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209:エルコスさん日記3〜激闘! ビワイチ〜



どちらかというと激闘っぽいことは何一つしてません。







エルコスさん日記(ほぼ大先生目線)


「……え、大先生。今なんて?」
「だから、今年の連休は恐らく全滅だろう」
  ……なんてやりとりから始まる、私とエルコスさんの会話。要約すると、今年のゴールデンウィークは、色々予定が立て込んでいて、遠出はほぼ期待できない、ということだ。
「そ、そんなぁ……」
  落胆の色を隠さないエルコスさん。まあそりゃ、言いたい気持ちもわかる。ただでさえ通勤時の出番がなくなり、ようやくどこかへ行ける、と気合いを入れた矢先に、このざまだ。しかも、
「確かに3日に職場の後輩が結婚式をブチ込んできた。それが終わったあと、4日から6日までは休みだ。しかし、天気予報を見てみなさい」
「うぅぅ……」   悔しそうに、呻くエルコスさん。天気予報を写し出すモニタには、しっかりと傘マークが。さすがに彼女も、雨の日には走りたくないようだ。
「まあ、黙っていても二週間後には佐渡があるんだし」
「はぁ……」
  という訳で、不本意ながら今年の大型連休は、どこにも出歩かない予定でいたのだった。


  そう、直前までは。


  5月1日、職場の飲み会があり、その会場まで移動するあいだ、私はあるウェブサイトを眺めていた。そのページにはこう書いてあった。


  ビワイチ、と。


  ビワイチ、こと琵琶湖一周は、関西圏の自転車乗りにおいては知らぬ方がおかしい、という程度のメジャーさで、関東圏からも足を運ぶサイクリストが多いと聞く。私は当初、後輩の結婚式参加の翌日に、買ったばかりの運搬車で滋賀入りし、5日に一日かけて一周し、6日に帰還するプランを立てていた。しかし先述の通り、5日は全国的に雨模様のようで、色々考えた結果、冒頭のような残念な会話となったのであった。
  ビワイチに要する日数は、公式ウェブサイトによれば、常識的に2泊3日なのだという。ちょっと速い人でも1泊2日。参考までに、フルビワイチ、と呼ばれる琵琶湖一周コースの総距離はおよそ200キロ程度。そこでふと、思ってしまったのだ。
「これ……  日帰り行けるんじゃないか?」
  と。ちなみに、そういう人もいるらしく、しかしそういう人は、「走り屋」とか「飛ばし屋」にカテゴライズされるのだという。


  上等じゃん?


  気がつくと、私は魔法のカード片手に、券売機の前に立っていたのだった。






上野駅。





  翌早朝、ようやく空が明るくなりだした、早朝5時10分。
「エルコスさん起きろ。そして、行くぞ」
「……ふぇ?」
  半目でぼんやり宙を眺める彼女を叩き起こし、サドルバッグを括り付ければ準備は完了。まだまだ眠そうな彼女に跨がり、一路上野駅へ。
「だ、大先生?  どこに行くんですか?」
  彼女は問う。明らかな戸惑いと共に。
「言っても信じないだろ?」
  私は返す。そして彼女がさらに返す。
「そのハリー・キャラハンネタ、知ってる人は少な……  ぎゃぁぁぁぁ!  大先生、犬のUNKが!」
「へ、……うわぁぁぁぁぁっ!?」
  危ない危ない。危うくUNKの上で輪行を始めるところだった。連休初日の上野駅。至るところがデンジャラスである。
  輪行を終えて、薄青色の電車に乗って揺られること4駅、東京駅までやって来た。
「それで大先生、言ったら信じるので、行き先を教えてくださいな」
  と、エルコスさん。そこで、ようやく概要を説明することにした。
「ビワイチをやる。ただし、翌日には結婚式があるから、最終に間に合うように走ることが条件だが」
「それだと……  東京駅の始発に乗って、米原着が8時くらい。走りはじめが8時半くらいとして、およそ12時間ですね」
「調べたら、東京行きの最終が、米原発21時くらいになりそうなんだ。それまでには一周を終わらせなくちゃいけない」
「なかなかハードですね。勝ち目はあるんですか?」
「強いて言えば、不安要素は久しぶりの200キロだ、ということくらいだな。コースは平均的にまったいららしいし」
  まあ、何とかなるかしら。これがエルコスさんの、このときの評であった。
「ただし、問題がある。かなり切実な問題だ」
「なんですか?」
「……名古屋で乗り換えるんだが、そもそも名古屋に着けるんだろうか?」
「うぁ……」
  私とエルコスさんの目の前では、始発である6:00発のぞみ1号に乗ろうとしている大勢の客でごった返していたのだ。






大混雑。





「大先生!  これムリですよぉ」
  ええい、泣き言なんて聞きたくない。乗れないなら、乗れる号車を探すまでだ!
  そうやって乗り込んだのが6号車のデッキだった。のぞみ号の自由席は1号車から3号車までと少ないのだが、始発の時点でデッキが満席という、大型連休を象徴するような状態になっていた。こういった状態の時、私は迷わず指定席のデッキに飛び込む。厳密にはアウトなんだろうが、少なくとも自由席のそれよりかはスペース的に余裕ができる。かくして、6号車のデッキに飛び込み、そして同じような考えでデッキ立客が溢れ、さらにはご同業が輪行袋を持ち込み、デッキはちょっとした満員電車状態に。
「だいせんせぇ〜」
「我慢しなさい」
「これじゃ、家で寝てた方が良かったかもしれません……」
  諦めてほしい。あなたのマスターは、こういう人なのだ。






