2012年版ガイドライン 実地踏査シリーズ スキー百本勝負 ほぼ月刊動画工房 ステキなダムn選 トップページ 用語辞典        リロード時刻:2025年04月07日(月)17時57分


189:峠を越えて逝け!



text by ymr20xx@y-maru.com




峠に登りたくなった。


どうでもよい話だが、体重がちょっと戻りつつある。

本当にどうでもよい話で恐縮だが、ただこちら事情としては看過できない話で、ちょっとヒルクライムの能力が落ちた、というか、ぶっちゃけ言うと腰痛が激しくなった

自転車界で腰痛、といえば高千穂センセですが、センセはやまめ乗りという画期的な方法でそれを克服したという。ただ、エルコスさんのフレーム設計的にやまめ乗りにするには相当長いステムを入手しなければならず、そもそもワタクシめはやまめ乗りができない

となれば、少しでもウェイトを絞り、あとは少しでも経験値を上げておきたいところ。そんな訳で、ちょっと登り特訓をしてきたのである。





始発の中央線を狙ったつもりが、新宿輪行なので既に混雑。


んで、早朝7時、中央本線の鳥沢駅に到着。きっと晴れて暖かくなるんだろうなぁ、と、今日は比較的薄着。





薄着、というかペダルたん。


ここでエルコスさんを組み立てて、15分くらいで出発。まずはスタート地点の猿橋へ。歴史的な建造物であるが、こちらとしては、





橋にしては何かがおかしい。











川の上を川が渡る






八ッ沢発電所の第一号水道橋。猿橋のすぐ隣にあり、ガン見ができる。ちなみにこれ現役で動いていて、橋の上を、発電機を回す大量の水が流れている。





このあたりは、まだ桜も綺麗。


さて、そんな水力発電絡みのスタートだが、これから向かうルートも水力発電絡みである。このあとR139を北上し、深城ダム、葛野川ダムとダムを巡ったのち、松姫峠を経由して小菅村へ抜け、奥多摩へ。そのあと青梅かそこらへんまで行って帰還する予定だ。正直、青梅くらいなら自走で帰ることも可能だが、渋滞と信号待ちの嵐を潜り抜けたくはない。せっかくだから楽しく走って終わりたい。……とはいえ松姫峠までは軽く見積もっても900アップなのだが(標高が)。





中央道の下を潜る。徐々に標高は上がっている。


その松姫峠へのアプローチだが、R139ではなく、猿橋からの県道505号を使う。国道側は岩殿山の脇をかすめる関係で、いきなり軽く急勾配になっているが、県道505は葛野川沿いに歩みを進めるので、エグい急勾配もなく、すんなりと歩みを進められる。また、時間帯によっては、朝9時から開店する公正屋大月東店で補給ができる。





県道505沿いにあり、すぐに判るだろう。


この時期、都内ではすっかり桜も散って寂しい限りであるが、比較的山間部のこのあたりでは、まだまだ満開の桜を拝むことができる。花見酒という訳にはいかないが、こういう花見もよいもので、ついついうっかり嫌いなヒルクライムとかやっちゃうのである。バカですか?  アホですか?





葛野川沿いに走ると、ようやく国道に出る。


県道505号からR139に入る。ここから勾配がきついところと緩いところとが交互に現れるようになる。何せ、現在900アップの真っ最中なのだ。たまに思い出したようにちょびっとした下り勾配があるが、基本ずっと登りである。その登りの度合いはいろいろあるが、まだ鼻歌交じりで対応できる斜度だ。

ちなみに、今日はソロなのでかなりマイペースで走れる。それをいいことに、今回は走り方をいくつか試してみる。グラフォン軽井沢対策ですな。





お試し中。ローギア入ってます。


今まではトルク寄りな漕ぎ方をしていたが、今回は積極的にインナーローを使うことにした。ギア比は34×28という改造反則ギアであるが、やはり28Tは偉大だ。どんな坂でもとりあえず上がれる気がする





