは福良まで来ました。時刻は9:10、ペースとしてはなかなかなもんです。 「さあ、ジロ・デ・淡路さんに見せびらかすぜ!」 「……普通に閉まってますよ?」 「なんでだーっ!?」 2年前は私設エイドを開いてくださったジロ・デ・淡路さんですが、今回はおやすみでした。残念。



福良の街中にあります。詳しくはこちら



気を取り直して、南端部の登り区間に突入します。ここが実質、最後の登り区間ということになり、ここを攻略できれば8割がた終わったようなものです。 港町から県道25号に乗り換え、その直後から県道237号線の交点までがきつい登り区間になります。ここは、道の駅うずしおへと向かう動線にもなっていて、交通量が比較的多いのです。 「確か、2年前はここで押してる人が多かった」 「そう考えると、今回は比較的安全ですね」 出発が早かった恩恵が現れています。そのあと、交点を右折して高速のインターまで来てしまえば、あとは慶野松原まで下り基調です。晴れていれば、のどかな農村地帯を往く素敵なルートなのですが、今日はどうも雲行きがよろしくありません。灘のエイドでは晴れ間も出ていて、すわ降雨から逃げ切れるか、とも思ったのですが、坂を下れば下るほど、雲行きは悪化の一途をたどります。



さっきまでは晴れてたのになぁ。



「まずいな……」 大先生が呟きます。 「アクションカムの電源、外付けバッテリーから取ってるんだよなぁ」 USB給電している関係で、端子類が剥き出しなのです。こんなときに雨でも降ってきたら、それほど安価でないアクションカムが昇天してしまいm…… 「あーっ!? 降ってきましたよ!?」 「や、やべぇっ!?」



一気に来やがった。



大粒の雨でした。遂に雨脚に追いつかれてしまい、ほうほうの体で雨宿りできる場所を探します。幸い、水によるダメージはさほどなく、バッテリーパック給電に切り替え、ついでにヤマイドウ以来の、出来の悪い…… 「シモ・ヘイヘ禁止」 「えー、いいじゃないですかぁ」 はい、ポンチョモードに入りました(笑)。 雨脚はさらに強まり、路面には水たまりができ始めました。そこを多数の自動車も通るので、ことあるごとに水浸しになります。 泥と雨水にまみれながらひた走ると、やがて海岸線に出ます。ここまで来れば、あとは海岸沿いに北上をするだけで、ゴールまで辿り着けるのですが…… 「やる気出ない」 「頑張ってください!」 テンションが思い切り低くなった大先生を宥めすかし、ふたたび泥と雨水にまみれること十数分、10:20に慶野松原エイドに着きました。砂地でクリートが確実に詰まるだろう、慶野松原に。 「降りる気がしない」 「フラフラじゃないですか!」 ちなみに、慶野松原の時点で雨脚は絶頂期に入り、瞬く間にサドルバッグが湿っていきます。スマホと予備電池、そして財布をビニール袋に入れて即席の防水対策としましたが、 「壊れなきゃいいけど……」 大先生はしきりに心配なさっていました。



クリートには優しくないのです。



さて、慶野松原に到着する時間というのは、だいたい昼食時期になっている計算です。淡路島ロングライドは、オフィシャルから昼食のサービスがなく、代わりにエイドでの補給で対応するので、ここである程度お腹を満たしておくことになります。このときは、淡路島名物の手延べそうめんが供されていて、大先生は、 「わーい塩分塩分!」 ……なんて小躍りしながら、そうめんを大量摂取してました。また、淡路島名産のヨーグルトやプリンなども供されていて、飢えることとは無縁です。