デッキはご覧の状態だった。





  ほぼ満員の新幹線は、定刻通りの運転を目指すべく、全速力で西にカッ飛んでいく。デッキは相変わらずの混雑ぶりだが、新横浜を出てしまえば、次に停まる名古屋まで人の出入りはほぼなくなる……
「なんで人の通りがあるんですかね?」
「トイレじゃないか?」
  そう、ぎゅうぎゅう詰めのデッキを、時おり人が通過するのだ。
「うう、できれば遠慮してほしいです」
  と、彼女は言う。さきほどから彼女は、通りがかりの人にタックルされたり、キャリーバッグでどつかれたり、と散々なメに遭っているのだ。
「あ、車内販売が来た」
「いやぁぁぁぁぁぁ!」
  案の定、エルコスさんは車販カートにどつかれていた。
「ほれほれ、道を開けないと車販のお姉さんに、『ついでにエルコスさんもいかがですか?』って、知らない人にドナドナされちゃうかもしれ……」
「縁起でもないこと言わないでください!  てか、そういう時は守ってほしいんですけど!」
  すっかり涙目の彼女。そういや考えてみたら、彼女は今まで、デッキ立客レベルの列車に乗ったことってなかったか。私は過去に何度も経験があるが。……まあ、これを機に、こういうのにも慣れてほしいと思っているわけで。
  さて、新幹線は定刻通り名古屋に到着。のぞみ号は米原に停まらないので、ここでひかり号に乗り換える。名古屋駅はこういった緩急接続ができるような構造になっているので便利だ。2分の乗り換え時間であったが、のぞみ号の満員電車は収まらず、結局4分ほど遅れての出発となった。私としては、ようやく朝飯が確保できて有り難かったし、エルコスさんもぎゅうぎゅう詰めから解放されてひと安心の様子。




米原駅到着。



  名古屋を出発して30分だが、少しゆったりできた。7:59、米原駅着。西口に降り立つと、駅前のロータリーにはご同業が多数。同じデッキに自転車を置いていたビアンキの人もセットアップを終えていた。
  こちらものんびりセットアップを終えて、アイウェアを装着して準備完了。
「いい天気ですね」
  ようやく機嫌が直ったエルコスさんが、嬉しそうな声をあげた。
「な、来てよかっただろう?」
  と、私も返す。
  8:30米原駅を出発。まずは手頃なコンビニで水分補給……
「コンビニ、ないですね」
「というか店がないな」
  こんなに何もない街だったのか米原ってのは。一応、交通の要衝だぞ?
  国道8号バイパス沿いにようやくコンビニを見つけ、ここで物資の補給。まずは道の駅近江母の郷を目指すべく、ルートを確認する。スマートフォン導入してから、紙地図が不要になって便利になった。何より荷物が減らせる。
「湖沿いの道に出て、右に曲がってすぐですね」
  ということで、早速向かう。
  入江橋交差点まで来ると、ようやく琵琶湖をその目に捉えることができる。その雄大な景色を見て、エルコスさんが一言。
「これ……  今日中に本当に回れるんですか?」
  ……と。




ひたすらデカい。



  確かに、対岸はうっすら見えるが、南北方向を見渡してみても陸地っぽいものは見えないか、かろうじて見える程度。琵琶湖南北を区切る琵琶湖大橋なんて、当然ながら見えないし。
「珍しいな、ビビってんのか?」
  私は軽口を叩いてみた。彼女は言った。
「はい、実はちょっとだけビビってます」
  へぇ。珍しいなぁ。エルコスさんがそんなこと言うなんて。
  まあ、いざとなれば途中離脱したっていいんだ。私は言う。彼女のトップチューブを撫でながら。
「ま、気楽に行こうや。頼むぜエルコスさん」
「……はい!」
  こうして、私たちはスタートを切った。


  ビワイチを滋賀県の観光資源とすべく、ビワイチの公式ウェブサイトが頑張っている。今回はその公式でやっている、チェックポイントを回るルートを選んでみた。それによると、琵琶湖一周の数ヵ所にあるチェックポイントで出題される問題に答え、4箇所以上クリアすれば琵琶湖一周を認定され、有料の認定書が発行されるのだという。それを見てたとき、エルコスさんがこう言った。
「これって、認定証が届いてからお金振り込むんですね」
「そうだねぇ……」
  二人して顔を見合わせ、
「一人はバックレそうな感じですね」
「まあ、自転車乗りに悪い人はいない、って考えなんだろうね」
  そうなのだ。認定証が届くのが先なのだ。物騒な世の中にあっては随分気前のよいサービスなのである。
  バックレるかどうかは愚問として、私たちはもちろん、コンプリートを目指す。という訳で、最初のチェックポイント、道の駅近江母の郷に到着。ここで携帯端末を使いウェブサイトにアクセス。問題の答えを送信するのだが……
「な、難易度高くないですか!?」
「正直わかんねー!」
  問題の答えは、おそらくチェックポイント周辺に隠されているのだろうが、それを探す時間が惜しいのと、万一チェックポイントのある施設が時間外で閉まってるときなど、答えを探しようがないではないか。
「どうしますか?」
「……エルコスさん、知らないの?」
「まあ、知ってますけどね」
  ちなみに、このチェックポイントの問いにある天野川には、ゲンジホタルが群生している。てか、よく知ってるなエルコスさん。
「ぶっちゃけた話、スマホ持ってるならグーグル先生あたりに聞いてもいいのでは?」
「……身も蓋もないなそれ」
  とりあえず禁止されているわけではないようなので、本当に困ったらそのようにしたら良いんじゃないかな、と思う。余談だが、琵琶湖にはこの天野川をはじめ、実に四〇〇以上の大小河川が琵琶湖に繋がっていて、日本一広い湖に水を湛えている。