松姫鉱泉。まだまだ余裕たっぷり。


松姫鉱泉を過ぎると、道はすっかり山道。しかし、まだこの辺はそれほどエグくはなく、インナーローに入れていれば足はクルクル回る。途中途中で良い景色があったり、興味ある被写体のところで小休止しながら、さらに標高を上げていくと、左手にダムが見える。深城ダムである。





最初のダム。


ここでトイレ休憩をするのだが、このダムはなかなかマニアックだった。ダムと発電設備の見学はもとより、ダムカードの発行とかやってるし、事務所の入り口には、





ご自由にお読みください。











ダム推し。






……という、ダムマニアには堪らないつくりになっているのである。

このあと、ひたすら標高を稼ぎ、時に対岸にある、明らかに閉鎖された道に思いを馳せながら走ることしばし。数本のトンネルを潜り、さらに標高を上げる。





このあとぐるっと回って上の道を走ることになる。


そのトンネルであるが、ちゃんと照明も整っていて、道も走りやすい舗装状態である。ここでヘッドライトを点灯するが、せっかくなので秘密兵器であるGentosの閃を点灯する。ロングライダース御用達のこのLEDライト、点灯時間は短いが、その威力は絶大で、文字通りメタクソ明るい。ちなみに以下の2枚は、デジカメの設定を同じにして撮ったものである(F4.0、シャッター0.5s、ISO1600で撮影)。参考にどーぞ。




いつものCATEYEのみ。
閃を点灯させた状態。



そんなライトの恩恵を可分に受けながら、葛野川発電所の脇を通過。この時点で9:03。事前の看板など情報によると、峠はここからさらに10キロほどあるらしい。斜度はさらにえげつなくなり、ギアはインアーロー固定。正直なところ、しょっぱなからインナーロー固定にすると、さらにきつい時の保険が利かない(=それ以上軽くならない)ので、個人的にはあまり使いたくないのだが、それでも今回はお試しのつもりでインナーローを回す。





えげつない部分を通過中。


……といい調子で上がっていたら、ヤツが現れた。そう、アイツだ。










腰痛。






多少は我慢が出来るけど、それでも必至こいて伸ばしたりダンシングしたりとかうまいこと誤魔化してみても、やはり腰が痛い。途中途中で休みを挟みながら登っていく。どうかワタクシめに頑丈な腰をくれる人いませんか?

んで、そのえげつない上り坂の前に、もう一つ秘密兵器を投入した。





こいつは外部スピーカがついてるので便利だ。


どこの家庭にでも一つはあるMP3プレーヤーである。しかし、暇つぶしにはもってこいで、適当な曲を流しながら走ると、まあ退屈しないで済む。都市部とは違い、人気がないので音量も気にしないでいく。ただし、時折通るオートバイの排気音にかき消されるという罠があるが。

んで、仕込んでおいたミク→GUMI→腰痛のローテーションをn回繰り返せば、やがて峠にたどり着く。なんだ簡単なことじゃないかはははh~










腰、痛ぇ……










あまりの痛みに小休止して腰を伸ばす。


どちらかというと、腰が痛くて小休止という状態になっている。決して上り坂がキツいんじゃない。ホントだってば。その証拠に、





わかりやすいように赤丸つけたが、これからあそこまで行く。


見上げるとこれから通るルートが遥か上の方にあってかなりゲンナリな感じだが、適当にミク流しながらクルクルやってりゃ、いつの間にかそのポイントを通過しているのである。





ラストヘアピン


そんなことをしばし繰り返すこと1時間。松姫峠への最後のヘアピンを通過。速度は出ないがクルクル進む。28T改造のスプロケット、大当たりである。

電光掲示板によると、このときの温度は8℃。ヒルクライムしているせいか全然寒くないのだが、峠周辺は太陽が雲に隠れ、やや肌寒い。遠くに何か建物が見えてくると、あと一息。