麺類は自転車乗りを救うぜ。



そうめんを何杯もおかわりしながら、今後の展望を確認してみました。どうやら、今降っているこの雨は局地的なもののようで、慶野松原を過ぎると止むみたいです。言い換えれば、慶野松原周辺にだけ雨雲があるみたいで、残念ながらギリー・スーツという名のポンチョも、出番はあとわずかのようです。 このとき、renas先生は灘を出発して福良に差し掛かるかどうか、という位置まで来ているようです。先生もまた、ジロ・デ・淡路さんが閉まっていることに愕然としていることでしょう。 「……という訳で大先生、雨雲ももうすぐで抜けますから、頑張って走ってください」 「やれやれ」



このあと、雨は止んだ。



10:40、慶野松原を出発します。 淡路島の西側は、東側と異なり小さな集落を結ぶようなルートです。所々に海水浴場があったり、小さな商店があったりするくらいで、東側と比べると静かな印象です。 「県道31号線自体が、淡路の幹線じゃないからな」 「どちらかというと、裏街道、というようなイメージですよね」 やがて雨が上がり、路面も乾いてきました。こうなれば、我慢の走りから攻めの走りに転じることができます。大先生は景気よく飛ばしていきますが、ほかの参加者も考えていることは大体同じで、抜きつ抜かれつを繰り返していきます。 「ただ、平地で抜かれて、登り坂で抜き返す、みたいなことが増えた」 「結局、アベレージはトントン、といった所ですね」 僅かだが、アップダウンは存在します。ただし、今までの山場とは比べ物にならないほど、穏やかなアップダウンです。 こうして走ることおよそ1時間、11:30に、最後のエイドステーションになる多賀の浜に到着しました。



多賀の浜エイド着。



 ここではオニオンスープが定番で、まだそれほど混んでいないことをいいことに、大先生は何杯もおかわりをしていました。その頃renas先生は慶野松原を出発した後でした。 「30分も待っていれば、合流できると思いますが」 「よし、待つか」 ここで大休止に入ります。考えてみれば、renas先生は病み上がりの身。本来なら一緒に走ってあげるのが優しさ、というものなのではないでしょうか。……と大先生に進言したら、 「我々はロングライダーのトップ1パーセント。最強の最強だが、さらに鍛える!」 「ああ、またyama-sanネタが!?」 こうして、病み上がりのトップ1パーセントに属している、renas先生を待つことにしました。 多賀の浜のエイドでは、先述のオニオンスープのほかに、ちくわ、チューペットが2年前と同じく供されていました。しかし、何といっても有難いのは、頭からかぶってよい給水サービスです。暑いときはもちろんのこと、今回のように泥まみれになるような場合でも、身体の汚れを落とせるというのは、精神的にありがたいのです。大先生も頭から水をかぶり、泥と汗を流していきます。 「あー、生き返るー」 何とも気持ちよさそうですけど、できればわたしの泥も落としてほしいのですが……



renas先生も、まずは洗顔へ。



さて、renas先生は12:10に多賀の浜に到着しました。ここで合流後は、いつも通り大先生が前を引きます。 2015年の佐渡動画において、終盤のスパートとBGMのサビを合わせる、という荒業を修得したrenas先生は、事あるごとに大先生にアタックを要求します。そして、それに応えて大先生もアタックを決めるのですが、 「脹脛が痛い」 「だから踏みすぎなんですよ」 どうやら脚が終わってしまったようです。こうなってしまっては大先生の力だけではどうにもならないので、少しずつアシストをしていきます。幸い、信号で停まるようなシチェイションは殆どないので、速度が乗ったところで重ためなギアを選び、クランク回転を抑えながら走ることにします。ゼロスタートでこれをやると、一瞬で脚が終わりますが、勢いがついているので意外と負担は軽いような気がする、と大先生が仰っていました。そして、わたしのフレームの撓りが、程よく加速を手伝ってくれて、時速30キロほどでグイグイ進んでいきます。 多賀の浜から約30キロ進むと、遠く向こうに、巨大な建造物が現れました。そう、明s…… 「瀬戸大橋だ!」 「……大先生、いくらなんでも、renas先生の過去の過ちをつっつくのは、どうかと」 思わずわたしは窘めました。 「あれ、明石海峡大橋ですよね、マスター」 「……頼むからツッコまないでくれ」 はい、あんちょるタソも! 2年前には既に気が付いていたようです。マスターアップを終えた後で、修正ができなかった、とrenas先生は語っていました。まあ、かなり広義には、一応「瀬戸大橋」ってことで良いですね。 「エルコスさんも意外と責めるねぇ」 あ、気が付かれてしまいました(笑)。