  次のチェックポイントがある長浜港へと急ぐ。琵琶湖の広大さは筆舌難いものがあり、あちこちに港があって、観光船が運行されているほど。ふたつめのチェックッポイントはそこにある。
  時速30キロほどで流していると、多くのご同業とすれ違うことが多くなる。それと同時に、追い抜いていくご同業も。




ご同業と共に。



「速いですねー」
「たぶん全体的に巡航速度は速めだね」
  ただし、それらは大概トレインを組んでいる。どうやら練習コースとしても活用されているっぽい。こちらはいつも通り単騎で、時速30キロあたりを維持しながら淡々と走る。淡々と、とあるが、左手に見える琵琶湖の景色は、まあ正直言ってほとんど変化がない。
「つまり、退屈だ、と」
  エルコスさんは納得した。なるほど、それで先ほど追い抜いた女性のご同業が、外付けスピーカで音楽全開で走っていたんですね、と。
  そんな退屈さを我慢すれば、おおよそ5キロほどで長浜港。観光船の乗り場のところに貼ってあったので、問題を解k……
「長浜城なんて知るかーっ!  サルって何だよ!?」
「大先生、いくらなんでもそれ知らないとちょっと……」
  正直、歴史より地理のほうが好きなんだもん。日本限定だけど。


  次のチェックポイントは道の駅湖北みずどりステーション。県道331を北上していく。このあたりまで来ると長浜市街の喧騒が消え去り、交通量の少ない快走ロードとなる。遠くに賤ヶ岳を見ながら、追いついたご同業のシリにタダ乗りする。
「ズルいですねー」
「ちょっと追い抜くだけの脚がない」
「またまたぁ。走り出したばかりですよ?」
  まあ、今日の行程は200キロにもなるのだ。ここらで足を温存しておくのも必要だろう。……とか自己肯定していたら、サイコンの表示が何かおかしい。




明らかにおかしい数値が出ている。



「壊れましたかね?  日頃の行いかも……」
「いやいやいやいや。そんなハズは……」
  何かの電波障害を受けてるっぽいのだけど、それらしいものは見当たらず。このテのトラブルは、近くに自動ドアがあったり、GPS機能のある別のガシェットが動作しているときに出てくるものだ。過去にrenas先生が同じトラブルを発症させていた。
「うーん、なんですかねぇ?」
「まあ、走れないわけではないから、とりあえず進もう」
  ……ということで、そのまま次のチェックポイントへ。この先、道は琵琶湖から一度離れ、賤ヶ岳の縁を通るように湖をぐるりと回るようにルートを取る。今回のルートで唯一、まともな山岳ルートとなり、本格的な登りも始まる。
「大先生、見てください!  『超』急カーブだそうですよ(笑)」




超・急カーブ



  うん、『超』急カーブだな。
「攻め甲斐があるぜ」
「……普通に90°カーブでしたね」
  なんて感じで走ること暫し。後続からトレイン組んだ集団に追い抜かれ、それについていくこと暫しで大音交差点に到着。ここから国道8号線へ舵を切るのだが、
「あれ、国道に行く人と、側道に行く人の二手に分かれましたね」
「ははぁ、これはアレかもな」
  以前読んだことがあるのだが、ビワイチの最難関ポイントである賤ヶ岳トンネルは、自転車で走ることを推奨されていないそうだ。ではどうするかというと、その一本隣にある県道514号線で迂回する、というものらしい。




最初の山越え前。このあと前走者を抜く。



「ここって確か、旧8号ですよね」
「まあ、地図を見ても判る通り、賤ヶ岳トンネルができる前の道だよ」
  しばらくは田園の中を抜けるのんびりした道。しかしすぐに、まあまあな斜度の登りが始まる。とはいえ距離にして500m程度で、それほどの難易度ではない。……のだが、
「抜きましたね」
「抜いたねぇ」
  そう、さきほど仏契にされたトレイン集団を追い抜いてしまったのだ。エルコスさんに乗り換えてから、こういったことが往々にしてある。
「つまり、わたしに乗り換えてから、平地の巡航速度は落ちたけど、登りの巡航速度は上がった、と」
「まあ、そういうことになるな」
「晶さんのときはどうだったんですか?」
「面白いくらいに、真逆だったよ」
  なんて会話している間に、賤ヶ岳隧道に到着。照明が落ちたトンネル内をおっかなびっくり通り抜ければ、琵琶湖の絶景ポイントに。
「わー、綺麗ですね……  って、大先生!?」
「いやー、人がいたからスルーしちゃった」
  絶景ポイントには人だかりが出来ていた。こういうところで迂闊に停まって写真でも撮ろうものなら、速攻で会話攻めに遭いそうだったが故のスルー。もっと社交的にならないとなぁ、とも思うのだが、自転車の世界は独創的な方が多いので、なんとなく会話していると疲れちゃう、というも事実。それならば絶景をバックに走り続けた方が楽しいね、ということで下り区間に突入。
「気を付けてくださいね!  路面が荒れてますよ!」
  見ればわかるさ。結構、枯葉が路面に散らばっていて、うっかり乗っかろうものなら簡単に足を掬われる。できるだけ道路の中央を狙い、かつ対向車の障害とならないようにクリアしていく。しかし、この区間の登りは500m程度しかなかったことから、この下り区間もすぐに終わりとなり、ふたたびR8へ。しかしこのあとすぐ、飯浦交差点から県道336方面へ曲がる。地図を見る限り、このあたりは琵琶湖の縁をなぞるように走り、かつアップダウンが多そうに見える。事実、この先にある奥琵琶湖パークウェイは、明らかに等高線を跨いでいる個所がある。
「ガツンとした登りだったらヤだなぁ」
  なんて弱気なことを言っていたが、実際に走ってみると、
「ガツン、どころか、ふんわりですね」
「登りなんてないじゃん」
  そうなのだ、ド平坦だったのだ。
「いい感じですね。琵琶湖といい、空といい、新緑といい」
「いい流れで来ているな」