ようやく見えてきた。


10:02、松姫峠をシバく。だいぶ前に訪れた時と同様、峠の碑とその他諸々があった。とりあえず今日のハイライトは終了、これでようやく解放される。










腰痛から。










松姫峠をシバいたぜ。





釜飯が食いたくなった。


松姫峠の到着は、いいとこ10:30過ぎると思っていたが、結構速いペースで来た。ここから下山すれば……  と皮算用を働くと、ほうほう、昼飯時には川井らへんだな、と読みを働かせる。そうなれば、昼飯はあそこしかない。










なかいの釜飯






相当昔、まだRGTCが活発だった頃に、shojiki先生とrenas先生の三人で行ったことがある。あの絶品釜飯で腹を満たそう。そうと決まれば、と出発。





ヒャッハー!  するよ。30km先まで。


しばらくは舗装の状態の良い道を下る。交通量がそれほど多くないので、かなり良いペースでかっ飛んでいく。ところどころ、雪解け水が路面を濡らす個所もあるが、全般的に路面の状況はさほど悪くない。しかし、










寒い。






まあ分かっちゃいたが、下りなのでペダリングはほとんどしないし、速度が上がる分風当たりもきつい。我慢ができるとはいえ、寒いものは寒い。ヒルクライムの大会にウィンドブレーカーが必須という理由がよく分かった。

寒さとの戦いを続けていくと、やがて視界が開けた。小菅村の中心地だ。かなり豪快な鯉幟が出迎えてくれる。





小菅川と2か所のR139を股にかける鯉幟


山梨県の秘境、とか陸の孤島とか言われた小菅村であるが、もうじき松姫峠直下を貫くトンネルが開通する。そうなればアクセスは格段に良くなるだろう。現道は国道から降格でもするのだろうか(権兵衛峠なんかがそうだった)。まさか廃止になったりとかはしないと思うが(松姫峠はトレッキングコースの起点にもなっている)。いずれにしても、直近で大きな動きがあるのは間違いなさそうだ。良い時期に訪れたものだ。





小菅村を望む高台から。新道の工事は着実に進んでいる。


小菅村から奥多摩までは、完全な下り基調。時々思い出したかのように登り返しがある程度で、今までの苦労を発散させるかのようにかっ飛ばす。微妙に足にキていて、ちょっといつもの50×18が重たいなぁ、なんて思ったりもしたが、労せずして東京都に突入。





東京都に入ると、追い越し禁止になる。


そこからさらに行くと、ライダーお馴染みの三頭橋が。ここを右折すれば、収容に2時間かかることでお馴染み奥多摩周遊道路を経由して五日市に出れる。今日は気分が釜飯なので、このまま直進してR411に入る。このあたりになると、ライダーやご同業で賑やかになる。





橋が見えてくると、いよいよR411だ。


深山橋の交差点を右折。ここからR411であるが、ここから小河内ダムを経て奥多摩駅までの区間は、又の名を










東京のR158






……とでも言うべきか、ってほどのトンネル多発地帯で、距離は短いものの路側帯なんぞありゃしない狭隘トンネルが連続する区間である。トンネル以外も道幅は狭い箇所が多く、それでいてR139とは比べ物にならないほど










交通量過多






な、乱暴なルートである。こちらも走りながらチョイチョイ後方を確認し、抜かせるタイミング、飛び込むタイミングを計りながら進む。有難かったのは、小菅村からだと下り基調である、という点。しかし、逆の見方をすると、奥多摩側からは登り勾配になるということ。つまり、トンネル内で対向車が、上ってる最中の自転車を回避しようと車線を跨ぎ、うっかりすると対向車と










熱い抱擁






をしかねない、という気の抜けない状態が続いている、ということだ。





雰囲気は長野のあそこといい勝負。


小河内ダムに立ち寄り、小休止。なお、ダムに立ち寄れば、土産物屋で補給ができるし、大麦代トンネルを回避することができる。同じような考えでご同業が多く立ち寄るダムの公園に近づくと、





バタバタバタバタバタ……











ドクターヘリ登場






どうもこれはダムの公園施設が整備されたときに作られたらしい。なるほど、これなら安心だな。なんてったって










少し短縮できるな。






……というか、運ばれたのライダーとかじゃないよな?