瀬戸大橋(笑)が見えてきた。



13:35、最後の登りに差し掛かります。実はこのルート、道の駅と岩屋港を経由するルートだと、ほとんど高低差がありません。そのうえ、登りルートは淡路インターチェンジの動線になっているため、明らかに交通量が多いのです。なので、敢えてこのルートを選んだ理由は、 「ディレクターの趣味」 「初心者泣かせですよこれ……」 とはいえ、今までの登りを攻略できていれば、さほど難しい登りではありません。……疲労していなければ、の話ですが。 「ほら、大先生、アタック!」 「あのねぇ、脹脛が死んでるんだけど……」 うーん、大先生が明らかに衰えています。正確には、タイムは縮まったけど、バテるのが早い。これは、何とかしなければいけませんかねぇ? ちなみに登り坂は、淡路インターチェンジの手前でピークを迎え、あとは下りと平地だけ。ゴールの明石海峡公園には、13:54に到着しました。ゴール前の間隔調整、いわゆる「朝の京急」はもはやお約束、ですが…… 「あ、名字だけでしたね、呼ばれたの」 「間隔調整しくじったー」 ともあれ、無事ゴールです。お疲れ様でした。



ゴールだぜ。



こうして、2年ぶりの淡路島ロングライドは幕を閉じました。 病み上がりのrenas先生も無事完走でき、10月のサザンセトに弾みがついたことでしょう。 さて、わたしたちはお土産を手に、一路帰京をすることになるのですが、renas先生は翌日も休暇を取ったようで、明石で一泊して帰るようです。大先生はというと、火曜日に「絶対に外せない会議」があるとのことで、このまま運搬車に乗って帰ります…… けど、 「大丈夫なのですか? どう考えても居眠り運転しそうなんですが」 「心配ない。とりあえず遅刻の申請はしてあるので、今日は駿河の健康ランドで一泊する」 よかった。途中で休むのですね。ひとまずわたしは胸を撫で下ろしました。……ところが、このあと、renas先生から衝撃の一言が出ました。 「……あのさ、お願いがあるんだけど」 「なに?」 「あんちょる積んでってくれない?」 「工エエェェ('д'ノ)ノェェエエ工!?」 あんちょるタソが、驚愕の声を上げています。というか先生、神戸観光するのでは? 「いいの?」 「ちょっと乗れるだけの体力がない、というか持って帰る体力が……」 まあ、病み上がりですから。 もちろん、あんちょるタソが一台増えたところで、大先生の運搬車にとっては容易いこと。結局、あんちょるタソは、我々と一緒に帰京することとなりました。 「マスター、ひどい……」 「すまん」 こうして、西明石でrenas先生をパージした我々は、途中一泊を経て帰京したのでした。



翌朝、台風は絶好調に。







エルコスさんのマイピクチャ




道の駅で食べたハモ天丼がうまかったので。

今年もシルベストサイクルが協賛でした。

観音様の前を通過。

佐渡同様、淡路島はこの日、サイクリングモードになる。

ナイトスクープで小枝師匠がやってたね。

晴れたタイミングで外部電源に切り替えた。

雨がとんでもないことになってきたが……

なんとかゴールです。








思わず吹いちまった、renas先生によるキンプリ解説。みんなでセロリ食おうぜ!






エルコスさん日記7のテキストファイルはこちら。手直ししたら随時更新(連絡なし)










TITLE:台風がやってくるぜ。
UPDATE:2016/10/03
URL:http://y-maru.sakura.ne.jp/231_awa2016/awa2016.html