琵琶湖の北限を往く。県道336にて。



  すっかりゴキゲンの我々。塩津交差点手前のコンビニで補給を済ませ、R303へと向かう。そういえば、コンビニでは『ビワイチ』とプリントされたポロシャツ高校生の集団と出くわした。滋賀県民の2人に1人がビワイチ経験者、という都市伝説は、真なのだろうか。
  R303に入ってすぐに、県道512方面からご同業が多数やって来る。あちらには奥琵琶湖パークウェイがあるから、恐らくは逆打ち組なのだろう、とか思っていたら、そのご同業は迷わず永原方面、すなわち私たちと同じ方向に曲がり出した。
「……なんで?」
「トレーニングなんじゃないですか?」
  ちなみに、交点から先には、ちょいとウンザリするような登り勾配が待ち構えていた。奥琵琶湖パークウェイは(おそらく)結構な上り下りがありそうなので、エルコスさんが言うようにトレーニング目的なのかもしれない。とりあえず、無心でクランクを回して岩熊トンネルをクリア。さすが大型トラックも通る国道だけあって、下り区間は安定かつ綺麗な道で、しっかりとヒャッハー!  した。湖西線の線路を潜った先で左に曲がり、しばらく進むと永原駅の看板が現れる。これで4か所目。問題をクリアしt……
「だから知るかーっ!?」
「ああ、ウサギさんがおいしいアレですね」
  ウサギが、おいしい……?
「……トエイの薄い本?」
「……大先生、アルナムネタわかる人って、今どれくらいいるんですかね?」
  大丈夫、renas先生ならわかってくれる。だからお願いだからそんな目で見ないで。




まずはノルマ達成。



  まあ何はともあれ、4箇所目をクリアして、認定書発行の基準は満たした。しかし目指すはコンプリートなので、私たちは旅を続ける。そしていよいよ、西岸区間に突入である。


  さて、ここからマキノまでは、流れが速いR303でショートカットしようか、とも思ったのだが、距離的には旧道である県道557でも変わらないし、それにどうせなら風光明媚なところを走りたい、ということで後者を選択。
「登りだったらどうしますか?」
「それはそのとき考える」
  という感じで見切り発車。すると、すぐに県道513との交点、大浦交差点を通過。そこでさきほどの謎が解けた。
「一方通行だったんだね」
「しかも、自転車も対象みたいですね」
  そう、奥琵琶湖パークウェイは、開通期間中は岩熊方面への一方通行指定となっていたのだ。しかも、自転車ですら例外ではない。恐らくこうなった理由としては、事故が多発したか、マナーが悪くなったかのどちらかだろう。
「乗鞍、みたいなもんですかね?」
「ちょっと違うけど、……まあ似たようなものかもね」
  過去にはビワイチ中に自転車事故で亡くなった人もいると聞く。敢えて言おう。「王道を往け」と。
「百分の一秒だとか、コンマ一秒だとか、ちっちぇえこと言ってんじゃねぇよ、と」
「ふふふ、大先生らしいですね」
「というか、俺に覇道はムリ!」
  二人してケラケラ笑いながらの県道557。その行いが良かったのか、この道はR303の旧道ゆえに路面が安定していて走りやすく、しかもほぼ平坦という素晴らしい道。桜の時期は混雑必至というが、ゴールデンウィークであるこの時期は交通量も少なく、自由なペースで走ることができる。なんなら途中で自転車を停め、琵琶湖に足を投げ出してゴロ寝でも、なんてのも素敵だろう。
「まあ、我々は時間がないから先に進むけどね」
「あらー残念」




このあたりは佐渡の東側に雰囲気が似ていると思う。



  古い町並みを残す海津を左折。そこから湖岸道路を経由して近江今津エリアへ。西岸はR161沿いに走るが、大規模にバイパス化された国道は、一部自転車で走るのに向いていない箇所があるので、できれば脇道に逸れたい。私たちも定石通りに県道54号湖周道路方面へと舵を切った。


  交通量の多かったR161から一転、湖周道路はクルマやバイクの往来が一気に減り、静かになる。快走、といえば快走だが、昼近くなって気温は一気に上昇。ボトルの水もすぐに乾涸びるという状態に。とここで、ふたたびサイコンのトラブルが。
「いくら何だってこれが時速8キロなわけねーだろwww」
  しかし目の前の表示は明らかにヒトケタの数字。やはりどう見回しても妨害電波を出していそうなものはない。ということは、原因は自分か……?
「大先生、もしかしてそのアクションカムでは?」
  エルコスさんが指摘する。確かに、車載動画撮影用にアクションカムを、サイコンのすぐ近くにセットしているが。
  試しに遠ざけてみたら、サイコンは普通に動き出した。なんてこった。
「まあ、よくある事ですしね」
  とはいえ、これで走行距離に多少の誤差が出たのも事実。まあ、表示された数値よりも多く走っていることに違いないのだが。
  今津港のチェックポイントに着いたのが11:37。ここをクリアすると、風車村、近江高島駅、志賀駅と3連続でチェックポイントを攻略していくことになる。次のしんあさひ風車村では、あまりにも暑くてソフトクリームで涼をとる。
「見てみて大先生!  風車ですよ風車!」