2時間以内に運べるのだろうか……?


そのあとは特に目新しい話もなく、ひたすら下り基調のルートをかっ飛ばし、川井の交差点を左へ曲がり……





交差点曲がるといきなり登り。これが続く。








軽い孔明の罠






交差点から1.6kmほどで釜めしなかいに到着である。





なかい全景


この日は限定メニュはすべて出払っていたので、オーソドックスに山菜おこわ釜飯を頂く。水炊きとこんにゃく刺しがついているが、合わせてとにかく絶品である。国道から離れた位置にあるにも関わらず、行ったときには30分待ちであった。しかし待つだけの価値はあった。また食べたい。





山菜おこわ釜めし。1650円





うまい酒が飲みたくなった。


さて、ある程度任務も達成したので、そろそろ帰りの算段を立てたい。先述の通り、ぶっちゃけ自走で帰れる時間と距離だが、狭い青梅街道を走り、信号待ちと渋滞に巻き込まれるのはカンベンなので、どこかで輪行を企てなければならない。地図を見ると、青梅駅があり、もう少し走ると拝島駅、さらに行けば立……










拝島、だ……と!?






えー、多満自慢買って帰ることにする。確か石川酒造は、駅から歩いたって15分くらいの距離だったはず。自転車ならもっと早いじゃないか。積載性はこの際目をつぶる





青梅市に入る。


御岳、軍畑、二俣尾、石神前と東へ行くにつれて、交通量も増えてきた。午後にもかかわらず青梅方面から登ってくるご同業の姿もちらほらと。そして相変わらず道幅の狭い街道を往くのだが、うまいこと追い抜かれたり時に追い抜いたりしながら、13:55青梅駅着。





青梅駅に着いた。


なお、今回はまともな地図を持ってきていなかったので、青梅から拝島に至るルートがよく判らない。なので、オーソドックスに駅前交番で道を聞く。どうやら青梅街道をまっすぐ走って、R16を右折すればいいらしいという情報を得た。え、スマホで調べろ?  頭を使わなくなるぞスマホばっかに頼ってると。





青梅街道に出る途中。このあたり踏切渋滞でややカオス。


そんな訳で無事ルートが判ったので、その通りに走る。このあたりはR411と比較して路側帯に余裕があるのと、流れているスピードが速いので、ここぞとばかりに加速する。横田基地脇を35km/hくらいでスイスイ流していくと、青梅線の跨線橋を渡る。左に見えるは拝島駅だ。





左側の建物にカメラを向けてはいけない。


……が、とりあえず目的地は石川酒造。一旦駅と反対側に曲がり、細路地に入り込んで、15:07石川酒造着。





多満自慢の看板が堂々たる石川酒造。売店は日曜も営業している。


うちの親父殿の影響か、最近は日本酒にも手を出し始めた。お気に入りは純米酒で、吟醸酒でも醸造アルコールが入っているのはちょっと好みでない(何となく甘ったるいので)。んで、こんなのを買ってみた。





山廃仕込みの純米酒。


呑んでみた感想は、スラリと背の高い、白衣を着たポニーテールのお姉さんみたいな酒である。そして、すかさず










意味が分からないwww






……とツッコまれるのがまた楽しかったりして(自分で言ってて意味が分からないwww)。

あ、あとさすがに試飲はしなかった。TFBと違って、駅までは走らなければいけないので。





それでは帰還です。


無事に獲物を購入後、走って5分ほどの拝島駅で輪行開始。本日の距離は102kmであったが、まあ最初の40キロ弱で900アップだったので、まあヨシとしようかと。

あと、今回から輪行袋のマウントをrenas先生のを参考にしてサドル後方にしてみた。その際輪行袋を新調したが、肩掛けバンドが思いのほか役に立ったことを付け加えておく。なぜ今まで気づかなかった!?





renas先生と言えば、こないだこんなの貰った。














TITLE:副題:また悪い癖が出た。
UPDATE:2014/04/14
URL:http://y-maru.sakura.ne.jp/189_passhunt/passhunt.html