エルコスさんもはしゃぐほどの絶景。



  はしゃぐエルコスさん。花菱草と風車が画になって、なかなかよいではないか。……まあおっさん的には花より団子なワケですが。ちなみにここでは、レストランが営業しているほか、連休中はお弁当販売なんかもあって、ピクニック気分で遊びに来るのも悪くない。
  しばし涼をとって鋭気を養ってから、次のチェックポイントへと向かう。……のだが、
「ん?」
「どうしました?」
「……いや」
  走り始めて少しして、ふとあることに気付いた。とはいえ、距離的にもここでそれが出るなんてことは過去の例からして有り得ない。たぶん気のせいだろう。安曇川からの景色が素晴らしくてパチパチ写真を撮りながら南下しながら、先を急ぐ。
  でっかいガリバー像が建っている近江高島駅へは12:46到着。ここで昼食をがっつき、次のルートを探る。どうやらしばらくは交通量の多い国道沿いを走ることになりそうだ。
「ところで大先生、さっきは何か?」
「ん、ああ……  たぶん気のせい」
「……?」
  いや、正確には、気のせいであってほしい、だ。何せ、まだここまで、100キロも走っていないのだから。
  気を取り直して再出発。交通量は増加傾向で、常に後方のクルマを意識した走りが求められる。こういうのには慣れているが、まあ神経がゴリゴリすり減らされるので、できれば交通量の少ない道に行きたい。そんなことを考えているうちに大津市へと入り、県道601号の看板をみつけた。びわ湖レイクサイド自転車道と銘打たれた赤い舗装のその道は、それ沿いにまっすぐ走っていけば、次のチェックポイントである志賀駅に辿り着けるというものだ。お世辞にも走りやすい道という訳ではないが、交通量はほぼゼロになる。そして、同じことを考えるのか、ご同業も多くここを通る。
「ほぉ……」
  徐に、私は自転車を停めた。訝しむエルコスさん。
「どうしました?」
「いや、見てみ」
  私は右を向く。彼女もそれに倣う。
「あ……」




比良山地を遠くに見て。



  そこには、滋賀と京都の境界でもある、比良山地がどこまでも伸びていた。空の蒼、山の翠、思い出したかのように浮かぶ雲の皓。そしてそれらが、眼前にグッと迫ってくるような、そんな感じ。私の一番好きな景色だ。
「エルコスさん、ちょっと写真撮ってっていい?」
「もちろんですよ」
  こうして撮った写真がここにある。ミラーレス一眼持ってきていて良かった。
  そんな絶景ポイントからすぐのところに志賀駅はある。滋賀県だが、ここのは志賀。よく間違える漢字のトップ1パーセントには入ってそうな、そんな名前だ。
「これで西岸のすべてのチェックポイントは攻略したな」
「次は大津港ですね」
  そう、次のチェックポイントは異様に遠いのだ。恐らく(琵琶湖大橋を通らない場合で)志賀駅と大津港のあいだが距離としては一番長いのではないか、というくらい。
「なんでこんな配置になったと思う?」
「考えられるのは、予想以上にハーフビワイチを目指す方が多いということですかね」
「そこからさらにひも解くと、だ。たぶん堅田から先は市街地然となるんじゃないかな」
  果たしてその予想は的中することとなる。しかしこのときはまだそんなこと知る由もなく、湖沿いの細道をのんびりと走る。強烈な違和感と共に。
  エルコスさんには黙っているが、実は先ほどから左足太腿にちょっとした違和感を感じていた。痙攣、というよりかは筋肉痛に近いのだろうか、クランクを回すとズキズキする。脚は動くがそのたびにピクリピクリと痛みが走るような、そんな感じ。
「……大先生?」
「んん?」
「ペダリングがおかしいですね、脚、何かしたんですか?」
「あー……」
  疑問形で聞いてはいるが、的確に不調を言い当ててくる辺りはさすがエルコスさん。こうなっては隠しようがない。おとなしく白状をする。
「ただ、致命的にどうの、ということじゃないから、もう少し様子を見てみようと思う」
「わかりました。でも、無理はダメですからね」
  しっかり釘を刺された。そうこうしているうちに市街地然としてきた湖周ルートは、琵琶湖大橋のところでちょうど100キロをカウントした。意外と遠く感じたが、それでもまだまだ行程の半分だ。そしてここから市街地然となり、交通量は今までの比じゃないほどに膨れ上がる。大津港まであと14キロほどの距離まで来たが、これ本当にあと100キロ近く走るのだろうか。
  ボトルの中身がカラになって久しい。そろそろ補給をしなければ、というタイミングで、丸亀製麺を発見。
「ちょっと寄ってく」
「え、もうお腹空いたんですか?」
  さっき食べたばかりなのに、と言いたげなエルコスさん。しかし補給は重要な要素だ。もっとも、私の目的は別のところにあったのだが。
「ちょっと、塩分補給してくる」
「は、え、塩分!?」
  頼んだのは冷かけうどん。冷たいダシをたんまり飲み干し、それでも飽き足らず、ダシだけおかわりしてきっちり塩分を補給する。この日、全国的に夏日となっていて、黙っていても汗で塩分が排出される。これがヒドくなると脚を攣らせたり、熱中症に陥ったりする。そうならないためにも、しっかり塩分を取っておきたかったのだ。
「おまたせー」
「おいしかったですか?」
「ああ。エルコスさんにも飲ませたいくr……」
「わたしを殺す気ですか!?」
  メタなネタだが、実にもったいない仕様だなぁ。




もうすぐ大津港に着く。



  やがてハイカラな建物が見えてくると、そこが大津の市街地。石山坂本線が見えてくると、大津港はすぐ目の前だ。交差点を左折して、遊覧船乗り場に到着。ここで通過チェックを受けるのだが……
「……わからん」
  探し方が甘かったのか、まったくヒントになるようなものがなかった。
「ごめんなさい、ちょっとわたしも判らないです」
  と、エルコスさん。仕方ない、文明の利器という名のチョンボを犯すことにした。これによって答えが判り、無事に通過チェックは完了したが、しかしちょっと問題難しくないかなぁ、と思う。


  いよいよ折り返しである。残りは推定70キロくらい、……だと信じたい。念のためにと、薬局で消炎クリームを買って、入念にマッサージを施す。一日中、炎天下にいたおかげで、足は日焼け跡がクッキリ残っていた。
「大丈夫ですか?」
  心配そうに、エルコスさん。でも、その言葉の奥にあるのは――――
「おかしいな。俺には『まだ行けますね』って聞こえるけど」
  彼女はクスリと笑い、
「わかりますか?」
  そう一言だけ答えた。こんなことで打ち切るようなマスターでないことは、充分ご理解いただけているようだ。
  とりあえず脚のほうは、休み休み回せば何とか持ちそうだということと、ギア比を落として足に負荷をかけないような乗り方を心がければ、幾分かマシになる、ということを悟った。距離と時間を逆算すれば、余程のマシントラブルさえ無ければ走り切れる計算だ。ただし、時間的な余裕はあまりない。
「さ、行こうか」
「はい」
  西の空に夕日が沈みかけ、琵琶湖を幻想的に照らすなか、いよいよ終盤戦に突入した。






瀬田川大橋から琵琶湖方面を望む。



  さて、琵琶湖は南端部分から瀬田川となり、大きく南を回りながら宇治川と名前を変え、最後には淀川となって大阪湾に注がれる。琵琶湖の南限には近江大橋、瀬田川大橋とふたつの橋が架けられているが、どちらが琵琶湖の南限なのであろうか、というのはいつも考えさせられる。エルコスさん曰く、
「法的にはどちらも『淀川』なので、厳密には境界は存在しないようです」
「え、琵琶湖って川なの?」
「法的には、ですけどね」
  そして、こう付け加えてくれた。
「ですけど、管轄の問題とか何とかで、一応決まってはあるようです。通り過ぎちゃいましたけど」
「え、マジで!?」
「戻りますか?  脚、痛そうですけど」
「ぐぬぬ……」
  ちょっと無駄な行程は踏みたくないなぁ。ということで、エルコスさんが答え合わせ。
「JRの鉄橋からちょっと湖のほうに行った辺りに境界があるようです。一応、看板も建ってますし」
  それは気づかなかった。でも、次に来る時のために取っておこう。そうでもしないと、また訪れよう、なんて気にならなくなっちゃうし。
  ここからゴールの米原駅までは、ほぼ湖の縁を往くルートで、太陽も絶好の西日で湖面を照らし続ける。相変わらず脚は痛いが、走れないほどではない。のだが、ここにきてもう一つトラブルが。
「なんでこういう時に限って向かい風なんだよぉぉぉ」
  そう、風が出てきたのだ。そして、
「シ、シリが痛い……」
  レーパンが擦れてきたようだ。
「なんかもう、ボロボロですね」
  エルコスさんも呆れ声だ。ほうほうの体で道の駅草津に到着したのが16:23。マッサージを施して再出発。いよいよロバート先生の匂いもし出した。
「彦根まであと42キロですね」
「今日に限っていえば、とんでもなく遠く感じられるよ」
  17:03、ラフォーレ琵琶湖着。これで、残るチェックは2か所。もう一度入念にストレッチとマッサージ、そして擦れて痛いシリにメンソレータムを、これでもか!  と練りこんでから出発する。
「ちょっ、大先生、メンソレータム臭い……」
「すまんが諦めてくれ」
  それくらい切実な状態になっていたようだ。




このあたりは北海道を髣髴させるような荒涼感。



  野洲川を渡り、野洲市へ。このあたり、ときどき思い出したかのようにコンビニが現れる以外、商店はおろか建物らしい建物など見当たらず、物凄い辺境感を味わうことができる。まだ交通があるからよいが、それすらもなくなったら、いよいよ身の危険を感じてしまうだろう。
  彦根まであと26キロ。脚の痛みはピークに。
「大先生、一度コンビニに入りましょう!」
  何とも絶妙な位置にあったコンビニで休憩。もう一度念入りに足をほぐす。脚はズキズキ、シリはヒリヒリ、そして腕も肩も程よく疲れてきた。それでも、まだゴールまでは26キロある。
  あと、26キロ。26キロで終わる。この脚の痛みも、シリの痛みも、あと26キロで……
「……あー終わっちゃうんだー、つまんねーなー」
「え?」
  エルコスさんが声を上げた。
「大先生、今、なんて?」
「……え?  いや、だからさ、もう終わっちゃうんだ、って」
  考えてみれば、本当ならこの旅は、三日後あたりにやっている予定だった。しかし、後輩の結婚式があったり、天気が崩れたりで、たまたま前倒ししたに過ぎない。しかも、色々な予定がある中を、縫って、である。
  どうせなら、テントでいいから一泊して、のんびりと走りたかった。
「ま、でも、いいか……」
  これで一生涯、大型連休がなくなるという訳ではないのだ。たまたま今年の連休がこういう日程になり、たまたま強行スケジュールで来た、というだけの話なのだ。
  またいつか、もう一回来ればいいだけの話なのだから。
「また連休になったら、来ようか」
  私はエルコスさんに問うた。もちろん、彼女の返事は――――






陽の光も徐々に沈んでいき。



  すっかり陽が落ちた。若宮神社脇の交差点から農道に入り込む。能登川水車のチェックポイントだけは、琵琶湖のほとりになく、ちょっと頓智を利かさないといけない。あらかじめ警戒していたお陰で、ここは問題なくクリア。ケモノの匂いがプンプンする中を、ひたすらまっすぐ走る。
「それにしても、面白いですね」
  唐突に、エルコスさん。
「湖ってイメージが強かったから、最後の最後で牧場というのが」
  確かに、言い得て妙だと思う。
  大同川にぶつかり、湖の方に少し戻ると、遠くに巨大な水車が見えてきた。電気屋の私的には、開放周流型水車、というヤツだ。しかし、それにしても……




これがその水車。



「でかいですね」
「こんなに巨大なやつは俺も初めてかも」
  見ると、直径13メートルもあるらしい。ここのチェックは、南側にある水車資料館の入口脇にある、最初、水車の近くだろうか、とカヌーランドの建物のほうを探してみたが見つからなかったので、おっかしいなぁ、と調べてみて、ようやく見つけたのだった。ただし、自転車の乗り入れはできず、
「ちょっと留守番しててくれ」
  と、エルコスさんを置き去りにしてチェック。これで残すは彦根港のみとなった。
  大同川水門の上を通り、県道25に復帰したときには、既に周囲は真っ暗。普段は使うことがないジェントスのスイッチを入れた。地図上では、彦根港までは約16キロ。そこまではひたすら一本道で、途中信号なども数えるほどしかない。
  痛む脚を宥めすかせながら、巡航速度は時速25キロか、26キロか。ずいぶんと弱りはしたが、時々思い出したかのように現れる橋への登り坂で速度は落ちない。そして意外なことに、数台のご同業を追い抜いた。こんな真っ暗になっていても、まだ走ることをやめない人がいたとは。
「方向的には、米原を目指してますね」
「もしかしたら我々と同じく、日帰りの人かもしれない」
  事実、途中で会話したご同業は、ビワイチ認定はしていないが米原ゴールだと言っていた。全員が全員、認定を受けようとしている訳ではない、ということか。




真っ暗になった。



  ふと突然、今まで何もなかった沿線に、カインズホームが現れた。と、いうことは……
「次の信号を左ですね、それで彦根港ですよ」
  ようやく最後のチェックポイントか。そして、本当に終わっちゃうのか……
  19:48、彦根港にある最後のチェックポイントに到着。なのだが、
「エルコスさん、最後のチェックって、どこにあるの?」
「えーっと、待合室の中って書いてあr……」
「……閉まってるよ」
  二人して、強烈なマヌケ顔をしていた。
  最後の最後で、彦根港のチェックに手が届かず。それでも諦めきれずに窓越しに探すが、それらしいものは見つからず。最後の最後でこれかよ。
「でも、クイズに解答はできるのでは?」
「そ、そうか……」
  果たして、位置情報からクイズの解答権は発生した。ただし、スマホ上では3択の答えだけが書いてあって、問題文が記されていない。これでは、何を根拠に応えてよいのやら。
「エルコスさん、答えは?」
「問題文が判らないのに、ですか?」
  珍しく、彼女も戸惑っている。私は言った。
「外しても責めない。どれを選んだらいい?」
  エルコスさんは迷った。悩んだ。考えた。そして、決めた。
「……コレです」
「そのココロは?」
「そこに書いてあったのと同じ文字のものを」
  ……………………
  この時刻表に運命を託したか。
「じゃ、行くぞ」
「……はい!」
  私は、指示された”ソレ”をタップした。そして――――


「はぁぁぁぁぁ……」
  ヘナヘナと、座り込む私とエルコスさん。
  画面には、『正解です』の文字と、『完走お疲れ様でした』の赤い文字が。
  しばらく呆然としていたが、ようやく私が、呻くように言う。
「エルコスさん、今回もありがとう」
「お、お役にたてて光栄ですわ」
  二人とも、精根尽き果てた、という感じだった。




コンプリート。



  とはいえ、これでフルビワイチ、完全制覇である。あとは、あとは……
「米原か」
「あと6キロくらいですね」
  時刻は19:54。のんびり走っても充分間に合うだろう。
「さ、あとちょっとだ」
「そうですね……  さ、帰りましょうか」
  私は再びエルコスさんに跨り、ふたたび湖沿いの道に戻った。


  そのあとは、約5キロ先にある入江橋交差点まで走り、そこを曲がって、来た時の逆の行程で米原駅へ。無事に21:04発のひかり号を捕縛し、東京へと帰還した。
  そして、途中の記憶が全くない。エルコスさん曰く、「幸せそうなカオをしていた」そうな。




終了〜。







今回のルート




ステージガイド


という訳で、ほぼ思いつきでビワイチは走り切れることが判った。ただし、個人的にはブルベ屋かロングライド屋か何かがおかしい人向けで、やはり観光とかも織り交ぜて一泊二日ないし二泊三日くらいで回るのが一番だろうと個人的には思う。

まずは、関係各所のリンクから。

輪の国びわ湖一周……公式ウェブページ。細かな情報はここから。

びわ湖一周認定システム……今回はこちらのテンプレを使用しました。

琵琶湖大橋……ハーフビワイチの要衝。自転車は通行料20円。

あと、沿線にはいくつかおいしい名物があるので、そういうのを目指してみるのも良いではないか、と思う。




琵琶湖北端部の注意点


木之本の大音交差点から高島市海津までのルートは、国道を突っ切れば早いのは一目瞭然なのだが、大型トラックが多数通行する上に路側帯が狭く、走っていて面白くないので、少し迂回したほうが良い箇所である。

大音交差点から飯浦交差点までは、迷うことなく県道514号で良いと思う。登りが苦手な人でも、距離にして500mくらいしかないので、ちょっとの頑張りでクリアできる。対して賤ヶ岳トンネルは、勾配とは無縁だが路側帯が極めて狭く、走りにくいどころか1ミス=ゲームオーバーな箇所が続く。





賤ヶ岳隧道出口。なかなか良い雰囲気を味わえる。



飯浦交差点から塩津交差点までも、県道336号の迂回が望ましい。意外なことに、このルートは勾配が少ない。

奥琵琶湖パークウェイは、つづらお展望台から岩熊方面へは一方通行(自転車も含む)になっていて、反時計回りをしている場合、迂回路としては一切機能しない。ここは大人しく岩熊トンネルを通るしかない。トンネルまでは急勾配が続くが、路側帯が広いので走りやすいのが救い。

永原から海津までは、国道ルートと迂回ルートがあるが、こちらも迂回ルートで良い。勾配が少ない上に交通量は少なめ(ただし桜の時期は例外)。雰囲気としては、佐渡の東側に似た趣がある。練習ルートとしても良いのではないかな、と。





余談だが、R8は敦賀方面への幹線となっているので、塩津交差点で交通集中で詰まる。






琵琶湖西岸の注意点


このあたりは湖の縁をトレースするように県道が伸びているので、そちらを通るのが良いと思う。というのも、R161は至る所に高規格化されていてクルマがバンバン走っていること。舞子〜比良〜蓬莱のあたりは路側帯が狭いことなどが理由で、敢えてスピードを狙わないのであれば県道沿いを通るのが良い。





路側帯の舗装もあまりよくない。それにしても気温22°って……






ハーフビワイチとの分岐


琵琶湖のうち、琵琶湖大橋を境に北湖、南湖と分けることがある。そのうち、北湖を一周するのをハーフビワイチ、南湖も含めて一周するのをフルビワイチ、と呼んでいるらしい。その境界となる琵琶湖大橋は、通行料金が20円かかるが、フルに比べて40キロほど距離を削れるので、時間とプランで決めてみるのも良いだろう。なお、琵琶湖大橋の端部となる堅田、守山より南側は都市部になり、信号待ちと交通量過多で走りにくくなるので、フルコンプリートを目指さなくてよいならハーフビワイチでもいいのかもしれない。





ハーフとフルの境界。とはいえハーフだって160キロだ。






琵琶湖の南端


エルコスさんが先述したとおり、琵琶湖は一級河川という扱いを受けているので、一応は川扱いなのだが、一応の境界は存在する。それによれば、境界はJRの鉄橋より湖側に少し行ったところにあり、一番近いところだとR1の瀬田川大橋が直近になる。その手前には県道18号近江大橋があり、逆に南下すれば瀬田唐橋がある。それぞれの橋に諸説があるので、フルビワイチにどの橋を使うべきかは、各自の判断で決めればよいのだと思う。





瀬田川大橋から。このあたりは漕艇が盛ん。






能登川水車への道。


これが結構面倒くさく、一発で行こうとするなら事前に余程の注意を払っておいたほうがよい。県道25号白王町東交差点まで差し掛かったら、側道を経由して農道のほうへ行く。





交差点直後。直接行けるルートは完全閉鎖されていて、交差点からアプローチする。



あとは農道をひたすらまっすぐ走ればよい。大同川にぶつかったら左折で、500mほどで水車資料館に辿り着く。





動物の匂いがするルート。近江牛かなぁ?



水車資料館を出て北上すれば、県道25号線に辿り着く。あとは15キロほどのラストラン。さあ頑張っておくれ。





大同川水門の上を通過。ダム好きにも答えるよ。






エルコスさん日記3のテキストファイルはこちら。需要なんて知るかー!


【20150508追記!】






送られてきたぜ。



輪の国びわ湖推進協議会から茶封筒が届いていたので、中を見たら、完走証が入っていた。3週間ほどかかる、と聞いていたので、これにはオドロキである。しかし、間違いなく正真正銘の完走証なので、大切に額にでもしまっておこう。そして、発行手数料はちゃんと収めよう





裏には通過タイムが。これは電子計測されたものなので、かなり正確と考えてよいだろう。



どうやら、第一チェックから最終チェックまで、ギリギリ11時間切りという感じである。できればもう少し縮めていきたいところだが、まあそれはそれで。





完走するともらえるステッカー。サイズが良心的でグーですよ。












TITLE:琵琶湖一周
UPDATE:2015/05/04
URL:http://y-maru.sakura.ne.jp/209_biwaichi/biwaichi.html